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低成長時代にオフショア推進する意味

not only 原価削減 but also 新規事業創出

素朴な質問です。オフショア・アウトソーシングを単なる原価削減としてではなく、新規事業を創出させる有力な手段として考えられませんか。
(第32回オフショア開発勉強会の2次会にて)

昨夜は、東京代々木にて第32回オフショア開発勉強会が開催されました。

テーマは「案件切り出しとリスクアセスメント」。

極めて興味深い内容だと自信満々でしたが、蓋を開けてみると参加者は僅か4名。事前に「残念欠席」を表明された方が4名いましたが、意外な低反響に「景気回復による残業増加か?」と妙に勘ぐってしまいました。

でも、なぜか2次会から参加したいとの問い合わせが複数ありましたので、いつものお店で23時過ぎまで盛り上がりました。そこで、ある参加者が発した何気ない問いかけが前出のセリフです。

中国BPO事業の第一人者である海野恵一は、欧米企業がアウトソーシングを推進する目的を4通りに分類します。

(1) コスト削減
(2) コア業務の競争力強化
(3) ノンコア業務のサービスレベルの向上
(4) ノンコア業務の迅速な立ち上げや規模拡大

日本のオフショアリング推進に関する議論では、これまでは常にコスト削減と要員確保の二大目標が掲げられてきました。

コスト削減は、標準化と人件費の鞘取りによって実現します。要員確保は、「日本は上流、オフショアは下流」という棲み分けを目指します。


もう少し日本型オフショア開発の経営的意味を掘り下げます。

経済全体が右肩上がりで伸びない環境では、アウトソーシングは従業員配置(人材ポートフォリオ)の見直しを意味します。つまり、アウトソースされる側の従業員の多くは、配置転換や転職を迫られます。

 従来:業務拡大により人員募集します
 現在:予算圧縮により既存業務を外注化します

従来型は、仕事全体のパイが増えた分を外注化します。景気後退期に仕事が減れば、外注を切って供給力を調整します。ところが、現在の景気低迷期は、仕事全体のパイが増えないのに既存業務を外注化します。と言うことは、既存業務の従事者の居場所がなくなるはずです。

例えば、日本人プログラマはより上流工程へ進出します。日本人SEは、厳格な設計書づくりと科学的な品質保証を遂行する能力が問われます。

日本人プロジェクトマネージャは、即席の多国籍混成チームを機能させるためのに業務や責任を可視化する能力とリーダーシップが問われます。

日本人営業担当は、顧客要望をコンテンツ化する能力やプロジェクト環境の変化を数値でモニタリングする監視力、さらに、初めて会う全く異質な人ともガチンコで一発勝負できるコミュニケーション能力が問われます。

低成長時代にオフショア開発を推進すると、日本人従業員が持つ以下のスキルは次第に市場から評価されなくなります。

・プログラマ=平均的なコーディング能力
・SE=最後は徹夜でも何でもして死ぬ気で納品する根性
・PM=組織や会社などの看板に依存した調整力
・営業=長期取引を前提とした顔見知り顧客との癒着力

※コーディング能力が不要になるという意味ではありません。パソコンスキルと同じ程度の扱いに落ち着くという意味です。つまり、平均的なコーディング能力はあって当たり前だけど、決して十分ではないという扱い。


■問いかけ

<問1>
あなたは、次の意見に賛成しますか?

やがて、日本人従業員の下記スキルは評価されないようになる
・プログラマ=並のコーディング能力
・SE=最後は徹夜でも何でもして死ぬ気で納品する根性
・PM=組織や会社などの看板に依存した調整力
・営業=長期取引を前提とした顔見知り顧客との癒着力

<問2>
オフショア開発勉強会の歴史を振り返ると、これまでアウトソーシングの教科書に載っているような「コア業務、ノンコア業務」というセリフをほとんど聞いたことがありません。私も、コア事業に関する議論をふっかけたことは、ほとんどありません。

いったいなぜでしょうか。

欧米型アウトソーシング(教科書的なアウトソーシング)と日本型オフショア開発の違いに着目して、この問いに答えなさい。

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