ものづくりにおいて多様性と擦り合わせは矛盾する
国際対応力
オフショア推進組織では、全員が国際対応力を身につけるべきでしょうか。それとも、オフショア窓口担当やオフショアPMOなど一部の適性ある専門職だけが国際化すれば十分でしょうか?![]()
(アンケート途中結果)
先日、東京飯田橋で開催された第29回オフショア開発勉強会「2009年オフショア開発の見通し(講演者:幸地司)」より。
――オフショア推進組織では全員が国際対応力を身につけるべきか?
はい。オフショア推進組織のメンバは、今すぐ全員が国際対応力を身につけるべきだと考えます。ただし、中国駐在員と上流設計者が同じ水準の国際対応トレーニングを受ける必要はありません。本人の適性や職務領域によって、国際対応への取り組みを柔軟に変化させます。
――オフショア委託先の外国人メンバと直接コミュニケーションしない日本人にとって、異文化適応訓練は余計な負荷になるのでは?
その懸念はごもっともです。日本の“ものづくり”の強みは、従業員が自律的に動くことにより高い品質と持続的改善を実現する仕組みです。組織や権限の壁を超えた擦り合わせも珍しくありません。あなたの組織が従来型の垂直統合モデルを継承する限り、オフショア開発でも「全員参加型」の擦り合わせが最も効率的なプロジェクト運営方針です。したがって、日本人全員が国際対応力強化(≒異文化適応)の訓練を受けることの費用対効果は十分にあります。
――多様性に満ちたオフショア開発なのに、大多数の日本企業は擦り合わせが必要な垂直統合モデルを堅持します。
これは重大な矛盾です。さらにセミナーで説明したように世代によって垂直統合モデルへの適応度合いは随分異なります。スキル論ではなく、キャリア論もしくは人生設計論にまで範囲を広げないと、こうした世代間格差は縮まりません。「多様性を受け入れつつ垂直統合を維持する」という矛盾の解消には時間を要しますが、一人ひとりの国際対応力は適切なトレーニングによって短期間のうちに強化されます。
■問いかけ
<問1>自分の言葉で「国際対応力」を定義しなさい。
<問2>自分の言葉で「擦り合わせ」を定義しなさい。
<問3>“ものづくり”において、多様性と擦り合わせは矛盾することを自分の言葉で証明しなさい。
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