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欧米流の人事制度も機能していない

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10年選手はほとんど存在しない!

中国には12億人以上(外務省調べ、2002年現在)の人間がいるとは言っても、まともな企業で10年以上の勤務経験を積んだ人材はごくごく一握りしかいない。
特に日系企業の場合、「仕事は先輩の背中を見て学ぶもの」という感覚が強い。ところがこうした中国の外資で先駆者として働いてきた人々には「見るべき背中」がどこにもなかった。

言葉も文化も違う外国人駐在員に教わりながら、見よう見まねでなんとかやってきたのである。そう考えれば、中国にマネジメントができる人材が少ないのはごく当たり前の話だと分かるだろう。
日経ビジネス2004/12/21 田中信彦の「上海時報」

■新卒採用にチャレンジ!

マネージャがいないのであれば、自社で育てるしかない。今月、事実上の公的機関である上海日本商工クラブが、日系企業の採用活動の支援をはじめた。

先日、上海にある日系企業の現地責任者から聞いた話によると、1年半前に採用した中国人のうち、今残っているのはわずか3分の1に過ぎない。それでも、次は上海日本商工クラブを通じて、大学新卒者の採用をはじめるとのこと。

上海日本商工クラブが絡むことで、日本企業同士で無益な人材の奪い合いを避けることが出来る。しかしながら、欧米企業に対しては一切抑止力を持たないのが苦しい台所事情だ。

記事によると、欧米系の企業ですら、人材を自前で育成する方針に傾きつつあるようだ。実は、人材の流動を前提にした欧米流の人事制度も中国ではうまく機能していないところが多い。

孔子の直系子孫で、日中の文化・経済の発展に尽力してきた孔健氏は、日系企業に対して次のように助言する。

中国に進出を図る日本企業の主要な関心事は、ハイテク技術と転職対策である。転職対策については明確だ。待遇評価の基準をより明確にし、成果を上げた人間には厚く、ダメな人間には薄くしたメリハリのある給与システムをつくり、日本人幹部を少なくし、中国人幹部を積極的に登用すればよいのである。 参考図書:中国は即儲かる!-日本・中国共存繁栄論/孔健 (著)

これは、中国で成功する人材戦略の定説であったが、ここにきて、長期的視野で人材育成に取り組む日系企業のやり方が徐々に見直されつつある。

よく思い出してみると、中国人が経営する徹底した成果主義を敷くベンダを知っているが、そこは技術者が全く定着しない。しかも、中国人が退社する際は様々なトラブルを置き土産として残していく。

中国人の転職対策は、日本や欧米の企業だけではなく、中国ベンダ自身も頭を悩ませているのが現状だ。人材確保をめぐる戦いは、2005年も続きそうである。


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Comments

別の中国人の考え方ワシが分からないけど、未来ない所で一生懸命で働くのはバガしかなかったと思う

Posted by: ryu | May 22, 2006 03:17 PM

これは被雇用者の問題だけじゃなくて、雇用者の問題があるわけ。特に日系会社に務めてる中国人はほとんど昇進できないので、そんな会社に何でずっと働いて行くの?

Posted by: David | November 06, 2006 10:20 AM

これはオフショア固有の問題ではなく、日本国内の日本企業でも全く同じ問題を抱えています。異なるのは日本人には英語という言葉の壁があるために、滅多なことでは海外に出ていかないことくらいでしょう。
他の日本人の考え方は私には分からないけれど、未来がない所で一生懸命で働くのは愚か者だけですよ。若い人の「働いたら負けだと思う」なんて言葉を初めて聞いたときはその真意が理解できなかったけれど、今見るとその判断もあながち間違っていませんね。働けば働くほど損をする日本企業においては、真面目に働く人が負けなのです。日本企業の年功序列賃金はかつては労働者の定着を促す仕組みだったのでしょう。しかし今では実力の伴わない高齢者が若者を食い物にする制度になり下がってしまっています。
これはそういう組織にした経営者の責任だと経営者自身が自覚しない限り、永久に変わらないでしょう。

Posted by: とおりすがりの日本人技術者 | December 12, 2006 11:40 PM

臆病もん日本人以外は世界共通です。
こんな記事書くひとが自覚を持っていないね。貴方が特別だよ!日本人を世界の常識にするな!

Posted by: スカイ | August 21, 2010 05:30 PM

日本人SEと比べたら、中国人SEには短期的な視点を持っている人が多いでしょう。

そのため、作業スコープに曖昧があったら、中国人SEは短期的な個人利益最大化のために争う傾向があります。それと比べたら、日本人SEは長期的な個人利益最大化のために顧客満足度向上を優先します。

何でこの違いが出るかと言うと、考えられる原因の一つは、現在の中国社会環境変化が激しくて長期的な視点を求めにくいと思います。

Posted by: そう | January 04, 2011 11:11 PM

どれだけデータを持ってその結論にたどり着いたんでしょうね。
日本人より、中国人のほうがすぐやめてしまう人が多いのを正論として、じゃあ、なぜそうなるでしょう?中国にある日系企業は欧米企業より待遇面も将来性も劣っているのが事実だし、日本流のプレッシャーを耐えきれなくてやめてしまう人が多いかもしれませんね。日本の場合、中国人と日本人との比べが不適切だと思う、なぜかというと、ここは日本だから、外国人としての中国人には、特別の事情があるのかもしれません。

Posted by: 中国人BSE | February 13, 2011 10:02 PM

中国とのビジネスパートナーの関係を持っている以上、中国人の短所だけを注目しても何の意味もありません。残念ながら、このブログの記事を見ていくうちに中国とのビジネス関係を持っている人が書いたものなのに、ネットウヨの反中サイドと化してしまったのです。

Posted by: 中国人BSE | February 13, 2011 10:12 PM

日本に働いている中国人です。
日本に就職したときに、雇用契約無期限のこと一番印象的です。それと、企業(大手)を入って後に、全然仕事できない人を解雇しにくいことも吃驚しました!中国の80年代の国営企業みたいです。。。
言いたいのは、逆に一生に一つ会社に勤める考え方は時代に合わないではないかと思います。流動ないと、活気がないと思います。

Posted by: YB | May 13, 2013 03:20 PM

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