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衝突の解決方法の違い

衝突や紛争、葛藤(conflict)をまとめて衝突と表現します。国民文化は、衝突を解決する方法に影響をもたらします。衝突を解決する有力な手段の一つが交渉です。

交渉の局面は、交渉から得られる結果(重視/軽視)と交渉相手との人間関係(重視/軽視)を組み合わせた2×2のマトリクスで表現されます。衝突の解決方法は、各局面に応じて5つの基本方針に大別されます。


(1)競争 Win-Lose方針
交渉から得られる結果が重要、かつ、交渉相手との人間関係があまり重要でない局面では、競争的かつ支配的な態度で交渉に挑む事が知られています。

一般に、開放的で低コンテクスト文化の米国人は競争的だといわれます。同様に、リスクを顧みず強い上昇志向を持つ一部の中国人IT技術者も、日本人と比べて競争的な態度を示します。


(2)協調 Win-Win方針
交渉から得られる結果が重要、かつ、交渉相手との人間関係も重要な局面では、当事者の利益を全て満たそう等する協調的な解決策が模索されます。長期パートナーシップが求められるオフショア開発では、協調的な態度が好まれます。

ところが、国民文化によって不確実性の回避傾向や利益回収の時間軸が異なるため、当事者が互いに協調的な態度で臨もうとしても行動様式の違いから交渉が決裂することも珍しくありません。


(3)適応 Lose-Win方針
交渉から得られる結果は重要ではいが、交渉相手との人間関係が重要な局面では、自分が何かを諦めて相手に価値(勝ち)を譲る解決法もしばしば起こります。

ソフトウェア業界の日本的な多重構造は、短期的には元請けの都合を優先する適応的な態度に支えられています。ところが、右肩上がりの経済成長が約束された社会情勢においては、長期的には当事者が共に利益を得る協調的な産業構造と認識されました。日本的な「お客様は神様」の精神も一見すると適応的なので、外国人の目には非合理的な態度に映ります。


(4)回避 Lose-Lose方針
交渉から得られる結果が重要ではなく、かつ、交渉相手との人間関係も重要ではない局面では、時として交渉から撤退する回避行動がとられます。物理的に離れて互いの顔が見えないオフショア開発では、時として回避や自己の抑圧が行われます。


(5)妥協 No win No lose方針
妥協方針は、上記4つの中間に位置します。双方が少しずつ何かを諦めて歩み寄り、互いに痛み分けする状況は妥協的です。通常は、比較優位の原則に基づき、自分にとっては価値が低いが他方にとっては代替的価値を持つ何かを譲ることで、妥協的な交渉の価値を高めます。

例えば、納期に追われた日本人プロジェクトマネージャは、日本側にとって絶対に譲れない品質を確保するために中国側の追加工数を負担します。日本側は予め緊急時対応予算を確保していたため、品質遵守と比べて追加工数の費用負担は相対的に低い価値しか持ちません。一方、プログラマの確保が容易な中国では、比較優位を持つ人海戦術を駆使して日本側の品質要求に応えるべく休日返上で対応にあたります。これによって、中国側はより価値の高い現金収入を得ます。


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