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オフショア開発はリスキーか

オフショア開発へのスタンスを問う

はじめまして、○○○と申します。
ところでこのブログやメールマガジン、中国オフショア開発を進行中の会社が時限爆弾だの地雷だのを踏まない為に読む分には本当にいろいろと勉強になります。かなり「生の声」だし、読んでいて楽しい。しかし、もしこれから中国に投げてみようかな、と思う人には「リスキーだ」という印象で終わりますよね。
幸地さんは基本的には「リスクはあるもののオフショア開発推進」ですか?それともありのままの現状を伝えればOKでしょうか。(女性/管理部)

■リスクは取るもの

鋭い突っ込みメール、ありがとうございます。
当然ですが、私は「リスクはあるもののオフショア開発推進」の立場を取っています。メルマガを書くときには、いつもできるだけ「生の声」やリスキーな部分を取り上げていくつもりです。過去にこのメルマガが原因で中国オフショア開発が敬遠されてしまうと心配したことは一度もありません。

その理由は単純です。企業がソフトウェア開発の中国シフトを検討する際、意思決定のプロセスに現場リーダーの声はほとんど反映されません。必ずトップダウンで決まるからです。
「来期からうちの社でも中国オフショア開発を始めることになったから。そのつもりで準備してくれたまえ」

このようなリクエストにこたえるために本ブログを開設しました。現在まさに案件を抱えて苦労している案件リーダーやマネージャをはじめ、真剣に中国シフトを検討されている経営者、情報担当役員を対象に実践的で楽しくドキドキするような情報提供を心掛けています。


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会社ぐるみのプロラム不正コピー

セキュリティーが心配で前に進みません


当社でも中国での開発を提案していますが、セキュリティーなどの問題があるためなかなか実現できません。(男性/技術部)

■なかなか成功しないのは長期的視野に欠けるから


●「セキュリティーが心配」、ごもっともな意見だ。

情報セキュリティのトラブルは、既に深刻な社会問題と化している。
オフショア開発では、これがきちんとクリアしない限り、スタート
ラインにすら立てない。

●セキュリティーに関して、私が実際に聞いたことのある事例を列挙する。

・会社ぐるみのプロラム不正コピー
・ずさんな管理による顧客データ漏洩
・ウィルス、停電などによる情報漏洩と破壊


会社ぐるみのプロラム不正コピー
本誌読者には、こんなことをいう方が多い。

日本版パッケージを中国に導入するための中国語版にすることを考えています。(男性/コンサルタント)

通常、中国語版に移植されたパーケージソフトの版権は、日本側が保有する。先日開催された中国オフショア開発実践セミナーの参加者から、以下のような信じられない話を聞いた。

≪日本製生産管理ソフトウェア(仮)を中国語化するプロジェクト≫

中国側の作業が滞ってしまったため、プロジェクト後期に日本から技術者が訪中して、中国人と席を並べて最終確認にあたっていた。

そんなある日、委託先の中国ベンダ社長(総経理)が西洋人らしき一人の人物を連れてきた。

西洋「▽▽▽▽▽」(英語)
中国「○○○○○○」(中国語)

通訳を介して会話するこの二人。ここにいる日本人は、きっと会話は分からないだろう・・・、西洋人を案内する中国ベンダ社長はそう思っていたに違いない。

ところが、訪中していた日本人技術者の中に一人だけ中国語が分かる人間がいた。

西洋「わが社に納めるソフト開発の進捗はどうかね」
中国「はい、先週までの遅れを取り戻すため、このように技術者を増員して対応しています」

   ・・・・・・

     ?
     ?
     ?

増員?
遅れを取り戻すために対応にあたる者とは・・・?

そう、もちろん、日本から応援に駆けつけた日本人技術者のことを指す。スケジュールが遅れたため、急遽日本から派遣された彼らのことだ。

その後どうなったのか、詳しい話は聞かなかったが、犯罪に近いその行為を防ぐことはできなかったらしい。結局、日本が版権を持つこの生産管理システムは、中国ベンダによって視察に訪れた西洋人の会社に販売されたとさ。

              ※

分かりにくかっただろうか。もう少し詳しく説明しよう。

<前提条件>
・ソフトウェアの版権を持つのは日本企業B
・B社が中国ベンダCに中国語移植作業を発注
・完成したソフトはB社の中国工場で利用する

1.B社の日本語版ソフトを中国語版に移植する作業をC社に委託
中国語化されたソフトは、中国に展開するB社の自社工場で利用するつもり。欧米企業に売るつもりはないし、当然、欧米企業の存在など知るよしもない。

2.ところが、C社はB社の許可を得ないまま<英語版>も作った
本来は、中国語版への移植作業の依頼しか受けていないが、欧米企業に売り込むために、勝手に英語への移植をはじめた。したがって、中国ベンダC社の作業スケジュールが遅延した。

3.プロジェクト最中に、この不正行為が発覚した
B社から中国現地に派遣された日本人が、偶然に不正取引の会話を聞いた。

4.契約事項が曖昧であったため、B社の主張が認められなかった
本来なら、中国ベンダC社の犯罪行為として、厳しい罰則が予想されるが、契約書に不備があり、解決できなかった。まさに国際訴訟の難しさが身にしみて分かった。


■ 成功の勘所 ■

契約書の権利に関する条文を明確化することが最大の防御策。これは、プロジェクト管理以前の問題である。
現場レベルで対処するには、セキュリティガイドライン制定し、指導すること、ならびに品質・進捗などのプロジェクト管理ガイドラインの制定と指導徹底が有効な対策である。

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長期的視野の欠如

使い捨てではなく、長期的な関係を目指そう!


幸地様。お世話になります。オフショア開発研究会でご一緒した○○です。非常に参考になる話を聞かせて頂き感謝しています。

第2回勉強会は発注者側の人と一緒でしたが、第3回目勉強会では、後ろのほうに陣取り中国人とグループを組むことができました。これで日中双方の考え方の一端に触れることができました。私なりの結論はこうです。

「使い捨ての短期的な関係ではなく育てていく長期的な関係をめざそう!」(勉強会参加者/男性)

■なかなか成功しないのは長期的視野に欠けるから

●オフショア開発コンサルティングでは、最初に社内ヒアリングを行って、その結果を元にクライアント企業への処方箋を出すことが多い。

●オフショア開発で成功する会社と失敗する会社とでは、そもそもアンケート回答の内容から違ってくるのが普通だ。オフショア開発がなかなか軌道に乗らない会社に共通するのが、アンケート自由回答欄のバリエーションの乏しさだ。

●時には、「オフショア開発と国内開発は特に違いはない」といった内容があるが、表面だけを理解した気になってしまうのが一番怖い。とはいえ、オフショア開発の担当者が本音で語ってくれるのは、まだまだ救いの余地がある。

●本当に危ない会社のアンケート集計結果を分析すると、

・5段階評価のような選択肢しか回答がない
・目標が定量化されていない
・個人の価値観とプロジェクトの原理原則が混同している

などの特徴があり、専門家から見れば一目瞭然だ。

●クライアントの声を聞く際には、関係者一人ひとりの長期的視野に着目する。元気のある会社では、プロジェクト単位の視点にとどまらず、社員が「スケールメリット」や「ベンダ教育の重要性」といったセリフを当たり前のように口にする。

●中国シフトと国内IT業界の空洞化は、切っても切り離せない関係にある。オフショアリング時代を生き残るには、関係者一人ひとりが長期的視野の重要性を心から理解しなければいけない。

■ 成功の勘所 ■

あなたの会社では、オフショア開発の長期的なビジョンをどのように説明しているだろうか。ブームに乗っただけのオフショア開発だと、最後に使い捨てされるのはあなた自身かもしれない。

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比較によるプロジェクト評価

インドにはじまり、今は中国に挑戦中です

海外ソフト会社との取引は10年前のインドからはじまり、最近は中国へと拡大しています。私自身も色々と苦労を経験しましたが、確実な解決策が見えたり隠れたりの連続です。情報交換を通してより精度を向上できればと期待しています。(男性)

■比較によるプロジェクト評価

●インドと中国のオフショア開発の結果を比較して、システム規模当たりのコスト効果性を評価してみよう。プロジェクト単体の開発生産性を算出する会社は多いが、他プロジェクトとの比較は意外に少ない。

●海外オフショア開発では、国内の開発体制では不足する部分を補う。これまで自社に蓄積してきた開発生産性のデータを中国ベンダにまで広げてみよう。

例えば、ある中国オフショア開発では、次のようなデータが報告された。

[○○業務システム開発/Java, Webアプリケーション]

・中国ベンダの平均単価:30万円/人月
・対象システムのファンクションポイント:1,000FP
・工数実績:50人月
・開発規模:100万ステップ

       ▼
       ▼

【当該プロジェクトの開発生産性】
★20FP/人月
★1,000ステップ/人月
・・・ → 国内標準値と比較する

       ▼
       ▼

【当該プロジェクトのコスト効率】
★\15,000/FP
★\300,000/キロステップ
・・・ → 国内標準値と比較する

              ※

●ファンクションポイント、工数(人月)、ソースコードステップと、開発生産性の指標はいくつかある。しかし、それらの定量データを収集し、分析して、社内標準化するのは誰だろうか。

●マネジメントの定型化が叫ばれているが、すべてのベースとなるのが過去プロジェクトの積み重ねであるということはいうまでもない。プロジェクトマネージャが上流から下流まで全てを押さえることが重要だが、一人で社内中の全プロジェクトに目を光らすのは、きわめて困難だ。

●中国オフショア開発では、ブリッジSEと称する技術者を投入するケースが多い。ところが、ブリッジSEの活躍範囲は当該プロジェクトに限定される。つまり、これまでのオフショア開発は属人的、ないしは、場当たり的なスタイルであるといえよう。

●「同じ土俵」で国内開発と海外オフショア開発の生産性を比較する。さらに、インドと中国を比較して、地域特性や得意分野を活かした戦略的な海外パートナー推進。これこそが「過去の蓄積」を踏まえた賢い試みだ。

その主役を担うのが、オフショア開発コーディネータだ。


■ 成功の勘所 ■

あなたは、一人のプロジェクトマネージャにプロジェクト目標達成(QCD)と定量データ蓄積の任務を押し付けていないだろうか?

この2つは似て非なるモノである。ましてや、ブリッジSEの職務領域ではない。

社内人材が不足しているのならば、社外からの情報を得るルートを意図的につくり、会社全体の仕組みとしてオフショア開発の精度向上に取り組もう。

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