日本人しか読まない文書でも主語を明記すべきか
■ 次の文章の問題個所を指摘しなさい。外国人雇用問題は、いま最優先で検討されねばならない課題である。なかでも風土改革の必要性が周知されねばならない。
(ヒント:主語の欠落)
先週土曜日、我が故郷の琉球大学で仕様書作成の講義を担当しました。オフショア大學の夏期講習会で使った資料を流用して、日本人技術者による、日本語を用いた、日本人顧客のためのソフトウェア開発プロジェクトで役立つ文書作成技法を解説しました。
前半は、論理思考の初歩から徹底解説。後半は、オフショア大學標準テキストから18の文書作成技法を引用しました。
受講生の大半は沖縄県内のSI業務に従事しているため、オフショア開発の事例を挙げても、具体的なイメージを共有できないようです。
とはいえ、時間が足りない/専門用語が分からない/仕様が固まらない/どこまで詳細に記載すればいいか分からない・・・など、仕様書にまつわる悩みはほとんど共通でした。
琉球大学の講義では、私は日本語を母国語とする日本人による国内プロジェクトでも、次の2つの技法は有効であると説きました。
・主語を明記する
・○○○を禁止する
電子版日経ビジネスの連載記事にも、主語の省略に関する興味深い記事が載っていました(※)。
△改善前:付録の活用率25%という低さは、次年度にむけ、廃止も視野において、検討されねばならない課題である。
◎改善後:小論文編集部は、付録の活用率25%という低さについて、現在、次年度廃止も視野にいれて検討している。結果は2次企画でお伝えする。
日経ビジネスONLINEが設置する読者コメント欄には、この記事への批判的な書き込みもちらほら見られました。
・主語を記載すると文章が間延びし、本当に伝えたい内容が伝わらなくなる・現実の会社組織の複雑怪奇なパワーバランスや人間関係を端から考慮していない浅はかな提言だと存じます。 出世したい新人は、一刻も早く社内の権力相関図を読み取り当たり障りのない文章を書けるように努力すべき。
※日経ビジネスONLINE、新人諸君、半年は黙って仕事せよ。山田ズーニーのフレッシュマンのためのコミュニケーション講座(第13回 その文書、主語はいったい誰なのか?)
■ 問いかけ
あなたは、次の意見に賛成しますか。
「公式文書では、可能な限り主語を明記すべきである。たとえ、日本人による日本語環境であったとしても」
公式文書とは、仕様書/Q&A連絡/一部の重要メール/バグ連絡/企画書などを言います。非公式文書とは、簡単な手書きメモ/会議中のホワイトボード書き込み/一般のメール/上長承認を必要としない補足資料などを言います。
◆賛成:低コンテクスト表現を目指すべき(主語明記強制派)
◆反対:高コンテクスト表現はそれなりに重要(強制反対派)
◆その他
締切:2009年08月25日18時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/
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Comments
文章を含むコミュニケーションとは、マッキンゼーに依れば、(うろ覚えですが・・・) 相手に対して、自分の考えている事を伝え、その結果「相手に何らかの行動を起こしてもらうこと」だったと思う。
公式文章においては、誰にどんな行動をとってもらうのかが明確であるべき。
そのためには、主語、というよりも、誰に向かって書いている文章なのかを明確にすべき。受け手が分からないような文章では、「誰」が明確でなく、これは公式文章として、不適切。
Posted by: 芋 たこ 北京 | August 19, 2009 04:30 AM
琉球大学の講義では、以下を補足説明しました。
カタカナ=外来語が日本語化した用語 に限定します。
これまでの経験上、本来の外来語の意味を知らない人がカタカナを使うと、より抽象度が高くなる傾向があります。
例えば「コミュニケーション不足」。分散拠点の温度差の原因を語る際には、より具体的には次の要素に分解できます。
・非公式コミュニケーションの絶対量が不足
・顔が見えない相手と感情を伴う会話量が不足
・「当たり前品質」の水準を話し合う機会が不足
・相手を理解しようとする誠意や受容性が不足
・・・・・・
これらを、幹部向けの報告書で綺麗にまとめようとすると、つい「コミュニケーション不足」とお茶を濁してしまいます。
上記のような温度差が生じた根本原因を理解した人が、コミュニケーション不足を語るのは全く問題ありません。社内文書であっても、いつの間にか一人歩きすることがあるので、気をつけないといけませんね。
Posted by: 幸地司 | August 19, 2009 04:17 PM