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間違った方向に全力疾走

本ブログ発祥の原点である、中国オフショア開発専門メールマガジン。お陰さまで創刊1年以上が経ち、2004年7月末の時点で第60回を迎えることになりました。

ご愛読されている793名の方々の暖かいご支援の賜物です。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

これまで数々の事例や鉄則等を紹介してきましたが、机上の知識を持っているだけでは、実際の中国オフショア開発現場で活かせないことは改めて言うまでもありません。


・品質
・納期
・コスト

すべてがオフショア開発を評価する重要な基準となりますが、評価基準のバランスに囚われすぎるあまり、結局のところ何も成果が得られないという、企業が多いのではないでしょうか。

過去に中国オフショア開発で失敗したことのある人は、否定的な態度で、このようにアドバイスします。


「自分は忙しい、なぜ私が中国ベンダの面倒をみるのか?」
「結局、中国は安かろう悪かろうの世界だ」

ですが、結局のところ、中国オフショア開発のパターンは2つのみ。

1.教科書的なプロジェクト運営を志すが、まともに完成しない
2.苦労が絶えず試行錯誤を繰り返すが、最後は喜びと共に納品

業務コンサルテーションから顧客サイトに入り込み、最新技術を駆使して、要件定義からシステム導入・保守サービスまで一括で請負う。

オブジェクト指向を理解し、資格取得をアピール、品質第一、顧客満足度向上のためには残業・徹夜は当たり前。

これが世間的には正しいとされる、国内システム開発ベンダの姿かもしれません。

とはいうものの、こういう会社がITサービス業として今後も継続的に発展、成長していけるかの保証はどこにもありません。

むしろ、こういった会社で働く技術者達の声を拾い上げたらどうなるでしょうか。

「我がチームは一生懸命やったはずだ。徹夜、胃潰瘍も何のその。でも、顧客は大手ベンダと中国ベンダしか選ばないじゃないか!」

私たちはITサービス業です。

頑張ったか、一生懸命やったかの議論は意味がありません。

それよりも、市場に貢献したか、存在価値があるか、社員や顧客がイキイキしているかで判断すべきではありませんか。

「攻めのオフショア開発」
「守りのオフショア開発」

あなたは、どちらを希望しますか。

あるいは、オフショア開発自体を放棄して、このまま報われない泥沼開発を続けるつもりでしょうか。

迷ったらやってみる。
困難が二つ並んでいたら、より大変な方を選択する。

これが、勝つITサービス業の秘訣だと断言します。

いま中国オフショア開発で悩んでいる方は、ぜひ一度専門家に相談して欲しいと思います。
時間を節約し、品質を安定させる切り札になること間違いありません。必要なのは、間違った方向に全力疾走することではなく、正しい方向へと姿勢を正すことです。

今回の記事はいかがでしょうか?
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あなたの仕事が中国人に奪われる?

アメリカとインドとの間に始まったオフショア開発のモデルは、着実に日本にも浸透しつつあります。昨年のSARS騒動が鎮静化した現在では、中国ソフトウェア業界は完全にひとり立ちするまでに至りました。

中国オフショア開発は単なるブームから、生き残りをかけた企業戦略の有力な選択肢の一つとして位置付けられるようになりました。

これは世界的な流れです。残念ながら、ユーザ企業もシステムインテグレータも、強烈な中国シフトの波から逃れられる術はありません。

中国オフショア開発のプロジェクト管理技術が進歩することにより、近い将来には、システム開発のコストが大幅に削減され、優秀な人材が大量に安く導入できるような時代がやってくることでしょう。

これまで、特定の情報システム分野だけしか知らない、あるいは、レガシー技術だけが頼りの技術者にとって、これからが生き残りをかけた正念場となります。

新しい技術や考え方を身に付けて、市場ニーズに即した人材になれるかが勝負の分かれ目です。

付加価値のない技術者にとって受難の時代がもうそこまでやってきています。もし、このような部下が増えてきたらマネージャのあなたは、どのように対処すればよいでしょうか。その危機管理は出来ていますか?

全国各地の技術者求人情報を欠かさずチェックしていると、市場動向が体系的に把握できるようになります。結論を先に述べると、日本人スタッフの仕事が急激に減ることはしばらくありえません。

幸いにも、私たち日本人は外国籍エンジニアと比べて、お客の立場を察する感度が非常に優れています。また、日本固有の「あうんの呼吸」文化は、外国産パッケージ製品や海外オフショア開発にとって、高い参入障壁となってきました。

最近はその弊害がよく指摘されますが、これらは長年私たちが育んできた歴史・文化に基づく結果なので、特別な理由がない限り恥じることはありません。

ただし、これからの情報スタッフには、外国籍エンジニアといかに上手く付き合うかという異文化コミュニケーション能力が求められるようになるでしょう。その先導を務めるのが、情報マネージャ/SEマネージャ自身であることは疑いようもありません。

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オフショア開発の発注形態

日本の立場から中国オフショア開発を考えたとき、中国ベンダへの発注形態は大きく二つに大別される。

1.自社から直接中国ベンダへ発注
2.国内の協力会社を経由して間接的に中国ベンダに発注

●発注形態を使い分ける

1.直接発注形態

自社が中国ベンダと直接契約する形態はさらに3つに分類される。

・ブリッジSE配置型
・コーディネータ配置型
・直接対応型

当社が推薦するのは、2番目のコーディネータ配置型である。

2.間接発注形態

協力会社を経由する形態も3つに分類できる。

・中国ベンダの日本支社を活用
・中国ベンダを子会社として持つ日本企業と連携
・中国と資本関係を持たない協力会社を活用

間接発注では、2つの取引形態(契約)に大別される。

・協力会社と中国ベンダが2社間取引
・自社も交えて3社間取引

●メリット/デメリット

中国オフショア開発には、直接と間接の二つの発注形態がある。それぞれのメリット、デメリットを理解して、プロジェクトの条件にあった適切な選択を行おう。

直接発注
<メリット>
・低コスト
・ノウハウ蓄積
・中国進出への足がかり

<デメリット>
・発注責任、リスク、作業負担を負う
・設計/テストに責任
・人員・リソース確保
・仕様管理
・品質管理
・輸出管理

間接発注
<メリット>
・負担軽減
・リスク回避

<デメリット>
・協力会社の力量に大きく依存
・下請構造によるコスト増
・空洞化


中国人ブリッジSE配置
<メリット>
・言葉や文化の壁を吸収
・中国側のコミュニケーション負担低減

<デメリット>
・個人の力量に大きく依存
・優秀なブリッジSEの人材不足
・中国側にライバル出現の疑念を持たれる

日本人コーディネータ配置
<メリット>
・日本の商慣習や業務知識がある/利用者の視点を持つ
・日本人設計者の負担軽減
・自社にて人材育成が可能

<デメリット>
・言葉や文化の壁
・優秀なコーディネータの人材不足

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日本の常識はどこまで通じる?

●日本と中国は当たり前のように文化や人の思考方法が違います

IT分野に限定しても、これは果たしてどうなんだろう?という疑問が次から次へと湧いてきます。特に怖いのは、私たちにとって「これは常識の範疇でしょう」について、中国側に疑問や不信感を抱いたときです。

「ドキュメントは日本語だろうか?」

「性能テストはどこまでやってくれるのだろうか?」

「中国企業はOracle製品を持っているだろうか?」

「オープンソースの無料ソフトを使って構築した方がトータルのコストは抑えられるのであろうか?」

このような疑問を感じたとき、あなたならどうしますか?

そんなことを考える暇があれば、次の設計や製造工程に進みますか?

考えるより先に行動しますか?

それとも、疑問をすべて明らかにしてから次に進みますか?

日本にあわせて中国側は最大限譲歩すべきだと考えますか?

本当にそうでしょうか?

・・・

●ただ質問する、感じたことを即座にフィードバックする

こんなとき、当社では遠慮なく中国企業に質問をぶつけることをお勧めします。

中国人SEを相手にするとき、質問のやり方にはちょっとしたコツがあります。例えば、


・主語を省略しない (あなたは主語を省略してはいけません)
・結論を先に書く (それは○□です。なぜならば、・・・)
・最後にも結論を書く (最後に要点を繰り返します。1.・・・)
 …………

中国企業は聞かれたものは何でも答えてくれます。私の経験上、単に「答える」だけではなく、それ以上に何にでも「応えてくれる」という姿勢をアピールしてきます。これは本当に気持ちがいい。

相手を格下の下請業者ではなく、これから私たち日本企業と対等に取引するパートナーとして扱っている態度を示す方が望ましい結果が得られやすい。

そうすれば、きっとよい関係が構築されるはずです。なぜなら、彼らは日本から受注量を得るために本当に必死だからです。

その上、中国人はメンツを重んじる人種です。

私たちはそのメンツを上手に利用しようではありませんか。彼らは、できないことを素直に「出来ません」とは言いにくい性格の持ち主です。多少無理なことであっても、こちらが真剣に悩んでいると思いがけず、無理な条件を飲んでくれることがあります。

お客A「この納期ではいくらなんでも厳しいのでは」
中国人「いやっ。一度出来ると判断したので絶対にやります」

お客B「うちの業務は難しいから、中国人には理解できないのでは」
中国人「最初の1ヶ月は勉強期間として無料として提供します。お客さんの隣にエンジニアを2名置かせてください」

●中国を意識しすぎない

中国人SEと上手に付き合うコツを一つ紹介します。せっかちな方、考えるより先に行動する方人、そういう人は気をつけたほうがいいです。

あなた:「○○の件、大丈夫ですか?」
中国人:「はい、はい、分かりました。大丈夫です」

この返事を聞いた人は特に要注意!

電話でこのような返事が貰えたからといって、100%安心するのは早計です。特に初めて取引をする相手とは、電話を主なコミュニケーション手段として使ってはいけません。必ず、メールと専用帳票を併用したQA連絡を心がけてください。

そして、必ずコミュニケーションの記録をとって下さい。

IT分野では、中国人がよく発するセリフの中で、私たちの常識で判断するとつい誤解してしまうような危ないものがあります。このような危ないキーワードに出会ったときには、当社が推奨するコーチングのスキルを活用してその場を切り抜けましょう。

例:安請け合いされたと感じた場合
 ⇒「この仕事は○月×日から始められますか?」
 (納期日を約束するよりも、開始日を約束するほうが効果的)

●最後に少しだけフォローします。

ほとんどの中国企業はモチベーションが高い。技術的な分野では一般の日本人プログラマーよりもずっと優秀だといえます。だからこそ、私たち日本の発注側が100%真剣になって中国オフショア開発に取り組まないと、かえって痛い目にあうことになるでしょう。

このことを肝に銘じて、中国ベンダとWin-Winの良好な関係を築いていただきたい。

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中国オフショア開発の正しい始め方

初めての中国オフショア開発では80%失敗を覚悟しなさい。
ただし、100%万全の準備を怠らないこと。

●なぜか若手SEが担当する中国開発

今回のメッセージは「中国企業を必要以上に警戒せよ」という意味ではありません。むしろ、日本の発注側の心構えについて言及し
たものです。

当社が中国オフショア開発のコンサルティング依頼を受ける際、ほとんどの企業では比較的リスクの少ない試験プロジェクトを用意しています。

「やはり、中国にいきなり本番のシステム開発を発注するのは危険ですよ。まずは社内システムであまり重要ではない案件で試したい」

私もこの考えに賛成です。

ここで、ひとつ注意してほしいことがあります。
それが「初めての中国オフショア開発では80%失敗を覚悟しなさい」です。

実際のシステム開発の現場では、相手が中国人だからといって、発注条件や開発工程が大きく変わることはありません。なのに、なぜか中国オフショア開発リーダーとして経験の浅い若手SEが担当させられることがあります。

不思議ですね。

中国オフショア開発への取組みがこれからの会社の業績を左右するとの自覚を持ちながら、一方では社員教育を施すかのような感覚で未熟な社員中国開発の担当者として任命します。

●中国人は怖い?

日本のシステム開発の現場では、過去に中国技術者との付き合いで何らかのトラブルを経験していることが少なくありません。それゆえに、私たちは中国と聞いただけで、何か腫れ物に触るかのような感じを覚えます。

いかがでしょうか、心当たりはありませんか。

このような背景から、私たちは自然に中国オフショア開発から距離を置きたくなる気持ちがうまれます。

その結果、せっかくトップの経営判断として中国活用の方針が打ち出されたとしても、現場レベルでの対応が後手にまわっているような印象が否めません。

いったい何が私たちをそこまで不安に陥らすのでしょうか。
その原因とは何でしょうか?

・・・

その答えは「言語以上のギャップ」が存在することにあります。

日本語と中国語が通じないことを指摘してるのではありません。ここでは、日本人SEの常識や観念と中国人SEのそれとがうまく合致しないことが多いことを指摘しています。

私たちが注意すべきは、コミュニケーションの取り方です。

●言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション

私たちのコミュニケーション手段は、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションとに大別されます。コミュニケーションの手段を思いつくままに考えると、次のようなものがあげられます。

文字情報(コンテンツ)、声の大きさ、高さ、抑揚、スピード、表情、目の動き、体の姿勢、手の位置、足の組み方、、、

どれが言語でどれが非言語のコミュニケーション手段に相当するかは他の情報源を参照してください。

私たちは言語を主体としたコミュニケーション手段にどれくらい依存していると思われますか?

一説によると、

・言語コミュニケーション  30%
・非言語コミュニケーション 70%

だそうです。

中国オフショア開発では、特別な訓練を受けていないコミュニケーションの素人が何の準備もないまま現場に放り込まれます。

ここに、多くの日本人が中国オフショア開発を敬遠する本当の理由が隠されています。

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中国オフショアに高まる期待の声

日刊メルマガ 日本唯一の中国オフショア開発専門マガジンに寄せられた読者の声を紹介します。

気が付けばもう2年、中国オフショア開発をやりたいと思い、可能な範囲で自分なりに調べているのですが、今一歩が踏み出せないままに時間ばかりが過ぎております。

会社は典型的な下請け丸投げ体質で、このままでは危険と感じています。ぜひヒントを頂きたいと思います。
(金融系 企画 男性)

→→→ 私のメルマガには、中国ベンダ管理&中国ベンダと仲良く仕事を進める秘訣が満載なので、ぜひともお持ち帰りください。

中国人中心のSEのプロ集団、これから本気でオフショア開発に取り組みますので、よろしくお願い申し上げます。 (アットワン株式会社 代表取締役 周潤強)

→→→ 心強いですね。こちらこそよろしくお願いします!

いつもメールマガジンを興味深く購読させて頂いています。

我々のプロジェクトでもオフショア開発の可否はコストの観点などから、重要事項のひとつになっています。ただし、その目的を達成するためには、如何にあるべき姿でアウトプットを導き出すかという管理が重要になると考えています。ご紹介いただく事例など、参考になります。
(メーカ系ベンダ 男性)

→→→ 目標や期待する成果物が明確でないと、お互い不幸になりますね。当たり前のことを当たり前に取り組むのが、中国オフショア開発成功の最大の秘訣かもしれません。

ソフトウェアの開発委託は経験がありませんが,生産委託を中国の工場でやっています.いろいろな苦労を経験しました.概要を読むと,共通する話題も多いのではなかろうかと思っています。 (通信機器メーカ 品質保証部長 男性)

→→→ 品質管理の勘所は工業製品でもソフトウェア開発でも同じかもしれません。お互い情報交換を続けましょう!

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中国人SEの行動パターンを理解する

ぎりぎりセーフ

中国人SEの観念に戸惑う

私は海外システム開発の分野でコミュニケーションを支援するコンサルテーションサービスを提供しています。特に日本企業と中国企業との間で発生するトラブルを専門的に扱っていますが、IT技術者の「性格」でいつも頭を悩ませています。

ある研究によると、人間の「気質」を変えるのは困難だが、「性格」は変えることはできるらしい。この場合は、「気質」と「性格」を同一視しないのがポイントになります!

私たちの性格は、次の三層で構成されています。

  第一層(中心部)「気質」
第二層(真中部)「環境性格」
第三層(外側部)「役割性格」

外側部の役割性格をもう少し詳しく説明すると

人は、学習や努力、それに立場によって“自分はこうありたい”、“周囲からこう思われたい”と心に願う像があり、その理想像に近い性格を演ずるようになります。そして、演じ続けるうちにでき上がった性格を「役割性格」と呼びます。

この話は、メルマガ「がんばれ社長!」からヒントを得たのですが、「まさにその通り!」と膝を打ちました。

私は、もう少し優しい言葉を使って、同じことを表現しています。

「性格はかえられないが、行動パターンはかえられる」

この場合は、「気質」に相当するのが「性格」、「役割性格」に相当するのが「行動パターン」だと置き換えてください。

ちなみに「役割性格」は「観念」に相当するものと思ってください。カウンセリングや心理学の分野では、「観念」のことを「人生脚本」と呼ぶことがあります。

ようやく、話を中国オフショア開発に戻します。

私たち中国オフショア開発の世界では、「役割性格」の影響がこんな場面で現れます。


 中国人:「プログラムが完成しました」
 日本人:「でも、エラーが残っているよ」
 中国人:「はい、まだテストしていませんから」
 日本人:「・・・・・・」

 日本人の観念=
  プログラム完成はエラーがすべて無くなった状態だ。これだから中国人は信用できない

 中国人の観念=
  プログラム作業とテスト作業は異なる工程である。
  「プログラム完成」と報告して何が悪い?

このような小さなコミュニケーションのギャップが引き金となって、プロジェクト全体が破綻することがよくあります。

実は、中国企業との共同プロジェクトが失敗する原因は、ほとんどがこのような意思疎通の不具合にあるといえます。


判断のモノサシの違い確認する

前出の性格の話には、次のような続きがあります。

学習すること、成長することにどん欲であればあるほど一番外の性格、つまり「役割性格」が進歩する。その反面、学習も成長も乏しい人は、限りなく「役割性格」が薄っぺらいものとなり、「気質」の通りの人間にとどまっている。

お分かりでしょうか。
つまりこういうことです。

人間の「気質」や「環境性格」を後から変えるのは非常に難しい。

そこを無理やり捻じ曲げるのが怪しい新興宗教や悪徳セミナーが行なう洗脳やマインドコントール。だからこそ、私たちが成長するためには「役割性格」(行動パターン)に着目するのが手っ取り早い。

私は日ごろから次のように心がけています。

 ・自分の「観念(役割性格)」を知りなさい
 ・相手の「観念(役割性格)」を知りなさい
 ・そして相手に合わせた最適な行動パターンを選択して最大の価値を得なさい

これと同じことは、一般の利用者とSEが会話する場面が多いシステム開発の世界にも当てはまります。特に中国ソフトウェア開発の現場ではかなり有効な交渉術として機能しています。開発の現場でよく見かける過ちの一つに、日中の担当者が互いの観念を主張し過ぎることが挙げられます。

次の例をご覧ください。


日本人プロジェクトマネージャが中国人SEに進捗報告を促す場面。

日本人:「調子はいかがですか」
中国人:「順調です」

日本人の本音 = 本当はかなり遅れているのでは・・・
中国人の本音 = 最後には帳尻をあわせるので問題あるはずがない

この例では、双方で合意した基準がないままプロジェクトを進めてしまったようです。

つまり違う土俵で会話をしています。
運悪く別のトラブルが併発すると、最後には感情レベルの言い争いに陥ってしまうこともあります。

喧嘩の状態になると、中国人SEが頑固になる傾向が強く何を聞いても

 「大丈夫です/順調です/問題ない」

としか応えない者もいるくらい。

そうなる前に手を打つのが優秀なプロジェクトマネージャーの務めですが、実際はなかなかそうもいきません。

で、上記ケースの結論はどうなるのかというと、日中両社の役員が登場して雲の上の話し合いで決着をつけました。

しかしながら、すべてのケースで事態が丸く収まるはずがありません。

上記以外にも似たような事例は後を絶ちません。

そして多くの場合には、日中双方の担当者に消えがたい傷跡だけが残ります。

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中国現地法人設立のメリット・デメリット

【質問】

中国で現地法人を設立して自前で開発を行う場合と、パートナー企業に委託する場合の、メリットとデメリットをまとめています。参考になるポイントがあれば、教えてください。
(開発管理部マネージャ Kさん)


【回答】 ★中国法人設立のポイント!

中国法人設立の目的、および今後の展開によって考慮すべき点が変りますが、基本的には次の要点を抑えてください。

 ×多額の資本金が必要、しかも国外持ち出しは困難
 ×営業許可証(営業執照)に活動内容が縛られる
 ×複雑で面倒な人材管理を強いられる

 ○中国市場への進出の足がかり
 ○圧倒的な人件費の安さ

もう少し具体的に説明するとこうなります。

・資本金

独資の場合は、資本金100万元必要。
裏ワザはたくさんあるものの、基本的には資本金で中国に出資した資本は、会社を解散するなどの方法以外は国外に持ち出せません。

・営業範囲

設立時にしっかりした営業範囲を決めなければいけません。開発がモジュールだけなのか輸出できるソフトウェアか、などの違いが重要になってきます。

・人材管理

最近では日本籍の常駐者のVISA申請は比較的簡単。
中国市場がターゲットの場合は、優秀な中国人パートナーが必要。
契約があったとしても、結局は社員を拘束することができないので、技術的流出は避けられません。

(情報提供者:上海在住 土下様、Kさま、他数名)

情報を提供していただいた上海在住の農業ビジネス先駆者 土下様、Kさま、他数名の方が、本当にありがとうございます。

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中国アウトソーシングの可能性

中国オフショア開発に限らず、アウトソーシング全般について考えてみましょう。中国へのアウトソーシングビジネスは、大きく二つの種類に大別されます。

1. エンジニア派遣モデル
2. サービスプロバイダーモデル

日本の大手ベンダーが好むのはエンジニア派遣モデルですが、これからは、むしろ欧米やインドで主流となっているサービスプロバイダーモデルが有力になると予測しています。

サービスプロバイダーとは、受託開発にとどまらず保守運用を手がけたり、さらに付加価値のある業務サービスを提供する業種のことを指します。

 フルアウトソーシングサービス
 総務/人事サービス
 テクニカルサービス
 調査会社
 ロジスティクスサービス
 コールセンターサービス
 ・・・

しかしながら、現在の中国ソフトウェア産業における人材分布を鑑みると、日本で一般的に行われる平均的な人材を必要とするシステムインテグレーション業務を確立するには、もう少し時間がかかりそうです。

なぜなら、中国の研究者やプログラマが一丸となって、一つのプロジェクト目標を達成するには、まだまだ個人の協調性が成熟しているとは言い難いものがあるからです。

その一方で、サービスプロバイダーの分野は、ごく少数の精鋭の人材と普通の保守運用系のエンジニアの組み合わせでも十分に成り立ちますので、中国市場の動向に歩調を合わせながら伸びていくのではないでしょうか。

一足先に中国進出を果たした製造業では、国際的なサプライチェーンマネジメントシステムを軸にして、経済レベルの上位国でルール作りを行い、下位国では生産を行いつつマーケットを形成していくことが成長モデルとなっています。

将来的には、わが国のソフトウェア業界でも、単純な受託案件を中国オフショアで開発するだけではなく、自社製品を中国市場で販売したり、他製品と連携させるなど様々な可能性を探りながら展開していくべきでしょう。

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ブリッジSEとは

オフショア開発では、大規模なプロジェクトを通じて、大幅なコストダウンを狙います。ところが、単に費用削減を狙ったオフショア開発では、期待するほどの効果があがらなかったり、社員の定着率の悪さから事業継続が困難になるという事態が発生します。

そこで、日本と中国の文化や言葉の壁を越える鍵として、ブリッジSEと呼ばれる職種が脚光を浴びるようになっています。

IT Square「5分でわかるIT|オフショア開発とブリッジSE」によると、

ブリッジSEとは、ITのスキルだけでなく言語や文化など両国間(例えば中国と日本)のビジネス習慣を熟知し、間に立って円滑に業務を進められるよう指示できるSEのことです。 SEの能力に加え、プロジェクトマネージャーとしての能力、そして言語力が求められていることが分かります。さらに、開発パートナーの指導、教育、管理が行える人材であれば、納期の厳守に加え、高品質なシステム開発が期待できます。


ブリッジSEには様々な定義がありますが、本ブログでは次の通りとします。

ブリッジSEとは、中国ソフトウェア開発プロジェクトで日本企業と中国企業との間に入ってコミュニケーションの橋渡しをする【中国人】責任者のこと。

日本のお客様と中国ベンダーとの間で、見積りやチームのスケジュール、および相互のフィードバックによる結果など全体を管理する【中国人】SE(システムエンジニア)と定義することもできます。


最近では、主に日中間を結ぶブリッジSEの人材派遣サイトが登場しているようです。

本ブログの定義に従うと、ブリッジSEはプロジェクトの勘所を押さえる重要な役割が期待されているため、人材派遣サイトから簡単に調達できるような職業ではありません。

一般的なブリッジSEへの期待事項

・ 日本語と中国語が両方できること
・ プロジェクト管理や設計業務

中には、「主に中国とのオフショア開発における契約内容の把握、スケジュール管理、要員管理、リスク管理によりプロジェクトを推進」という要求もあるようです。

正直なところ、このような高度な職務を遂行する中国人SEにはほとんどお目にかかったことがありません。本当に優秀な中国人は、すでに副総経理クラス(会社役員)の重責を担っています。

つまり、会社経営に忙しくて、特定プロジェクトを担当するブリッジSEとして採用するのは非常に困難であるといえます。

これまでは、「ブリッジSE」という職種だけが先行して実態が伴わない状況が続いていましたが、今後はプロジェクト成功に貢献する本物の橋渡し人材が求められます。



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中国オフショア開発とは

Offshoredefinition

システムインテグレータが、システム開発・運用管理などを海外の事業者や海外子会社に委託すること。

 オフショア開発の主な受注先としてはインドや中国の企業が挙げられるが、近年ではロシア、カナダ等にもオフショア開発を請け負う企業が設立されている。また、日本や欧米の企業が現地に進出して本国の案件を受託する場合もある。

 オフショア開発の最大のメリットは安価な労働力を大量に得られることである。日本での高い人件費を嫌ってオフショア開発を推進する企業が増えているが、現地採用のスタッフに十分な技術が身についていなかったり、主に言葉や習慣の違いから来るコミュニケーション不足などが原因で発生する納期や品質に関するトラブルも増えている。

IT用語辞典 http://e-words.jp/
オフショア開発【offshore development】より

簡単にいうと、オフショア開発とは海外へ委託することです。

近年では、沖縄県の有利なIT産業振興施策を活用したITアウトソーシングも盛んになってきていますので、こちらのブログでは、東京と沖縄間で実施されるソフトウェア分散開発のことも、オフショア開発と呼びます。

前出したように、オフショア開発で世界各国にて実施されていますが、わが国の状況はどうでしょうか。

時代によってIT分野にもブームがありますが、現在では、やはりインドと中国がオフショア開発の人気を二分しています。

こちらのブログでは、特に中国オフショア開発を専門としています。

オフショア開発の発祥は、米国を中心とする欧米諸国。元々は、経費削減などのコストメリットに関係者の注目が集まっていましたが、近年では抜本的な業務改革(BPR/BPO)を伴う新しいビジネス形態として期待されています。

米調査会社のMETA Groupによると、オフショア開発は今後2年間20%~25%増で成長するとされています。

日本でも同様な成長傾向を示しており、特に中国の大連が発展著しい地域として着目されています。

同社はこのような傾向に対し、4つのリスク要因を挙げてリスク分析の重要性を訴えています。

(1)セキュリティ侵害や知的財産保護などの危険性
(2)開発費が予算を超えることが多く、15%程度増となることもある
(3)文化の違い
(4)現地ベンダーへのIT部門間の知識移転で初年度は生産性が下がる

残念ながら、中国オフショア開発でもこれらのリスクは大いに存在します。

大規模なプロジェクトを通じて、大幅なコストダウンを図るような場合は、オフショア開発は大きなメリットがあります。

しかし、これは中国に限ったことではありませんが、単に費用削減を狙ったオフショア開発では、期待するほどの効果があがらなかったり、社員の定着率の悪さから事業継続が困難になるという事態が発生します。

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発注者責任を重くするか?敷居の高いオブジェクト指向開発

「オブジェクト指向によるシステム開発が主流になったら、技術者にとってずいぶん敷居が高くなってきた」
(株)テクノロジックアート 代表 長瀬嘉秀氏

この記事では、ソフトウェア技術者の技量について考えます。

既にお気づきかもしれませんが、最近はプログラマ個人の技量の格差が以前よりも大きくなってきました。上級者とそうでない者とでは、同じ仕事をやっても5-10倍くらい生産性に差が生じます。

実際、100名規模で開発チームでも終わらなかったプロジェクトが10名のスペシャルチームに組替えたら無事に収束したという事例すらあります。

近年、分散開発(オフショア開発)の世界でもオブジェクト指向による開発が主流になっており、Java言語はその中でも代表的なプログラミング言語だといえます。

ところが、Java言語の規則/仕様は、開発に携わるソフトウェアエンジニアがデザインパターンという、かなりハイレベルな知識を有していることが前提となっています。

※デザインパターンとは、過去の優れた設計思想やテクニックを体系化したものですが、ここではその詳細について触れません。

つまり、オブジェクト指向で優れたプログラミングをするには、初期の段階から効果的なトレーニングが欠かせません。

システム開発の生産性は、まさに上流工程の作業品質に左右されます。海外の企業にシステム開発の製造部分を委託する分散開発(オフショア開発)が盛んになってきていますが、大切なのは、やはり日本側の上流工程に携わる技術者のスキルアップです。

以前なら、身のまわりに一人くらいは優秀なSEが近くにいました。ところが、最近では優秀な者は優秀な者同士一箇所に固まって存在する傾向が強くなりました。

あなたの周りではどのような状況になっているでしょうか。

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オフショア開発の推進派、慎重派、反対派、それぞれの言い分

「オフショア開発への対応は開発部門だけに任せるべき課題ではない」

「従来のウォーターフォール型の開発標準を改めて、UMLを採用したスパイラル型開発モデルを検討せよ」

「品質保証が約束されない限り、プロジェクトリーダーとしては中国企業への発注は認められない」

「オフショア開発を特別に恐れることはない。本来の正しいシステム開発を実践すれば相手がどこでもきっと上手くいくはずだ」

あなたの認識は、どれに一番近いでしょうか?

もし、自分と同じ意見があったとしたら、あなたはオフショア開発の関係者として正常な感覚の持ち主です。このブログから様々な価値を得ることでしょう。

一方、どの発言も自分とは少し違うようだと感じた方もご安心ください。

中国オフショア開発の世界では、まだまだ情報が足りません。他人が発した言葉を鵜呑みにしなくても結構です。

実際、これらの発言にはそれぞれ落とし穴があります。

私たちは、日ごろから開発ベンダーの立場として、現場のSE・マネージャーの方々とお会いしています。したがって、みなさんの気持ちや思いは充分に理解しています。

世間の大多数の方々は、オフショア開発への対応は自分たちの死活問題に関わる非常に重要な課題として認識している一方で、実際にはどのように発注すれば良いのか、どの分野から切り出し発注すればよいのかアイデアがないのは現状ではないでしょうか。

これから中国オフショア開発を推し進める関係者は、このように現場が持つ中国アウトソーシングへの不安・不満を正しく理解して、その都度慎重にケアすることがとても大切になってきます。

経済の停滞による厳しい現実に思わず目を背けたくなる社長さん、わがままなユーザーをなだめながらシステム開発の要件をまとめる情報担当者さん、そしてシステム開発の現場でいつも泥沼劇に巻き込まれるSE・PLのあなた、今こそチャンスです。

私たちと一緒に中国オフショア開発の新しいあり方を模索していこうではありませんか!!

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中国オフショア開発・・・分かっちゃいるけどご勘弁

私はソフトウェア開発業務を中国本土で実施すること推進する、オフショア開発の専門家として、これまで、いくつかの会社で立上げ推進プロジェクトに参画しました。

オフショア開発とは、主に海外でソフトウェア開発を行うことを指します。

近年では、沖縄県の有利な情報環境を活用したITアウトソーシングも盛んになってきています。

こちらのブログでは、東京と沖縄県との間で実施されるソフトウェアの分散開発のことも、オフショア開発と呼びます。

今後、中国へのオフショア開発の話題を中心に、関係者の皆さんが日ごろから感じている本音やと誤解を解き明かします。

北京・大連・上海といった、日本に馴染みの深い都市の話題が中心になります。時には、中国ソフトウェア業界の裏側の部分に触れることもあります。

中国ネタだからといって、特に慎重に構える必要はありません。
私が体験した情報を、分かりやすく、かつ、活き活きと紹介しますので、みなさまは楽しく読み進めてください。

みなさまからのご質問メール・情報提供は大歓迎です。

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