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プロコン(promoter complex)

最近は研究の幅を広げるために、オフショア開発とは関係のない情報を漁っています。キーワードは、地政学・経済学・社会学。

これらの分野には、自称専門家がうようよいて、まさに群雄割拠といった状態。どれが信頼に足るソースなのか、いまだ判断できません。

しかも、中には難しい用語をいっぱい並べることで、混乱に拍車をかける有識者が大勢います。ホントまいっちんぐ。

その一方で、骨太な論評をあからさまに敬遠したり、昔の偉人たちの書物を読みこなせない自分に戸惑っています。差し迫った危機はありませんが、何となく不安を感じる今日この頃。

というわけで、さっそくこれらの問題を自己分析したところ、以下の三つの問題が浮かび上がりました。

まず語彙力不足。

私は、太平洋戦争はおろか日米安保闘争すら知らない世代ですので、よほど意識しないとイデオロギー云々に関する単語や概念と接する機会がありません。ですから、地政学や社会学で頻出する政治っぽい熟語やカタカナを目にしても、すんなり腹に落ちません。

次に近代史への認識不足。

私は軍事オタクでもないし、沖縄独特の歴史観で育ってきた背景から、大人になるまで日本の近代史を深く考える経験が足りなかったような気がします。ですから、地政学や社会学の単語を理解できたとしても、頭の中に背景や文脈を鮮明に描けません。

三つ目が「考える」ことを軽視する問題。

元来、私は自分の持ち味として、スピード重視・プロフェッショナル指向を自覚しています。一歩間違えれば、「お勉強して満足」という雑学・資格オタクになりかねませんが、幸いにも執筆・講演・コンサルティンぐといった膨大なアウトプット活動によってバランスを保っています。

その代りに、ときおり私には知識偏重の癖が見受けられます。

「守破離」あるいは「古典や歴史に学べ」といえば聞こえはいいですが、私の場合は危険信号。過去の成功パターンを鵜呑みにしすぎて「思考停止」に陥らないよう厳しい自己監視が求められます。

さらに、もう一つ、私には「考える」ことを避ける理由が思いつきます。それは、分析屋コンプレックスです。あるいは、プロモーター・コンプレックス(promoter complex)と呼んだ方がいいかもしれません。

プロコン(造語)とは、普段から左脳の働きが強く、落ち着いて理性的で分析的な能力を発揮するにも関わらず、「これからは右脳時代」と煽るビジネス書に惑わされて、「自分はもっと明るく元気にアイデア豊富で社交的であらねばならない・・・」と長所を伸ばすのではなく、弱点を補おうとする複雑な心理状態のこと。

いくつか、プロコンの症例を挙げます。

本来は左脳的・分析的な思考が得意なのに、日式カラオケで「あなたの言っていることは、難しすぎてよくわかんない」と言われると、ぱたっと思考をやめてしまう。そして、無理して、右脳的な言動に走ってしまうも、滑稽さだけが目立ってしまいます。

同様に、ベテランPMから、オフショア開発を成功させるには「心の交流が大事」「酒を飲んでバカ騒ぎすることも大事」と言われたので、無理して社交的に振る舞おうとするが、しっくりこない自分に悩んでしまいます。

さらに画一的なコーチング研修もある意味において危険かも。傾聴や承認といった言葉を学んだ人が、家に戻って家族相手にコーチングスキルを試すも、あえなく撃沈されてしまうことがよくあります。

真面目な性格が災いして、努めてコーチング的にOKな態度をとってしまい、思慮深く分析的な本来の自分の性格に罪悪感を感じてしまう・・・、このような悲劇が多数報告されています(当社調べ)。

さらに別の視点では、これまで「コツコツ・地道」をモットーに頑張ってきた左脳優勢の努力家が、急に売れっ子になって、周囲の求めるままに走り続け、メディアに登場しまくるような状況に陥った時は危なさそう。

自分の頭に汗をかいて間違った「考え」を発表するよりも、お客が喜ぶ条件を調べて、ちょっと味付けして、あたかも自分の「意見」のように発表する方がはるかに安全です。

私は決して売れっ子タレントではありませんが、意外と根深いプロコン症状を自覚し始めています。今後の私の人生において、無意識に「考える」ことを避けないよう、用心しなければいけません。

以上を読み返すと、やはりプロコンではなく、分析屋コンプレックスと呼んだ方が適切かもしれませんね。

実はわたし、恥ずかしながら「巨人コンプレックス」症状があることを、最近になってようやく自覚しました。この件は、また後日改めて。

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