« インド人、打ち合わせ後「いったい、あの人の役割は何?」 | Main | 初対面のインド人技術者を安心させる自己開示の3項目 »

ザ・チョイス ~複雑さに惑わされるな!

TOC制約理論でお馴染みエリヤフ・ゴールドラット博士の最新刊を読みました。代表作「ザ・ゴール」と同じように、最新刊も会話中心のビジネス小説です。

ザ・チョイス ~複雑さに惑わされるな!(2008年8月)

イスラエル人(?)の著者は、不思議な哲学を持っています。ボトルネックを改善すれば全体が改善される・・・、このような「原因と結果の法則」は、二千年前から存在する西洋思想の根底をなす科学的、かつ論理的な態度です。

ですが、ゴールドラット博士が提唱する制約理論の根底には、仏教的な因果応報が流れているような気がします。

西洋的な因果関係である“三段論法”に対して、イスラエルの物理学者の著書ザ・チョイスでは、東洋的で“システマティック”な因果関係が描かれています。

どんなに複雑でやっかいな問題を抱えたビジネス環境でも、常識を疑い、俯瞰的な態度でシステムの構造を見つめると、そこには必ず真のソリューションを見つけ出すことができる。

それは、誰かが我慢を強いられる「妥協点」ではなく、驚くほどシンプルな解決策である、というのが本書の数少ない重要メッセージです。

いわゆる米国式交渉術の教科書に載るようなアプローチの一種ですが、この本には戦略や戦術といった用語は一切出てきません。その代わりに、後半では「人はもともと善良である」との信念が紹介されて、戸惑いは更に増します。

「TOCも、とうとう精神論に行き着いたか?」

当書は小説なので、速読せずに、頭から一通りさっと目を通しました。でも、正直に告白すると、私はこの本が意図するメッセージを正確に読み取ることはできませんでした。

一つ一つの局面(ケース)は面白いですが、全体として一貫性が感じられません。いや、決して悪口ではなく、名著「ザ・ゴール」の雰囲気を期待しながら読むと、最後まで消化不良のまま終わってしまうので要注意!という、自戒にも似た警告です。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か(2001年5月)

私の読後感は、きっと、大昔、初めてCMMやコンピテンシー(competency)などの英語概念に触れた日本人と同じモヤモヤ感だと思います。

あるいは、朝のNHK連続テレビ小説で、初めて「赤いスイートピー」を耳にした幼い子供が持つ感覚に似ているのではないでしょうか。

一言で表現すると「懐かしい・・・」。

古き良き日本にあった問題解決手法が、外国人専門家によって定式化され日本に逆輸入された感じ?!。 昔の人気アイドルが歌っていたメロディが、現代でもそのまま通用する嬉し恥ずかしい気持ち。

要するに、古くても当たり前でも、いい物は「いい」のです。

エリヤフ・ゴールドラット博士の最新刊は、そんなお母さんの懐かしい味がするビジネス小説でした。

後半の解説を含めて全287ページ。図版はほとんどありませんが、大きな文字で、いかにも今風の売れ筋を狙ったビジネス書の体裁です。ですから、あっという間に読み終えるでしょう。頭を使わなくても読み進められるし、頭をフル回転させても飽きさせる事はないと思います。

私の場合は、たまたま期待する内容と異なったため低評価な書評となってしまいましたが、1年後に読み返えすと、また違った感想を持つようになるかもしれません。

ザ・チョイス―複雑さに惑わされるな! ダイヤモンド社 (2008/11)

|

« インド人、打ち合わせ後「いったい、あの人の役割は何?」 | Main | 初対面のインド人技術者を安心させる自己開示の3項目 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« インド人、打ち合わせ後「いったい、あの人の役割は何?」 | Main | 初対面のインド人技術者を安心させる自己開示の3項目 »