会社ぐるみのプロラム不正コピー
セキュリティーが心配で前に進みません
当社でも中国での開発を提案していますが、セキュリティーなどの問題があるためなかなか実現できません。(男性/技術部)
■なかなか成功しないのは長期的視野に欠けるから
●「セキュリティーが心配」、ごもっともな意見だ。
情報セキュリティのトラブルは、既に深刻な社会問題と化している。
オフショア開発では、これがきちんとクリアしない限り、スタート
ラインにすら立てない。
●セキュリティーに関して、私が実際に聞いたことのある事例を列挙する。
・会社ぐるみのプロラム不正コピー
・ずさんな管理による顧客データ漏洩
・ウィルス、停電などによる情報漏洩と破壊
会社ぐるみのプロラム不正コピー
本誌読者には、こんなことをいう方が多い。
日本版パッケージを中国に導入するための中国語版にすることを考えています。(男性/コンサルタント)
通常、中国語版に移植されたパーケージソフトの版権は、日本側が保有する。先日開催された中国オフショア開発実践セミナーの参加者から、以下のような信じられない話を聞いた。
≪日本製生産管理ソフトウェア(仮)を中国語化するプロジェクト≫
中国側の作業が滞ってしまったため、プロジェクト後期に日本から技術者が訪中して、中国人と席を並べて最終確認にあたっていた。
そんなある日、委託先の中国ベンダ社長(総経理)が西洋人らしき一人の人物を連れてきた。
西洋「▽▽▽▽▽」(英語)
中国「○○○○○○」(中国語)
通訳を介して会話するこの二人。ここにいる日本人は、きっと会話は分からないだろう・・・、西洋人を案内する中国ベンダ社長はそう思っていたに違いない。
ところが、訪中していた日本人技術者の中に一人だけ中国語が分かる人間がいた。
西洋「わが社に納めるソフト開発の進捗はどうかね」
中国「はい、先週までの遅れを取り戻すため、このように技術者を増員して対応しています」
・・・・・・
?
?
?
増員?
遅れを取り戻すために対応にあたる者とは・・・?
そう、もちろん、日本から応援に駆けつけた日本人技術者のことを指す。スケジュールが遅れたため、急遽日本から派遣された彼らのことだ。
その後どうなったのか、詳しい話は聞かなかったが、犯罪に近いその行為を防ぐことはできなかったらしい。結局、日本が版権を持つこの生産管理システムは、中国ベンダによって視察に訪れた西洋人の会社に販売されたとさ。
※
分かりにくかっただろうか。もう少し詳しく説明しよう。
<前提条件>
・ソフトウェアの版権を持つのは日本企業B
・B社が中国ベンダCに中国語移植作業を発注
・完成したソフトはB社の中国工場で利用する
1.B社の日本語版ソフトを中国語版に移植する作業をC社に委託
中国語化されたソフトは、中国に展開するB社の自社工場で利用するつもり。欧米企業に売るつもりはないし、当然、欧米企業の存在など知るよしもない。
2.ところが、C社はB社の許可を得ないまま<英語版>も作った
本来は、中国語版への移植作業の依頼しか受けていないが、欧米企業に売り込むために、勝手に英語への移植をはじめた。したがって、中国ベンダC社の作業スケジュールが遅延した。
3.プロジェクト最中に、この不正行為が発覚した
B社から中国現地に派遣された日本人が、偶然に不正取引の会話を聞いた。
4.契約事項が曖昧であったため、B社の主張が認められなかった
本来なら、中国ベンダC社の犯罪行為として、厳しい罰則が予想されるが、契約書に不備があり、解決できなかった。まさに国際訴訟の難しさが身にしみて分かった。
■ 成功の勘所 ■
契約書の権利に関する条文を明確化することが最大の防御策。これは、プロジェクト管理以前の問題である。
現場レベルで対処するには、セキュリティガイドライン制定し、指導すること、ならびに品質・進捗などのプロジェクト管理ガイドラインの制定と指導徹底が有効な対策である。
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