プロジェクト活動の計測化を阻害する要因
オフショアプロジェクト活動のコスト化
日報、週報、月次報告書の作成、報告会議のコストを人件費ベースで見積もります。輸出管理や海外ベンダとの折衝、新規ベンダの営業訪問対応もしかり。コンプライアンス関係の職務も、サービスごとに見積もります。標準化や社内アンケートの類、社内報やレクリエーション、社内メンター制度、さらにプロジェクト成功に欠かせない出張費や教育費なども、念のため全て人件費ベースでコストを算出します。
(オフショア大學講義より)
国内協力会社への外注と同じ感覚でオフショア開発プロジェクトを始めると、一部では間接コストの増加に腰を抜かします。そこで、オフショア開発の効率化を図るために、プロジェクト活動のコスト測定に取り組む企業が現れます。
ある会社では、オフショアPMOが業務コストを測定するために各現場にデータ入力をお願いしてまわりました。対象者はメンバー全員です。
――オフショア開発の効率アップのためにプロジェクト活動のコストを測定します。そこで、毎日5~10分間の勤怠データ入力にご協力ください。
すると、現場から不満の声が漏れます。
「こんなに細かくデータを取る必要あるの?」
「必要なポイントに絞ってデータ収集すべきでは?」
「まずはPMOだけで業務改善してくれ」
オフショア開発プロジェクトで活躍するメンバーのほとんどは技術者です。古今東西を問わず、腕に覚えのある技術者は、他人からの干渉を嫌います。工数管理などはもってのほかです。
したがって、現場からの不満の声は正論です。
オフショア開発ですら抵抗感があるのに、ましてやBPO推進だと社員や組合からの強硬反対は必至です。
BPOとは、"Business Process Outsourcing"の頭文字を並べた専門用語です。企業の業務処理を外部業者に委託する経営手法として、欧米の多国籍企業では広く定着しています。
BPOを「間接業務のアウトソーシング」と表現するとかわいいですが、実際にはそんな甘いものではありません。平たく言うと以下の通り。
「日本の無駄な業務をやめて海外に任せる」
「余った日本人は解雇するか職務転換するかどちらか」
この現実は恐ろしい。ですから、BPO推進の現場では、業務処理のコスト計測に対する根強い反発があります。なぜなら、業務毎に細かいデータを収集されてしまうと、自分たちの職が失われるからです。
これは、日本だけの問題ではなく、米国でも全く同様です。つまり、米国企業でも「こんなに細かくデータを取る必要あるの?」という声はあります。
ですが、ご存じの通り、米国ではBPOが積極的に推進されており、大企業を中心に欠かせない経営手法として定着しています。当然ながら、たくさんの成功事例が報告されています。
■問いかけ
<問1>
米国のBPO成功企業では、いったいどのようにして社内から聞こえてくる「こんなに細かくデータを取る必要あるの?」という声に対処しているのでしょうか?
<問2>
あなたは、オフショア開発の効率アップのために、プロジェクトメンバ全員に対して「毎日5~10分間の勤怠データ入力」を依頼しました。ところが、現場から不満の声が漏れます。
「こんなに細かくデータを取る必要あるの?」
「必要なポイントに絞ってデータ収集すべきでは?」
「まずはPMOだけで業務改善してくれ」
あなたは、この状況をどう打開しますか。最初にやるべきこと、次にやるべきことを時系列順に書き出しなさい。
<問3>
オフショア開発効率化のために、現場メンバーは毎日5分程度の工数データを入力します。細かい入力項目の選択肢は数十から数百もあります。あなたのご意見は?
◆詳細な日次入力に賛成
◆簡易な日次入力なら賛成
◆週一回ならデータ入力に賛成
◆計数管理のためのデータ入力には反対
◆その他
締切:2009年06月16日18時00分
協力:クリックアンケート
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