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中国グローバリゼーションセミナー/研究会の7月開催のご案内

この記事は「号外PR版」です。読者の皆様にお役立ちすると思われる情報を不定期でお届けします。今日は、中国オフショア・アウトソーシングに関する専門家の講演を案内します。

テーマは、グローバリゼーションと中国BPO。

BPO(Business Process Outsourcing)とは、コールセンター、給与計算、データ入力などの間接業務を外部委託することです。業務系アウトソーシングの話題は、永続活動が前提となる「ラボ契約」を推進する企業や「保守業務のオフショア化」に興味がある方は必見です。

第二回中国国際アウトソーシング大会(2009年6月/南京開催)で日本代表として講演した中国BPO第一人者、海野恵一が主催する 「グローバリゼーションセミナー/研究会」のご案内(無料・30名限定)

中国BPO事業の第一人者である海野恵一は、欧米企業がアウトソーシングを推進する目的を4通りに分類します。

(1) コスト削減
(2) コア業務の競争力強化
(3) ノンコア業務のサービスレベルの向上
(4) ノンコア業務の迅速な立ち上げや規模拡大

ブログ管理人のオフショア大學 幸地司が、ベストセラー『本社も経理も中国へ』(ダイヤモンド社)著書で、
元アクセンチュア社長、中国BPO企業を率いる海野恵一さんに聞きました。

――中国にオフショア・アウトソーシングすれば、なぜコスト削減につながるのでしょうか?

●アウトソーシングが解決しようとする課題は、コスト削減やビジネスのサービス水準の向上です。これらは、対象範囲を削減する、品質レベルを定義する、価格を再設定する、利害関係者と再交渉する、社内のコスト構造を再構築する、などが含まれます。

上記の「対象範囲を削減する」とは、ずばり仕事内容の削減を意味します。幸か不幸か、日本人の仕事を中国に持っていくと、少なくとも30%は減ってしまいます。

日本人はサービス精神が旺盛で、もともと職務分掌をきちんと書かないし、業務フローも書きません。仕事内容を削減するというと、反射的に拒否反応を示す人もいますが、日本企業では仕事の範囲を明確化するだけで、誰も苦しむことなく約3割も余分な仕事が減らせます。

日本人のおもてなしの心や誠実さを失う必要はありませんが、過剰品質と揶揄される「やり過ぎ」の部分は、第三者から指摘を受けない限り自覚する日本人はほとんどいません。

渡辺さんの仕事を100% 陳さんに引き継ぐとなると、そうした仕事の内容が浮き彫りになってしまいます。

オフショアリングは「労働の鞘取り」と言われており、先進国と発展途上国との賃金格差からそう表現されます。

「標準化による過剰品質の抑制(約3割削減)」
「労働の鞘取り(1/3以下)」

この2つの理由から、中国オフショアリングによりコスト削減の効果が得られるようになります。


――中国でもシステム保守を日本品質に保つことはできますか?

●顧客対応の日本語コールセンター業務を中国移管すると、情報システム利用者への問い合わせ対応品質は、以前より低下すると思われます。第一に、言語や文化が違う地域に日本語業務をオフショアすると、どうしても日本企業が求める品質水準には達しません。特に、品質が問題となるのは、外部向け一般顧客に対応するインバウンド業務です。

かつて、我が社(スウィングバイ2020)は大連で、日本人オペレーターによるコールセンターを運営していました。今から振り返るに、中国で日本人を採用することは、どのような形であっても不自然であると思います。インターンシップ採用なので、社員の給与は安かったですが、総コストは中国人のそれよりも遥かに高くつきました。

自社で運営して、初めてそういうことに気付きました。我が社では、顧客と中国人BPOスタッフが直接電話でやり取りしていますが、これは顧客担当者が限定されていて、かつ、相手先が中国人スタッフであることを予め承諾してもらっているからです。

事前に適切な対策を講じれば、中国人スタッフによる電話応答でも、大きな問題は発生しません。近年、中国人の日本語能力は飛躍的に向上しているため、不特定多数に対するコールセンター業務がまた復活するかもしれません。ひとえに日本人顧客のサービスに対する費用対効果の考え方次第だと思います。


――これからも中国オフショア事業は安全ですか?

●カントリーリスクの高い国においては、現地法人を設立する際に固定資産を持たないで、全て変動費化することでスタート時のリスクを回避もしくは軽減することができます。今の北朝鮮の平壌の開発区がそれに該当します。撤退リスクを考慮します。

中国では一昨年あたりから、工場の操業に対する税制上の優遇措置が段階的に廃止されました。一方では産業の高度化政策に伴いBPO の優遇政策が大連などで打ち出されています。こうした政策は、現地で仔細に検討しないと何がベストか把握できません。


――海野さんは、2009年6月21日~25日、中国南京で開催された第二回中国国際アウトソーシング大会に日本代表として招かれ、英語でスピーチをされたそうですね。大会の様子を教えてもらえますか。

●本大会には、海外からも大勢の人が来ています。私は幸いにも、国貿促の片寄専務理事のおかげで、初日の総会で各国の代表の一人としてスピーチをさせてもらえることになりました。今回の目的は、中国で我が社を認知してもらうこと、ならびに、私のグローバリゼーションの考えを中国人に理解してもらうことです。

大会に先立ち、盛大な歓迎宴が開催されました。びっくりしたのは、中国江蘇省人民政府副省長の張衛国氏をはじめ、たくさんの役人の腰の低さです。これが中国かと言う感じでした。

大連市政府の方にはよくお会いしましたが、江蘇省は久しぶりでした。この一年で、こんなにまで人も変わったのかと言うこと。日本の役人は、外国からの客をここまで接待できないでしょう。

今回の主賓の1人であるシンガポールのEng Boon LAUさんは、私のことを知っていました。以前シンガポールで大臣をしていたチェンさんの友人で、私の話を聞いていました。奇遇でした。

NEUSOFTのアメリカの社長であるWalter Fang氏をはじめ、数人の外国人は極めてレベルが高く、また中国人でも目を離せないぐらいの変化がありました。

まだまだ、BPOにおいては中国人はひよっこですが、とんでもなく変化してしまいそうでした。日本人はこうしたイベントには関心がないと思っていましたが、私と同じような危機意識を持ってBPOが企業のグローバリゼーションを促進できると言う人が幾人かいました。私だけの考えではなかったようです。

中国のアウトソーシングは今が黎明期で、日本に関心を寄せる外国人も何人かいました。そのうちの2人が香港在住なので、近々訪問して仔細の話をしてこようと思っています。

中国が世界の工場から高度産業であるアウトソーシングビジネスへの変革へと舵を切っていることがよくわかりました。中国の変革の真っ只中を垣間見ることができました。日本だけが取り残されるのではないかという危機意識はさらに強まりました。もうアジアには、日本がいないと言う認識はこの場においてははっきりと言えました。


 本当のグローバリゼーションの凄味を知りたい方は、
 早速この無料セミナーで学びましょう。

 「中国BPOによる本社のグローバル化セミナー」
  2009年7月10日(金) 14:00-17:30
  芝弥生会館(東京都港区)
  http://www.seminar2020.jp/seminar.html

追伸:
2009年7月4日(土)開催のチャイナリスク研究会には、わたくし幸地も参加します。同研究会は、海野恵一氏がボランティアで主宰する中国全般の話題を扱う座談会です。

最近は、中国政府が民間主導の経済活動に積極的に介入する姿勢が伺えます。中国政府は公共事業的な発想でIT雇用を作り出そうとする一方、中国人プログラマの過剰供給が目に余ります。この辺の話題をざっくばらんに議論したいと思います。

チャイナリスク研究会(7/4・東京都中央区)

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