オフショアリングへの驚異は過剰反応か?
米国では、大統領選挙で「オフショアリングの是非」が機論されるほど国内産業の空洞化が懸念されます。
ところが、SIM(Society for Information Management)が発表した2008年ITトレンド調査によると、海外委託される人件費はIT予算全体のわずか5.6%に過ぎません。これは、内部人件費(33.7%)と国内外注人件費(6.2%)と比べても、相対的に低い値にとどまります。
一方で、2009年にオフショアされる人件費(5.6%)は、今年の実績(3.3%)よりも大幅増であり、明らかな拡大傾向がみられます。いや、いや。SIM 2008 Survey をよくみると、2007年から2008年にかけて、オフショアIT予算は減少傾向にあったし、全体に占める割合は小さい・・・、と分析するのが正しいという見方もあります。
実は、米国内のIT技術者に求められる要件は、意外にも日本と同様に「文書作成力、コミュニケーション力、論理思考、想像性と革新性、リーダーシップ、そして協調性」など。
オフショアリングが盛んな米国市場だって、文化的相違による海外IT技術者とのコミュニケーションギャップは織り込み済み。日本と同様に、仕様作成や伝達の面倒さは現実に発生します。ところが、そんな面倒な手間をかけつつも、米国企業はオフショアリングを推進して25%の原価削減を狙います。
結局のところ、米国でITオフショアリングが推進される要因は次の2点です。
(1) 米国人ITタレント技術者の不足
(2) 株主や上級役員からIT予算削減の強い要求
あなたにとって、オフショアリングは脅威ですか? それとも世間は過剰反応だと思いますか?
出典:James Maguire (December 2008), Is IT Offshoring an Overhyped Myth?
The comments to this entry are closed.
Comments