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完成品以外は出さない技術者魂を持ったベトナム人【祝!通算900号】

中国とまったく対照的なベトナムオフショア事情
ベトナムからの回答はよく整理されていましたし、後での訂正も最小限で済みました。その点、中国オフショア開発の際は、個別の担当者がばらばらに対応するので回答の品質もまちまちでした。どちらも一長一短だと思います。ベトナムはもう少し技術者に日本語を教えてほしいですし、中国は開発リーダーの統率力を高めてほしいと思いました。
(東京/独立系小規模ソフトウェアベンダの日本人社長)

ベトナム初挑戦を終えたばかりの日本人ブリッジSEに話を聞きました。

聞き手:幸地司
話し手:独立系小規模ソフトウェアベンダの日本人社長


――初回納品は、思いのほか順調ですね

そうはいっても、プロジェクトも終盤に差しかかってくると何かと忙しくなってきます。日本側としては早く修正確認を実施したいのに、ベトナムから肝心の成果物がなかなか到着しないという事態が発生しました。メールで催促しても反応がなく、電話してもうんともすんともいいません。2度目の催促の電話をかけたときに、ようやく彼らの状況が理解できました。

――どういうことでしょうか?

私がお付き合いしてきた中国の開発会社は、良い意味でも悪い意味でも私の要求に素直でした。成果物を送ってほしいと伝えれば、ちょっとした問題があってもすぐに最新リソースを送ってくれました。ところが彼らは違いました。

――日本式の商習慣に慣れた中国企業は、見事な適応力を発揮します。一方、ベトナムでは?

ベトナム拠点の開発リーダーは、あくまでも自分たちの開発手順に従っているのです。従って、「彼らの開発手順に従い、きちんとテストを終えたものでなければ成果物として提出しない」というポリシーでした。つまり、“根っからの技術者”として回答をしているのです。その後に届いた成果物に大きな問題はありませんでした。


@IT情報マネジメント - 世界のオフショア事情(3)(2008/8/4)
http://www.atmarkit.co.jp/im/cpm/serial/indiaoffshore/03/01.html


■問いかけ

話し手曰く:

「中国開発で経験したリーダは優秀な技術者でしたが、優秀なマネージャとは言い難いと感じていました。今回のベトナム初挑戦では、リーダが個々の質問を理解し、整理してから送ってきます。従って、1通のメールに複数の質問が記載されますし、内容を理解しているので同様の質問を繰り返すことがなかったものと感じています」


ここでいつもの問いかけです。

オフショア開発プロジェクトを成功させるために、あなたは対照的な2つのQ&A対応方針のどちらを好みますか? あえて二者択一で答えなさい。

◆すぐにQ&A対応するが手戻りも多い
◆よく練られているがQ&A対応は遅い

○結果を見る
○コメントボード


締切:2008年08月15日18時00分
協力:クリックアンケート


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Comments

こ・これは、、、
どちらも嫌ですね(^_^;)

Posted by: かつ | August 07, 2008 at 12:48 PM

これは担当者の個性によるのではないでしょうか。それともcase by case だと思います。
私の相手はすべて中国人ですが、幸地さんに言われたベトナム人みたいの担当者もいました。中国人の中少ないというイメージですか、それともベトナム人のほうが多いですか。
「きちんとテストを終えたものでなければ成果物として提出しない」のは仕様が正しく、理解も間違いない前提がないと、納品物がごみになる可能性があります。逆に効率が悪くなります。私の周りに品物ができてから、仕様を確認、整理する日本のお客さんは少なくないです。この場合はバグに多少があっても納品してほしいです。

Posted by: レイコ | August 08, 2008 at 03:15 PM

かつさん、こんにちは幸地司です。
確かに・・・、どちらかと言えば、どちらも嫌ですね。
今回は二者択一なので、どちらがよりリスク管理しやすいかという観点で。もしくは、主観的な好き/嫌いで回答するとよいでしょう。

Posted by: 幸地司 | August 09, 2008 at 12:05 PM

QAの回答期限内、よく練られたほうがいい。

Posted by: 田美 | August 09, 2008 at 12:06 PM

田美さん、こんにちは幸地司です。

> QAの回答期限内、よく練られたほうがいい。

おっしゃるとおりです。ただし、気をつけないと「パーキンソンの法則」や「学生の締め切り効果」によって、生産性が著しく低下する恐れがあります。要注意ですね。第27回オフショア開発勉強会で扱ったCCPM(Critical Chain Project Management)でも、同じようなテーマを議論しました。

設問の元となった事例では、ベトナム人リーダのいわゆる職人魂的な気質が災いして、回答期限を過ぎても不完全な状態なので回答しない/納品しない、という事態が発生してしまいました。

あなたは、この善意の“職人魂”を認めますか。それとも、監視コントロールの観点から上記の“職人魂”の弊害を認めますか。

Posted by: 幸地司 | August 09, 2008 at 12:07 PM

レイコさん、こんにちは幸地司です。

> 私の周りに品物ができてから、仕様を確認、整理する
> 日本のお客さんは少なくないです。
> この場合はバグに多少があっても納品してほしいです。

自分の置かれた状況を正しく認識して、適切な前提条件を設置した上で持論を説明してくれました。完璧な回答です。ありがとうございます。

Posted by: 幸地司 | August 09, 2008 at 12:09 PM

>すぐに対応するが手戻りも多い
です。
どちらでも日本側がサポートするところは必ず出てくると思います。
対応が早ければ日本側もその都度すぐに対応できますが、
対応が遅くなって一度に対応しなくなると
日本側担当者の負担が大きくなります。
また、たとえ悪いものでも日本側で早期発見して指摘することができれば、
ある程度は動くものが上がってきます。

Posted by: KouK | August 09, 2008 at 12:10 PM

KouKさん、こんにちは幸地司です。

> たとえ悪いものでも日本側で早期発見して指摘することができれば、
> ある程度は動くものが上がってきます。

ご意見ありがとうございます。

賛否両論あるかもしれませんが、オフショア開発ではこれまで以上に“IT手配師”が活躍する余地があるのではないかと考えます。ここでいう手配師とは、右から左に仕事を流して中間搾取するだけの極悪人ではなく、プロジェクト成功に必要なあらゆる表情報・裏情報・経験・知恵・進捗・要員の心理状況を右から左へ、左から右へを流して、両陣営に便益をもたらす存在です。

優れたIT手配師が的確に状況判断して、「手戻りが予想されてもすぐに納品」ないし「納期を過ぎても完璧さを追求する」をコントロールする、ってのが理想。ですが、現実には後者の選択は難しいような気がします。そのため、人心掌握に優れたIT手配師が、面子を重んじる職人魂を持ったプログラマ達をなだめながら、「手戻りが予想されてもすぐに納品させる」ことを優先する。

技術力を持たず日本語だけが得意な自称ブリッジSEが跋扈するこのご時世。あるいは逆に、国内開発の経験が豊富で、中国語/英語も勉強したのに、なぜか現地と“コミュニケーション”がとれない日本人ベテランマネージャ。彼らに共通する課題こそ“IT手配師”的なスキルや心構えの習得ではないでしょうか。

技術力でもなくマネジメント能力でもない、IT手配師力の全容を明かした解説書などあれば、ぜひ参考にしたいです。

Posted by: 幸地司 | August 12, 2008 at 10:02 PM

●すぐに対応するが手戻りも多い、であるべき。
理由: 中国生産が業界の70%を占めるという異業種人として発言します。
世間の消費者に渡る当業界の商品の7割が中国製という中国生産が当たり前の世界でも、中国での生産は、幾ら心配してもしすぎることがないと言うのが常識です。中国生産も慣れた頃に、必ず落とし穴が待っています。この業界では、それこそ、極端に言えば毎日でも進捗状況の報告が工場から欲しい、毎日何らかの工場からのレポートが無ければ心配だ、2-3日音沙汰なければ、現地に飛んで様子を確かめねばならないと思うくらいに、逐次生産進捗状況を把握して、問題あれば即その場で対応いう、生産管理に近い仕事が実は営業の本質です。
そうした中では、相手側にはいろいろ問題があっても、すぐに対応してくれるのが一番。相手の誤解で手戻りあっても、必ず連絡してくれれば、こちら側で色々な対策も練れ、タイミングを見ての現地出張も可能。
ところが、逆の選択肢の対応の遅さは、例えば納期ギリギリになっての質問で、結局納期遅れするケース等も考えられる。相手の対応の遅さが、日本側のREACTIONやそれに対する代替措置を打てないなど、致命的な問題に発展する可能性も高い。
リスクは頻度とその影響度の掛け算であり、その回避も、工場側との連絡の頻度で回避の機会が増えてきます。

以上、ちょっと言葉足らずかなぁ・・・


Posted by: 芋 たこ 北京 | August 12, 2008 at 10:03 PM

質問の影響範囲を調査してもらい、シェアすること。
それと共に、回答待ちによって、やみくもに手待ち状態に陥らないように制御してもらうようにした上で、きちんと練って回答するのがよいと思います。
●よく練られているが対応は遅い

Posted by: 盆休み | August 15, 2008 at 12:42 PM

オフショア開発PRESS巻末記事を書いてくださった“芋たこ北京”さん、ご無沙汰しております。久々の書き込みをくださり、ありがとうございます。

オフショア開発プロジェクトでは、他業種では考えられないほど「計測」されないプロセス、品質、生産性などがあちこちに転がっています。まめな接触(直接的な対話、文書によるほうれんそうなど)は、複雑な作業状況を“見える化”する有効な方法です。マネジメントでは「計測できればコントロールできる」との格言がありますとおり、またリスク管理の観点からも「打てばすぐに響く」ようなQ&A対応は成功に不可欠な要素です。まだまだ改善の余地はありそうですね。

また面白いネタをお待ちしています。

Posted by: 幸地司 | August 15, 2008 at 12:43 PM

盆休みさん、こんにちは幸地司です。

> 質問の影響範囲を調査してもらい、シェアすること。

これは嬉しい習慣です。ただし、質問への回答前に必ず「シェア」すると規則化すると、オフショア側・日本側双方の窓口の負担が増すような気がします。Q&A支援ツールを活用してうまく運用させたいところです。


> それと共に、回答待ちによって、やみくもに手待ち状態に陥らないように制御してもらうようにした上で、きちんと練って回答するのがよいと思います。

話は脱線しますが、「(日本からの)回答待ちによって、やみくもに(中国側が)手待ち状態に陥らないように制御してもらう」とは、具体的にどのような操作をすればよいでしょうか。

・回答待ちのリスクを軽減する
→回答期限を可能な限り短くする、・・・

・手待ち状態を減らす
→見切り発車させる、仕事を掛け持ちさせる、暇な人は有給休暇取得を奨励、・・・

Posted by: 幸地司 | August 15, 2008 at 12:44 PM

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