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【ゴミゼロ工場】硬直化した職人集団を3Sで見事に蘇らせた逸話

3Sとは、整理・整頓・清掃のこと。

整理の極意を一言で現すと「不必要なモノを捨てる」こと。
整頓の極意を一言で現すと「検索可能な状態にする」こと。
清掃の極意を一言で現すと「検索可能な状態を維持する」こと。

上記に「清潔」と「躾」を加えると、いわゆる5Sになります。

大企業では一人当りの床面積も広く人数も多いため5Sでもいいかもしれません。でも、うちみたいな中小企業では3Sでも十分に効果が得られますと『儲けとツキを呼ぶ「ゴミゼロ化」工場の秘密』の著者は語ります。

社長の思いつきで始めた(?)3Sの導入には、社内から猛反発を受けました。だって、掃除なんかしたって短期的な効果など見えないからです。

きっかけは、バブル崩壊後の赤字決算への転落でした。先代から引き継いだ2代目が藁にもすがるようにセミナーや勉強会に出まくったあげく、たどり着いたのが3S。始まりは、ぞうきん一枚で始めた僅か10分間の床磨きでした。

その後、社内の抵抗勢力にあいながらも2代目社長の3S挑戦は続きます。3S活動の成果が実り、黒字回復するまでに何と5年以上の月日を要しました。

『儲けとツキを呼ぶ「ゴミゼロ化」工場の秘密』には、同業者を巻き込みながら3S導入で外部コンサルタントを使い倒す優れた戦略や、中途半端に成果が出た組織でありがちな「中だるみ」を排除するための実践的な技法が満載です。

著者自ら陣頭指揮をふるい、試行錯誤を積み重ねてこんにちまで成長してきたので、説得力は抜群の一冊です。

万が一、この本の半分が提灯記事だとしても、残り半分は真実でしょう。よくぞ、5年間も3S活動を継続させたものです。実にあっぱれ!!

『儲けとツキを呼ぶ「ゴミゼロ化」工場の秘密』に学ぶ、3SやISOなど持続的な経営品質の改善活動を成功させた企業に共通する特色。

1)仕組み化と監視コントロールのための見える化への執念
2)従業員の気持ちやモチベーションへの配慮

ここで、1)が必要条件なら、2)は十分条件です。

本の著者は、5年ぶりの黒字回復を「徹底3Sによるゴミゼロ化の副産物に過ぎない」と言い切ります。3Sやトイレ掃除を極めると、最後は「道(どう)」に行き着くのが日本人経営者の真骨頂。


ここで勘のよい方ならお気づきかもしれませんが、「3S」を「オフショア開発」に置き換えても、上記文脈はほとんどそのまま通用します。

3Sの始まりは「僅か10分間の床磨」でした。オフショア開発の始まりは「一人の中国人従業員を中途採用」といったところでしょう。

ただし、工場の「ゴミゼロ化」とソフトウェア開発の「バグゼロ化」は全く違います。どちらかといえば「開発プロセスの標準化」に近いような気がしますが、ドンピシャとは言い難い。

なぜなら、工場を「ゴミゼロ化」すれば品質は必ず向上しますが、ソフトウェア開発のプロセスを完璧に標準化しても、必ずしも成果物の品質が向上するとは限らないからです。

ラインマネジメントとプロジェクトマネジメントの違いこそあれ、3S導入に倣い、経営改革として「オフショア開発導入」を考える改革リーダにとって参考となる現場改善ノウハウが詰まった良書です。

個人的には、この本の第5章までは完璧。第6章以降は蛇足といった印象です。あくまでも私個人の読後感ですが。

中国出張時の機内でさらっと読んで、現場に到着したら現地の最高責任者に「面白かったよ」さりげなく手渡しするような場面を妄想してみました。そんなことしたら、煙たがられるかしら?


『儲けとツキを呼ぶ「ゴミゼロ化」工場の秘密』、古芝保治(著)、日本実業出版社 (2008/3)

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