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海外流出続くアニメ産業

無策が生んだ若手不足
セル画の彩色工賃は国内では1枚150~200円程度だといわれるが、中国や韓国に出せば人件費だけを見れば10~20%に抑制できる。 (日経ビジネス2006.8.28号 p12)

●今週の日経ビジネス誌より。

日本からの受注が増えるに伴い、中国や韓国では施設整備など産業支援に乗り出して技術水準を引き上げ、作品の出来栄えを左右するセル画の輪郭や、セル画の元になる絵の作成なども請け負うようになった。

・・・

海外では微妙な色合いが日本と異なることがあるため、「サザエさん」だけは国内で手作りを続けている。だが、制作元も協力会社の海外発注は黙認せざるを得ないという。

・・・

その結果、何が起きているか。(日本の)アニメ制作の現場では、細かいノウハウを身につけた若手の人材不足がますます深刻化している。

・・・

人材確保の障害となるのは、「アニメ業界は賃金が安い」という偏見にも近い既成概念だ。

・・・

残酷話ばかりが広がり、人材確保や育成などの対策は進んでいない。このままでは国を挙げて振興を図っている中国や韓国に逆転されかねない、と危機感をあらわにする。

こうした状況に対し腰を上げたのは東京都杉並区だ。・・・地方自治体で唯一の専門係である「産業振興課アニメ係」を儲けた。
(日経ビジネス2006.8.28号 p12-13)

↑政府・自治体の緊急課題は、海外での知的財産権保護であって、産業育成に関しては口を挟むべきではないと考えます。人材確保や育成は、アニメ業界が自ら解決すべき課題だと思います。(幸地)


■成功の勘所

農業や半導体とは対照的に、政府の規制や保護政策を必要としないアニメ・ゲームは世界に誇るコンテンツ産業にまで成長した。ところが、創造性豊かなアニメ業界の裏方は、危機感でいっぱいだ。
国際競争力の観点から、ハリウッドやシリコンバレーにあって日本のアニメ業界にないものは何だろうか。一度じっくり考えてみよう。

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ベトナムの「手戻り率」は5%以下

中国リスクでベトナム再浮上
日産自動車のベトナム拠点は部品をCADでデザインしたり、部品の強度をコンピュータで解析する作業を請け負っている。 (日経ビジネス2006.8.28号 p64)

●今週の日経ビジネス誌より。

~ベトナム、IT活用がジワリとブーム~

「2005年度くらいから『ベトナムをもっと使え』という声が社内で大きくなった。日本からの出張者がベトナム人社員と接して仕事を進めていく中で手ごたえを感じたようだ」
(日産テクノベトナム副社長)

ベトナム法人を作る前、日産テクノは海外拠点の候補地として、 中国やインド、アセアン各国の調査をした。知的財産権の保護に不安が残る中国などが候補から落ち、最後に残ったのがベトナムだった。

エンジニアの初任給は150~200ドルと格安で、高等教育を受けた人材が豊富であることが決め手になった。
(日経ビジネス2006.8.28号 p64)

中国の初任給と比べると、ベトナムは50-70%になります。(幸地)


■成功の勘所

先述した日産テクノベトナムの「手戻り率」は5%以下。この数値で合格点をクリアしているという。
今週の日経ビジネス誌には、オフショアリングに関する面白い記事がいくつかあったので、お手元にあればぜひご覧いただきたい。

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大学のIT教育は「実践」から「基礎研究」へ

オープンソースは使えない
ネット環境が劣悪な地域では、必要なリソースをダウンロードできないため、オープンソースは使えないことが多い。 (最先端IT教育で有名な大学にて)

●先週、最先端IT教育で有名な某大学のM学長とお会いした。中国での大学提携を進める一方、ベトナム、ネパール、バングラデッシュとの関係強化を図る。

●アジア諸国のIT教育事情を熟知するM学長は、最近中国の大学にある変化が見られると教えてくれた。

「中国の大学では、意外なほど実践的なIT教育が行われていない。以前と比べて基礎研究の比重が高まったような気がする」


■成功の勘所

中国通の知人によると、当局の指導により大学におけるIT教育は、徐々に基礎研究分野にシフトしつつあるという。これが本当なら、新卒学生の採用・研修プロセスに何らかの影響が生じるだろう。

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ノートPC機内持ち込み禁止?

電池供給のソニーにダメージも デルPCのリコール
米パソコン最大手のデルが、ノート型パソコンに内蔵されたソニー製の充電池約410万台をリコール(回収・無償交換)する。情報家電では史上最大規模のリコールとみられ、回復基調にあるソニーの業績に暗い影を落とす可能性も出てきた。 (asahi.com 2006/8/15)

●ノートPCに内蔵されたリチウムイオン電池に不具合が見つかった。非常に稀な環境下ではあるが、過熱し発火する可能性があるという。この影響は予想以上に大きいかもしれない。

真っ先に思いつくのは、ノートPC機内持ち込み禁止。安全対策に加え、テロ対策という大義名分があれば、米国系航空会社を中心に一気に広がる恐れがある。


■成功の勘所

中国オフショア開発では、SARS、鳥インフルエンザ、反日デモ、テロ騒動などのリスクを抱えている。今後、海外渡航者向けリスク管理マニュアルに「ノートPC取り扱い」が追加される日がやってくるかもしれない。

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オフショア開発通信を発行しよう

社内で中国オフショア開発を2年ほど前より始めています
今年は私の案件を中国オフショア開発することになりました。 失敗しないために参考にしたいです。よろしくお願いします。 (日本人読者)

●私の周りには「○○を新しく始めました」という人が多い。

・会社としてオフショア開発に乗り出しました
・私の案件でもようやくオフショア開発を始めました
・独立してオフショア開発ベンダーを設立しました

●オフショア開発メルマガを発行する私の元には、日本人読者から以下のようなご意見が頻繁に寄せられる。

> 今までは遠い話だと思っていましたが、急に身近になりました。
> プロセス的な問題以外に、文化の違いも積極的に学びたいと
> 思っております。
> メールマガジンを参考にさせていただいております。

●読者の中には、社内で積極的に本誌を宣伝してくれる方がいる。
本誌記事を引用して、社内のオフショア情報網を整備することは、とても賢い方法だと思う。初心者のエントリーを手助けするのは、先輩として当然の務めだ。


■成功の勘所

Google検索すれば、どんな最新情報でも一発で手に入る便利な時代だが、先人の経験則や優れた知恵は容易には得られない。あなたの会社でも社内版オフショア開発通信を発行しよう。

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日本の祝日は出勤、中国の祝日も出勤

中国人プログラマーにとって大事なこと
仕事の雰囲気と企業文化だと思います。 (中国人読者)

●中国に進出した日系ベンダーの「従業員満足」について、中国人読者から届いたご意見を紹介する。


米系企業では、人材が最重要だと考えられているようです。
したがって福利厚生がとても充実しています。
取れる休暇日も多く、残業もあまり多くありません。
そして、残業代も正常なレベルです。

日系企業では、企業内部の制度や着服などが厳しいです。
会社の整体性が強調されます。
日々の仕事雰囲気は緊張です。
残業が多いにも関わらず、
残業代も正常なレベルに達することは少ない。

休暇については、もし、ある日が日本の祝祭日で中国の平日であれば、当然出勤する必要があります。

逆に、中国の祝祭日が日本の平日であれば、日本側に対応するために出勤しなくてはいけません。
大変です。
・・・
(オフショア開発クイズ回答者/中国人読者)

↑日系企業に対して批判的なご意見ですね。私たち関係者はこうした生の声を真摯に受け止めたいと思います。(幸地)


■成功の勘所

私のクライアントにも正月休み返上で働いている人がいる。1月は中国駐在、2月春節は日本本社で勤務。日本独特の商習慣ともいえるが、どちらかといえばトップの姿勢がそのまま社員に反映されることが多い。

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おはようございました

遠くからありがとう!
幸地 様 いつも大変お世話になっております。 ○○○○の□です。 マガジンを拝見しており、お世辞抜きで本当に助かります。 ありがとうございます。 (中国沿岸部から離れた地方都市に住む中国人読者)

●中国ベンダーに勤務する中国人読者から届いたネタ。


ある日、当社の会議室では、レビュー監督者の山本さん(仮名)と中国人ンバーが一緒に外部設計のレビューを行っています。

会議が終わってオフィスに戻るときに、山本さんとチームリーダーの李さん(仮名)がちょっと会話をしました。

別れ際、李さんが山本さんに感謝の気持ちをあらわすため、
「おはようございしました」
といってしまいました。

山本さんは「えー?ありがとうございましたと言うことですか?」
と苦笑い。周りもつられて大笑いでした。
(中国沿岸部から離れた地方都市に住む中国人読者)

↑なんとも微笑ましい風景ですね(幸地)


■成功の勘所

笑顔は職場の潤滑油。「信頼」と「親密」は違う概念であり、笑顔は後者を強化する最強の手段である。オフショア開発成功のために
は、両方とも必要な要素である。

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靖国参拝に興味なし

小泉首相の靖国参拝への反応
日本向けオフショア開発を担当する中国人プログラマーの本音はどうなんでしょう。特に日本語ができない人の気持ちが知りたい。 先日、大連ベンダーに勤務する日本人に聞いたところ、 「別にふーん、ってな感じですよ」 と軽く流されました。 (本誌発行人)

●中国オフショア関連ビジネスを手がける日本人読者からの情報。

上海で中国人IT技術者の本音を聞いてみたところ。

質問1:今回小泉首相が靖国参拝を行った事を知っているか?
⇒全員知っている

質問2:上記の日本の対応について、どう思うか?
⇒全員なんとも思わない

質問3:理由は?
政府間の問題であり、個人には関係ない。
それより現在は、経済的つながりのほうが大事

総括:前職の職場で反日派の人間がいるかも尋ねたが、見た事がないとの回答でした。
やはり日系の仕事をしている関係か親日派が多いようです。

(最近、会社を辞めて独立した日本人)

↑こうしたリアルタイムの情報提供、本当に助かります。(幸地)


■成功の勘所

中国オフショア開発の関係者は親日派が多い。だが、もし、あなたの周りに親日的な中国人がいたとしても、気軽に「靖国問題」について質問してはいけない。
なぜでしょうか?→回答する

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ベトナムの方が低賃金

中国とベトナムの人件費
中国とベトナムの人件費を比べたとき、ブルーカラーではベトナムの方が安いといわれます。 では、IT技術者の人件費は中国とベトナム、どちらが高い? (オフショア開発クイズ) 回答する ※優れた回答を寄せられた方には特別プレゼントが贈られます。

●オフショア開発クイズ回答者の声から。

1 弊社取引先の実態では中国の方が高いです。 低いとすぐ転職ですから。 トータルの経費でも福利厚生の要求が高い中国の方が高くつくみたいです。但し、弊社および知り合いの会社ともベトナムの評判は良いですよ。 (クイズ回答者/日本人読者A)

2 プログラマの賃金はベトナムの方が安いですが、システムエンジニア、マネージャの賃金は中国(※)と肩を並べるか少し安いかという程度です。
どちらが安いかと言われれば、回答は「ベトナム」ですが、条件付です。
※上海は除く
(クイズ回答者/日本人読者B)


↑毎度ありがとうございます。
回答者常連さんのお名前はちゃんと記憶しました!(幸地)


■成功の勘所

一般にベトナムIT企業の人件費は中国よりも安い。だが、ベトナム
IT企業が日本向けに提示する人月単価も中国より安いとは限らない。

コミュニケーション・管理・保守サポート品質など、隠れたコスト
を比較したとき、オフショアリングの真のコスト構造が見えてくる。

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中国企業は「努力型・自制型」の従業員を求める

採用活動の効率化を進める
中国人プログラマーの採用活動を劇的に効率化する方法があります。 それは、適性検査ツールを導入することです。 (東京銀座で開催された日中ビジネス交流会より)

●日本人向けの適性検査で高い評判を受けるある会社が2006年7月から中国市場に本格参入した。大連市政府関係筋から、IT人材の適性検査に関する相談を受けたのがきっかけである。

●一般に日本人には「努力型・自制型」の性格が多く、中国人には「活動型・積極型」が多い。

対照的に、中国企業の人事部は、自社の従業員に対して「努力型・自制型」を求めていることがインタビュー調査で判明した。今まで、個人の性格判断は面接官の力量に頼っていたが、ツール導入によって会社として統一基準を設けることができるようになるという。


■成功の勘所

中国に進出した日系企業の人事部が抱える問題。

・採用した新人が職場にあわない
・求人コストが高い
・よい人材を見つけるのが難しい


中国人を面接する日本人の担当者が、「中国人は自己PRは得意だが中身が伴わない」と愚痴をこぼすシーンは珍しくない。そもそも、日本人が中国人従業員を採用面接することに無理がある。

幹部社員の採用には十分に時間を割くべきだが、一般のプログラマーの採用プロセスは改善の余地がある。

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地方のオフショア営業、大苦戦

東京本社から遠く離れた地方支社より
今年度、支社のある○○でもオフショア受注を目指して営業しているのですが、既存顧客以外は成果のない現状です。 (独立系システム開発会社の地方支社/営業担当者)

●私が定期開催する自慢の中国オフショア開発実践セミナー、最近では首都圏以外から参加者が急増している。

大阪・名古屋はいうに及ばず、私の記憶にあるだけでも新潟、長野、静岡、岐阜、京都、神戸、四国、岡山、広島、福岡、沖縄と、全国から高い関心が寄せられている。受講後アンケートの声も上々だ。

●私は沖縄のアドバイザーを務めていることもあり、地方における情報通信関連産業の状況にはとても興味がある。

最近、東京に本社があるシステム開発会社の地方拠点に勤務する読者から、中国オフショアを前提とした営業活動が思ったほど伸びていないという情報をいただいた。


■成功の勘所

東京と比べて人件費の安い地方では、オフショア開発によるコスト削減の魅力は薄い。かといって、海外オフショアを無視した経営が成り立つほど今後の状況は甘くない。

これまで、東京との分散開発で実績を残してきた地方ベンダーなら、中国企業との連携もさほど難しくはないだろう。これからの地方ベンダーの課題は、親会社や大手企業に頼らない営業力の確保である。

9月15日(金)、わが第二の故郷福岡で久しぶりにオフショア開発セナーを開催する。オフショア開発を「ビジネス」として考えたときの課題と対策について考えてみたい。

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ベトナム発展報道の裏側

ベトナムの情報産業は49.6%の高成長
2005年の輸出額は14億ドルに達した。 オフショア開発は前年比55.5%増の7,000万ドルに達した。 (TBKT Vietnam紙 2006年7月6日)

●ベトナム地元紙の報道によると、ベトナムのインターネット利用状況はついに世界平均を超えた。


ベトナム・ホーチミン市情報学協会によると、インターネットの加入者数は12ヵ月(2005年5月~今年5月)で80%急増した。

今年5月時点でインターネットの加入者数は1,300万人(昨年5月時点は700万人)に上り、人口に対するインターネット利用率は世界の平均利用率15.7%を上回って16%に達した。

●2006年6月には、ベトナム中央銀行と世界銀行はベトナムIT産業の発展に役立てるため8,800万ドルを融資を受ける合意書を交わしたことが報道された。


■成功の勘所


アウトソーシング分野において、ベトナムは発展著しい「途上国」であるが、中国と真っ向勝負できる体力はない。あなたは、本日の記事が意味するところを正しく認識できただろうか。

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大手日本企業、ベトナムを強化

NECソリューションズ・ベトナム設立
2006年7月、NECソフトはハノイにNECソリューションズ・ベトナム(NECSV)を設立。資本金は100万ドル。ホーチミンにも支店を置く。  今年の売上高を170万ドル、2008年には460万ドルを予想している。 (TBKT Saigon誌 2006年7月27日)

●ベトナムブームは終わらない。NECソフトの発表によると、設立当初は40名でスタート。3年後の2008年度までに120名体制を目指す。
同社はさらにベトナムの魅力をこんな風に語っている。

ベトナムは勤勉な国民性を有するとともに有能な人材を採用しやすいことや、国策としてIT技術者を育成していることなどから、ソフトウェア開発拠点の立地先として有望視されています。

また同国では経済が急成長しており、アジア開発銀行によると昨年上半期のGDP成長率は7.6%であり、同下半期および2006年も引続きこの高い成長率を維持すると同行では予測しております。
これに伴い近年、日系企業の進出も加速しており、昨年8月時点で430社を越えております。

NECソフト|プレスルーム プレスリリース


■成功の勘所

先日、ベトナムで現地法人の立ち上げ経験を持つ日本人読者と面談した。コミュニケーションの話題を中心に盛り上がったが、最後は「意志や意図をやりとりできる日本語力の強化」がベトナムの発展に不可欠な課題だと結論づけた。

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