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オフショア開発プロジェクト成功の定義


定義
オフショア開発プロジェクト成功とは、以下の要素を全て満足する状態だと定義します。
Q: quality : 品質目標
C: cost: コスト目標
D: delivery : 納期目標
S: scope : スコープ
R: relationship : ステークホルダーとの関係
L: Learning : 組織と人の学習目標


顧客によって、各要素の満足度は異なります。したがって、プロジェクトの成功とは、最適な満足度の組み合わせ(ポートフォリオ)と換言できます。通常は全ての目標水準を満足させる事は出来ないので、トレードオフ(trade-off)と呼ばれる"せめぎ合い"が繰り広げられます。

例1:納期を守るために、予算を削って、scopeを小さくした
例2:初オフショアなので、QCDよりも信頼関係を優先させます

仮説(1)
オフショア開発プロジェクトの成功要因と失敗要因は異なるはずです。まるで、従業員が「転職する理由」と「会社に残る理由」は違うように。例えば「信頼関係がない」は、オフショアを失敗させる大きな要因ですが、信頼関係があるからといって、必ずしもオフショア成功するとは限りません。

仮説(2)
オフショア開発プロジェクトの成功を決定する項目には優先度があります。一般にはQCD目標が重視される一方、「R: relationship : ステークホルダーとの関係」と「L: Learning : 組織と人の学習目標」は軽視されがちです。

以上を踏まえた上で、オフショア開発の成功と失敗について議論を深めましょう。

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ウイークリーニュースダイジェスト(2009/5/29)

●毎週金曜日は、ウイークリーニュースダイジェストをお届けする。


Vietnamatmark
・2009/5/25 - @IT情報マネジメント
ベトナム人との違いを受け入れ、先入観に気付こう

オフショア先のメンバーは、教育環境、モチベーションの源泉、多様性の面で日本人と大きく異なる。また、表面に表れる違いだけではなく、根底から異なる点も認識し続けることが必要だ。日本のIT産業の規模の頭打ちと対照的に、ベトナムやそのほかのオフショア受託国では規模の成長とともに質の成長を続けるが、日本はその成長を待つのみではなく、相互の成長が必要になってくる。


・2009/5/26 - オフショア大學
オフショア開発「総論賛成、各論反対」を鎮める評価と報酬

・日本人にとって、職場は身内環境である(古き良き価値観)
・中国人にとって、職場は外部環境である(ヨソ者の集まり)
・日本人の身内環境は、広くて薄い(ムラ社会)
・中国人の身内環境は、狭いが濃い(華僑の地縁血縁)
つまり、日本人同士なら、淡々と付き合っていても「身内」になれます。例えば、グループ企業同士なら、初顔合わせでも同じムラに属しているという連帯意識を自然に持つことが出来ます。


・2009/5/26 - SearchCIO.com
Outsourcing and offshoring in a recession more flexible

オフショアリングの評価基準は、コスト削減要求から柔軟性へシフトする。契約の柔軟さ、サービスの柔軟さ。


・2009/5/26 - The Financial Times
Offshoring: why India is not to blame

見落とされがちな3つの重要な成功要因
1) Visibility
2) Risk mitigation
3) Governance and Compliance


・2009/5/26 - silicon.com
Legal Eye: How to save money with offshoring; Contract is key

契約によるコスト削減の4要素
1) The foreign exchange factor
2) Amortisation of set-up costs
3) Indexation and the vanishing labour arbitrag
4) Benckmarking


・2009/5/26 - computing.co.uk
Offshoring moves with the times

世界同時不況下にも関わらず、オフショアリング市場は多様化する。オフショア受託地域の多様化、サービスの多様化。


・2009/5/28 - MIS Australia
Asian offshoring gains ground

中東や北アフリカの台頭。ただし、世界のオフショアITの三大拠点、インド、中国、インドネシアを脅かすものではない。


・2009/5/28 - オフショア大學
新型インフルエンザ対策のマスクをさりげなく差し入れ

あなたは、3か月の予定で中国人出張者の面倒をみることになりました。出張者はあなたより年下、日本語はたどたどしい上に、今回が初来日です。あなたの指導方針は、下記のどれに近いですか?
・職場で丁寧に (31票) 45%
・休日も (19票) 28%
・職場で淡々と (12票) 17%
・自由放任 ( 6票) 9%
・その他 ( 1票) 1%

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オフショア受託企業の自己防衛策

オフショア教科書執筆チームでは、発注側の立場から「切り出し」の判定とリスク評価を議論しています。

いま私は沖縄出張中です。こちらでは、オフショア受託企業の立場から、「危ない案件」を事前に察知する方法が求められています。
Dsc02209

オフショア受託のリスクアセスメント技法です。

経営的な視点、PMの視点から、危ない兆候を出来るだけ早い工程に察知したい。もし可能なら、見積もり段階で受託企業なりのリスク評価手法を完成させたいとの希望があります。

オフショア開発の「危ない案件」とは、ほぼ間違いなく上流工程に問題の種が埋め込まれています。フィナンシャルタイムスによると、仕様バグやプロジェクトマネジメント不全だけではなく、ガバナンスやコンプライアンス違反の問題が見落とされがちとのことです。

先日、東京でお会いした岡崎邦明さん(Global Bridge, Inc)は、担当者同士の相性診断によってプロジェクト成功率を高めているとのこと。

ネタバレするとよくないので、そのユニークな発想の詳細は、もうすぐ公開される日経BPのWeb連載記事をご覧ください。公開され次第、別途案内します。

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オフショア反対は経済合理的

オフショア推進派、オフショア反対派の前提条件
あなたのオフショア反対の判断は正しいです。今後も未来永劫、会社が存続し、仕事内容も安定し、仕事量の波も小さく、従業員の質や価値観が今と同じ状態が続くと仮定すれば・・・。

あなたの会社のある事業部長(45歳・男)が、オフショア推進に猛烈反対しています。彼のオフショア反対理由を分析します。


・全体的に仕事が減っているのにオフショア活用なんて論外

長年お付き合いしてきた国内協力会社への発注量が激減する中、単に安いだけのオフショア開発を進めるわけにはいきません。一時的なオフショア発注単価の安さに目を奪われてはいけません。景気が回復すれば、オフショア勢はすぐに拡大路線に戻って弊社対応の優先度を下げるはずです。ならば、信頼できる国内協力会社は社内プロパーを長期視点から育成する方が断然ましです。

・個人にとっても組織にとってもオフショア反対は経済合理的

現状では、オフショア反対派の判断は経済合理性があります。なぜなら、オフショア推進の立場にまわると、45歳過ぎてから新たに学習すべき項目が増えるから。語学力、職務規程力、文脈ではなくコンテンツによるコミュニケーション、明確なリーダーシップなど。その学習コストは、いったい誰が支払うのでしょうか? 右肩上がりの高度成長期なら潤沢な教育予算がありますが、戦後最悪期といわれるこの時期には、研修費は真っ先にカットされます。


・オフショア適応に時間がかかり一時的な品質低下は避けられない

オフショア反対派の事業部長(45歳・男)が環境適応できないうちは、従来よりも仕事の生産性は下がります。品質は劣化し、顧客サービスも低下する恐れがあります。オフショア開発の将来性は認めますが、だからといって目の前のお客様に迷惑をかけるわけにはいきません。


・役割責任の明確化や成果主義の徹底は、時代に逆行するのでは?

マニュアルを整備したって、刻々と変わる顧客の要件仕様には対応できません。明瞭かつ明確なリーダーシップを発揮しようモノなら、部下から“パワハラ”だと訴えられ、挙げ句の果てには鬱病で仕事に穴を空けられてしまいます。


・厳しい時代だからこそ、目前の課題をコツコツとこなすべき

優秀な外国人がいたら積極的に受け入れます。でも、指示がないと動けず、かといって“ほうれんそう”も出来ないような自律性の欠ける外国人は日本の職場に適応できません。厳密な職務規程を整備する暇があれば、現場を訪問してたくさんの人と会い、時にはノミニケーションを介して職場の「空気」を見極める方が効果的です。中間管理職だって四半期毎に厳しく評価される時代ですから、オフショア拠点の育成なんて「絵に描いた餅」で遊んでいる暇はありません。日本の物づくりの強みを生かすためにも、全員の価値観をあわせて一致団結し、自律的に動けるプロフェッショナル集団を目指します。ソフトウェア開発は人が命です。


■問いかけ

<問1>
オフショア抵抗者にとっての暗黙の前提を挙げなさい。
(例:顧客との擦り合わせが多い部署ではオフショア活用は困難)

<問2>
オフショア推進者にとっても暗黙の前提を挙げなさい。
(例:近い将来、日本人プログラマは不足するはずだ)

<問3>
あなたの身近にいるオフショア推進に抵抗する人々の理由を分析しなさい。年齢別、役職別、職務別にそれぞれ検討して、共通する理由を抽出しなさい。また、共通しない理由もそれぞれ挙げなさい。

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沖縄テストセンター構想

Dsc02206

午後から沖縄テストセンター構想の講演会に出席します。どんな提言がなされるのでしょうか。人材育成部門としても興味津々です。

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75歳まで現役続行だとしたらオフショア反対しますか?

2045

日本的SIを前提とすると
日本的な「空気」の存在を前提とする環境では、明確な役割分担や職務規程がないと動けない“単純労働”のプログラマは不要です。
第31回オフショア開発勉強会2次会にて)


昨夜は、毎月恒例の第31回オフショア開発勉強会(東京場所)でした。参加総数18名。誠にありがとうございます。

毎月参加してくださるリピーターを重視しているので、勉強会ではネタの使い回しが利きません。ありきたりのオフショア技法や中国失敗談は使い切りました。なので、最近は、どうしてもマニアックな話題に偏りがちです。

昨夜は、オフショア固有の話題は少なかったような気がします。その代わり、より抽象度の高い人事マネジメントの課題を多く取り上げました。例えば、私たちが普段から何気なく使っている用語の曖昧さを、びしびしと指摘しました。

成果主義の誤解
終身雇用制度の誤解
・賞与の誤解
・昇格(ポスト)の誤解
・「頑張った人に報酬を支払えばいい」という誤解
(人事担当者には釈迦に説法ですね)


昨夜は、7名の有志が集まり2次会まで盛り上がりました。そこでの話題は、ほぼ100%オフショア開発について。こんなに真面目な2次会は珍しいと感心した次第です。

例えば、こんな話など。

我が社の事業部長(45歳・男)が、オフショア推進に猛烈反対しています。すると、こんな風に話を持って行くと良いでしょう。

「あなたのオフショア反対の判断は正しいです。今後も未来永劫、会社が存続し、仕事内容も安定し、仕事量の波も小さく、従業員の質や価値観が今と同じ状態が続くと仮定すれば・・・」

「あなたが、20年後に無事引退できると思ったら大間違いです。65歳過ぎても年金は支給されません。75歳まで現役続行せざるを得ないかもしれません。その時までオフショア反対派ですか?」


■問いかけ

一方的なオフショア賛成論は危険を伴います。上記のセリフに反論して、オフショア反対派を擁護しなさい。

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第31回オフショア開発勉強会に18名参加

Dsc02191

月曜日にはたった8名だった第31回オフショア開発勉強会の申込者。なのに、実際の参加人数は2倍に膨れあがりました。

なぜだ?
考えられる理由は、テーマの表現方法を改善したこと。

Before
オフショア開発「総論賛成、各論反対」を鎮める評価と報酬

After
社内の6割を占めるオフショア抵抗勢力を懐柔する方法

参加者アンケートによると、今月のテーマに期待することは以下の通りです。

・各論反対派をどう推進派に巻き込むかヒント事例を持ち帰りたい
・オフショア抵抗勢力を効果的に説得する方法
・日本企業の報酬制度の考え方を理解する
・各論反対勢力にオフショア理解を深めてもらう方法

Workshop2009052602

幸いにも、私が意図する内容が伝わっています。感謝です。都合により勉強会に参加できなかった方からも、「今回のテーマ、とても興味があります...」と欠席コメントが届きました。

昨夜用意した資料はスライド12ページと演習問題2ページ分。スライドの解説は、予定時間内に収まりました。スライド資料を減らしたおかげで、落ち着いて進行できたような気がします。

テーマが特殊だけに、受講後アンケートの満足度項目はバラツキました。2次会で挽回できたので今回は良しとしよう。

今後のイベント予定は以下の通りです。

・第31回オフショア開発勉強会(東京)2009年6月10日(水)
同じテーマ「総論賛成、各論反対」の延長戦です。
積み残した演習問題10問にチャレンジします
Workshop20090526cover

・第32回オフショア開発勉強会(東京)2009年6月23日(火)
案件の切り出しとリスクアセスメント

・第33回オフショア開発勉強会(東京)2009年7月21日(火)
出張者と駐在員問題

・第34回オフショア開発勉強会(東京)2009年8月25日(火)
教科書第2弾の出版記念(予定)

・第35回オフショア開発勉強会(東京)2009年9月29日(火)
テーマ未定

今週末から、オフショア大學第5期もスタートします。途中退場を認める上に、キャンセル時全額返品保証付きなので、迷っている方や予算申請に時間を要する方は、とりあえずお申込みください。

オフショア大學第5期(eラーニング2ヶ月)

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初来日・短期出張者に好まれる無難な近場スポット

短期出張者の受け入れ方針
あなたは、3か月の予定で中国人出張者の面倒をみることになりました。出張者はあなたより年下、日本語はたどたどしい上に、今回が初来日です。あなたの指導方針は、下記のどれに近いですか?

・自由放任 ( 3票) 6%
・職場で淡々と (10票) 19%
・職場で丁寧に (28票) 52%
・休日も (12票) 22%
・その他 ( 1票) 2%
(読者アンケート中間結果)

現在私たちは、PM・PMO 向けにオフショア開発推進のための業界標準となる教科書を執筆しています。今年8月に店頭に並ぶ予定です。

先週から、オフショア教科書執筆チームでも「出張者の受け入れ」について議論を始めました。すると、実務者の間から、これでもかと言うほど大技小技が報告されました。

そのうちの一部を紹介します。

●休日もアテンド派

・勤務中に土日の予定をさりげなく聞いて、その予定に相乗りさせてもらいます。
日本人:「今週末何しますか?」
外国人:「東京タワーに行こうと思っています」
日本人:「じゃあ、一緒に行きましょうよ」


・短期滞在者の場合、携帯電話を持っていないこともしばしば。待ち合わせ場所の地図は印刷して渡してあげること、待ち合わせ場所の近くに公衆電話があること、自分は絶対遅刻しないこと。


●マナー教育をしっかり

・ゴミの出し方、深夜の騒音防止、近隣住民との挨拶
・電車通勤に際して、シルバーシートや携帯電話の使用不可
・インド人に対しては、男同士で手を繋いで歩かない


●災害対策

・日本に始めてくる外国人は、地震に動じない日本人にビックリします。地震がない地域から来た人には、外国人向け災害対策パンフレットを用意してあげると良いと思います。


ひとくちに外国人出張者の受け入れと言っても、その対応は様々。政府筋にも顔が利く大物役員の受け入れと、右も左も分からない若手ブリッジSE候補者の受け入れは、まるで違います。

この種の議論では、暗黙のうちに「自分よりも年下で、自分よりも貧乏で、技術はあるけど社会経験が乏しい出張者の受け入れ」を想定します。


■問いかけ

「自分よりも年下で、自分よりも貧乏で、技術はあるけど社会経験が乏しい外国人出張者」

今週末、あなたは、上記特徴を満たす複数の中国人ブリッジSE候補を東京の街に連れ出す約束をしました。行き先は、あなたが考えます。

オフショア教科書執筆チームのTさんによると、都心散策では「有名」かつ「お金がかからない」場所に誘うのが彼らの満足度を高める秘訣です。

以下の候補地のうち、中国人出張者(短期・初来日)に喜ばれる可能性が高い無難な場所はどれでしょうか。逆に、好みが分かれるため、避けた方がよいと考えられる場所はどれでしょうか。それぞれ理由と共にリストアップしなさい。複数選択可。


<東京向け>
・東京ドーム
・築地市場
・東京国立博物館
・浅草寺
・東京ミッドタウン
・月島もんじゃストリート
・六本木ヒルズ
・東京タワー
・皇居
・秋葉原
・東京都庁
・渋谷NHKスタジオパーク
・日本武道館
・三鷹の森ジブリ美術館
・東京ジョイポリス
・国会議事堂
・しながわ水族館
・新横浜ラーメン博物館
・池袋餃子スタジアム
・大江戸温泉
・上野動物園
・主要顧客の本社ビル(大手顧客)
・銀座の地下街

<沖縄向け>
・首里城
・美ら海水族館
・国際通り
・沖縄県庁
・嘉手納飛行場
・リゾートビーチ
・仲田幸子お笑いショー
・糸満摩文仁の平和祈念公園
・沖縄IT津梁パーク
・泡盛蔵本めぐり

回答例:六本木ヒルズはダメ。高すぎて小龍包すら買えないから

※答えそのものよりも、答えを導き出すプロセスと理由が重要です。

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馴染みのない分野こそ積極的に講演参加

今夜は、毎月恒例の第31回オフショア開発勉強会です。会場はお気に入りの東京・代々木研修室。駅前徒歩1分という嬉しい立地です。

「社内の6割を占めるオフショア抵抗勢力を懐柔する方法」
2009年5月26日(火) 18時45分~20時45分

今回は特殊テーマだけに申込は10名ほどです。技術やプロマネ論なら一般の書籍で学べますが、今回のような馴染みのない人事マネジメント系のテーマは専門家による講義を聴く方がお得です。と手前味噌な私。

実際、私が過去に受けたセミナーで最も印象に残っているのは、ビジネスマン(男性)向けのウォーキング講座とカラーコーディネート講座です。

原色満載の中国系パワーポイントや可愛らしい“ポップ体”が踊るビジネス資料を見ると、もうちょっと資料作りの視覚効果を勉強しろよ・・・、と苦笑いします。

次は、講演者向けのボイストレーニングがあれば受講したいなーと思う今日この頃。


今夜のオフショア開発勉強会に参加する方から、こんなメッセージが届きました。

中国にソフトウェアの開発を依頼する部署に異動になり、オフショアにかかわることになりました。[...] まずはいろいろなことを知ることから始めたいと思っています。初めての参加ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

大歓迎です。資格講座や通常の社内研修では学べない活きた知恵に触れることができると思います。私一人が活きた知恵を生み出すわけではありません。参加してくださるみんなの集合知によって、かけがえのない業界のベストプラクティスが構築されます。

東京工業大学オフショア研究チームからも参加予定あり

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性悪説による管理と性善説による管理

日本の"ものづくり"の強み
日本の製造現場では、組織や権限の壁を超えて双方向のコミュニケーションが機能します。時には、企業の壁すら取っ払われて、正社員と下請企業、派遣労働者が一つの目標に向かって一丸となって突き進みます。 (オフショア教科書執筆チーム)


今月のグローバルソーシング・レビューより。

中国では数年前まで、品質の良いことを表す宣伝文句は「我社の製品は100%検査しているので安心してください」でした。今では、こんな製品は不安で買えません。

2007年、中国製の薬や食品が各国で問題を引き起こした時、中国の検査局のお偉いさんが「たった0.4%か1%しか出ていないのに何故こんなに騒ぐのか、中国いじめではないか」と発言。

輸入各国から「0.4%か1%も不良品が出ているのに、"たった"とは何事か、そんなもの恐ろしくて口にできない」と顰蹙をかってしまい、中国製品の売上が激減しました。

佐藤忠幸“品質作り込みの最前線”GSR誌2009年5月号 pp.13-15)
Gsr200905
2009年5月号のテーマは「品質作り込みと検証技法の最前線」


一部の人にとっては常識ですが、検査だけで不良品を抑える事はできないというのが製造アウトソーシング現場の共通認識です。

<クイズ1>
「検査」以外の、不良品を抑える有効な手段は何ですか?


ISOやCMMIなどの国際標準に取り組み、全工程に監視カメラを設置したからといって、製造拠点の生産性と品質が改善されるとは限りません。つまり、性悪説を前提とした品質管理には限界があるということです。中国でも、性善説を品質管理できるポイントが必ずあります。

<クイズ2>
性善説に基づく品質管理を支える有名な手法(原則+行動指針)を1つ挙げなさい。

<クイズ3>
性悪説による管理が優れていると思われる領域を1つ挙げなさい。


■問いかけ

<クイズ1>の答え
品質の作り込み

<クイズ2>の答え
5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)運動

<クイズ3>の答え
情報セキュリティ管理


ここで問いかけです。

<問1>
ソフトウェア開発職における5Sの直接的効果を挙げなさい。

<問2>
ソフトウェア開発職における5Sの間接的効果を挙げなさい。

<問3>
次の活動は、5Sのどれに相当するか答えなさい。

(1)構成管理
(2)ソースコードにわかりやすいコメントを記載する
(3)交易会でもらってきた大量のパンフレットを破棄する
(4)自作ツールの導入マニュアルを整備して、部署内に展開する
(5)リファクタリング (refactoring)

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新型インフルエンザの水際対策

読者情報では、中国の国際空港でも新型インフルエンザの水際検疫が厳しくなりだしたそうです。私が聞いたのは大連事情だけですが、その他の地域はいかがでしょうか。

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オフショア情報の無料化、ノウハウの陳腐化

ネットを検索すると、オフショア開発に関する優れた情報があちこちに転がっています。かつては、私が主宰するオフショア大學が圧倒的な情報力を誇っていました。

Photo_2

ところが、だんだんとオフショア大學の相対優位性が低下しつつあるようです。Googleなどの検索技術の進化により、情報の無料化は留まるところをしりません。ネット上では、私には到底マネできないような“独自体験”に基づく生々しい話題を惜しみなく提供してくれます。

幸いにも、今のところはオフショア大學と他ネット情報に決定的な違いがあります。それは「ノウハウ化」「形式知化」の水準です。

プロ集団のオフショア大學では、素人にはマネできない抽象度の高い汎用的なフレームワークの構築を心がけます。まさに、野中郁次郎が提唱した暗黙知と形式知のモデルの通りです。
野中郁次郎SECI

オフショア大學が提供するノウハウ=知恵は、他者でも簡単に再利用可能です。一方、他ネット情報の大半は、自分だけの体験記なので、事情を知らない他者はなかなか再利用できません。

今のところ、これがプロと素人の差です。

ところが、そのうち「ノウハウ」の陳腐化が襲ってきます。今どき、情報の無料化は当たり前ですが、いずれはノウハウの無料化時代もやって来ます。すると、オフショア大學も「ノウハウ」や「知恵」だけでは十分な競争優位性を発揮できなくなるわけです。

実は、既に経営コンサルティング分野では、ノウハウやフレームワークなんかでは飯を食えません。実際、近所の書店に行けば、高々2000円のビジネス書に、汎用的かつ実践的な優れた経営の知恵はわんさか載っています。

偽プロフェッショナル受難の時代がそこまでやって来ました。


ここで問題。

ノウハウや知恵がコモディティ化したコンサルティング業界では、いったい何を武器に市場で戦っていくのでしょうか?

外国の偉い先生が書いた世界標準の優れた教科書を使って受業する大学や専門学校は、いったい何を武器に厳しい教育市場で戦うのか。これをヒントにしたいと思います。

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プログラマ35歳限界説がブリッジSEのストライクゾーンを狭める

日本語はたどたどしい上に、今回が初来日です。あなたの指導方針は? の問いかけに寄せられたコメントに返信書いていたら、長くなったので新記事としてエントリします。

芋 たこ 北京さん
> そんなの送ってくるな!受け入れるな!
> 招聘保証状をだすな、が、正解。

異業種の方のご意見は、やはり参考になります。ソフトウェア分野だけに目を奪われると、「日本語」と「専門力」の両立は無理・・・と最初から諦めてしまいます。

景気悪化のせいで下火になったものの、昨年までは「手垢」のついた生意気な中堅中国人SEよりも、純粋無垢の新卒中国人プログラマ候補生の方が好んで採用されました。彼らの一部は、来日して日本でOJT的な指導を受けて中期育成されました。

日本語もおぼつかなく、初来日(滞在期間は長めに設定)

最初から、日本語と技術力の両立は諦めモードです。ただし、新卒の中国人プログラマ候補生には、ブリッジSEのような高度な仕事は到底無理です。

厄介なことに、言葉が流暢であってもブリッジSE業務が務まるとは限りません。技術力に優れていても同様です。その原因は、彼らには、日本のソフトウェア開発現場を支配する「空気」と呼ばれる高コンテクストなコミュニケーションを成立させるための文脈的スキルが足りないから。

そもそも、日本人の30歳ソフトウェア技術者ですら、初対面の顧客と自社をつなぐブリッジ業務は困難なはず。自社製品やサービスを海外市場で販売したことがない組織では、和風な文脈的スキルの獲得に長い年月を要します。過去には、それが高い参入障壁となって、自社のビジネスを外敵から守ってきました。

今や20~30代のソフトウェア技術者の転職は当たり前となったのに、40歳以上のリーダー/マネージャはキャリアの大半を同じ“空気”の中で過ごしています(プログラマ35歳限界説=転職臨界)。

そのため、最新の知識・技術力は若手に軍配が上がりますが、仕事で成果を出すために最も大事な文脈的スキルは圧倒的に中堅リーダー/マネージャの方が上手です。この差は、一生縮まらないでしょう。

したがって、巷のグローバルソーシング云々の議論では、日本人のベテラン社員なら誰もが有する文脈的スキルに頼らないでも成果が出せるような仕組みや組織改革が必要だと訴えかけます。

つまり、移植性の高い技術力さえあれば、空気を読む文脈的スキルがなくても日本企業で活躍できるのが理想ではないか。外国人ソフトウェア技術者でも日本で高い成果を出せるために、職場の“空気”そのものを換えてしまえ、というのが最近の「ダイバーシティ・マネジメント」の風潮です。

教科書的には、ソフトウェア市場環境が安定的に推移する限り、ダイバーシティ・マネジメントの理念はソフトウェア現場に根付かないと推測されます。市場や競争環境が安定的である限り、劇的に変革(職場の“空気”を入れ替える)するコストの方が高く付くからです。

21世紀初頭、米国型オフショアリングの大成功を目の当たりにして、日本でもオフショア開発が市場環境を激変するのではないかと期待されました(あるいは、恐れられました)。

まだ決着が付いたわけではありませんが、今のところ、日本市場に閉ざされた情報システム業界では、オフショア開発の影響は極めて限定的です。中国勢が日本の情報サービス業界に破壊的な影響を与えるのではないかと恐れられましたが、実際には恐るる足らず。

2009年の日本ソフトウェア業界では、米国的に冒険してオフショア発注比率を高めるよりも、持続的にコツコツと改善する方が優れた業績が上げられます。


以上の環境分析から、海外勢との他流試合を繰り返してきた芋たこ北京さんの所属組織と、日本のソフトウェア組織とは、人材のストライクゾーンが違いすぎることが推測されます。残念ながら、多くの日本的ソフトウェア企業では、ど真ん中の直球しか対応できません。日本語ができて、技術力もあって、管理もできて、性格が良く日本社会に適応できる人だけが、優秀なブリッジSEとして活躍できます。

もし、市場環境が変われば、人材戦略も変わると思います。例えば、このような市場変化が予想されます

・SI事業も海外売上を高めよと株主から要求される
・親会社の海外売上比率が高まったので、情報システムも海外で作り海外で運用する方が合理的と判断される
・政府系大型案件を、新興オフショアベンダの日本法人が元請けとして受注する

時代と共にストライクゾーンも変わってきますが、日本の情報サービス業界に劇的な変化がやって来る兆しはありません。コツコツと、じっくり長期間かけて、狭いストライクゾーンにあう外国人ブリッジSEを増やしていこうというのが、現在の人材戦略の主流です。

Dsc02177

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ウイークリーニュースダイジェスト(2009/5/22)

●毎週金曜日は、ウイークリーニュースダイジェストをお届けする。


・2009/5/15 - Chinasourcing
Chnsourcingtop10
情報満載です。


・2009/5/18 - DIAMOND Online
違法コピー天国から脱し、巨大コンテンツ市場に向かう中国

同一商品でも日本に比べ正規版の価格が安い。Office 2007はもっと価格差が大きく、日本でキャンペーン版14299円に対して、中国では199元(約3000円)で販売されている。もちろん海賊版ではなく正規版だ。


・2009/5/20 - CIO
IT部門は人材こそすべて──不況時のITスタッフ管理術

オンショアとオフショアの適切な人材構成を実現する。しかしながら、現状では、企業がオフショアリングを推進していながらも、それに合わせて社内におけるオンショアの役割を高めることには目が向かない場合が大半だ。


・2009/5/21 - NIKKEI NET
立ち直るインド経済 IT産業だけは蚊帳の外?

目立った動きがなくなった。IT企業間での人材の引き抜きとかの話もまったく聞こえてこない。コスト削減の話は続いているのだろうが、だんだんと話も小さくなってきた。削減の余地も少なくなってきたということか。ある米国系大手ソフトウエア会社では、経費削減のために休憩室のクッキーやお茶をなくすそうで、それが問題になっているようである。技術者の不満は高まるばかりのようだ。


・2009/5/20 - @IT情報マネジメント
インドオフショアでは意思伝達のリスク管理が必要

日本とインドオフショア側の意思伝達通路は単一経路とするべきです。しかし、有事に備えてインドオフショア側の上位層に働きかける経路も作っておくべきです。また、意思伝達で使用する言語を明確にすることが重要です。インドオフショア側の英語力の高さ、日本語力を考慮すると、可能な限り英語とすべできです。


・2009/5/21 - 上海Thinksmart
レッスン2 ソフトウェア開発企業設立について(1)

浦東地区にソフトウェア会社を設立すると、法人税は 15%
浦西地区にソフトウェア会社を設立すれば、法人税は 33%
毎年の税引き前利益が100万人民元である場合、登録地だけによって、なんか18万人民元の差額が出ます。ですから、上海で会社を設立する場合、浦東を登録地・浦西を経営地としたアレンジが間違えなく有利です。


・2009/5/21 - CFO
Offshoring's Best Bets

India still reigns supreme as the premier offshoring location, but finance chiefs have a growing number of options.


・2009/5/21 - Khaleej Times
MENA, South-east Asia Emerging Major Offshoring Sites

調査会社A.T. Kearneyのレポートを引用して、オフショア受託国の世界情勢を分析。


・2009/4/28 - 個人ブロガーのTamara氏
100 Best Outsourcing and Offshoring Blogs & Resources

全て英語なのでオフショア大學関係がランク外。ってのはさみしい。

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来週オキナワ

来週の沖縄出張が決まりました。いよいよ夏本番です。

今週、上海オフショア開発フォーラムの仲間が企画した中国Rubyイベントは、見事な大成功を収めたようです。なな、なんと、450名も集まったとか。

これからどうやってRubyを商業化していくのか見ものです。十ウン年前、Javaの出始めに、恐る恐る手を出していたものです。

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新型インフルエンザ対策のマスクをさりげなく差し入れ

モーレツ型(masculinity)が支配する日本の職場
「関係重視型(femininity)」の傾向が強いベトナム人出張者が、10歳も年上の日本人上司から「職場の空気を読め」と一喝された挙げ句、予告なしに休日出勤を命ぜられると心底傷つきます。

オフショア大學講義録より(まもなく第5期スタート)


先日、人事担当者が読む専門誌から「外国人従業員の雇用とマネジメント」について取材を受けました。


――日本の生活に馴染めない中国人出張者をケアする方法とは?

幸地:中国人女性の場合は、周囲の日本人が「私はあなたを気にしているよ」というサインを示すために、肉や魚などの食材を頻繁に差し入れたそうです。お菓子よりも、単価の高い生鮮食品の方が喜ばれました。自炊しない中国人男性なら、頻繁に食事に連れ出すとよいでしょう。

Dsc01856

――今の若い中国人は、即戦力としての知識・技能はありますが、社会性に乏しいと聞きます。

そういった指摘をしばしば耳にします。会社が中国人出張者を社員寮に押し込んで「じゃあ、後はよろしく」ではあまりにも不親切でしょう。ゴミ出しマナーの乱れ、騒音・悪臭に対するご近所からの苦情を未然に防ぐために、分かりやすいマニュアルを整備しておくべきです。そして、中国人出張者の生活態度を指導する際には、相手の人格を十分に尊重するように。さもないと、話の途中で、いきなり「ぷーっ」とふてくされることがあります。


――衣食住は人間の基本ですからね。

最近は、新型インフルエンザの感染拡大を防ぐために、従業員にマスク着用を義務づける会社が増えました。こんな時に、さりげなく中国人出張者にマスクを差し入れすると、ものすごく喜ばれます。職場で流暢な日本語を話すといっても、所詮は外国人です。物価の高い日本で、わざわざ"マスク"を常備するほど中国人出張者はマメではありません。新型インフルエンザに有効なマスクの購入方法を知らない外国人従業員だって大勢います。こんな時こそ、周囲の日本人従業員が気を遣うべきではないでしょうか。

*中国人出張者に喜ばれる“差し入れ”とは・・・?
詳しくは→ http://www.ai-coach.com/seminar/workshop.html


■問いかけ

あなたは、3か月の予定で中国人出張者の面倒をみることになりました。出張者はあなたより年下、日本語はたどたどしい上に、今回が初来日です。あなたの指導方針は、下記のどれに近いですか?

◆自由放任
◆職場で、業務関連のみ、淡々と指導
◆職場で、生活環境を含めて、丁寧に指導
◆休日も自腹を切って徹底的に面倒をみる
◆その他

○結果を見る
○コメントボード


締切:2009年05月28日18時00分
協力:クリックアンケート

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外国人従業員が欝にならないようにするには

なぜ、中国人プログラマは自分勝手なのか?
外国人部下に初めての仕事を与える際には、上司が完璧なお手本を示します。外国人従業員が初めての仕事でミスを犯したとき、「こんな常識も分からないのか!」というのは日本人上司の責任転嫁です。外国人従業員は、上役が正しいモデルを示さない限り、手段は自分に任されたと考えて、自己流で"結果"を追い求めます。

オフショア大學講義録より


先日、人事担当者が読む専門誌から「外国人従業員の雇用とマネジメント」について取材を受けました。


――最近、国内外を問わず、日本人社員は欝(うつ)になる人が多いのですが、日本で働く外国人従業員が欝にならないようにするには何か気をつけたほうが良いでしょうか?

幸地:これまで、私の周囲では、鬱になる外国人従業員を見かけません。勿論、悪い意味で"ストレス耐性"が高い外国人は大勢います。彼らは、心より先に体が反応する事が多いようです。例えば、胃潰瘍になるまで働いた中国人マネージャを知っています。


――ということは、外国人は鬱にならない?

あくまでも「日本で働く外国人従業員」という偏った母集団を観察しただけなので、一般論として「外国人は鬱にならない」という結論ではありません。


――外国人もホームシックにかかりますか?

不安や疎外感による神経症を患う外国人出張者は珍しくありません。例えば、3ヶ月間の出張予定で日本に滞在する中国人ブリッジSEの場合、出張者の性別や年齢によらず住居環境には相当気を配ります。特に、中国人女性が来日する際には、必ずと言っていいほど同僚の中国人との相部屋を用意します。日本人の感覚で、わざわざ親切に「個室」を用意しようものなら、「私だけ仲間外れ」と泣かれてしまうこともしばしば。


――中国勤務の際には常に定時帰宅なのに、日本では連日残業を強いられます。大丈夫でしょうか?

今のところ、仕事がきつくて潰れる中国人出張者はほとんどいません。その一方で、周囲からのストロークが極端に不足すると、来日1ヶ月も経たないうちに心身の不調を訴えます。

*ストロークとは?第31回オフショア開発勉強会にて解説します

■問いかけ

あなたの会社では、これから3ヶ月の予定で中国人出張者を受け入れることになりました。初めての海外出張だそうです。出張者の世話役には、あなたが任命されました。2週間後に来日します。

<問1>
出張者の受け入れに際して、あなたが準備すべき事を全て列挙しなさい。

<問2>
今の状況を鑑みるに、出張期間の3ヵ月は連日の深夜残業が予想されます。顧客都合により、どうしても激務は避けられないと仮定します。出張者世話役のあなたは、どのように対策しますか。

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ファシリテーションフォーラム2009

「うちらって蛙になってない?」

日本は高コンテクストな文化の国。いつもあうんの呼吸に頼っていませんか。たまには、井戸から顔を出して海の外の様子を覗いてみましょう。新しい何かが見えるかも知れません。

このセッションでは、中国の様子を覗いてみたいと思います。中国人と日本人が関わる場として、中国のソフトウェア業界、対日オフショアリングの現場を主に、話を聞いてみましょう。

中国も日本と同様、高コンテクストな文化の国です。しかし、その背景が異なるため、中国で日本的な“環境”や“関係性”を一方的に持ち込んでも、なかなかうまくいかないようです。日本人と中国人はどのように異なるのでしょうか?

話を聞いた後は、振り返りをしてみましょう。異なる背景を持つ中国でファシリテーションを行うにはどのような注意が必要でしょうか。今までの自分たちを振り返って、足りないものはあったでしょうか。

井戸を飛び出す準備、できましたか?

               ※

こんな告知文で始まるセッションを担当します。



演題「23B1 中国でのファシリテーション」

ファシリテーター 幸地司 (KOCHI Tsukasa)

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「キャリア機会の追求」に隠された本音

中国人プログラマが会社を辞める理由と残る理由を教えて下さい
優秀な中国人従業員が会社を辞める理由は「給与への不満」と「キャリア機会の追求」が双璧をなします。一方、中国人従業員が会社に残る理由は、「会社の成長性」「今の職場にキャリア機会がある」などが上位を占めて、「給与に満足」は第3位に下がります。

オフショア大學講義録より


先日、人事担当者が読む専門誌から「外国人従業員の雇用とマネジメント」について取材を受けました。


――中国人プログラマが望む「キャリア機会の追求」とは、もっと知識や技能を高めたいという事でしょうか?

幸地:通常、キャリア機会とは内的報酬に相当します。ところが、中国専門家がアンケート結果の裏に隠された本当の動機を探れば、首をかしげたくなります。元気いっぱいの優秀な中国人プログラマのいう「キャリア機会の追求」とは、役職や権限などの付与を伴う外的報酬と強くリンクします。つまり、中国人が会社を辞める理由は「外的報酬」の不足という部分が大きいです。


――中国人が、キャリア機会を「外的報酬」と考える原因は?

多くの中国人従業員は、学生の頃から勉強熱心で、職場でも技術力向上に対する強い執着心を持ちます。その動機は「早くリーダーになりたい」「早く管理者になりたい」という人より先に進みたいとする外発的な要因に強く影響を受けます。


――中国人プログラマは、お金のためにキャリアを磨くのですか?

必ずしも、守銭奴のような「先に金ありき」の精神ばかりではなく、「大学で学んだ技術を即戦力として活かしたい」「寄り道せず一直線に上を目指したい」という内発的な動機要因も見逃せません。


――日本人だってキャリア開発において経済性を重視するのでは?

日本人と中国人が同じような強い達成欲求を持っていても、その行動様式は文化的相違によって大きく異なります。中国人プログラマの短期指向、課題指向、さらに、中国社会の不安定さが、彼らがキャリア機会の追求において「ガツガツ」する態度を生み出す原因となります。だからこそ、ダイバーシティマネジメントの必要性が叫ばれます。


参考:日本研修から戻った直後に給料アップ要求


「私は日本研修によって知識を身につけました。日本語能力も向上しました。ですから、私の給料をアップしてください。」

【読者コメント(2件)】

・組織で認めるかはわかりませんが、給料アップなしだったら本人が転職する可能性が高いと思います。本質は変わらないでしょうけど、「能力がアップしたので、もっと上層の仕事をください」みたいにしたほうが上司に納得できたかもね。

・日本と正反対、ご存知のように中国企業では新卒を採用したがりません。従業員も能力に即した給与をタイムリーに反映してもらわないと困るというスタンスです。日本のようにじっくり育成して将来的に給与に反映していく年功序列と沈黙の了解で現在と即しない給料で将来の保障をもらっています。最初の育成にコストをかけてもいずれバリバリ働いて会社に貢献していただける。(ずっとこの会社にいる前提なので)中国の方はそのような環境で育てられていませんし、同じ企業で骨を埋める心持も最初からありません。まして外国企業に対してどれだけ心を許しているか微妙です。

Foreign
※参考:「グローバル人材マネジメント研究会」報告書(経済産業政策局 2007年)

■問いかけ

<問1>
IT技術者が望む外的報酬と内的報酬をそれぞれ5つ挙げなさい。

<問2>
過去に転職経験をもつ外国人従業員をつかまえて、前の会社を辞めた理由(本音と建て前)を聞き出しなさい。

<問3>
オフショア推進に抵抗する日本人従業員の不満の理由(本音と建て前)を聞き出しなさい。オフショア抵抗者に足りない外的報酬と内的報酬を、ぞれぞれ列挙しなさい。

ヒント→ http://www.ai-coach.com/seminar/workshop.html

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教科書第2弾づくり進捗会議にて目次詳細化

出版社で執筆中の「オフショアプロジェクトマネジメントPM編」の進捗会議を行いました。懸案だった目次の詳細化を達成。前作に引き続き、今回も5部構成となります。

Bookcontents

新作の第2部と第3部は、主にプロジェクトマネージャ向けの内容。一方、第4部と第5部は戦略系と人材育成の話題が中心です。

このままだと、読み手を惑わす構成になってしまう恐れがあります。

「前半は面白いけど、後半はPM業務に関係なくね?」
「分析や抽象論はいいから、具体的なスキル体系をくれ」

そこで、編集者を交えて、教科書全体に一本筋を通しました。これで一安心です。

「前半と後半は、こうつながるのか」
「このスキルが解説される背景には、こんな理由があったのか」

上位概念の「戦略」から下位概念の「技法」や「事例」にまで、段階的に落とし込む内容に仕上がりそうです。本書前半はボトムアップ的に。つまり、第2部単体プロジェクトの運営支援から始まり、第3部マルチプロジェクトマネジメントの話題へ。

本書後半はトップダウン的なアプローチを採用しました。つまり、第4部グローバルソーシング戦略に始まり、第5部は人材育成とキャリア開発の話題へ。

長く読み継がれる優れた教科書に仕上がりそうです。後は、私の気力勝負かな。

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ソフトウェア工場の標準化とダイバーシティ


日本の大手メーカ各社は、ソフトウェア開発を製造業に見立てて“ソフトウェア工場”と呼ばれる事業モデルを採用しています。そこでは、成功した製造業の標準化手法をお手本としており、その完成度の高さは折り紙つきです。それなのに、いったいなぜ、ソフトウェア工場の標準化に成功した国内有数の各メーカは、オフショア開発で苦労を重ねるのでしょうか。

Culturestructure


日本企業のソフトウェア工場の実態は、開発プロセスの一部が標準化された部分最適化の状態に過ぎません。標準化の目安は、一年間育休で現場を離れた中国人女性プログラマが、再就職後すぐにプロジェクトで活躍できる水準です。グローバルソーシング時代には、人事マネジメントを含めた企業活動全体の最適化が必要です。

これまでの日本企業では、従業員の“価値観の標準化”に力を注いできました。これからは、従業員の多様性を受け入れ、多様な価値化を統合するための“標準化”が求められます。こうした企業変革の試みを、“ダイバーシティ導入”、もしくは“ダイバーシティマネジメント”と言います。

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ウイークリーニュースダイジェスト(2009/5/15)

●毎週金曜日は、ウイークリーニュースダイジェストをお届けする。


・2009/4/28 - IAOP
2009 Global Outsourcing 100 Results

Iaopannounces2009rankings
1 Accenture
2 IBM
3 Sodexo
4 Tata Consultancy Services
5 Wipro Technologies
6 Convergys
7 ISS
8 CB Richard Ellis
9 Infosys Technologies
10 Capgemini

参照:2009ベストアドバイザ会社

1 PricewaterhouseCoopers
2 EquaTerra
3 Gartner
4 KPMG
5 TPI
6 Booz & Company
7 Global Sourcing Advisory Group
8 Mayer Brown
9 Avasant
10 Quint Wellington Redwood


・2009/5/7 - ITpro
第72回 ベンチ要員を切るインドIT大手の深刻

ルピー建てで見ると、売上高は前年同期比24.1%増の563億5000万ルピー、純利益は同29.1%増の161億3000万ルピーだった。しかしドル建てでは売上高が前年同期比1.8%減の11億2100万ドル、純利益は同2.6%増の3億2100万ドルだった。ドル建てで見ると減収増益だが、ベンチ(待機)要員を大幅に解雇したのではないだろうか。


・2009/5/7 - Vertical Edge
South Africa Information Technology Report Q2 2009

Market Overview Despite the economic slowdown, there should be opportunities for vendors across several sectors of a steadily growing South African IT market over the next few years. [...] IT spending growth is seen as easing further in 2009, as consumers come under pressure, before recovering strongly in 2010 and 2011.


・2009/5/8 - ITpro
中国の「ソースコード強制開示」騒動に日本のIT産業を憂える

考えてみたら、日本のIT産業には米国製品に伍して戦える製品、特にソフトウエア製品はほとんどない。だから日本のIT産業にとっては、今回の強制認証制度について大騒ぎする必要はなかったと言える。なーんだ・・・じゃなくて、本当はそれが大問題。これからIT産業の育成を強力に推進する中国は、おそらく日本と同じ轍は踏むまい。


・2009/5/12 - computing.co.uk
Five tips for successful offshoring

(1)Avoid inflation costs if the deal is fair.
(2)Do not overpay for multinational IT services companies.
(3)Evaluate travel-related expenses.
(4)Ask for more experienced resources.
(5)Reassess all your provider relationships.


・2009/5/13 - ITpro
海賊版ソフト使用率は2年連続増の41%,損害額は前年比11%増

違法コピー率が高い国は,アルメニア,バングラディッシュ,ジョージア,ジンバブエなど。これらの国では違法コピー率が90%を超えている。違法コピー率が低いのは,米国,日本,ニュージーランド,ルクセンブルクの4カ国。これらの国の違法コピー率は約20%だった。


・2009/5/15 - ITpro
顧客をつかむ力を伸ばそう

大手ソリューションプロバイダを中心に、安価に技術者を調達できるオフショア開発を加速させる動きも出てきた。オフショア開発が、技術者の単価を引き下げる、中長期的なトレンドだということは論を待たない。


・2009/5/15 - Global Sourcing Advisory Group
Outsourcing and Offshoring Satisfaction Study
Offshoring and the Impact on Customer Satisfaction

We recommend to clients; “Never outsource what you don’t fully understand yourself”, and “Never outsource mission critical functions”. These two factors are key points on why outsourcing and offshoring may not be the best approach.

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東京工業大学からオフショア研究アンケート依頼

日頃からお世話になる東京工業大学の比嘉研究室から、下記のアンケート依頼が届きました。ぜひ、ご自身がアンケートに協力するほか、会社の同僚やお知り合いに協力を依頼してもらえませんか。
(法令順守に気をつけながら)

依頼者の吉井さんは、拙著「オフショアプロジェクトマネジメントSE編」の執筆を手伝ってくださった社会人学生です。大手メーカ出身、独立系ソフトハウスの創業者なので、専門的なオフショア研究に貢献できると期待しています。

お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討ください。よろしくお願いします。


----------------------------記-------------------------------

オフショアソフトウェア開発に関するアンケートのお願い

東京工業大学 比嘉研究室では、研究の一分野として、オフショアソフトウェア開発について研究をしております。今回、本研究会に関連して、オフショアソフトウェア開発に関するアンケートを行うことになりました。本研究の主旨をご理解いただき、ご協力いただければ幸甚です。

■趣旨

日本から中国、インド、ベトナムなどへのソフトウェア開発委託は、米国等と比較してあまり進んでおらず、多くの問題が指摘されています。

そこで、ソフトウェア工学的視点から、この問題を分析し、今後のオフショアソフトウェア開発の発展に寄与することを目的としております。詳細に関しましては、ダウロード先の「アンケート依頼状」をご参照ください。

こちらからダウンロード


■アンケートの対象者

オフショアソフトウェア開発にマネジメント・SE・ブリッジSE等として携わっていらっしゃる方

・発注者として、オフショアソフトウェア開発に携わる日本企業のご担当者様
・中国、インド、ベトナム等で、日本からソフトウェア開発を受注している企業のご担当者様
・日本の発注者・オフショアのソフトウェアベンダーの間を取り持つサービスを行っている企業のご担当者様

★アンケートは、プロジェクト単位でお聞きする内容となっておりますので、1つの企業様に複数のご担当者様にご回答頂ければ幸いです。

■アンケートの期間
2009年5月11日(月)~6月12(金)

■アンケートの回答方法
添付の「アンケート回答用紙」(ワードファイル)に直接ご記入いただき、東京工業大学 吉井亜沙宛にメールの添付ファイルでお送りください。

■本調査に関する連絡先
ご質問、ご意見等に関しましては、東京工業大学 比嘉研究室
吉井亜沙(yoshii.a.aa [at] m.titech.ac.jp)宛てお願い致
します。

本調査に関するホームページ

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オフショア事業診断フレームワーク

ソフトウェア企業(組織)の4路線

ソフトウェア組織の戦略の階層
・企業理念
・企業指針
・企業戦略
・開発方針
・技術
(出典:オフショア教科書執筆チーム)

オフショア大學では、「オフショアプロジェクトマネジメントPM編」という書名の経営者・プロマネ向け教科書を執筆しています。

この教科書は、今年3月に出版されたプロジェクトメンバ向け教科書「オフショアプロジェクトマネジメントSE編」の続編にあたります。

オフショア教科書の第2弾では、日頃オフショア大學に寄せられる多数の疑問に対して、具体的かつ網羅的に回答するよう心がけています。

現在オフショア大學の関心事は「オフショア開発の事業診断」の精度向上です。

個別のプロジェクト診断・評価については、拙著だけではなくウェブ上で公開された無償有償の優れた情報がたくさんあります。各企業とも、“外注管理”の下にパートナー評価制度が実務的に運用されているのはもはや常識です。

ところが、オフショア開発への取り組みを“新規事業”への参入と認識して、定量評価を実施する組織はあまりみかけません。拙著オフショア開発に失敗する方法(ソフト・リサーチ・センター)でも詳しく言及しました。


今年3月に開催された第29回オフショア開発勉強会で、わたしは「オフショア開発によるコスト削減(理想論と現実)」と題した2枚のスライドを使って、オフショア事業診断のフレームワークを紹介しました。

オフショア事業で収益を上げる牽引役を4項目、足を引っ張る要因を1つ。合計5項目によるオフショア事業の簡易診断手法です。

(1) 開発工程の一部オフショア化による人件費の鞘取り
(2)(       )の抑制効果
(3) 標準化による開発効率アップ
(4)(       )による競争力の向上
(5)(       )による収益性の悪化

※3月度オフショア開発勉強会 配付資料 p.16-17 を参照のこと


オフショア事業診断の第一歩は、自社が「何者」であるのかを自覚することです。この自覚を「企業理念」もしくは「企業観」と呼びます。国家なら世界観、個人ならアイデンティティという用語で、それぞれ自分が何者であるかを表現します。

国家:世界観
個人:アイデンティティ=自己同一性(Self Identity)
企業:企業理念、企業観

例えば、中華思想は漢民族の世界観、生涯アイドルは松田聖子のアイデンティティ、水道哲学はパナソニック(旧松下電器)の企業理念です。


企業経営で最も大事な戦略の上位概念こそが「企業理念」です。会社によっては、ビジョン、ミッション、使命、社是などで総合的に表現されます。

オフショア大學では、企業経営の“戦略の階層”を以下の順番で定義します。上位ほど概念的、下位にいくほど具現的であることは言うまでもありません。

・企業理念
・企業指針
・企業戦略
・開発方針
・技術


米国のコンサルティング会社「マッキンゼー社」の調査によると、ソフトウェア企業(組織)には4つの異なる路線があることが示され、路線ごとにそれぞれ異なる領域に注力すべきだということが分かりました。

・低価格路線(Cost champions)
・革新路線(Innovators)
・職人路線(Perfectionists)
・インテグレータ路線(Integrators)

例えば、低価格路線を標榜するソフトウェア企業では、1に標準化、2に標準化、3,4がなくて5に標準化。全ては、原価削減のため。

参考:強化すべき項目、あえて手放すべき項目


上記4つの路線は、第1層「企業理念」から導かれて、第3層「企業戦略」で決定されます。例えば「世界最高の検索エンジン」という企業理念を掲げる情報サービス企業では、おのずと革新路線もしくは職人路線が選択されます。(企業買収の好き嫌い、技術指向/デザイン指向の強弱などによって、この会社の路線は決まります)

オフショア大學では、戦略の上位概念から整理することによって企業のオフショア事業を診断します。そして、当該診断フレームワークに則り、オフショア事業の牽引役についてそれぞれ分析を深めます。

もっとも表面的なオフショア牽引役「(1) 人件費の鞘取り」に関しては、人材ポートフォリオ分析を実施します。「(3) 標準化」に関しては、開発プロセス改善プログラムを実施します。

オフショア事業診断プロセスの詳細は、新刊「オフショアプロジェクトマネジメントPM編」の第3部と第4部に記載する予定です。

■問いかけ

<問1>
あなたの組織の“戦略の階層”を完成させなさい。

回答例:

・企業理念(早い、安い、うまいの三拍子揃った便利屋)
・企業指針(ソフトウェア開発はサービス業だ)
・企業戦略(フランチャイズ型の低価格路線)
・開発方針(単品勝負にかけたフレームワーク再利用)
・技術  (Rubyに特化)

<問2>
あなたの組織の“戦略の階層”を分析して、オフショア推進の課題を抽出しなさい。

回答例:

我が社に製造アウトソーシングの開発手法は適用不可。したがって、コスト削減を追求するオフショア開発には手を出さない。海外に優秀な技術者がいれば、名指しで仕事をお願いすることはある。今後は、市場開拓のパートナーとして、中国企業と提携したい。

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輪講会と合宿

オフショア輪講会のお知らせ

今夜は第30回オフショア開発勉強会の延長戦。オフショア教科書の第2部を著者自ら解説します。そろそろ、ネット書店アマゾンのレビュー(書評:五つ星評価)が欲しいなーと思う今日この頃。

近々、拙著の輪講会を案内します。公開講座ではなく、企業内の有志による勉強会コミュニティをイメージしています。さらに、近場での合宿イベントも予定されています。

・オフショア開発勉強会
 =公開イベント、東京場所通算30回

・オフショア輪講会(仮称)
 =各企業の有志が集まる閉じた勉強会

・合宿イベント(仮称)
 =公開イベント、有志による1泊2日のオフショア勉強会合宿

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オフショア心理抵抗者への接し方

オフショア被害者への励ましの声
・今期は低評価を受けましたが、必死に頑張った分、必ずいつかリータンが返ってきます。来期かもしれません、別の会社かもしれません。

・オフショアはチャレンジであり、機会です。プロジェクトを任されたことも機会です。一般的になぜそれを機会として捉えられないのかが問題の起因だと思います。プラス思考で考えれば一国の主になれる可能性だってあります。

・自分で身に付けた知識は会社のためにではなく、後で自身にとって役立つ時がきっとあるはずです。

(出典:オフショア大學アンケートのコメントボード)

以下は、オフショア開発に心理的抵抗を示す者から漏れてくる不満の代表例です。

・なぜ不景気にオフショア開発をするのか意義がわかりません。

・会社が掲げる長期的なオフショア推進計画に興味が湧きません。

・ソースコード強制開示を迫る中国とは、一緒に仕事したくありません。

・オフショア開発は自分のスキルアップにならないと思います。将来転職に有利になるような資格取得など、他のことに力を注ぎたいです(日本人の若手プログラマ、中堅SEより)。


■問いかけ

あなたがオフショア推進チームの立場なら、非公式な場で上記コメントを繰り返す若手中堅従業員にどう接しますか?

声かけの例:

「挑戦させてくれる機会をもらえるだけで、幸せと捉えるべきではないか」
(前向き思考の勧め)

「会社なんてものは所詮そんなものだと割り切るべきでしょう」
(達観論の勧め)

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海外視察アテンド業務の留意点

顧客・自社幹部の海外視察アテンド業務
海外視察アテンド業務とは、海外出張者の空港・ホテル送迎、食事や夜生活の手配と同行、各種交通手段の手配、訪問同行、時には通訳代行などの一連のコーディネート業務。英語も中国語もできない出張者がやってくると、休日返上のフルアテンドを強いられる。
(出典:オフショア教科書執筆チーム)

海外視察アテンド業務は、現地法人の駐在員に求められる最重要業務の一つです。特に、発注先選定のためにやってくる顧客や自社幹部など“偉い人”のアテンドには神経を使います。


●海外視察アテンド業務の目的

視察者にオフショア委託先の状況を知ってもらい、オフショア開発を推進してもらうこと


●海外視察アテンド業務の留意点

・現場のありのままを見てもらうこと
・事前に情報提供して、出張者に現地知識を持ってもらうこと
・現場メンバーとの交流機会を作ること
・アテンド不要、自由行動を好む人をよく見極めること
・出張者の語学力とアテンド工数は必ずしも相関しない


●ミニクイズ

・初出張の人を迎える際には、日本語もしくは英語が通じるホテルを選択するとよい(Y/N)

・出張初日、空港から目的地まで、自社所有車で送迎すると印象がよい(Y/N)

・2泊3日程度の短期出張なら、日本料理による接待は不要である(Y/N)

・駐在員たるもの、アテンド前日までに出張者の食事の好みを全て把握しているものだ(Y/N)

・活気に溢れる開発室の後に、雑然としたサーバー室を見学してもらうのはマイナス評価なので避けるべし(Y/N)

・現地社員との初めての食事会を催す際には、日本語が分からない若手プログラマの出席は避ける方が無難である(Y/N)

・会議室にさりげなく取得資格(ISO、CMM/CMMI)の認定証を設置しておくと効果的(Y/N)

※前に「通常は」「一般には」「平均的には」をつけて考えること


■問いかけ

<問1>
偉い立場の出張者に、視察現場のありのままを見てもらうことの是非を討論しなさい。顧客訪問と自社幹部訪問とでは、アテンド方針を変えるべきかどうかを検討しなさい。

<問2>
出張者が事前知識を持つメリット、デメリットをそれぞれ検討しなさい。

<問3>
現地メンバーとの交流機会を具体的に挙げなさい(例:食事会)。

<問4>
夕食後、大人のアテンドを好む男性出張者の特徴を指摘しなさい。夕食後、大人のアテンドを嫌う男性出張者の特徴を指摘しなさい。

<問5>
暇な日本人出張者を遊びに連れ出す際、周囲にケジメを示す為に、現地拠点の終業時刻まで待つべきである。この意見は正しいか?

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輸出手続に1ヶ月、結局オフショア発注を取り止め

輸出管理とは
輸出管理とは、正しく輸出手続が行われたかどうか、海外へ輸出された貨物や技術情報が適切に維持管理されているかどうか、不要となった貨物や技術情報が適切に返却もしくは破棄されたかどうかを監視コントロールする一連のマネジメント活動です。

出典:幸地司、霜田寛之(2009)、オフショアプロジェクトマネジメントSE編、技術評論社


次のケース文を読んで、後の設問に答えなさい。


あるパッケージソフトのアドオン開発を中国に依頼することが決まりました。発注工程は、設計から単体テストまでの範囲です。

ところが、いざオフショア発注の段になって、パッケージソフトの母体と開発ツールの輸出手続きが済んでいないことが判明。さらにこの後、輸出手続に1ヶ月も要し、このままだと納期に間に合わない恐れが出てきました。

結局、設計工程の途中で、中国発注を取り止めることになりました。

(出典:オフショア教科書執筆チーム)


■問いかけ

<問1>
輸出管理の“管理”を英訳しなさい。

<問2>
輸出管理と輸出手続の違いを、自分の言葉で説明しなさい。

<問3>
上記ケースの失敗原因を分析して、責任の所在を明らかにしなさい。

<問4>
輸出手続を済ませないまま中国オフショア発注を断行したときの財務リスクを金額ベースで算出しなさい。

<問5>
上記ケースのように、設計途中でオフショア発注を取りやめた時の財務リスクを金額ベースで算出しなさい。

※「状況によってリスクは異なるので金額算出は無理です」という戯言は禁句です。自分で状況設定して、自社に役立つ回答を導きなさい。

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第一回中国Ruby会議@上海

グローバルソーシング・レビューに中国現地から最新レポートを寄稿する愉快な仲間からのご案内です。


第一回中国Ruby会議@上海の開催のお知らせ

中国では初となるRuby会議が2009年5月21日に上海で開催される。第一回のスペシャルゲストは、日本からRubyの父、Matzことまつもとゆきひろ氏が基調講演を行う。

その他、SAPのRubyの活用や、中国でのRailsの開発状況などについての講演も予定されている。使用言語は中国語だが、まつもと氏は日本語で講演を行い、プレゼンテーションは英語で行う。

会の企画運営は、中国最大のJava組織JavaEyeと、同じくRuby On Railsでは最も活発に活動を行っている上海オンRailsが行う。また、上海に拠点を持つフランス系Webデザイン企業Ekoheと、このイベントの発案者である無錫ソフト開発が協賛として参加する。

5月21日は、朝9時半から終了する5時前まで、中国人エンジニア向けのセッション、その後まつもと氏は日本人の上海で活躍するエンジニアとの交流も予定している。

イベントの詳細やスポンサーシップの問い合わせについては、天狗ソフト開発の増満まで。

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“35歳”を救え あすの日本 未来からの提言

NHKスペシャル「35歳を救え」には、いろいろ考えさせられました。当番組では、日本を支えた終身雇用が崩壊し「35歳世代が日本経済浮上の鍵を握っている」との前提で、現状分析と打ち手の提言がなされました。

今後20年に渡って社会の中核を担う35歳1万人にアンケートを行い、「20年後の日本」をシミュレーションしたところ、中間層の崩壊が急加速することが明らかになった。これからの日本を支える今の30代が安定した収入を得られず、家庭や子供を持てないと、税収や消費が落ち込む一方で福祉コストが嵩む超コスト負担社会になり、日本は衰退を免れない。 ・・・(中略)・・・ 「大失業時代を」をどう乗り越え、将来に希望が持てる日本を創るか、徹底取材を元に解決への道を探る。 http://www.nhk.or.jp/special/onair/090506.html

私は2つの立場から番組を観ました。
1.グローバル人材育成機関の運営者
2.沖縄県情報産業推進アドバイザ(アジアOJTセンター運営者)

現在執筆中のPM/経営者向けオフショアマネジメント教科書でも、長期雇用を前提としないオフショア開発モデルの必要性をうたっています。かといって、半年ごとに放浪を繰り返すようなフリーランス技術者だけのチーム編成では、日本型「商い(あきない)」を支える情報システムの請負開発は成り立ちません。

巷で騒がれる「ダイバーシティ(多様性)マネジメント」や「ワークライフ・バランス」は、今のところ単なる綺麗事に過ぎません。グローバルソーシング・レビュー2009年5月号では、「ダイバーシティ(多様性)と日本的モノつくり」は相反すると論じました。

日本的モノつくりの世界では、部門の壁を越えて擦り合わせをし、従業員が自律的に動くことで最高級の品質を目指します。実際には、部門の壁どころか、企業の枠を超えて「系列=多重下請け構造」を形成し、正社員と請負業者・派遣労働者が一体となって、一つの目的に邁進します。性善説に基づく企業への忠誠心が土台となって、「あうんの呼吸」が通じる空気の中で長期間かけて持続的改善を繰り返します。トヨタ式カイゼンに関連するビジネス書には、数十年にわたり職人集団が小さな改善をコツコツと積み上げてきたことが延々と書かれています。こうした世界では「ダイバーシティ(多様性)」は不要でした。
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「大量生産、大量消費」が美徳とされた高度成長期には、ダイバーシティよりも均一性、ワークライフ・バランスよりも三種の神器・マイカー・マイホームなど物質的欲求の確保が優先されました。加えて、多くの日本人従業員にとって、「会社で残業する時間」と「家族と過ごす時間」は、ほぼ等価値でした。これは、職場を「身内空間」と認識する近代日本の文化的特徴で説明されます。そして、こうした古き良き日本の風景は、現代の職場にも色濃く残っています。

NHKが報じるように、「転職経験がある」=66%、「会社が倒産するかもしれない」=42%に該当する35歳世代以下にとって、日本の職場は気のおける仲間と過ごす「身内空間」ではなくなりました。その上の世代にとって、職場メンバーは家族同然。20-30代にとって職場メンバーは空気が読めない「外の人」です。

当然ながら、現在の中国IT技術者も、職場を「身内空間(private space)」と見なしません。国営企業時代を過ごした年配中国人とは対照的な態度です。

さて、ここで議論を日本のオフショア推進組織に移します。

オフショア開発推進を迫られる大多数の日本企業は、右肩上がりの経済成長を前提とした企業観・人材観・マネジメント観に支配されています。そこでは、コツコツと持続的改善を重ねれば、必ず未来の成果が約束されます。なぜなら、社会全体が安定して右肩上がりに成長するからです。

NHKスペシャルの取材によると、今の35歳世代(と若い世代)の約7割は、今後どんなに頑張っても給料は上がらないと考えています。これは、日本企業における人材育成方針(丁稚奉公)の崩壊を意味します。すると、職場で長期間コツコツと持続的改善を繰り返すインセンティブが失われます。

ワーキングプアや3K職と揶揄される35歳世代と若い世代の日本人IT技術者は、職場から十分な外的報酬が得られないのに、外野からは「社会性がない」「コミュニケ―ション能力が劣る」「自己責任の報いだ」などと非難ごうごう。かたや、中国やベトナムの若いプログラマに目を向けると、仕事内容は同じなのに達成意欲旺盛で活力に充ち溢れています。無気力で希望が持てない日本人従業員とは対照的です。


こうした現状を踏まえた上で、私達は新しい時代にマッチしたオフショア開発の事業モデルを構築しなくてはいけません。新しい時代とは、下記を前提条件として受け入れる環境です。

・現状維持、ないし、長期衰退もあり得る日本経済とIT投資環境
・35歳世代の3分の2は「転職経験あり」という終身雇用の崩壊
・日本人/男性/正社員による長期間の持続的改善が困難な環境


話をNHK番組に戻します。

NHK取材班は、“35歳”を救え あすの日本 未来からの提言として「積極的雇用政策」を取り上げました。英仏と岡山県過疎化地域の取り組みを引用して、再雇用教育支援、生活支援、ならびに子育て支援の考察を示しました。岡山県いなか暮らし

これまで大都市一極集中により世界最高水準の経済成長を成し遂げた日本にとって、NHKの提言は国家統治の大転換を迫る可能性を示唆します。いわゆる資源配置の見直しです。ポートフォリオの組み直しと換言することもできます。

・衰退産業から成長産業への人員配置を促進(再雇用教育の充実)
・大都市から過疎化地域への人口移動を促進(生活支援)
・老人福祉から子育て支援への予算移動(国家支出の配分見直し)
・終身雇用を謳歌する40~50世代から、ワーキングプアな若手世代に人件費や福利厚生費を再配分する(報酬制度の見直し

この4つは、それぞれが独立するのではなく、互いに有機的に連携するのが効果的です。例えば、公共工事が減って衰退する都会の建築現場の派遣労働者が、介護福祉サービス分野での再雇用を目指して公的機関でトレーニングを受ける。再雇用教育終了後は、過疎化地域に移住して、成長産業の老人介護サービスに従事する。

これまでは地方自治体が負担した福祉予算を、国もしくは道州単位で一元的にプールします。同様に、再雇用のためのトレーニング、移住負担や生活支援も、国や道州が一元的に管理します。国家全体でポートフォリオ管理を変革するためには、形式的な統治機構だけではなく財源の一本化も必須です。


経済学者の池田信夫氏は『ワーキングプアを労働市場から排除する「団塊世代の既得権保護」を批判する意見が圧倒的に多い』として、雇用形態ポートフォリオを再構築(=解雇規制の緩和)を強く主張します。
人事コンサルタントの城繁幸氏も『原資増加分の分配から原資全体の再分配にシフトする』ことによって、35歳ワーキングプア世代を救うための報酬システム再構築案を提言します。

私は、日本国憲法が保障する権利を守るために、社会保障などのセーフティーネットは国家予算で負担すべきだと考えます。その一方で、地域活性や富を生み出す分野については、道州単位に予算と権限を委譲すべきだと考えます。
つまり、日本中どこで医療・介護・子育てサービスを受けても、国の税金で負担する(現行は地方自治体負担)。日本中どこで失業しても、再雇用教育と最低限の生活支援は国が面倒を見る。一方で、道州(県)では予算分配よりも富の創造(全体のパイを大きくする)に着目し、衰退産業への施しをやめてイノベーション(人的流動、情報流動、資金流動)の創出を積極支援します。


実は、上記の考え方は「オフショア開発」のプロジェクト統治機構の設計にも応用できます。今までプロジェクト現場に丸投げしてきた部分をPMOで全体統治する一方、無駄なばらまき的運営を見直して成長分野に資源をシフトする仕組みを作ります。プロマネの権限を強化する一方、プロマネ全能主義を見直します。以下、ヒントを列挙します。

・衰退部門から成長部署への人員配置の促進
・オンサイト開発からオフショア発注比率向上(国内分散を含む)
・擦り合わせ&持続的改善から、標準化&多様性導入へ転換
・プロジェクト直接費への予算配分を高める

この続きは、執筆中の新刊オフショアプロジェクトマネジメントPM編(今年夏出版予定)に詳しく書きます。

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日本研修から戻った直後に給料アップ要求

日本型OJTの舞台裏
従来の日本企業では、いい意味で滅私奉公が機能しました。つまり、上司は常に真面目で正しい方法論を持っていて、部下が素直に成長するために欠かせない航海図を提供してくれました。部下は、余計な詮索をせずに、与えられた目の前の業務を黙々とこなしていけば、やがては高い地位や役職が保証されました。これが、OJT(On the Job Training)と呼ばれる日本企業の人材育成のからくりです。

出典:幸地司、霜田寛之(2009)、オフショアプロジェクトマネジメントSE編、技術評論社


以下のケース文を読んで、後の設問に答えなさい。

あなたの会社では、中国支社で中国人ブリッジSE候補を採用して、半年間ほど日本で研修させました。研修後、当該ブリッジSE候補生は、こう言って日本人上司を驚かせました。

「私は日本研修によって知識を身につけました。日本語能力も向上しました。ですから、私の給料をアップしてください。」


■問いかけ

<問1>
当該ブリッジSE候補と日本人上司とでは、なぜ意識にずれが生じたのでしょうか。「職能」「職務」「業績」を用いて説明しなさい。

<問2>
あなたの組織では、上記ブリッジSEの主張を認めますか。それとも、認めませんか。事前研修によって、当該ブリッジSEの能力は確実に向上したと仮定します。

答えは今月のオフショア開発勉強会にて(5/26東京)


参考:高橋 俊介(2006)、人材マネジメント論、東洋経済新報社

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スポンサーからのお知らせ

イベント告知です。

・2009年5月14日(木)
第30回オフショア開発勉強会<東京>延長戦
「言葉と文化の壁を超えるコミュニケーション」の解説と質疑応答

言葉と文化の壁を超えるコミュニケーション

オフショア開発プロジェクトで成果を出すプロジェクトメンバに共通する行動特性や態度・心構えを、網羅的かつ具体的に議論します。

↑第30回目の延長戦なので、4/21参加者は無料招待します。メモ欄にその旨を一言添えてお申込みください(幸地)。


・2009年5月26日(火)
第31回オフショア開発勉強会
オフショア開発「総論賛成、各論反対」を鎮める評価と報酬

得体の知れない海外オフショア発注に心理的抵抗を隠せない日本人従業員を懐柔する人事マネジメントの仕掛けを検討します。今月は、オフショア抵抗勢力のマイナス感情を鎮めて国際化対応という変化を前向きに捉えるための人事評価と報酬について最新の人材マネジメント理論を導入します。


新製品案内です。

会員制通信講座「グローバルソーシング・レビュー」

オフショア開発やアウトソーシングに関わる全ての人々に、有益で鮮度の良い情報を届けて、オフショア戦略を洗練させて、業界全体の底上げに貢献するために開発された会員制通信講座です。

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自主的に中国語を学んだ日本人プログラマの低評価

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以下のケース文を読んで、後の設問に答えなさい。

大手メーカ系列の情報子会社に勤務する日本人プログラマ、竹本さん(27歳・文系学科出身・PG歴4年)は、自己啓発として中国語を猛勉強し、ついに中国語検定2級に合格しました。とはいえ、文系出身の業務SEを目指す竹本さんは、経験も浅く、技術者としては半人前の扱いです。

彼が担当する中国オフショアプロジェクトは、顧客都合の仕様変更が収束せず、休日返上のデスマーチと化しました。でも彼は、勉強した中国語を使って、現場のプログラマ全員の心を掌握しました。真面目で几帳面な性格も、現場の中国人プロマネに高く評価されています。

このまま継続発注すれば、彼はきっと日本人ブリッジSEとして活躍するでしょう。同僚のプロジェクトメンバーは、みな彼に期待しています。

ところが、竹本さんの人事考課は低評価でした。今の会社では、プログラマの中国語能力は目標管理に含まれません。顧客都合とはいえ、プロジェクトは大火事。そのせいで、会社は大損しました。竹本さんは、給料アップを目的に中国語学習を始めたわけではありませんので、今期末の低評価はやむを得ないと諦めています。

出典:プレミアム版メルマガ「総論賛成、各論反対」を鎮める評価と報酬(2009/04/15号 )を参考に一部修正


■問いかけ

<問1>
中国語を自主的に勉強する日本人プログラマが参画したオフショア開発プロジェクトは、顧客都合の仕様変更が収束せずにデスマーチ化しました。期末の人事考課で彼は低評価を受けました。あなたは、この評価結果に賛成しますか。それとも反対ですか。

◆賛成(当然)
◆賛成(同情するがやむを得ない)
◆反対
◆その他

○結果を見る
○コメントボード


締切:2009年05月15日18時00分
協力:クリックアンケート


<問2>
竹本さんが低評価に甘んじた理由を説明しなさい。

<問3>
あなたが竹本さんの上司なら、部下が自発的に中国語を勉強する姿勢を人事考課で正式に評価しますか。


答えは今月のオフショア開発勉強会にて(5/26東京)

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オフショア開発プロジェクト vs. オフショア開発事業

オフショア開発プロジェクトとオフショア開発事業を厳密に区別します。オフショア開発プロジェクトとオフショア開発事業を比較して、オフショア開発の新規性を理解します。

米国プロジェクトマネジメント協会によると、プロジェクトとは(1)独自のプロジェクト、サービス、所産を創造するために実施される(2)有期性の業務だと定義されます。

一方、事業とは、会社や組織を運営する継続的な業務です。中小企業においては、事業と経営は同義です。大企業では、事業部やカンパニーなどの組織単位で事業が行われます。

一口にオフショア開発といっても、プロジェクトとしてとらえるか、それとも事業としてとらえるかによって、時間軸や責任と権限の対象範囲が大きく異なります。グローバリゼーションによる世界規模の競争激化に伴い、一部のシステム開発プロジェクトは、もはや日本国内の枠組みだけでは立ち行かなくなりました。開発原価の削減を大義名分に掲げるオフショア開発ではありますが、近年は優秀な人材確保を主な目的と公言する企業も現れました。

ところが、活動期間が限られるプロジェクトでは、長期視点から人材戦略を遂行することは困難です。また、いくらプロジェクト単位で優秀な人材を確保しても、事業の観点からは局所最適化に過ぎません。

このような理由から、オフショア開発プロジェクトとオフショア開発事業を厳密に区別することが求められます。ですから、もしもあなたが「オフショア開発を成功させる」という発言を耳にしたら、「プロジェクトの成功」なのか「事業の成功」なのかを瞬時に判断する癖をつけましょう。

拙著「オフショアプロジェクトマネジメントSE編」p27 より

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オフショア開発の間接業務

オフショア開発の間接業務

オフショア開発の間接業務は、プロジェクト運営上の間接業務と、事業上の間接業務に大別されます。

前者の代表格は、設計やプログラム実務に関与しないブリッジSE業務。後者の代表格は、PMOスタッフの視察旅行。全ての間接業務を二元論的に「善悪」で割り切れるほど、現実は甘くありません。特に、ブリッジSE業務は、悪者にも救世主にもなります。ブリッジSEなんて「必要悪」だと言い切れるほど、日本のオフショア現場は成熟していません。

例えば、ある会社では、社内情報システムのリプレース案件に際して、発注切り出しとベンダ選定に1ヵ月以上を費やしました。同社の外注先選定の主体はPMOですが、実際には現場のプロジェクトマネージャが何度も会議に呼び出されます。

本来、プロマネは基本設計と発注資料まとめの完了に集中すべき時期なのに、元上司のPMOスタッフ(昔取った杵柄で、権限はある)から呼び出されて、不毛な発注先選定会議に延々と付き合わされます。

発注準備の大事な時期に、当該プロマネは週2~3日このような会議に出席させられました。無駄な間接業務の典型です。

オフショア開発の直接業務の無駄を削るよりも、PMO・輸出管理などの間接業務にメスを入れる方が遥かに効果的です。

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中国で異文化活用によって成功した事例

<問題>
中国社会において、異文化を受け入れて大成功した事例(産業・会社・プロジェクト等)を1つ選んでください。可能なら現代から選びます。大昔の事例でも構いません。
上記の成功理由を分析して、重要順に成功要因を1~3つ挙げなさい。

<解答例>
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産業や会社ではありませんが、北京五輪の中国女子シンクロチームが「異文化活用」の成功事例として挙げられます。なぜなら、日本人の井村コーチが、世界的に低水準だった中国女子チームを見事銅メダルに導いたからです。

成功要因は、中国政府公認による超トップダウン方針。選手一人ひとりに強力なインセンティブを与える。井村コーチの世界No1の指導力。選手の体格や身体能力等の個性に応じた演技指導

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