日本研修から戻った直後に給料アップ要求
日本型OJTの舞台裏
従来の日本企業では、いい意味で滅私奉公が機能しました。つまり、上司は常に真面目で正しい方法論を持っていて、部下が素直に成長するために欠かせない航海図を提供してくれました。部下は、余計な詮索をせずに、与えられた目の前の業務を黙々とこなしていけば、やがては高い地位や役職が保証されました。これが、OJT(On the Job Training)と呼ばれる日本企業の人材育成のからくりです。
以下のケース文を読んで、後の設問に答えなさい。
あなたの会社では、中国支社で中国人ブリッジSE候補を採用して、半年間ほど日本で研修させました。研修後、当該ブリッジSE候補生は、こう言って日本人上司を驚かせました。
「私は日本研修によって知識を身につけました。日本語能力も向上しました。ですから、私の給料をアップしてください。」
■問いかけ
<問1>
当該ブリッジSE候補と日本人上司とでは、なぜ意識にずれが生じたのでしょうか。「職能」「職務」「業績」を用いて説明しなさい。
<問2>
あなたの組織では、上記ブリッジSEの主張を認めますか。それとも、認めませんか。事前研修によって、当該ブリッジSEの能力は確実に向上したと仮定します。
答えは今月のオフショア開発勉強会にて(5/26東京)
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Comments
組織で認めるかはわかりませんが、給料アップなしだったら本人が転職する可能性が高いと思います。
本質は変わらないでしょうけど、「能力がアップしたので、もっと上層の仕事をください」みたいにしたほうが上司に納得できたかもね。
Posted by: 朴勇進 | May 19, 2009 02:04 PM
日本と正反対、ご存知のように中国企業では新卒を採用したがりません。従業員も能力に即した給与をタイムリーに反映してもらわないと困るというスタンスです。
日本のようにじっくり育成して将来的に給与に反映していく年功序列と沈黙の了解で現在と即しない給料で将来の保障をもらっています。最初の育成にコストをかけてもいずれバリバリ働いて会社に貢献していただける。(ずっとこの会社にいる前提なので)
中国の方はそのような環境で育てられていませんし、同じ企業で骨を埋める心持も最初からありません。まして外国企業に対してどれだけ心を許しているか微妙です。
こちらは典型的な先行投資で人材を育ち、恩をあだで返されたというおもいでしょうね。
「職能」「職務」「業績」のキーワードは活用できませんでしたが、事後処理としては「昇給を認めません」。一度認めればその後も永遠に続きます。そしていずれ転職していくでしょう。自分の価値を客観的に計れていない人も多く、特に日本に来て間もない方は金銭感覚が狂いやすいです。言った者勝ちというのが中国通常の商習慣です。笑。
もっとも重要なのは事前の意識確認とそれを約束に落としていくことです。何回失敗しても覚えない日本の方が多いようで、最初が大事だと思います。
Posted by: 包 暁南 | May 19, 2009 02:55 PM