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ないちゃー向け沖縄IT津梁パーク関係者必読書

先週の上海出張では、読書用の本を珍しく2冊しか持っていきませんでした。2冊といっても、長編小説の上下巻ですので実質は1冊。上下巻あわせて853ページ。

移動時間が長い海外出張とはいえ、さすがに今回の旅では上巻しか読めませんでした。9/17上海行きの機内では、持参した拙著「オフショア開発に失敗する方法」を熟読してしまい、時間が足りなくなったのも原因の一つですが。

それにしても、自分が書いた文章は、何度読み返しても面白い。こんなナルシストな自分を思う存分発揮した上海出張でした。

今月、東京都内で「オフショア開発に失敗する方法」をわざとらしく持ち歩いている男性を見かけたら、気軽に声をかけてください。きっと私です。


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長編小説の話に戻ります。

この本の筆者は「この人が書いた本なら無条件に全部読む」系のお気に入りの方。数は多くないですが、こうした作家さんが数名います。ビジネス系にも数名います。

この本、先月発売されたばかりの新作ですが、近所の大型書店に立ち寄ったら、大御所達を抑えて一番目立つ特等席に並んでいました。

今どき、日本でこんな分厚い本が本当に売れるのか、心から疑問に思いました。しかも内容はそれなりにマニアックなのに・・・。いやー、ったく不思議です。

何がマニアックかというと、小説の舞台は19世紀の琉球王国。当時の沖縄は、大航海時代の繁栄が終わり、中国(清)と薩摩の二重支配の中で巧みに生き残る小国として存在します。

この馴染みの薄い時代背景からして、すでに特殊領域です。沖縄の歴史や文化・芸能・方言・人間模様の知識が足りないと、物語を彩る単語一つとっても理解するまでに時間がかかります。沖縄人の私にとっては、なんともいえない痛快な歴史小説です。

この小説で描かれる琉球王国は、形の上では独立国家を保ちながらも清を盟主国に抱きつつ、薩摩の実行支配を受けます。無理にたとえるなら、現代のイスラエル(大国に挟まれる小国)、あるいは、返還前の香港(一国二制度)のような状態です。

この本の帯には、過剰とも思える宣伝文句が書かれていますが、個人的には大満足でした。それにしても、沖縄を知らない普通の人が読んでも、そこまで感動するものでしょうか? 私には、日本人がこの本を絶賛する感覚はちと理解できません。

とはいいつつも、当小説は最高の歴史小説であると同時に、第一級の娯楽小説であることに疑う余地はありません。


私は、沖縄生まれ沖縄育ちの生活者として、当然のように沖縄への郷土愛を持ちます。

加えて、人生の約半分を本土(あるいは内地と沖縄人は呼ぶ)で暮らしてきた私は、日本人の視点から沖縄を冷静に見つめる態度を身につけています。

さらに、中国オフショア開発関係者として、日本を俯瞰的に眺めて分析する習慣をも身につけています。

これこそ、大国に挟まれた地政学上、極めて重要な弱小国の国家運営に欠かせないバランス感覚です。こうした沖縄人に脈々と受け継がれるこうしたバランス感覚こそが、私がオフショア開発分野で活躍する重要な資質を育んだ秘訣なのだと、壮大な琉球絵巻を彷彿させる歴史小説を読んで改めて認識させられました。

ときどき、沖縄では「琉球独立」を唱える急進派が勢力を増します。今どきの沖縄県民は誰も本気で実行に移す気はないでしょう。ですが、心の深い部分で共感する者は少なくありません。

私だって、琉球王朝や封建制度の復活こそ望みませんが、国や沖縄県が威信をかけて建設するIT系工業団地に、みんなの期待を込めて沖縄IT津梁パークと名付けた気持ちは十分に理解できます。

津梁(しんりょう)とは、「架け橋」の意味です。

これから、ブリッジSEのことを「津梁SE」あるいは「津梁工程師」と呼ぼうかしら笑。余談でした。


池上永一(2008)「テンペスト 上 若夏の巻」角川書店


池上永一(2008)「テンペスト 下 花風の巻」角川書店

他人への推薦図書ではないので、あえて長編小説の中身には触れませんでした。ただし、これから沖縄IT津梁パークに携わりたいと願う(下心を持つ)人は、この小説を読んで沖縄の歴史的背景を勉強するといいでしょう。

もし、あなたが小説テンペストを読むなら、歴史の正確さではなく、沖縄の心や歴史の大きなうねりを感じていただきたいです。ヘーゲルの弁証法やソクラテスの対話法を念頭に置きながら読み進めると、ジェットコースターのように進む物語の娯楽性が一層深まります。

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