オフショア危険プロジェクトのリスク転嫁
リスク転嫁
リスク転嫁とは、リスクが顕在化したときの影響や対応責任を第三者へ移転する対策です。自動車事故にあっても治療費が補償される「自動車保険」のようなリスク対策です。
次の相談を読んで、後の設問に答えなさい。
私は、日本企業でオフショア開発を推進する担当者です。 長期化する不況の影響で、当社がラボ契約する中国パートナーの稼働率は著しく低下しています。そんな折、長年取引のある重要顧客から、超特急の小規模案件の話が舞い込んできました。詳しく話を聞いてみると、当社の中国ラボでは未経験の技術が使われます。ところが、ラボ側の営業はやる気満々で、どうしても受注したいと圧力をかけてきます。
私としても、中国ラボを維持するために、何とか仕事を取りたいですが、大きな受注リスクに悩んでいます。どのようにリスクを対策すればよいでしょうか。
オフショア大學第5期では、オフショアプロジェクトの切り出しに際するリスク管理を学んでいます。今週の講義では、リスク回避、軽減、受容のアイデアを検討していますが、その一方でなかなかリスク転嫁の良策が思い浮かびません。
その理由の一端は「モラルハザード(morale hazard)」で説明できます。最近、マスコミやビジネス書でモラルハザードの誤用が目立ちますが、本来は顧客のリスク転嫁を引き受ける保険業界で使われていた用語です。
「モラル」といっても、モラルハザードは必ずしも倫理・道徳観の欠如・崩壊を意味するとは限りません。ところが、「言霊(ことだま)の国」日本の職場では、リスク転嫁策を口にする者は、道徳観に欠けるものとして後ろ指を指される雰囲気があります。
「モラル・ハザード」は本来は保険業界で使われていた用語で、保険によって保険事故が補償されることが、被保険者のリスク回避行動を阻害するという現象を指す。 例:自動車保険において、保険によって交通事故の損害が補償されることにより、加入者の注意が散漫になり、かえって事故の発生確率が高まる場合。 (出典:wikipedia)
※余談ですが、モラルとモラールは違う用語です。まれに本誌でも「モラール」を使いますが、誤解なさらぬように。
■問いかけ
上記の相談に対して、適切な「リスク転嫁策」を助言しなさい。
<状況>
・稼働率が低下したラボ拠点あり
・重要顧客から小規模、短納期、未経験技術を使う案件の相談あり
・ラボ側はやる気満々
・相談者本人も、ラボ存続のために可能なら案件受注したい
<あなたのリスク対策は?>
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