« November 2005 | Main | January 2006 »

フィードバック

■フィードバックの大原則

●日中間で相互のフィードバックを「橋渡し」するブリッジSEは、本当にたいへんな仕事だと思う。

フィードバックとは、バグや品質問題への指摘、連絡事項の受領確認、指示の確認、仕様変更の確認や反論など、多岐にわたるコミュニケーションである。

●良好な人間関係を保つために、フィードバックを与える際は、「I(私)メッセージ」を使うとよいとされる。「私は」で始まる文章を用いて相手にフィードバックを伝えるテクニックだ。

×「この部分は、以前説明した仕様と違います。バグです」

◎「(私は)この部分は以前説明した仕様と違うような気がします。
  念のため、もう一度仕様書を確認して連絡をください」

●中国オフショア開発では、「言った、言わない」のトラブルが絶えることはない。(日本でも同様だが、中国ではもっとスゴイ)

なので、一方的に相手の非を指摘するよりも、上記のようなコミュニケーションのテクニックを用いてやわらかく伝える方が効果的な場面も少なくない。(と思う)

●ただし、相手によっては、直接的な表現を好むこともあるので、状況に応じてうまく使い分けるべきだろう。(と私は考える)一般に、日本人は間接的な表現を好むとされる。

↑(と思う)や(と私は考える)と書くと主張が弱まりますね。
 本誌でも「I(私)メッセージ」を意図的に使い分けています。


■成功の勘所

フィードバックする際は、「その場で」「スペシフィックに」が大原則である。中国オフショア開発では、次のような問題点によく出くわす。

[日本側]

・忘れたころに「そういえばあの件は・・」とフィードバックする

 ×「その場で」の原則に反する
 ◎成果物はすぐに確認すること
 ◎中国からの質問や要望に対しては、期日を決めて確実に返信すること

[中国側]

・日本語能力が不足しているため、会話全体があやふや

 ×「スペシフィックに」の原則に反する
 ◎1つ文章で1つのことだけ伝えること
 ◎数字や定量指標を用いて会話すること

| | Comments (0) | TrackBack (0)

上海オフショア開発交流会報告

上海オフショアベンダーの実態と直面する問題

単発プロジェクトの場合、日本の発注者に負担がかかり、オフショア開発そのものが敬遠されてしまう。

一方、大規模案件を請けるだけの体力が上海にはない。中国で即戦力となるSEを一時的に大量に獲得することは難しく、高級人材に依存すると、今度は業務拡大が難しい。
(上海オフショア開発交流会 ゲスト講師 山中氏)

■上海オフショア開発交流会の報告

●昨夜は上海で今年最後のオフショア開発交流会(サロン)が開催された。突然の大寒波にも関わらず、いつもにもまして部屋一杯に人が集まるほどの盛況ぶり。

BPOへの関心の高さをうかがえた。


●BPO案件であっても、やはりオフショア開発と同様にブリッジSE相当の高級人材は必要である。

ところが、山中氏によると、日本との窓口役に優秀な日本語人材が1人いれば、残りの作業者は日本語を全く理解していなくても作業可能であるという。

理想的には、末端の作業者だって日本語を理解できた方が効率的である。ところが、実務経験の長い山中氏はこう断言する。

「日本語検定3級程度の人材に最終成果物の品質チェックは無理!」
「どうせ無理なら最初からあきらめて日本側でチェックすればいい」

●講演後の2次会でも話題になったが、やはり日本語検定3級レベルだと、漢字の読み方が分からないらしい。

例えば、HTMLコーディングの作業で「力(ちから)」という文字を入力する場面を想定する。日本語能力の低い担当者は、ローマ字入力ができないため、手書き入力に頼らざるを得ない。

すると、誤って「カ(カタカナのか)」や「刀(かたな)」と入力してしまう恐れがあるのだ。

中国人が作った日本語のポスターやパンフレット・名刺をじっくり見ると、こうした間違いのオンパレードである。

「カ」「ヵ」「力」「刀」←全部違う文字です
「-」「ー」「一」「-」 ←全部違う文字です


■成功の勘所

上海の既存のオフショアベンダーの多くは中小規模である。規模拡大を望めないなら、別の突破口を見出さなくてはいけない。そこで講演者の会社が目に付けたのがBPOである。

既存のオフショアベンダーがBPOも並行してを手がけることにより、業務の幅が広がり、人材獲得&育成の面でも著しい相乗効果が生まれると期待が持てる。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

できあがった物を見てから修正する

中国企業の顧客に関する意識

会社経営者にとっては「お客様」。

だが、一人一人の技術者にとっては、顔の見えない「ユーザー」。指示されれば当然やるが、頼まれもしないことをやろうという発想はない。
(第4回上海オフショア開発交流会 ゲスト講師 山中氏)

■できあがった物を見てから修正する・・・日本の設計は甘い!

●中国側でオフショア開発に携わる多くの技術者は、自分が作ったシステムが、どんな顔のユーザーがどうやって利用するのか、全く知らない。

プロジェクトチームの大半を占める経験の浅い若手技術者の場合、運用者、利用者の立場に立って考える、ということを期待できない。

●一方、オフショア開発を発注する日本企業にとって、顧客やサービスとは以下のようなイメージを持っている。

 「中国に仕事を出してあげている」
 「お客様は神様」
 「ソフトウェア産業はサービス業」

●「とにかくモノを見ないと分からない」といって、曖昧な仕様のままモノづくりに入るのが日本流(日常業務では私もそうしている)。

だから、出来上がったものをモノを見て、気に入らない箇所を修正する。良くも悪くも、こうしたやり方がまかり通るのが日本流である。

 ・修正が入るのは当たり前、やむを得ない
 ・顧客が直したいと望んでいるのだから、直すべき
 ・修正要望に臨機応変に対応するのもソフト会社の力量の一つ


■成功の勘所

上海オフショア開発交流会 ゲスト講師 山中氏によると、「できあがった物を見てから修正する」というやり方に対して、多くの中国人技術者は否定的な見解を持つという。

・本来設計にかけるべき時間と労力を省いている
・想像力や検討する力が欠けている
・能力の低い技術者が設計している

ちなみに、「顧客が望めば、何でも修正してあげたい」というのも中国企業の本音である。ただし、追加料金を払ってくれれば。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

生産性向上が先、満足度向上は後

会社を辞める兆候はある


日本人同士でも中国人同士でも本当は『辞める兆候』は必ずわかります。それが中国人になると『気付くことができない』もしくは、『情報に気付かない』ことを認識できず、『すぐに辞める』『長続きしない』と思われている方が多いと思います。(製造業/中国駐在暦9年の日本人)

■生産性向上が先、満足度向上は後

●今日も、読者から寄せられた中国人の離職に関するご意見を2つ紹介する。

-----Original Message-----

いつも興味深く拝見しております。
○○と申します。

中国暦9年目の駐在員です。会社は○○○○○製造工場で、ほとんどが対日本売り上げです。

オフショアにかぎらず中国と日本間での『仕事』を続ける上で、業種が異なっても共通する部分は多々あり、毎回『わかるわかる』という感じです(笑)。

今回の第353号のテーマですが、私の経験が多いか?少ないか?もあるかもしれませんが、最終的には『日本人と中国人』に差はないと思います。辞める際の『行動や時間』的なものが違うだけだと思います。

日本人同士でも中国人同士でも本当は『辞める兆候』は必ずわかります。

それが中国人になると『気付くことができない』もしくは、『情報に気付かない』ことを認識できず、『すぐに辞める』『長続きしない』と思われている方が多いと思います。

・・・

私が最近一番気をつけているのは、『人が変わっても"文化"は残る人事』です。実務に問題がでることは仕方がないとしても文化だけは残るように。

毎回、痛い?ツボ?のような所をついていただける内容で、自分の仕事の『復習』のように拝見させて頂いております。これから益々のご活躍を期待しております。
以上
(製造業/中国駐在暦9年の日本人)

↑大ベテランからお褒めの言葉、ありがとうございます。とても光栄です。製造業にお勤めの読者が急増中!

 東京でキャバクラを経営する社長がこう言っていました。

 「キャバクラの最大の経営資源は女の子(人)に他ならない。だが、女の子が辞めても客に浮気されない店のブランド(文化)が最も重要な成功要因だ」

 妙なたとえ話ですが、マネジメントの本質をついています(幸地)



-----Original Message-----

中国人は言いたいことをすぐに言うとで思われがちですが、実際、言動に出さない社員も沢山います。言わなくなった社員もいます。

社員の意見が、どんなに変な意見でも、その意見が採用されない理由をきちんと説明し、無視しない。必要であれば、きちんと議論する。ということが必要なのかもしれません。でも、わたしも実践できていないです。

それと、もう一の案は、何か問題が起こったとしてもそれを上回る魅力を持っていればいいのかとも思います。

例えば、各社員が、定期的にはっきりした目標をもっていて、それにこだわる姿勢があれば、問題を克服できるかもしれない。
(中国現地法人の日本人マネージャー)

↑「知っているけど自分では実践できない・・・」。日常ではよくありますね。例えば、「全社員は経営者的な考えかたを持たなければいけない」。正論なのですが、これがまた難しい・・(幸地)


■成功の勘所

あなたやあなたの部下/取引先のモチベーションをあげる方法を思いつく限り紙に書いてみよう。

これまで、あなたは「仕事の満足感が生産性の向上につながる」と考えていたかもしれない。

だが実際には、生産性が満足につながる可能性が大きい。つまり、良い仕事をすれば、気分が良くなり、誉められる回数が増え、昇進や昇給の可能性も高くなる。こうした報酬が要因となって、今度は仕事の満足感が高まる。

その結果、過度な人材流出に歯止めがかかる。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« November 2005 | Main | January 2006 »