「上流工程」「下流工程」は差別用語か?
上下関係
「上流工程」「下流工程」の言葉遣いには、差別的な意味合いが含まれるためオフショア開発では使わないと公言する人がいます。
(オフショア大學)
開発工程を「上・下」で分類すると、上流担当の日本人は偉い、下流担当の中国人は下っ端というメッセージを潜在意識に刷り込む可能性があります。
中国文化では、無条件に管理者が「偉い」といわれます。その為、若い中国人プログラマが上流工程にあこがれて、基本を疎かにしたまま組織の階段を駆け上がろうとする傾向があります。
世界中を震撼させた金融危機は、中国IT人材市場にも暗い影を落としました(*)。ですが、より上を目指して職場を転々とする若い中国人プログラマは後をたちません。
(*)“大連オフショア開発の虚像”、雑誌グローバルソーシング・レビュー(2008年12月号)p18、オフショア大學発行

■問いかけ
「上流工程」「下流工程」の代わりに何を使えば良いでしょうか?
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Comments
なるほど。言葉遣いは大事ですね。
インド人と中国人で少し違うところですね。
管理者が偉いというのはインド人のほうが強いと思いますが。
この前に面接した中国人技術者をしかってきました。
大手でPGとして1年。
中堅会社でTLで1年。
で、零細ソフトハウスに転職してPM。
転職の目的を聞くと、
「上の仕事がしたいから」。
Posted by: タケチャン | December 25, 2008 08:33 AM
国によって事情は異なりますが、無条件で「偉い」と思う対象はそれぞれ。
日本:お役人
米国:金持ち
英国:爵位(?)
中国やインド・ベトナムでは、プログラマは憧れの職業で出世の近道なのに、対日オフショア開発といえば「作業」をさせられるだけ。
彼らが工夫して独創性を発揮すれば、日本からは「自分勝手、わがまま」と怒られ、ドキュメントの指示通りの仕事をすると「ほうれんそうがない、行間を読まない」と批判の対象となります。かわいそうに。
Posted by: 幸地司 | December 25, 2008 08:50 AM
日本語の「上流工程」「下流工程」という言葉は、中国IT業界でいう「上游工程」「下游工程」を意味します。ゆう⇒游(川の流れを意味しています)。「上流」、「下流」という言葉は中国では一般的に何かの”差”を表現する時に使う言葉です。非IT専門家の方であれば、日本語の「上流工程」、「下流工程」については誤解を生じやすいかもしれないですが・・・、中国の「上游工程」「下游工程」という言葉は仕事の差別を示すものではないはずです。中国人でも日本人でも各国の言葉を正しく理解した上で評論をすれば如何でしょうか?(中国人IT専門読者より)
Posted by: 春 | December 25, 2008 01:58 PM
春さん、中国人IT専門読者としての貴重なコメントありがとうございます。
日本語の「上流」「下流」には、若干の差別的な意味が含まれます。普段はあまり意識しませんが、「あなたは下流工程ね」と言われると、少しガッカリします。
「川上(かわかみ)」「川下(かわしも)」という表現もあります。こちらは、産業全体を示す事が多いので、「~工程」よりも差別的な意味は弱いと思われます。
「下流工程=プログラミング」や「川下産業=組立加工」で働く従業員が誇りを持てないようだと残念です。通常、上流工程や川上産業の方が付加価値が高いと考えられるので、やむを得ないことですが。
Posted by: 幸地司 | December 25, 2008 02:15 PM
実は、労働や産業の上下関係の問題は、国によって事情が異なります。非常にデリケートな部分なので、メルマガやブログ本文では公開しませんが、私はこんな↓感覚を持っています。(コメント欄ならいいでしょ)
日本:ゼネコン型の多重階層構造による下請搾取
中国:儒教や○○○支配に基づく労働者差別、管理者への過剰な憧れ
職人魂が尊ばれる日本と、肉体労働やサービス業を嫌う中国では、「上流」「下流」に対する認識はかなり異なります。パートナー意識が強い中国と、お客様は神様を大義名分に下請をいじめる日本とでは、やはり「上流」「下流」に対する認識はかなり異なります。
根本原因が違うので、きっと対策も異なります。奥が深く、まさに異文化適応が難しい領域ですね。
Posted by: 幸地司 | December 28, 2008 11:58 AM