« 人材流動の激しい中国メンバーと信頼関係を築く法 | Main | ベトナム事情:IT音痴のコミュニケータを有効活用する工夫 »

実践ダイバーシティマネジメント

先週読んだ本では、ダイバーシティ推進を野球やゴルフのスウィングのフォーム改善にたとえてうまく説明してくれました。


~無意識的な不適切行動を無意識的な適切行動に転換させる~

コーチから自分のスウィングに問題があることを指摘されなければ、フォームを変える必要性を自覚するのは難しい。また、指摘を受け、納得したとしても、それだけで新しいフォームが身につくわけではない。

これまでに体に染みついてきたスウィングの感覚にとっては不自然な、新しいフォームを強制的に繰り返し、何百回、何千回と繰り返して、はじめて無意識に新しいスウィングができるようになるのである。

問題を自覚しなければ、意識的に行動を見直そうという思考が働かない。意図的に望ましい行動を促さなければ、体に馴染んだ習慣からなかなか抜け出せないということだ。

*『実践ダイバーシティマネジメント』英治出版(2008/7) p129-130


ダイバーシティとは、多様性を意味する流行語です。「ダイバーシティ」を「オフショア開発」を読み替えるとしっくりくるかもしれません。

「無意識的な不適切行動」とは、曖昧な作業指示、曖昧な評価基準、無意味な過剰品質の要求など日本企業が自覚していないオフショア開発を阻害する行動です。

「無意識的な適切行動」とは、プロジェクトチームに外国人がいても、あたかも東京人と大阪人が一緒に仕事をしているくらいの違いしか感じられず、何の違和感もなくオフショア開発を成功に導くことができる行動です。

遠く離れた海外発注であっても、あたかも2階と3階のフロアが違うだけで、無意識のうちに一体感を持ってオフショア開発に従事する状態です。夢のような世界ですが、これが無意識的な適切行動がとれる状態です。

ダイバーシティについては、今年3月に出版した『オフショア開発PRESS』にも書かれていますので、初心者はこちらから入ると理解が深まるでしょう。
 
『オフショア開発PRESS』公式サイト
http://press.1offshoring.com/

これまで、ダイバーシティ推進=女性の社会進出支援 と考えられることが多く、実際に上記書籍でも”女性活躍”を中心に展開されています。

ところが、この本を直々に紹介してくださった英治出版の原田社長は、この本を従来の女性活躍本と位置づけることに懸念を示します。


幸地「ダイバーシティ本というと、どうせ女性支援でしょう?」
原田「我々は、そんなつもりで出版したのではありません!」


出版社の社長が自信を持ってお勧めするので、さっそく本を持ち帰り、じっくり読み進めました。
・・・
私にとっては、実にタイムリーな内容が満載でした。(あくまでも、私にとって)この時期に出会って大正解の本です。


従来のダイバシティ推進は、ある意味において経済合理性を無視してきました。経済合理性のみを追求して、個人の尊重を無視し続けたオフショア開発推進とは対照的です。

オフショア開発の立場からすると、なぜ従来の女性活躍を主目的とするダイバシティ推進が成功しないのかが良く理解できました。一方で、世界的に研究が進んだダイバシティマネジメントの立場からすると、日本のオフショア開発現場の遅れ、未成熟さが身にしみて実感できます。

ダイバーシティ推進というと、PMBOK的なプロジェクトマネジメントとはかけ離れてしまいます。どちらかといえば組織改革、風土改革といった観点から、オフショア開発にアプローチしたい人向けの話題です。

最近、脚光を浴びる「対話」や「働く意義」「生活の質(QOL)」、そして使い古された「学習する組織」の観点からオフショア開発事業の経済合理性を追求したい人は、ぜひともダイバーシティマネジメントを勉強してください。


[PR]今月のオフショア開発実践セミナー(6時間集中コース)でも、ITプロジェクト環境におけるダイバーシティ推進に触れます。
http://www.ai-coach.com/seminar/academy_pr.html


[PR]今月のオフショア開発勉強会は、名著ザ・ゴールでお馴染みのITプロジェクト環境のボトルネックを制御する技法を学習!
http://www.ai-coach.com/seminar/workshop.html

|

« 人材流動の激しい中国メンバーと信頼関係を築く法 | Main | ベトナム事情:IT音痴のコミュニケータを有効活用する工夫 »

Comments

HBR 2005年3月号の特集記事『IBMの復活に貢献した知られざる挑戦:多様性の戦略』には、IBMでは女性に限らず、マイノリティ、外国人、そしてGLBT(ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、性同一性障害)に関するタスクフォースを設けていると書かれていますね。
従来の『違いを無くす(均質化)』から、『違いを増やす(多様化)』方向へシフトしたという言葉も好きだな。
どうも日本の企業って、多様性を逆(女性登用によって均質化)に考えているような気が僕はします。

Posted by: morimoto | July 09, 2008 at 07:32 AM

morimotoさん
右肩上がりの経済成長を続ける社会では、「多様性」の活用なんて、いまいち金になりませんから。

natural selectionに従うと、強い者が生き残るのではなく、適応できる者だけが生き残ります。組織に突然変異(ビジネス用語だとinnovation)を起すためにも、無意識のうちに適度な多様性を加えることは、長期的な生き残り戦略として必須かもしれません。

Posted by: 幸地 司 | December 31, 2008 at 03:56 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/43730/41782518

Listed below are links to weblogs that reference 実践ダイバーシティマネジメント:

« 人材流動の激しい中国メンバーと信頼関係を築く法 | Main | ベトナム事情:IT音痴のコミュニケータを有効活用する工夫 »