ベトナムはチャイナ・プラス・ワンの最有力候補?

中国パートナーへのオフショア開発でそこそこ実績のあるK社では、チャイナ・プラス・ワンの観点からベトナムを代表とする次の委託先を調査しています。

全社レベルでオフショア開発推進する宇江城さんは、上司から「ベトナムはチャイナ・プラス・ワンの最有力候補国か?」と質問されました。

宇江城さんは「はい」と即答したものの、結論を裏付ける根拠が不十分でした。

このままでは翌週の役員会で報告できないため、宇江城さんは再分析することになりました。


■ 問いかけ

<問1>上記の宇江城さんは、翌週の役員会でチャイナ・プラス・ワンの最有力候補国を提示することになっています。

結論はすでに「ベトナム」に決まっていると仮定します。

上司からは、結論を「PowerPointスライド1枚」にまとめるよう助言されました。

あなたなら、どうまとめますか?

問いかけのヒントはオフショア大學公式メールマガジンに記載されています。

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オフショア委託国の調査票

「チャイナ・プラス・ワン」はソフトウェア業界でもお馴染みとなった経営用語です。

オフショア開発に馴染んだ大手企業や小回りの利く一部の中小企業では、ベトナムの次の次を見据えたオフショア拠点づくりを検討しています。

よって、「なぜ今さらチャイナ・プラス・ワン?」と訝しむ読者も少なくないはずです。

ところが、世の中には、オフショア開発どころか持ち帰り外部委託ですらままならないソフトウェア企業がたくさんあります。

ある会社のソフトウェア部門では、数年前にいくつかの海外オフショア企業を調査しました。対象国は中国、ベトナム、インドの三大オフショア委託国。

そして今年、改めて海外オフショアの最新動向を調査することになりました。理由はチャイナ・プラス・ワンへの対応です。対象国は前回の三カ国に加えてフィリピン、ミャンマー、その他を考えています。


■ 問いかけ

<問1>あなたは、会社トップから「チャイナ・プラス・ワンに対応するため次世代オフショア委託候補国を調査せよ」と指令を受けました。

中国、ベトナム、インド、フィリピン、ミャンマーの五カ国が調査対象です。

トップからは「PowerPointスライド1枚」にまとめるよう指示を受けています。あなたなら、どうまとめますか?

問いかけのヒントはオフショア大學公式メールマガジンに記載されています。

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統計学で言葉と文化の壁を超える

グローバル環境で活躍する日本人エンジニアの話。


當銘元明さん(仮称)は地元の国立大学を卒業した後、単身で米国に渡り大学院に進学しました。

修士課程を修了した後、日本に帰国せずそのまま現地メーカーの生産管理スタッフとして就職しました。

工場では、表向きはERPシステムで全ての生産工程が一元管理されていることになっていましたが、実際には生産途中に生じる仕掛品のデータをスタッフが手動でシステム登録していました。しかも、この工場では納期遵守率の異常な低さにも悩まされていました。

もし、ここが日本国内の工場であれば、ブルーワーカーと呼ばれる生産現場の労働者と管理スタッフが一丸となって、問題発生の原因を徹底的に「なぜなぜ分析」していたでしょう。

でもここは外国です。

「ワタシ作る人」「アナタ管理する人」とばかりに工場内の役割分担が分断されていました。

そこで、数少ない日本人の中で最も若い當銘さんが選ばれて問題分析することになりました。

現場に入った當銘さんは、さっそく仕掛品に(  a   )がついていることに着目して、データ集計の自動化と仕掛り状況の見える化を試すことにしました。

ボスの指示がないと何も動けない周囲を尻目に、當銘さんはさっさと自腹で(   b   )を購入し、これまで二人のスタッフが6時間かけていた仕掛品データのシステム登録作業を半自動化させました。

次に、MS-Officeで簡単なマクロを組み、仕掛品と納期遵守状況をグラフ化し、翌週月曜日に主要メンバーに配布することにしました。

英語には不自由のない當銘間さんでしたが、皆で「ワイワイガヤガヤ議論」とは真逆の組織風土を持つ米国工場で、入社したての自分が前にでしゃばることを若干警戒していました。

そもそも、当時の當銘さんは生産現場を熟知していなかったので、自分で作ったExcelグラフが問題解決に役立つのかどうかさっぱり見当がついていませんでした。

・・・結果は大成功でした。


當銘さんのアイデアによって、この工場の納期遵守率は大幅に改善されました。

言葉や文化だけではなく組織形態も全く異なる海外の生産現場であっても、現物データに基づく確かな統計技法は問題解決に大きく役立つことを當銘さんは実感しました。


■ 問いかけ

<問1>現場に入った當銘さんが早速試したことは何だと思いますか? 本文中のカッコ(a)と(b)を埋めなさい。

問いかけのヒントはオフショア大學公式メールマガジンに記載されています。

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凡人による英文規格書読解の流れ

前号のおさらい。

与那嶺茂雄(仮称)さんは、ある通信機器メーカーからの下請け開発に従事する平凡な組込系ソフトウェア技術者です。
近年、与那嶺さんは英文で書かれた規格書を読む機会が増えるようになりました。
英文を頭から全て理解している訳ではありませんが、機能設計に必要な情報は過不足なく抑えられています。
お世辞にも英語が得意とはいえない与那嶺さんは、どうやって英文規格書をすらすらと読解しているのでしょうか。


前号の続き。

与那嶺さんが英文規格書を読解する手順を簡単に紹介します。
まず、英文規格書を読まざるを得ない状況に追い込まれる流れから。


1. 顧客から新機能を提案するよう依頼を受ける

2. 日本語でネット検索して新機能の概要を把握する

3. 新機能が定義された規格書の日本語訳を探すが、適当なモノが見つからない

4. 英文規格書を探してローカルPCにダウンロードする


次に、与那嶺さんが本格的に英文規格書を読む流れを示します。

5. 目次から新機能が記述された箇所を限定

6. 熟読すべき文章量を概算して次の戦略を立てる


ここまでの Steps 1-6 では高度な英語力はほとんど要求されません。当該領域の知識を持つ技術者なら誰でも簡単にできるはずです。この後から本格的な読解作業に入ります。

7. 機能仕様が解説された図面を探す

8. 図面の近くにある熟読すべき文章を特定する

9. 英文規格書を読解する作業量を見積もり

10. ようやく読解に着手

以上です。


■ 問いかけ

<問1>なぜ、与那嶺さんは英文規格書を読む際、真っ先に目次を見るのでしょうか?(Step 5)

<問2>図面の近くにある「熟読すべき文章」とは?(Step 8)

<問3>英語が苦手な与那嶺さんはどうやって「熟読すべき文章」を特定していると思いますか?(Step 8)

<問4>「作業量見積もり」の内訳を予想しなさい(Step 9)


問いかけのヒントはオフショア大學公式メールマガジンに記載されています。

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春節休暇にあえて求人広告を出す会社

中国でひっそりとオフショア受託業務を営む知人から聞いた話より。


先週から中国では旧正月の長期休暇に入っています。

近年、日本のマスコミでも都会から地元に帰省する中国人でごった返す人民大移動を面白おかしく伝えるのが年中行事となっています。

中国沿岸部の大都市から数百キロメートルも離れた地方都市に進出したある対日オフショア受託企業では、春節休暇に入るちょっと前から日本語人材を募集する求人広告を仕掛けます。しかも毎年のように繰り返し募集します。

そもそも、この地域に日本語人材はほとんどいません。しかも集中的に広告を出す時期は春節休暇に入る少し前なので、都会から帰省する地元出身者の目にとまる機会もありません。


■ 問いかけ

<問1>なぜ、この会社では毎年のように春節休暇に入る少し前から日本語人材の求人広告を出すと思いますか。その目的と費用対効果を予想しなさい。

例:緊急募集ではなく知名度向上のためのPR活動が目的。求人としての費用対効果は極めて悪いが、マーケティングとして考えれば長期で元が取れる。

ヒント→ オフショア大學メールマガジンに掲載

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専門家の知識と実践のギャップ

最近聞いた専門家の話より。

中国には中国独特の人材育成のキモがあります。

ある中国ビジネスコンサルタントの大城さん(仮称)は、日本で多くの社内研修・中国赴任者支援を実績を上げてきました。ところが、いざ自分が上海に赴任することになり、現地で最高責任者を務めることになると、これまでの指導内容が中国人部下の指導にあまり役立たないことに気づきました。

日本では「中国専門家」で名が通る大城さんでしたが、恥ずかしながら、上海赴任当初は次のような失敗を犯してしまいました。

社内のキーパーソンを集めた幹部研修にて。

「まず、皆さんの問題を取り上げてみましょう」→反応◯◯◯◯に比嘉さんは驚く!

「では、この課題について自分で考えてみましょう」→反応◯◯◯◯に比嘉さんは再び驚く!

「一人ひとりがリーダーシップを発揮しましょう」→反応◯◯◯◯に比嘉さんは開いた口が塞がらない


出所:BBT(2016)、組織人事ライブ 622:中国現法現地化のための人材育成

■ 問いかけ

社内研修で最高責任者が投げかけた以下の問いかけに対して、現地の中国人幹部はどう反応したでしょうか。それぞれのケースを予想しなさい。

<問1>「まず、皆さんの問題を取り上げてみましょう」
<問2>「では、この課題について自分で考えてみましょう」
<問3>「一人ひとりがリーダーシップを発揮しましょう」

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手戻り覚悟で見切り発車

オフショア大學受講者より。

当社は中国パートナーにオフショア開発を出しています。これまで大きな問題はありません。あえて1つだけ気になる点を挙げるなら、中国側は「手戻り覚悟」で見切り発車する傾向があることです。スピード感覚の違いといえばそれまですが、他社でも同様な傾向はありますか? それともうちのリーダーの個性でしょうか?

■ 問いかけ

<問1>以下は一般的な中国人エンジニアの特徴を説明した文章です。選択肢から最も正しい説明を1つ選びなさい。

一般に中国人エンジニアは
(a) スピード感を重視するため、手戻りはあまり気にならない
(b) 手戻りのリスクを感じたら、見切り発車したがらない
(c) 見切り発車したがるが、それは手戻りのリスク管理が甘いから

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経済は中低速なのに

先週、上海と江蘇省にあるいくつかのオフショア開発企業を訪問してきました。そこで、いくつかの新しい情報を入手し、いくつかの既存情報を更新しました。

・人件費の最新動向
・人材流動の最新動向
・転職先の選択肢増加
・不動産価格上昇が与える影響

■ 問いかけ

<問1>2015年から中国経済は中低速モードに切り替わっています。ではここ1年間、ソフトウェア技術者の賃金はどう推移しているでしょうか。
(a) ほぼ横ばい
(b) やや上昇
(c) 大幅上昇(3-4年前と同じ)

<問2>上海とその周辺地域(江蘇省と浙江省)で、ここ1年間のうちに最も不動産価格が上昇した地域はどこでしょうか。
(a) 上海
(b) 蘇州
(c) 無錫
(d) 南京
(e) 杭州

<問3>上海や周辺地域では、社会の発展に伴い技術者の転職先の選択先が増えています。2016年秋、ソフトウェア技術者の転職動向を分析しなさい。

<問4>上海と周辺地域の不動産価格上昇がオフショア企業に与える影響をいくつか挙げなさい。

■Hints:

<答1>(c)
<答2>(d)
<答3>セミナーにて詳細解説
<答4>セミナーにて詳細解説

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質問を丸投げするベトナム通訳

ベトナムオフショア開発は相変わらず盛況ですが、現場では日本語を話すリーダー人材が圧倒的に不足しています。

特に予算が限られる中小企業の小規模プロジェクトでは、優秀な日本語人材が配置されることは極めて稀ではないでしょうか。よって、通常は技術力を優先してチームを構成し、後から通訳を付けます。通訳は当然ながら非技術者です。

ある典型的な小規模ベトナムオフショア開発での事例を1つ紹介します。

日本側の窓口を務める河本氏は、ベトナム現地の通訳を介して日常のQ&A連絡をやり取りしています。ところが、文系出身の現地通訳は技術の深い領域には手が届きません。ときどき技術者のセリフを直訳したQ&Aを投げかけて、河本氏を混乱させました。

越南:(Web画面に表示する)種別データについてサンプルソースを確認してみると、SQLから該当するデータを取っているだそうです。そのSQLについて詳しく教えてもらいたいと言われました。

■ 問いかけ

<問1>あなたが日本側窓口を務める河本氏の立場なら、上記の依頼に対してどう回答しますか。

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新興国で品質保証スタッフ配置

オフショア大學受講者より

当社では中国やベトナムに飽き足らず、最近では新興国◯◯◯へのオフショア委託準備を進めています。委託先は資本関係のないパートナーです。

先日、委託先からプロジェクトから独立した品質保証スタッフを配置したいと提案がありました。私たちはその提案を好意的に受け取りました。

一方で、対日オフショアに不慣れな新興国◯◯◯で第三者的な品質保証活動がうまくいくのか疑問を持っています。これから予想される展開を踏まえて、当社に助言をいただけますか?


■ 問いかけ

<問1>上記の相談に回答しなさい。

Hints: 過去15年間のオフショア開発の歴史を紐解けば、対日業務に不慣れな新興国ベンダーで品質保証スタッフを配置したらどうなるか、おおよそ推測できると思います。オフショア開発実践セミナーの第一章で扱うテーマです。

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新興国で品質保証スタッフ配置

オフショア大學受講者より

当社では中国やベトナムに飽き足らず、最近では新興国の◯◯◯へのオフショア委託準備を進めています。

委託先は資本関係のないパートナーです。先日、委託先からプロジェクトから独立した品質保証スタッフを配置したいと提案がありました。私たちはその提案を好意的に受け取りました。

一方で、対日オフショアに不慣れた新興国◯◯◯で第三者的な品質保証活動がうまくいくのか疑問を持っています。これから予想される展開を踏まえて、当社に助言をいただけますか?

■ 問いかけ

<問1>上記の相談に回答しなさい。

Hints: 過去15年間のオフショア開発の歴史を紐解けば、対日業務に不慣れな新興国ベンダーで品質保証スタッフを配置したらどうなるか、おおよそ推測できると思います。オフショア開発実践セミナーの第一章で扱うテーマです。

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コミュニケーション不安の原因

オフショア大學では、自社のオフショア推進状況を多角的に診断するアセスメントシートを提供しています。

来週開催される講座(新横浜会場)でも「オフショア開発アセスメントシート」と名付けられた簡易版自己診断ツールを紹介します。

オフショア自己診断ツールは、主に現場向けと経営スタッフ向けの二種類に大別されます。

現場向けの診断項目は、主に品質やコミュニケーションなどプロジェクト成否に影響する要因に着目します。

一方、経営スタッフ向けの診断項目は、組織横断的なオフショア推進体制、コスト評価・パートナー評価など外注政策全体に関わる要因に着目します。


■ 問いかけ

<問1>ある日本の発注企業での話です。

プロジェクトメンバーを対象にオフショア状況を自己診断してもらったところ、主に海外との「コミュニケーション」に不安を抱えている実態が浮かび上がりました。多くの現場に共通する「コミュニケーション不安の根本原因」を予想しなさい。

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固定かローテーションか

オフショア大學を訪れるお客様の多くは、業務知識や製品固有のドメイン知識が深く要求されるオフショア開発に挑戦しています。例えば、特定業種の基幹系システムやデバイスの都合が何より優先される組込ソフトウェア製品開発の海外委託です。

このような会社のオフショア開発では、天才的なプログラマよりもコツコツ働く凡人が重宝されます。普通の真面目な技術者こそが持続的改善を牽引することを組織のみんなが熟知しているからです。こうした環境で常に議論になるのが「どうすれば優秀な海外人材を永く確保できるか」「どうすれば海外オフショア現場にノウハウを蓄積できるか」です。

これらの問いかけに対して、実際の開発現場では、意外にも二つの矛盾する回答が存在します。

1. オフショア側メンバーをできるだけ固定
2. 適度にローテーションさせる


■ 問いかけ

<問1>発注企業にとって「オフショア側メンバー固定」のメリットは自明です。では、「オフショア側メンバーを適度に適度にローテーションさせる」ことのメリットは何でしょうか。

<問2>発注企業にとって「オフショア側メンバー固定」のリスクを挙げなさい。


問いかけのヒントはオフショア大學セミナーにて(2016年10月セミナー日程を確認する

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回答は不可になります

あるオフショア開発でのQ&Aより。

Q.開示可能な仕様書や生データを送付いただけませんか
A.生データ送付につきましては、回答は不可になります


場面:詳細設計終了間際
意図:仕様書や生データがなくても設計書に従えばコーディングできるが、対象ソフトウェア全体の背景がわからないと後工程で思わぬ手戻りが発生するリスクがあるため


■ 問いかけ

<問1>上記は情報提供を求めるオフショア受託側と発注元担当者のQ&Aです。この短い対話文には誤解を招く表現が含まれています。具体的に指摘しなさい。


<問2>「回答は不可になります」という表現は外国人に不快な印象を与える恐れがあります。一体なぜでしょうか。

ヒント→ オフショア大學メールマガジンに掲載

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「必ず」と「絶対に」

オフショア大學受講者のご意見より。


私は日本で教育を受けた北京出身の中国人です。日本語による指示は曖昧になりがちだと思います。特に「指示の強さ」が中国人に伝わりにくい例をよく見かけます。例えば、講義で紹介された次の例文に、私は強く共感しました。

「ファイルを削除しないようにしてください」


講義では、指示や伝達はできるだけ「肯定文」に統一するようおっしゃっていました。中国人に対しては、さらに漢字を多用するとより効果的です。

「ファイル削除禁止」


さらに、次の2つの例文をご覧ください。

a.必ずファイルを削除してください
b.絶対にファイルを削除してください


日本人にとって、上記2つの文章はどちらも同じくらい強い指示だと思います。ですが、日本語能力 N3-N2 の中国人にとって、この2つの強さは異なる恐れがあります。


■ 問いかけ

<問1>日本向けオフショア開発で活躍する中国人技術者にとって、下記2つの指示はどちらがより強い印象を与えるでしょうか? 日本語能力は N3-N2 だと仮定します。

a.必ずファイルを削除してください
b.絶対にファイルを削除してください

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英訳「来月までに仕上げて欲しい」

オフショア開発プロジェクトが遅れていたとします。あなたは上司から「あのプロジェクトはどうなっているんだ。先行きがとても不安だ。来月までに必ず仕上げるよう、現地の開発チームに伝えるように」と指示されました。

英語に翻訳して伝えるのが、あなたの仕事です。

そこであなたは、ネットから適当な例文を拝借して「来月までに仕上げて欲しい」を次のように英訳しました。この英文が抱えるリスクを分析しなさい。

Please get this project finished by next month.

日経BPセミナー

<正解>もし日本語「来月までに仕上げてほしい」が来月末〆切なら、by the end of next month と月末を明記するほうが安全です。

Please get this project finished by the end of next month.

by next month だと、〆切候補日が月初から月末まで30日間もあるため誤解を招く恐れがあります。形はシンプルですが、決してシンプルな英語とは言い難い表現です

■ 問いかけ

<問1>英語中級者が、ネットから例文を拝借して「来月までに仕上げてほしい」を by next month と表現しました。これは英借文でよくある失敗例です。英借文とは、手本となる例文の一部を書き換えて英作文することです。

なぜ、上記の英借文で by next month を使ってしまったのでしょうか。予想される原因を述べなさい。


ヒントはこちらで→ 英語の苦手意識を克服!「TOEIC 500点未満のIT担当者向け~英文コミュニケーション実践講座」。メールや指示書など開発・運用現場で使えるシンプルな英文の書き方を伝授。

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「人海戦術」をどう伝える?

オフショア開発プロジェクトが遅れていたとします。あなたは上司から「あのプロジェクトはどうなっているんだ。先行きがとても不安だ。人海戦術でなんとかするよう、現地の開発チームに伝えるように」と指示されました

英語に翻訳して伝えるのが、あなたの仕事です。あなたなら、どう伝えますか?

そこであなたは、社内で抜群の英語力を持つと評判のスタッフに「人海戦術」をどう英訳すればいいか相談することにしました。


以下、英語に不安を覚えるあなた(初心者)と上級者の会話です。

初級者:人海戦術を英語でどう言いますか?

上級者:どういう場面で、人海戦術を使いたいのですか?

初級者:「遅れを人海戦術でなんとかしてほしい」という依頼です。

上級者:子供でもわかるようシンプルな日本語で書き換えると?

初級者:「設計が遅れてしまいましたが、たくさんのプログラマを追加投入して、絶対に期日に遅れないで欲しい」

上級者:本当に大事なことだけを表現するなら?

初級者:「増員してでも、納期を守って欲しい」

上級者:手段(増員)と結果(納期)、どちらがより大切ですか?

初級者:結果です。オフショア委託先に「納期を守って欲しい」と念を押したいのです

上級者:そうであれば、はじめから人海戦術の英訳に悩む必要はありません

初級者:納期はdeadlineなので、納期を守るとは(辞書を引く)

上級者:ちょっと待て。私なら納期=deadlineとは断定しません

初級者:えーー、英語上級者はどうするんですか?

上級者:私なら、まず文意が分かるキーワードを並べてネット検索します。例えば「納期 厳守 クレーム 取引先 英文メール」。

初級者:Goolge検索結果にたくさんの文例が表示されますが、どれを使っていいのかさっぱり分かりません

上級者:本来なら、ネットからお手本となる英文を拝借して書き換えたいところですが、今回は「納期=deadline」だと仮定して先に進みましょう

初級者:私のレベルにあわせていただき恐縮です。

上級者:では、deadline を使ってシンプルな英文を組み立ててみましょう。

初級者:これでどうでしょうか。

納期を守って欲しい
Please meet the deadline.

上級者:はい、学校英語ならこれで合格です。ただし、現実のビジネスでは、少し不躾な印象を与えてしまう恐れがあります。今はあえて無視しますが、後に英語の丁寧表現を学ぶので、そこでより丁寧な表現に書き換えましょう。

初級者:分かりました。

上級者:次に「人海戦術」という手段を追加しましょう

初心者:「もし必要なら、プログラマを増員させて」でどうですか

上級者:例えばこんな感じでいかがでしょうか。

Please meet the deadline.
If necessary, we'll find more staff for this.

初心者:これなら、英語が苦手な私でも理解できそうな気がします

上級者:私なら、上司からの指示をもっとシンプルな日本語に書き換えてから英訳するので、上記とは異なる英文になると思います。でも上記の英文でも、英語を母語としないアジアの技術者には十分通じると思います。ご安心ください。

■ 問いかけ

<問1>ときどき「人海戦術を英語ではどう言いますか?」と唐突に質問してくる人がいます。あなたなら、どう回答しますか

<問2>Please meet the deadline. は不躾な印象を与える恐れがあります。一体なぜでしょうか。

<問3>英語中級者が「来月までに仕上げて欲しい」を次のように英訳しました。この英文が抱えるリスクを分析しなさい。
Please get this project finished by next month.

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【英訳】仕様変更が目白押し、客とすり合わせすべき

日本の組織では、英語に直訳しにくい日本語表現が目白押しです。


<例1>上記の「目白押し」という表現

英語が苦手な日本人技術者は、つい自動翻訳を使っていきなり原文を英訳してしまう傾向があります。例えば、Google翻訳は、上記の文章をこう訳します。
In the Japanese organization, literal translation is difficult to Japanese expression in English is jostling.

残念ながら、原文を書いた本誌発行人ですら、上記英文の意味が理解できません。シンプルな英語を書くためには、自分が分からない単語や表現を使わないことが大原則です。


<例2>(仕様がなかなか決まらず焦る場面で)
お客様とすりあわせしましょう。
We need to sit down and talk with them about these issues.

一部の英語が得意な人は、上記のような「すりあわせ」に相当する慣用表現をさっと思いつくかもしれません。ですが、オフショア大學では、「すりあわせ」という日本語そのものを書き直すことを推奨します。


■ 問いかけ

<問1>自動翻訳でも扱いやすくなるように、以下の2つの日本語をそれぞれ書き直しなさい。

(a) 日本の組織では、英語に直訳しにくい日本語表現が目白押し
(b) お客様とすりあわせしましょう

<問2>以下の文章は誤解を招く恐れがあります。なぜでしょうか。

現法の外国人管理者にも予算を持たせてさらなる成長に期待したい

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質より量に着目したポジティブ・フィードバック

オフショア開発のコミュニケーション効率を高めるには「質より量」に着目した改善が効果的です。

最も簡単な方法は、ポジティブなフィードバックを増やすことです。フィードバックとはコーチング研修でもお馴染みの基本技法なので、経験豊富な技術者ならその意味を正しく理解していることでしょう。

ところが、ビジネス書に載っているコーチングのお手本を真似ても、オフショア開発でうまくいくとは限りません。

オフショア大學では、次の3つの原則に基づいてポジティブフィードバックするよう指導しています。問題指摘などネガティブな要素をフィードバックする場合は、他の原則を使います。


1.自分を主語にして伝える
2.主観的な意見や感想をポジティブに表現する
3.相手の言動に気づいている、理解していることを伝える

上記の三原則に基づいてフィードバックする際には、アメリカ人の著作物を直訳したような不自然な日本語を用いても構いません。むしろ、そのほうが流暢な日本語よりも好ましいでしょう。なぜなら、フィードバックする相手は、オフショア委託先の外国人なのですから。日本語が不得手な外国人が相手なら、ぜひ英語でのフィードバックにも挑戦してください。

1.自分を主語にして伝える(Iメッセージ)

私は 良かったと 思う あなたが したことは
I think it was good that you (did*).


2.主観的な意見や感想をポジティブに表現する

私は 感謝します あなたが してくれたことに
Thank you for ...


3.相手の言動に気づいている(**)、理解していることを伝える

私は 気づいている あなたが したことを
I noticed that you (did*).

毎日遅くまで 働いてくれましたね
I noticed that you have worked late every day.


注1:英語が得意な人は、上記例文の did(あなたがしたこと)の代わりに具体的な動詞を使うとよいでしょう。その方が、オフショア委託先の外国人の承認欲求が満たされます。

注2:「あなたに気づいている」を表現する I noticed は効果的な表現です。もしあなたが動詞 notice に馴染みばなければ、類義語辞典(シソーラス)を使って notice を代替できそうな英単語をいくつか覚えておくとよいでしょう。例えば、次の動詞は notice の類義語として扱われます。

acknowledge catch detect discern "look at" note recognize regard see spot

■ 問いかけ

<問1>上記の三原則を実践する際に注意すべき点、やってはいけないこととは何でしょうか。

<問2>次の2つのコメント(a)(b)は、オフショア大學が提唱するポジティブなフィードバックに該当しますか?(Y/N)

(a) あなたの提案のおかげで会議がうまく進みました
Because of your proposal, our meeting became very successful.

(b) 今後もぜひ、このような提案を続けていただければ幸いです
Please continue making good proposals like this for the future.

<問3>ポジティブなフィードバックはとても有効な技法です。ビジネス書に載っているコーチングのお手本を真似ても、オフショア開発でうまくいくとは限りません。なぜでしょうか?

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真面目で職人肌の技術者にありがちな日本人英語

オフショア委託先の成果物をレビューして外国人技術者にフィードバックする際には、細心の注意が必要です。

これまでは「日本語」でオフショア委託先と交流する機会が多かった日本人ですが、今後は英語を併用する機会が増えます。

レビュー等で厳しい姿勢で問題指摘する際、日本語と英語では次のような違いが生じます。

・日本語
→敬語を使って相手の面子を潰さぬよう配慮

・英語
→意図的に褒め言葉やポジティブ表現を使って相手の面子に配慮


実は、日本語として適切に敬語が用いられた正しい指摘であっても、オフショア委託先に正しく伝わるとは限りません。むしろ、下手な英語の方がオフショア委託先に正しく伝わることがあります。


<例>「オフショア側による報告書に問題あり」を指摘したい

・日本語
→先日ご提出いただいた報告書につきましては、◯◯の箇所が若干理解し難いとお客様から指摘されました。・・・

・英語(日本語訳)
→(急いで報告書を仕上げてくれてありがとう。全体の構成はよいですが、細部に改善の余地があります・・・)


以下、いささか極端な事例ではありますが、日本人英語にありがちな不適切表現とより好ましい表現を紹介します。


・真面目で職人肌の技術者にありがちな日本人英語:
Your report looks terrible.
(あなたの報告書はひどい)

・より好ましい表現:
Your report has some room for improvement.
(あなたの報告書には改善の余地がある)

参考:外国人部下と仕事をするためのビジネス英語

■ 問いかけ

<問1>上記の日本語による問題指摘のリスクを分析しなさい。

<問2>上記の日本語と英語(日本語訳)の違いを分析しなさい。

<問3>1つの問題を日本語と英語でそれぞれ指摘しようとする際、なぜ言語によって表現方法が異なるのでしょうか?

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