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「餅は餅屋」のせいで対人接触型サービス品質が不満

●2009年3月31日に発表されたある調査研究より。


代表的な20種類のサービスを対象に、品質や価格について、日米のどちらが、どの程度高いと感じているかを定量的評価したところ、多くの分野で日本のサービス品質は米国よりも高いと認知されていることが分かりました。特に顕著な差が認められた分野は、以下の3つです。

【日本=高品質】
・交通手段
・物流
・コンビニ

その反面、多くの分野で日本のサービス価格は米国より高いと評価されています。日本のサービス価格が割高だと感じられる理由の一つは過剰品質です。サービス品質とサービス価格の相関分析から、米国人は日本人ほど品質差を意識せず、品質差が価格差に反映されないことが分かりました。

悲しいかな、米国人調査によると、日本よりも米国の方がサービス品質が高いにも関わらず、日本の方が割高だと認知されている分野が1つあります。

【日本=低品質&割高】
・(        )

相対価格・相対品質比を分析した結果、割高だと考えている日本の分野を3つ挙げます。

【日本=割高】
・コーヒーショップ
・レンタカー
・中高級ホテル

サービス品質の評価指標は、日米で大きく異なります。日本人は「信頼性」「正確性」を重視、米国人は「設備等の見栄えの良さ」「迅速性」など多様な評価指標を持ちます。

参考:財団法人日本生産性本部(2009)、同一サービス分野における品質水準の違いに関する日米比較調査


日本のソフトウェア開発は、2つの精神を有します。1つ目は、“モノ作り”を原点とする製造業の精神。2つ目は、“お客様は神様”の流れを汲むサービス業の精神です。

前者の精神は、「信頼性」や「正確性」の品質基準の世界最高水準を達成するために役立ちます。後者の精神は、「仕様変更の許容」や「オーダーメイド」など顧客都合を最優先する柔軟性を生み出す原動力です。

その一方で、日本のサービス分野は「対人接触」を通じた品質のアピールが弱いと前出の調査報告書は指摘します。同報告書は、日本では「餅は餅屋」の意識が強すぎるあまり、顧客とじっくり対話する前に性善説に基づく暗黙の信頼関係が築けてしまいます。どうやら、そのせいで日本のサービス分野は「対人接触」を通じた品質アピールが弱いと評価されるようです。


■問いかけ

<問1>
あなたの組織のオフショア開発では、製造業の精神とサービス業の精神とでは、どちらが重視されますか。

製造業の精神=(  %)
サービス業の精神=(  %)

<問2>
あなたの組織で「対人接触」を通じた品質アピールが求められる場面をすべて挙げなさい。

<問3>
あなたの組織で「過剰品質」だと思われる場面をすべて挙げなさい。

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