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26歳中国人プログラマ集団を垂直立ち上げする学習方式

先週末は、東京都内某所で中国人若手プログラマ30名弱を相手に異文化コミュニケーション基礎研修を行いました。

受講生は日本語能力検定試験1級保持者ばかりですが、平均年齢は26歳。すなわち職歴2~3年、そろそろプログラマとして独り立ちが期待される若手技術者達です。

近頃オフショア大學に、若い中国人プログラマ集団をどうやって効果的に育成すればいいかという相談が持ちかけられます。

日本語研修やビジネスマナー研修・プログラミング実習に偏った企業研修から脱却して、いち早く対日業務で通用する技術者集団を作り上げるにはどうすればよいかという悩みです。

なぜ、開発コーディネータの短期集中トレーニングを得意とするオフショア大學にこのような相談が持ちかけられるのでしょうか。

その理由は、拙著オフショア開発に失敗する方法(ソフト・リサーチ・センター)で導入した「中国ソフトウェア産業の就業人口ピラミッド」の影響ではないかと分析しています。

中国ソフトウェア産業就労人口ピラミッド

先週末の異文化研修では、いきなり14問からなる抜き打ち試験を実施しました。受講生らは、電子辞書を片手に30分間、黙々と試験問題を解き続けました。

<問題例1>

以下の片仮名を漢字、もしくは、短い文章で書き直しなさい。ただし、片仮名やalphabetsは利用不可です。

 (a) リーダー
 (b) チーム
 ・・・・・・
 (e) コミュニケーション

先に抜き打ち試験、後から答え合わせと解説。そして、最後に教科書を配付しました。受業の終わりには、「○月○日~までに□□を完璧に習得しておくように」と申し伝えました。

昔の科挙の影響かもしれませんが、現代の中国人プログラマは分厚い教科書を読み込む能力に長けています。はっきり言って、同世代の日本人従業員では、全く太刀打ちできないほどの高い水準です。

その一方で、これまで中国の教育方針は、「開発言語偏重」「暗記一辺倒」と批判されました。そこで今回は、依頼企業と相談して、入社2~3年生を対象に新しい人材育成の取り組みに挑戦しています。

対日実務経験の不足が懸念される若手中国人プログラマに対しては、オフショア大學eラーニングで採用される事例研究は相応しくありません。同様の理由から、アクションラーニング(action learning)と呼ばれる課題解決型のチーム学習も荷が重すぎます。

かといって、単純なマナー研修では、日本人が求める高コンテクスト(high-context)なビジネス技能は身につきません。

座学だけで、彼らに日本の商慣習が身につけば言うことありませんが、実際には不可能です。ところが、今どき外国人従業員を丁寧にOJTで育成するほどお人好しの会社はありません。なぜなら、OJTだと費用対効果が得られないからです。

そこで、一から外国人従業員を育てるくらいなら、最初から日本人SEを使った方がましだという考え方が主流になっています。

というわけで、オフショア大學でも、短期間で中国人若手プログラマを垂直に立ち上げる新しい学習方式を実験することになりました。それが先週末から始まった取り組みです。以下、ネタばれしない程度に新しい人材育成の取り組みを紹介します。

・教育 → 学習
・教科書暗記 → 集合研修 → OJT → 事例研究 → □□□□
・丁稚奉公 → 弱肉強食系競争 → 報酬マネジメント活用
・左脳型 → 左脳右脳連動型
・強制型(伝統的守離離) → 納得型(現代版守離離)
・基本理論重視 → 手っ取り早い技法重視 → 物語重視
・年功経験重視 → 知識スキル重視 → コンピテンシー重視
(十分ネタばれか!?)

■ 問いかけ

<問1>
中国人若手プログラマに「コミュニケーション」を別表現で言い換えさせたところ、第三位と第二位はそれぞれ「やりとり」と「意思疎通」でした。では、圧倒的多数を占めた第一位の答えは何でしょうか?

 第一位(      ) ・・・もろ直訳ですね。危険。
 第二位( 意思疎通 )
 第三位( やりとり )


<問2>
職歴3年の中国人プログラマ(26歳)に対して、あなたはコミュニケーションの意義や実践法をどう伝えますか。具体的な指導案を考えなさい。

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不況期こそ社員教育を充実させるべき

オフショア大學の東京セミナールームは、とある日本語学校と共同運営しています。このため、オフショア大學事務局のお隣りの部屋では、連日のように外国人相手の日本語研修と日本ビジネスマナー研修が実施されています。
オフショア大學セミナールーム

お隣の生徒の多くはIT業界とは無関係な留学生ですが、長年培った日本語研修のメソッドや学校運営のノウハウはとても参考になります。ありがとうございます。

一般企業の社内研修では、教育事業そのもので収益を出すわけではありません。特に、昨今のような不況期には、費用対効果に優れた手離れのよい垂直立ち上げ学習法が求められます。

ある程度の人材流動を覚悟しつつ、短期プロジェクトに軸足が移りつつある現状を踏まえると、従来型集合研修やOJTによる日本式商習慣の刷り込み洗脳は、極めて非生産的な人材育成法だと言わざるを得ません。

不況期こそ人材育成に投資すべきだというのが、教科書的な助言ですが現実はそう甘くありません。仕事が減った今こそ、会社の好業績従業員を社内講師に担いだ社員研修が有効だと考えられます。実際、MBAな報酬マネジメントの観点からも優れたアイデアだと思いますが、実行に移す企業が少ないのはなぜでしょうか。

・・・不況期でも、好業績者は暇じゃないから?

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仕様の四課題と効果的な打ち手の提言

オフショア開発プロジェクトの成功は、仕様で決まります。ここでは、漠然とした「仕様」の課題を下記の4つに分類します。

(1) 要求仕様の精度
(2) 仕様変更の頻度と影響度
(3) 仕様書の網羅性、粒度、可読性
(4) 仕様伝達の効果性

話を単純化するために、オフショア開発の成功要因は上記4要素しか存在しないと仮定します。すなわち、上記4要素のオフショア開発プロジェクト成功寄与率を合計すると、ちょうど100%になると仮定します。

<問1>(1)~(4)それぞれの成功寄与度を大まかに予想しなさい。

某C社の回答例:(1)-20% (2)-30% (3)-40% (4)-10%

<問2>(1)~(4)それぞれについて、あなたの組織でコントロール可能な度合いを0~100%で数値化しなさい。

某C社の回答例:(1)-10% (2)-30% (3)-90% (4)-60%

■ 問いかけ

頭の体操です。

上記某C社では、オフショア開発の失敗が続いているそうです。あなたは、C社にどう助言しますか? 下記の選択肢から選びなさい。

(1)「要求仕様の精度」を高めよ
(2)「仕様変更の頻度と影響度」をコントロールせよ
(3)「仕様書の網羅性、粒度、可読性」を向上させよ
(4)「仕様伝達の効果性」を高めよ

さらに、自社の状況を分析して<問1>と<問2>に答えなさい。

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同化政策の自己診断

■ 同化政策とは

全ての料理に「醤油をかける」と隠喩されます。伝統的な日本企業の競争力を生んだ“擦り合わせ”や地道な改善活動は、同化政策のもとで最大の効力を発揮します。

参考:日本企業で活躍したければ会社に魂を売りなさい

一般に、同化政策は善でも悪でもありません。なぜなら、政策とは、あるべき姿を実現するために採用される単なる手段に過ぎないからです。ただし、人によって政策の好き嫌いは分かれます。

× 同化政策は全て間違っている(状況依存なのでこの主張は×)
○ 同化政策は嫌いだ(効果的な手段であっても嫌いな人はいる)


ちなみに、ある会社の同化政策が「外国人と日本人と全く同じように思考/行動する」を目標とするなら、この会社のオフショア推進は失敗する可能性があります。

同化政策が目指す理想とは、「日本人の思考/行動を変えなくても、従来と同等かそれ以上に品質のよい成果物がオフショア先から納品される」が正解です。

■ 問いかけ

あなたの組織(日本企業)がどれだけ同化政策に適合するかを自己診断しましょう。以下の設問に答えなさい。

<問1>自社にとってオフショア委託先とは?(SE技能集団/プログラマ/単なるコーダー)

<問2>お客様の都合は制御できないので、「仕様曖昧」を前提に
オフショア開発を進めざるを得ない(Y/N)

<問3>品質検査100%に限る。99%は不合格だ(Y/N)

<問4>どんなに高精度の仕様書を準備してもオフショア先への仕様伝達ミスはなくならない。ならば、電話やチャットを駆使して、密なコミュニケーションを重ねることが最善策である(Y/N)

<問5>自社では優秀なブリッジSEを確保できない。ならば、両国のプロジェクト現場最前線の担当者同士が密なコミュニケーションを重ねることで仕様伝達の精度を高めるべきである(Y/N)


⇒答えの多くがY(先頭の選択肢)なら、あなたの組織では同化政策が相応しいと推測されます。いったい、なぜ?

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日本企業で活躍したければ会社に魂を売りなさい

昨夜は、第34回オフショア開発勉強会が開催されました。今月のテーマは「多国籍分散チーム運営の生産性向上」。参加者6名+1名で2時間、さらにビール片手に延長戦1時間を戦い抜きました。

なぜ「戦い」なのか?
その理由は次の通りです。

オフショア開発勉強会の冒頭に、いつものように簡単な問いを投げかけました。アイスブレークの効果を狙った恒例行事です。

Q1 あなたの組織では、同化政策をやるべきですか?(Y/N)
Q2 あなたの意見では、同化政策は善ですか、悪ですか?(善/悪)

すると、6名の参加者の答えは以下のように割れました。

Q1 同化政策をやるべき Y=4名 N=2名

Q2 同化政策は善である=2名 悪である=2名、
  必要悪である(1名)、答えられない(1名)


ちなみに、参加者6名のうち、日本人は3名、中国人も3名。男性4名、女性2名。二カ国とはいえ、なかなか見事な多様性です。このような多様性の中で、静かな戦いが繰り広げられました。特にアルコールが入った最後の1時間は、議論沸騰でした。

同化政策とは、全ての料理に「醤油をかける」と隠喩されます。中華料理が出されても、ベトナム料理・インド料理であっても、味見する前に日本の醤油をかけてしまう行為です。

伝統的な日本企業の競争力を生んだ“擦り合わせ”や地道な改善活動は、同化政策のもとで最大の効力を発揮します。

昨夜は、拙著プロジェクトマネジメント【SE編】で定義した「異文化適応CAAIモデル」の概念図を参照ながら、同化政策と組織モデルの関係を解き明かしました。

<読者アンケート&感想戦より>

・異文化適応CAAIモデル概念図
 同化→擦り合わせ
 融合→ルツボ
 統合→サラダ 
 というアナロジーは判りやすかった

・意識改革は難しいことですが、制度面から強制的に変えて、それから慣れさせていけば風土も自然に改善されるのではないか

・日本人は外国人のことが嫌いですか? 私が熱意を持って一生懸命に書いたメールに対して、わずか1~2行の短い返事しか戻ってきません

・幸地先生は、日本人は社内や取引先の外国人に対して過剰に親切にすると言いました。でも、私には全く実感が湧きません

・オフショア開発を円滑に進めるためには、担当者の相性を考慮すべきです

・日本企業で活躍したければ、会社に魂を売りなさい

・いや、私は会社に魂を売りません

■ 問いかけ

日本人の社会環境を3つに分類します。

ウチ:家族や親しい友人
ソト:会社やご近所など同じ共同体に属する緩い関係
ヨソ:全く面識のない赤の他人


<問1>日本人はヨソの外国人に対して、どのような態度で接するでしょうか?
<問2>日本人はソトの外国人に対して、どのような態度で接するでしょうか?

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外国人従業員に「日本人と同じ」を要求する同化政策

外国人SEを日本式に染め上げる同化政策の特徴

・自分の仕事が終わったら、勝手に帰宅せず、必ず周囲のプロジェクトメンバーに「お先に失礼します」と挨拶をさせる

・終業後、上司から飲みに誘われたら、できるだけお付き合いするよう指導する

・迷ったら見切り発車せず、必ず上司に相談する癖を付けさせる

・衝突(conflict)の解消方法を教えるのではなく、そもそも衝突を起こさないような職務態度を身につけさせる

・日本人同士と同じ感覚で仕事が進められるよう外国人ブリッジSEをOJT指導する

 ・・・(枚挙に暇がない)

先週土曜日は、オフショア大學の土曜補習第2回目「企業内研修の企画と運営」が開催されました。

お天気の良い土曜日の昼下がりに、参加者2名+1名で4時間半、雑談と個人演習を交えながら学習しました。残念ながら、土曜補習は無断欠席者がいました。

企業内研修の企画の第一歩は、組織の診断です。土曜講座の前半2時間は、オフショア大學が開発したオリジナル組織診断ツールの使い方を解説しました。

・(   A   )な組織では、マネジメントの意識改革を促す評価者研修と異文化適応トレーニングが効果的

・(   B   )な組織では、制度整備と開発プロセスの標準化から着手すると効果的


後半は、様々な企業事例を取り上げながら、日本企業の同化政策の是非を討論しました。

同化政策とは、全ての料理に「醤油をかける」と隠喩されます。中華料理が出されても、ベトナム料理・インド料理であっても、味見する前に日本の醤油をかけてしまう行為です。

日本で採用した外国人技術者だけではなく、対日窓口の重責を担うオフショア委託先のキーパーソンに対しても「日本人と同じ」を要求するのが同化政策の特徴です。

■ 問いかけ

<問1>本文中の空白( A )( B )を埋めなさい。

<問2>あなたは外国人従業員に「日本人と同じ」を要求する同化政策に賛成しますか?

同化政策に賛成
同化政策に反対
その他

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締切:2009年09月01日18時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/

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捨てるべき古き良き日本企業の品質改善活動

■ オフショア品質管理と標準化の取り組み

オフショア開発において必ずつきまとう品質の問題を解決する手法を学習します。起こりやすい品質問題の分類と発生原因の追究、効果的な対策を、事例を用いて解説します。本項目の学習によって、オフショア開発における手戻りを減らし、オフショア側チームを強力な部隊として活用できるようになります。

オフショア大學の夏期講座 第4回 2009年8月19日(水)19:30-21:30

昨夜は、オフショア大學の夏期講習会第4回目「オフショア品質管理と標準化の取り組み」が開催されました。

参加者8名+2名で2時間みっちり学習。その後は、引き続き同じ会場で軽く打ち上げを行いました。打ち上げ参加者は9名。結局、22時半過ぎまで一人も席を立たずに、ビールとおつまみを囲みながら、オフショア談義に花を咲かせました。

お酒が入った途端、講義よりも会場は盛り上がりました。いつものことながら悔しいです。冗談。

【受講後アンケートより】
・思い当たるところが多く、理解できました
・製造業との比較は面白かった
・品質基準の策定と単体テストのバグ件数の情報収集を始めます


昨夜は、品質管理と標準化、KAIZENの話を分かりやすく伝えるために、製造業の取り組みを詳しく紹介しました。異業種との比較分析は、夏期講座では初めての試みでした。

教科書には必ず載っているQC7つ道具や三現主義、TOC、慢性不良対策の手順を紹介したところ、思いのほか大好評でした。

パレート図の威力、管理図によるコントロールの意味、現場を観る(≠見る)姿勢の大切さ、TOCによる在庫管理をソフトウェア業に適用する事例など、先人達の一つひとつの試みが心に響いたと思われます。

むかし、ものづくり企業に5年間在籍した経験と知恵を少しお裾分けできたかなと自画自賛(わたくし、20世紀後半に某精密機器メーカでソフトウェア部品開発に従事)。


ソフトウェア業一筋の人は、もっと製造業から品質マネジメントの神髄を学ぶべきではないでしょうか。

私の講座では、常に網羅的・体系的・学術的な裏付けを意識した内容を提供します。それはそれで意味がありますが、ソフトウェア専業者は、是非とも現場叩きあげの職人たちの声に耳を傾けてください。強くお勧めします。

例えば、品質保証/品質コントロール/品質マネジメントを区別できない人、5S/4M/三現主義/QCサークルを知らない人、正規分布などの統計手法の理解が甘い人は、オフショア大學の通信講座グローバルソーシングレビューから製造業の知恵を効率よく学ぶとよいでしょう。お勧め記事は、佐藤忠幸先生の「人材育成シリーズ」と芋たこ北京先生の「中国での人材育成」です。

一方で、ソフトウェア技術者が品質マネジメント専門家の教えを鵜呑みにすると大怪我します。その理由は主に3つあります。

・偉い先生の話ほど抽象度が高くなるため誤解しやすいから
・一部には、ソフトウェア業への適用が難しい要素もあるから
・昭和の高度成長を前提とした改善思想の一部は、現代には適用できないから
(昨夜の講義のまとめで詳しく解説しました)


■ 問いかけ

ソフトウェア技術者が学ぶべき古き良き日本の品質改善活動

・現物を観て、データや事実に基づいた、統計的アプローチの実践
・建前ではなく「本音」で悪さ加減を語り合う社風


では、ソフトウェア技術者が学ぶべきではない古き良き日本企業の品質改善活動とは、いったい何でしょうか。

・(              )に頼った改善活動
・(              )を無視した自発的行動の期待

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日本人しか読まない文書でも片仮名を禁止すべきか

■ 日本人しか読まない文書でも主語を明記すべきか

琉球大学の講義では、私は日本語を母国語とする日本人による国内プロジェクトでも、次の2つの技法は有効であると説きました。

・主語を明記する
・片仮名(カタカナ)を禁止する

参考:本誌 2009/08/19(第1,113号)

先週の土曜日、私が生まれ育った沖縄の琉球大学で仕様書作成の講義を担当しました。

オフショア大學の夏期講習会で使った資料を流用して、日本人技術者による、日本語を用いた、日本人顧客のためのソフトウェア開発プロジェクトで役立つ文書作成技法を解説しました。

そこで私は、沖縄のソフトハウスに勤務する受講生に向かって、次のように主張しました。

「日本人しか読まない文書でも片仮名を使うな」

琉球大学で私の講義を受ける受講生のほとんどは、中国オフショア開発の実態を知りません。そこで、私は、わざと次の問いかけを投げかけました。

「オフショア開発では、日本と中国との間にしばしば温度差が生じます。考えられる理由は何でしょうか?」

すると、オフショア未経験の受講生から、次のような答えが返ってきました。

「恐らく、コミュニケーション不足が原因ではないでしょうか?」

常識で考えると、上記の回答は正解です。ですが、オフショア未経験ゆえに、コミュニケーション不足の深刻さが全く表現されません。その場の主観的な印象では、片仮名の“コミュニケーション”を用いた説明は、明らかに迫力不足でした。

そこで、私は20代前半の女性受講生を指名して、別の質問を投げかけました。

あなたは、45歳の男性上司とまともに会話できますか? きっと無理ですよね!? あなたが、上司とまともな会話を成立させるためには、どうすればよいでしょうか?

すると、彼女はこう即答しました。

多分、会社の45歳男性上司とは、まともな会話は続きません。相手が何を考えているかを知ろうとする態度が必要です
この短い回答には、片仮名は一切含まれません。ですが、前出の「コミュニケーション不足」と比べて極めて具体的な回答であり、かつ、解決への明るい道筋すら感じられました。

琉球大学での講義をこう締めくくりました。

多くのカタカナ用語には、日本に存在しない概念が含まれます。例えば、コミュニケーション、コントロール、マネジメント、リーダーシップ、ゲーム、パワーなどは、日本語にうまく翻訳できません。 うま味成分(グルタミン酸)を知覚できない諸外国人には、“だし”という日本語を理解できないのと同じ理屈です。“いちゃりばちょーでー”という沖縄語を理解できない日本人も多いことでしょう。ですから、あなたが安易に使う片仮名には十分に気をつけてください。


■ 問いかけ

<問1>
自分で書いたメールや報告書に出てくるカタカナを全て拾い上げなさい。そして、頻出頻度や文書全体に占める割合を定量的に測定しなさい。

<問2>
あなたは、次のカタカナを文書から完全に削除できますか?
・コミュニケーション
・マネジメント
・プロジェクト
・サンプル
・フォーマット
・モデル
・シンプル
・サポート
・リスク
(↑思いつくまま書き出しました)

<問3>
上記のカタカナのうち、あなたの文書から完全削除できないものを挙げて、それぞれ削除できない理由を分析しなさい。

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日本人しか読まない文書でも主語を明記すべきか

■ 次の文章の問題個所を指摘しなさい。

外国人雇用問題は、いま最優先で検討されねばならない課題である。なかでも風土改革の必要性が周知されねばならない。
(ヒント:主語の欠落)

先週土曜日、我が故郷の琉球大学で仕様書作成の講義を担当しました。オフショア大學の夏期講習会で使った資料を流用して、日本人技術者による、日本語を用いた、日本人顧客のためのソフトウェア開発プロジェクトで役立つ文書作成技法を解説しました。

前半は、論理思考の初歩から徹底解説。後半は、オフショア大學標準テキストから18の文書作成技法を引用しました。

受講生の大半は沖縄県内のSI業務に従事しているため、オフショア開発の事例を挙げても、具体的なイメージを共有できないようです。

とはいえ、時間が足りない/専門用語が分からない/仕様が固まらない/どこまで詳細に記載すればいいか分からない・・・など、仕様書にまつわる悩みはほとんど共通でした。

琉球大学の講義では、私は日本語を母国語とする日本人による国内プロジェクトでも、次の2つの技法は有効であると説きました。

・主語を明記する
・○○○を禁止する


電子版日経ビジネスの連載記事にも、主語の省略に関する興味深い記事が載っていました(※)。

△改善前:付録の活用率25%という低さは、次年度にむけ、廃止も視野において、検討されねばならない課題である。

◎改善後:小論文編集部は、付録の活用率25%という低さについて、現在、次年度廃止も視野にいれて検討している。結果は2次企画でお伝えする。


日経ビジネスONLINEが設置する読者コメント欄には、この記事への批判的な書き込みもちらほら見られました。

・主語を記載すると文章が間延びし、本当に伝えたい内容が伝わらなくなる

・現実の会社組織の複雑怪奇なパワーバランスや人間関係を端から考慮していない浅はかな提言だと存じます。 出世したい新人は、一刻も早く社内の権力相関図を読み取り当たり障りのない文章を書けるように努力すべき。

※日経ビジネスONLINE、新人諸君、半年は黙って仕事せよ。山田ズーニーのフレッシュマンのためのコミュニケーション講座(第13回 その文書、主語はいったい誰なのか?)

■ 問いかけ

あなたは、次の意見に賛成しますか。

「公式文書では、可能な限り主語を明記すべきである。たとえ、日本人による日本語環境であったとしても」

公式文書とは、仕様書/Q&A連絡/一部の重要メール/バグ連絡/企画書などを言います。非公式文書とは、簡単な手書きメモ/会議中のホワイトボード書き込み/一般のメール/上長承認を必要としない補足資料などを言います。

賛成:低コンテクスト表現を目指すべき(主語明記強制派)
反対:高コンテクスト表現はそれなりに重要(強制反対派)
その他

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締切:2009年08月25日18時00分
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「操作を行う」=「操作」+「行」

前号では、「~を行う」という表現を使用禁止にすべきだと主張しました。その根拠は、オフショア大學の次のような講義内容に隠されています。

あなたの仕様書は、目の前にいる優秀なブリッジSE向けではなく、海の向こうにいる若いプログラマに向けて書くべきです。より具体的には、日本語力がない24歳の中国人プログラマにも伝わるように書くべきです。

オフショア大學の教えに従うと、仕様書では「操作を行う」ではなく「操作する」が正解です。理由は冗長表現だからです。とても、単純ですね。

仕様書中の「操作を行う」を24歳中国人プログラマがみると、漢字だけは読めるので「操作」と「行」の2つの漢字が目に入ります。「行」はムダです。さらに誤解の元になります。

同じ理屈から「操作をする」「操作することをしない」「操作をするとは限らない」も避けたほうが無難だと考えられます。

■ 問いかけ ■

次の表現を適切な言い回しに書き換えなさい。

「操作を行うことをしない」

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文書中で「~を行う」は使用禁止

昨夜は、オフショア大學の夏期講習三日目の講義「オフショア開発のための仕様書作成術」でした。予定通り5名+2名の参加者。過去最多17枚のスライド資料を用意して、2時間たっぷり学習しました。

思い起こせば、「仕様書」に特化したセミナーは久しぶりでした。「全4回シリーズの夏期講座うち今夜に最も期待します」と声をかけてくれた受講生が複数いらっしゃいました。夏休み真っ只中の夜間セミナーでしたが、みな満足されたようです。

いくつか重要な学習要素を復習します。

・外国人技術者向け設計書の留意点

 (1) 顔が見えないprogrammersに伝達するつもりで書く
 (2) 読み手の日本語力は皆無だと仮定する
 (3) 仕様書作成/伝達の効果性測定の6基準を持つ

・文書単体の完成度を高める9つの技法

・複数文書の整合性を高める9つの技法

・「はい」「了解」の80%は伝わっていない

・Q&A状況の定量的監視項目とその効果


[PR] 夏期講座の最終回は「オフショア品質管理と標準化の取り組み

■ 問いかけ ■

オフショア大學の夏期講座三日目では、「幸地のTips」と題した技法を紹介しました。そのうちの一つに下記の禁止令があります。

   文書中で「~を行う」は使用禁止
   例えば、「操作を行う」ではなく「操作する」と記載する。

なぜでしょうか? この禁止令の根拠を合理的に説明しなさい。

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新著カバーデザイン決定

オフショアプロジェクトマネジメント【PM編】(技術評論社)

幸地司、霜田博之(著)、オフショアプロジェクトマネジメント【PM編】(技術評論社)

<本書の概要>
日本人/正社員/終身雇用を前提としないオフショア開発モデルを実現する多国籍分散チーム運営、可視化と標準化、グローバルな資源配分とキャリア開発、異文化研修の体系的技法を詳解する実践ガイド。解答付き演習50問!

<目次>
第1部 オフショア開発の成功要因分析
第2部 プロジェクト運営支援
第3部 標準化と持続的改善
第4部 グローバルソーシング戦略
第5部 企業内人材育成

本書は、マネジメントの立場から、いかにオフショア開発事業を拡大するか/いかにオフショア開発プロジェクトを成功に導くかという課題と、技術者個人の立場から、いかに多様化し複雑化するグローバルソーシング時代を生き抜くかという課題の両面をバランス良く配合しました。前者は、前作「オフショアプロジェクトマネジメント【SE編】」から続くテーマです。後者は、「学校の成績が良くても社会で通用するとは限らない」を合理的に説明するコンピテンシーの概念が中核をなします。

本書シリーズでは、オフショア開発プロフェッショナルに求められる特性を合計600ページにわたり解説しました。前作と本書は、2冊合わせてオフショア開発プロジェクトで活躍する日本人SEとプロジェクトマネージャに求められる知識と技法を最短距離で学習するために整理された実践的な教科書としてお使いになれます。

本書の内容は、業界標準的な知識体系として幅広く認知されることでしょう。今後は、グローバル技術者育成プログラムを生んだオフショア大學だけではなく、多くの有識者の手によってオフショアマネジメントの知識や技法は段階的に整備されます。いち早く本書を手に取ったあなたは、自分のオフショア経験則を組織に還元して、日本全体の底上げに貢献してください。今からでも十分に間に合います。ご健闘をお祈り申し上げます。

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子会社から怪しい見積もり、直感を信じるべきか

オフショア大學の会員制通信講座グローバルソーシングレビュー2009年7月号より。

オフショア大學の会員制通信講座 グローバルソーシングレビュー
筆者はある時、外部装置を遠隔制御するシステムの開発を担当することになりました。内容を検討した結果、フロントエンドとしてのアプリケーション部、外部装置とインターフェースを取るデバイスドライバ部、それら両者の間で外部装置との通信処理を担当する通信ライブラリ部の3部から構成することにしました。

この時期、勤務先の方針から中国子会社へ委託する必要があり、筆者はアプリケーション部を発注することにしました。彼等は通信処理やデバイスドライバが書ける技術者を擁していませんでしたので、これは自然な決定でした。

筆者はアプリケーションの要求仕様書と通信ライブラリの入出力仕様書を用意し、中国拠点へ送りました。ほどなくして、中国拠点から、プログラム担当者5人、開発期間は3ヶ月という見積もりを受け取りました。そして2週間後には設計書を完成させるとのこと。

筆者は直感的に「ちょっと多いな」と思いました。なぜなら、自分一人でやるとしたら2ヶ月あれば十分、と踏んでいたからでした。


★悪魔が囁きます

「こっちは発注者だ。向こうの内部事情を気にしてどうする? 出てきた物を見て、嫌なら検収をあげなきゃよいだけじゃねえか。それが建前ってもんだろう?」

☆天使は主張します

「自分の直感を信じなさい。本音では何かエラーの兆候を感じてるのではありませんか? 彼等の考えを聞きなさい。自分が正しいと思う事を相手に伝えなさい」

■問いかけ

中国オフショア子会社から届いた開発工数の見積もりは、想定の数倍。何か怪しい雰囲気を感じます。さて、あなたが当事者なら、天使と悪魔どちらの意見に従いますか? (パイロット組織なので、コストは一切無視します)

悪魔に従う:まずは子会社の思惑通りやらせる
天使に従う:子会社の内部に介入して指導する
その他

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締切:2009年08月14日18時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/

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「縁起でもない」といってリスク回避する人への対処

昨夜は、オフショア大學の夏期講習二日目の講義「論理思考と問題解決アプローチの技法」でした。予定通り7名+2名の参加者で、2時間たっぷり学習しました。

昨夜学んだ基礎知識「演繹法の使い方/嘘の見分け方」だけでも、次の論理展開の誤りを指摘できるようになります。


昨日の問いかけ】次の論理展開の誤りを指摘しなさい。

法則:
「成長率が高いオフショア企業の社長の年齢は30代~40代である」

事実:
「当社の社長は60歳を過ぎており、オフショア発注高も鈍化傾向」

結論:
「当社の社長を30代~40代に交代すべきである」

【解答】不適切な標本抽出/間違った法則の適用。成長するオフショア企業の社長の年齢が若いのは当たり前。だからといって、同じ法則が一般企業に当てはまるとは限らない。


オフショア大學が提供する「論理思考講座」の特徴は、多国籍メンバによる分散プロジェクトチーム運営を意識した歴史・宗教・文化・風俗に基づく裏づけの豊富さです。昨夜の講義でも、これらの知識が随所に散りばめられていました。

「天岩戸(あまのいわと)の中にお隠れ」
「言霊信仰」
和をもって尊しとなす
「ダーウィンの進化論、神の天地創造」
「自然コントロール」
「太極、陰陽」
「教会と天動説/地動説」
「PMBOKと曼荼羅」

★ミニクイズ:論理思考を学ぶ際に、なぜ上記の知識が必要なのでしょうか。論理思考の初心者が、東洋と西洋の歴史・宗教の成り立ちを知る利点を挙げなさい。


講義終了後のアンケートをみれば、ミニクイズの答えが何となく分かります。7名の受講者のみなさま、お疲れ様でした。そして、オフショア大學式論理思考講座修了おめでとうございます。

  • 日本では「縁起でもない」といってリスク管理を避けていることなるほどと思いました。
  • 前提条件の見い出し方や判断基準の持たせ方で、導き出される結論に違いが出るという部分は参考になりました。
  • 日頃使っている言葉がいかに曖昧であるか分かりました。明確な定義で晴れた感じになりました。
  • 「神(宗教)」からの説明は非常に印象に残りました。文化の違いを具体的につかめた気がします。
  • 思いこみや自分の価値観を基準に問題解決を行うと、真の解決にたどり着けないことを何とか理解できました。

今週末から、いよいよ中級者向け4時間セミナー+ワークショップが始まります。土曜補習と名付けられた本シリーズの第1回目は「日本人オフショア抵抗勢力の動機づけ」がテーマです。

今週土曜日のテーマは、今年5月に開催された第31回オフショア開発勉強会の話題が中心となります。

・組織のオフショア成熟度を自分で簡単に診断する技法
オフショア抵抗勢力のタイプ別分類法
・傾向別オフショア抵抗勢力への対処法
・社内のオフショア推進ワーキンググループが失敗する理由
・自主的なオフショア勉強会を成功させる秘訣

このような盛りだくさんのテーマでお届けします。かつて、オフショア大學の具体的なノウハウがこの値段で提供されることはありません。しかも4時間セミナーなのに。よろしければ、中級者向け土曜補習3回シリーズで一緒に学習しましょう。

■問いかけ

あなたの会社のプロジェクトマネージャがこう発言しました。

オフショア開発には短期・長期の両面でメリット・デメリットが考えられ、実施にあたってはそれらをよくよく吟味検討した上で方針を決定すべきである。

論理思考の観点から、この発言を評価しなさい。次に、オフショア抵抗勢力を動機づけるつもりで、この発言への適切な反応を検討しなさい。

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西洋精神との比較で論理思考を深く理解する

今夜は、オフショア大學の夏期講習二日目の講義が行われます。テーマは、論理思考と問題解決アプローチの技法。わずか2時間の講習ですが、全体を三分割してより楽しく、より効果的な学習の場にしてもらえれば幸いです。

  1. 前半は、論理思考の基礎知識を解説して、問題解決の「型」を徹底的に頭にたたき込みます。

  2. 中盤は、厳しい父性の一神教に基づく「西洋精神」を導入して、なぜ日本人は論理思考が弱いのかを科学的に分析します。

  3. 後半は、オフショア開発プロジェクトでよくある問題を取り上げて、ケーススタディ方式で論理思考力を鍛えます。
    (希望者には、夏期講座のパワーポイント資料をメールします)

例えば、西洋精神だと容易に理解できるのに、日本人には難しい課題があります。

・コントロールやゲームの理解
・自明の理を疑う姿勢
・言動と人格の分離

逆に、日本人には容易に理解できるけど、西洋精神(特に米国)では難しい課題もあります。

・全体思考(曼荼羅、太極、陰陽)
・コンピテンシー

このような日本と西洋の精神構造の違いに着目すると、ビジネス書で語られる空虚な論理思考のフレームワークがすんなり腑に落ちるようになります。


■問いかけ

次の論理展開の誤りを指摘しなさい。

法則:
「成長率が高いオフショア企業の社長の年齢は30代~40代である」

事実:
「当社の社長は60歳を過ぎており、オフショア発注高も鈍化傾向」

結論:
「当社の社長を30代~40代に交代すべきである」

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居酒屋タクシー、キックバック、お中元とお歳暮

先週出題した企業倫理に関する問いかけを再掲します。

<問い>
ビジネス環境に個人関係が深く入り込む中国やベトナムでは、仕事の仲介者が売り手から謝礼をもらうキックバックが正当な商習慣として認識されています。そのため、会社の調達担当者が調達先から不正に賄賂を受ける事件も横行します。海外オフショア事業を成功させるためには、「郷に入らば郷に従え」の格言通りに日本企業もキックバックや領収書のない個人的な謝礼を支払うべきでしょうか。

<選択肢>

(1) 正当な商習慣として支払うべき
(2) 日本で認められないキックバックは支払うべきではない
(3) どちらとも言えない
結果を見る

<読者コメント(3件)>

・会社の規模や進行中案件の規模によりますが柔軟に対応するスタンスだけは必要であると判断いたします。

・その現地での法に触れない範囲なら。

・お土産や、日本的なお歳暮・お中元程度の、日本の社内的/法律的には、接待・交際費として合法的に処理可能なものについては、渡せば良い。家電・化粧品等もその類。特に、まだ海外渡航がそれほど頻繁でない中国企業相手には、海外の珍しいものは、有る程度人間関係を作る上で、有効。私の経験では、子供の居る相手に、成田空港で買った、Kittyの人形焼は、箱も綺麗だし、ほんのり蜂蜜風味は、非常に好評だった。法律や社内規程の範囲内であれば、頭と知恵を使って経費削減を考えた上で、そうしたお土産程度の謝礼は問題なし。・・・・・・


<解答例> (1) もしくは (3)

企業倫理に関わる極めて難しい問題です。例えば、中国やベトナムでは、旧暦の行事にあわせて従業員やお世話になる取引先に高額なお土産(月餅)やお年玉(現金)を与える習慣があります。

個人のポケットマネーから支払われる領収書のない物品贈与も日常茶飯事です。日本社会にも、お世話になった取引先に物品贈与するお中元やお歳暮という「キックバック」に似た商習慣は存在します。

ついこの前まで、日本でも「居酒屋タクシー」のような顧客サービスが存在しました。居酒屋タクシーが問題視された理由は、国家公務員倫理規程に違反したからです。では、国家公務員倫理規程が適用されない民間人が相手なら、居酒屋タクシーのサービスは全く問題なしと考えてよいのでしょうか。

国家公務員倫理規程によると、居酒屋タクシーの問題点は「金品の授受」が発生することです。だとしたら、航空会社と同じようなマイレージ制を導入すれば倫理規程違反を回避できるのでしょうか。

居酒屋タクシーを利用する国家公務員は、溜まったマイレージを使って車内でビールやつまみと交換するシステムです。どうしても金品の授受が問題なら、溜まったマイレージを使ってタクシー料金を値引きする、キープボトル(自分専用のビール)を居酒屋タクシーに設置させてもらう、などが回避策として思いつきます。これらも、すべて国家公務員倫理規程に引っかかるのでしょうか。

ことほどさように、倫理規定の問題は複雑です。

日本で認められないからといって、海外の商習慣を一律否定する姿勢は非現実的です。したがって、消去法で(2)は不正解とします。(1) と (3)は、どちらを選択しても構いません。答えそのものよりも、答えを導き出すプロセスと根拠に着目してください。


■問いかけ

あなたの会社が多国籍企業に買収されたとします。その後、すぐに欧州出身の上司が赴任してきました。そして、支出削減プログラムが実施されました。現状を分析した上司は、現場のマネージャを集めてこう指示しました。

「今年から、会社の経費を使った残暑見舞いハガキはやめます。年賀状も同様です。取引先への物品贈与となるお歳暮も禁止します。もし必要なら、すべて個人負担してください」

「ついでに、銀座のママから届いたお中元も返却してください。高額な金品の授受は倫理規定に違反するので」

「部課長クラスの接待ゴルフは、明らかに営業活動なので休日出勤の申請を出してください」

あなたは、どう反応しますか?

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