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日本人よりも、欧米人の方が中国人の考え方に近い

次の発言を読んで、後の設問に答えなさい。

日本人よりも、欧米人の方が中国人の考え方に近いと思います。 第一に、中国語と英語の語順が似ています。 第二に、中国人と欧米人は役割分担の明確化を好みます。 第三に、個人能力を重視するので、実力者がリーダーになります。


私は、この発言に同意しません。ただし、この発言から重要な学びが得られます。

(1) 文化は相対関係である

日本と中国の二カ国だけを比べても、国民文化の距離は把握できません。ところが、日本と中国に加えて、欧米諸国という新しい観測点が追加されると、国民文化の正しい距離感が測定できます。

間違い:日本は集団主義、中国は個人主義
正しい:日本は米国と比べたときには集団主義、中国とは同程度

(2) 言葉の定義が曖昧だと議論できない

・欧米人
国民文化の距離感を論じるにあたり、「欧米人」と言った時点でアウト。欧米をひとくくりに語るなら、日本と中国をごっちゃにして東アジアとしてまとめて語っても良いでしょう。

・能力
「目に見える能力」と「目に見えない能力」があります。「測定可能な」とも言い換えられます。

・実力者がリーダー
日本でも中国でも欧米でも、どの文化圏でも実力者がリーダーになります。ただし、「実力」を測定する基準が文化によって大きく異なります。年功や「空気を読む力」は、日本では実力のうち。また、リーダーとマネージャを勘違いしている可能性もあります。


■問いかけ

<問1>中国人ブリッジSEがこう発言しました。
「日本人よりも、欧米人の方が中国人の考え方に近いと思います」。
組織論やリーダーシップの観点から、あなたはこの主張に賛成しますか、反対ですか?

賛成
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締切:2009年06月24日18時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/


<問2>
「日本人よりも、欧米人の方が中国人の考え方に近いと思います」
賛成・反対の立場から、それぞれこの意見をサポートしなさい。議論の前提条件を適切に定めれば、賛成・反対どちらの立場も答えも正解となり得ます。

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Comments

中国人に限らず日本人からもでてくるパターンの話ですね。中国人SEに対してはこういいます。

考え方は人それぞれなので、あなたの考えは正しいと思う。ただし、みんながそう考えているとは限らないということも覚えておくべきだ。
まずは、今あなたは日本の会社を相手にしているのだから、日本の文化、考え方、仕事のやり方を覚えなくては成功しない。
・・・・
と、SEの言葉を認めつつ、今成功したいなら日本の仕事のやり方をもっと勉強するほうがいいという方向にもって行きます。

Posted by: 大連帰り | June 16, 2009 at 11:10 PM

中国人らしい発言です。そう見られたい思われたいという意識がプライドのひとつとしてあるみたい。
逆にアメリカ人、インド人、韓国人とそれぞれプロジェクトをしましたが、彼らはそんな発言は全くしないですね
仕事で煮詰まると、そういう言葉が出てくるようです。

Posted by: ブリッジ橋 | June 16, 2009 at 11:11 PM

この発言は、うちで活躍する将来有望な中国人リーダー候補生の発言です。私の講義を2度ほど受けていて、現在は日本のオンサイト職場で活躍しています。日本への嫌悪感があるわけでもなく、日本の職場を舐めているわけでもありません。何気ない発言だからこそ、興味深いと感じたので、わざわざ取り上げました。

Posted by: 幸地司 | June 16, 2009 at 11:12 PM

>、今成功したいなら日本の仕事のやり方をもっと勉強するほうがいいという方向にもって行きます。

正論ですね。ところが、こんな状況によく出くわします。

中国人学生:
「日本の仕事のやり方を勉強して、早くブリッジSEとして活躍したいです。どうすれば、いいでしょうか。何を勉強すれば、日本で成功できますか?」

日本人の典型的な答え:
「経験を積むしかない」
「まずは、プログラマとして一人前になることを目指しなさい」

これは、日本人自身が「日本の仕事のやり方」や「日本の仕事のやり方を勉強する方法」を説明できないことを白状するような光景です。オフショア大學では、この辺りを系統的に解説するので人気があるのかなーと自画自賛しています^^。

Posted by: 幸地司 | June 16, 2009 at 11:14 PM

>ブリッジ橋さん
>中国人らしい発言です。
>そう見られたい思われたいという意識がプライドのひとつとしてあるみたい

これは新しい着想です。実際、若い中国人IT技術者は、職場で米国的な発想をすると感じます。でも家庭や友人関係では、きっと違うよね。

最近、中国人の役人ですら英語名で自己紹介するようになりました。
中国系ビジネスパーソンでは以前からごろごろいましたが。
本名のピンインとは全く無関係で、適当に名付けているようです。
このバイタリティは見習わなきゃ。

Posted by: 幸地司 | June 16, 2009 at 11:15 PM

> 日本人よりも、欧米人の方が中国人の考え方に近いと思います。
> 第一に、中国語と英語の語順が似ています。
> 第二に、中国人と欧米人は役割分担の明確化を好みます。
> 第三に、個人能力を重視するので、実力者がリーダーになります。

私は、この発言に同意しません。
簡単に反論します。


> 第一に、中国語と英語の語順が似ています。

中国語は日本語と漢字を共有します。日本から中国に逆輸入された漢字も意外なほどたくさんあります。語順が似ている英語と漢字を共有する日本語、どちらがより中国語と共通点が多いのか、私には判断できません。


> 第二に、中国人と欧米人は役割分担の明確化を好みます。

若手PG集団ではその通りですが、その他の大多数の中国人は、役割分担の明確化よりもボスや権力者との人間関係を重視します。その根拠は、「人治主義」「上に政策あれば下に対策あり」の文化的特徴から明白です。

職場での規範や役割分担について、日米中を比較します。公共規則や個人の幸せよりもムラの掟(intangible rules and relationship)を優先する日本人、まず規則(tangible rules)ありの個人主義的な米国人、実権を握るボスとの個人的な関係(intangible relationship)を最優先する中国人。私は2つのキーワード、intangible と relationship に着目します。


> 第三に、個人能力を重視するので、実力者がリーダーになります。

これは、日本的な年功序列と対比させる意図だと思います。ですが、産業の歴史が浅い中国ソフトウェア業界では、そもそも若手中堅のリーダーしかいません。ですから、30年後の中国ソフトウェア業界を想像して、未来でも第三の条件がなりたつかどうか想像してみるといいでしょう。

中国でもっとも競争が激しい集団の一つ共産党では、官僚機構&年功序列を勝ち抜いた実力者がリーダーになります。米国では40代の大統領が誕生しましたが、中国共産党で40代が党トップに立つのは無理でしょう。日本の政治と似ています。


最後に、論理学の観点から反論します。

「日本人よりも、欧米人の方が中国人の考え方に近い」の根拠として3つの理由を挙げてもらいました。ところが、仮にこの3つが全て正しいとしても、単に必要条件を証明したに過ぎません。逆の証明=「十分条件を満たす」を示さない限り、当初の命題は証明されません。

すなわち、以下の事実を証明しないといけません。
(1)語順が似ている、(3)役割分担を好む特徴が似ている、(3)個人能力重視&実力者がリーダ、この3要素が「国民の考え方の近さ」を示す全ての判断基準あり、これ以外の要素を考慮する必要はない(あるいは、ほとんど無視できる)。

Posted by: 幸地司 | June 16, 2009 at 11:16 PM

中国語と欧米語は文法的に似ており、日本語や韓国語などウラル・アルタイ語系とは異なっており、そんな共通点もありそうでは・・・

Posted by: ドアラ | June 17, 2009 at 10:57 PM

面白い話、よく考えたことがないですが、下記のコメントを見たら、矢張り中国人を知らないと感じられます。

//中国でもっとも競争が激しい集団の一つ共産党では、官僚機構&年功序列を勝ち抜いた実力者がリーダーになります。米国では40代の大統領が誕生しましたが、中国共産党で40代が党トップに立つのは無理でしょう。日本の政治と似ています。

中国人と中国共産党を同等させるのは、外国人の好みらしい。

Posted by: flyforlove | June 17, 2009 at 10:58 PM

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