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オフショア固有の問題分類法

日本語の強弱を調整できずに失敗
日本語での報告書に誤字や間違いが多く、「対応しません」というコメントにお客様の担当も腹を立ててしまった。

(オフショア大學受講生より)


現在開講中のオフショア大學第5期では、異文化コミュニケーションについて学んでいます。

今週は、拙著「オフショアプロジェクトマネジメントSE編」で解説した内容に沿って、言葉の壁と文化の壁を区別する技術を学びます。次に、個人特性の概念を導入して、単なる個人差と文化的相違の違いを見極める訓練を繰り返します。

オフショア開発では、毎日いろいろな問題が発生します。余裕がない状態だと、私たちはついモグラ叩きの要領で目の前の問題を潰しにかかります。本来なら、問題発生の根本原因に着目すべきなのに。

「曖昧な仕様によりQ&Aが多発するので、設計とQ&A窓口の担当者をわける分業体制に移行する」(典型的な対処療法)

ところが、こうした対処療法はオフショア関係者だけの悪癖ではありません。日本で最も頭がよい職業だと見なされる医者だって、無意識のうちに平然と誤った対処療法を助言します。わざとではなく、本気で間違った助言を与えます。

「ストレスがたまっているようですね。スポーツなどで汗を流して日頃からストレスを発散させましょう」(典型的な処療法)


さて、オフショア開発で発生する問題の分類法には、いくつもの切り口があります。例えば、下記の切り口はいかがでしょうか。

1)中国固有の問題(国や地域別の問題)
中国共産党との癒着、漢字が読めるが故の油断や誤解
ベトナム戦争の爪痕、カースト制の影響などもこちら

2)海外発注固有の問題
言葉の壁、輸出手続の問題など

3)分散開発固有の問題
沖縄と東京の分散開発でも同じ問題が発生する

4)中国オフショアとは全く無関係の問題
日本人による国内オンサイト開発でも問題が発生する

上記の問題分析の切り口を「オフショア固有の問題分類法」と言います。これは、先ほど思いついたオフショア大學の造語です。


■問いかけ

次の問題の原因は、オフショア固有の問題分類法(1)~(4)のうち、どれに該当するか答えなさい。


<ケース1>
日本語での報告書に誤字や間違いが多く、「対応しません」というコメントにお客様の担当も腹を立ててしまった。

→(1)もしくは(2)
海外オフショア固有の問題だが、もしかしたら、日本語が得意な中国人に固有の問題かもしれない


<ケース2>
突然、オフショア案件の立ち上げ指令が舞い降りてきました。事前の準備期間が短く、業務知識を教育するも、中国の現場に浸透されませんでした。事前のQ&Aも少なく、最後にデスマーチ化しました。


<ケース3>
火消しのため、日本人リーダが急遽中国オフショアの現場に飛びました。現場で働く中国人SEは、分からない事があっても、わざわざ日本人リーダに質問したくありません。そのまま自分勝手に作り込みました。仕様理解不足のバグはいつまでも収束しませんでした。

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