助詞1つで意味が変わった仕様ミス
日本語が得意な中国人にありがちな問題
<ケース1> 日本語での報告書に誤字や間違いが多く、「対応しません」というコメントにお客様の担当も腹を立ててしまった。
現在開講中のオフショア大學第5期では、異文化コミュニケーションについて学んでいます。
昨日は「オフショア固有の問題分類法」を導入して、オフショア開発でよくある問題を分析するための枠組みを検討しました。
1)中国固有の問題(国や地域別の問題)
中国共産党との癒着、漢字が読めるが故の油断や誤解
ベトナム戦争の爪痕、カースト制の影響などもこちら
2)海外発注固有の問題
言葉の壁、輸出手続の問題など
3)分散開発固有の問題
沖縄と東京の分散開発でも同じ問題が発生する
4)中国オフショアとは全く無関係の問題
日本人による国内オンサイト開発でも問題が発生する
*参考:本誌2009/06/10(第1,079号)オフショア固有の問題分類法
昨日出題した設問に対する回答例を示します。私の答えを鵜呑みにしてはいけません。答えを導くプロセスや隠れた前提条件のあぶり出し技法にこそ着目してください。
<ケース2>
突然、オフショア案件の立ち上げ指令が舞い降りてきました。事前の準備期間が短く、業務知識を教育するも、中国の現場に浸透されませんでした。事前のQ&Aも少なく、最後にデスマーチ化しました。
→(3)分散開発固有の問題
オンサイト開発なら、事前準備がなくとも、常に担当者が膝と膝を突き合わせながら仕様を擦り合わせることでデスマーチを避けることができるから。
<ケース3>
火消しのため、日本人リーダが急遽中国オフショアの現場に飛びました。現場で働く中国人SEは、分からない事があっても、わざわざ日本人リーダに質問したくありません。そのまま自分勝手に作り込みました。仕様理解不足のバグはいつまでも収束しませんでした。
→(2)海外発注固有の問題
言葉の壁が大きいが、日本国内(社内)でしか通用しないコンテクスト(文脈的)によるコミュニケーションばかりに頼る日本人リーダーの力量不足ともいえる。
■問いかけ
中国オフショア開発で発生した以下の問題の原因を分析しなさい。
<項目チェック機能に関する日本から中国への仕様伝達ミス>
日本からの提供された仕様書には、こう書かれていました。
「ユーザーからの入力項目のデータについては、このテーブルが存在しない場合エラーとする」
実は、この仕様書では助詞の使い方が間違っています。テーブル“が”ではなく、テーブル“に”が正解です。日本人でも、たまに犯してしまう小さな誤字脱字の一例です。正しい仕様は以下の通りです。
「ユーザーの入力項目データがこのテーブルに存在しない場合はエラーとする」
ところが、中国では仕様書の通り「テーブル“が”存在しない場合はエラー」と実装してしまいました。つまり、前段から続く「入力項目のエラーチェック」という文脈は完全に無視された格好です。
※自己流で日本語を学んだ中国人にとって、日本語の助詞の用法は極めて難解らしい。
さて、あなたは、この問題をどう処理しますか。問題分析や再発防止策の実施に加えて、担当者の責任追及などを具体的に論じなさい。
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