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日本人しか読まない文書でも片仮名を禁止すべきか

■ 日本人しか読まない文書でも主語を明記すべきか

琉球大学の講義では、私は日本語を母国語とする日本人による国内プロジェクトでも、次の2つの技法は有効であると説きました。

・主語を明記する
・片仮名(カタカナ)を禁止する

参考:本誌 2009/08/19(第1,113号)

先週の土曜日、私が生まれ育った沖縄の琉球大学で仕様書作成の講義を担当しました。

オフショア大學の夏期講習会で使った資料を流用して、日本人技術者による、日本語を用いた、日本人顧客のためのソフトウェア開発プロジェクトで役立つ文書作成技法を解説しました。

そこで私は、沖縄のソフトハウスに勤務する受講生に向かって、次のように主張しました。

「日本人しか読まない文書でも片仮名を使うな」

琉球大学で私の講義を受ける受講生のほとんどは、中国オフショア開発の実態を知りません。そこで、私は、わざと次の問いかけを投げかけました。

「オフショア開発では、日本と中国との間にしばしば温度差が生じます。考えられる理由は何でしょうか?」

すると、オフショア未経験の受講生から、次のような答えが返ってきました。

「恐らく、コミュニケーション不足が原因ではないでしょうか?」

常識で考えると、上記の回答は正解です。ですが、オフショア未経験ゆえに、コミュニケーション不足の深刻さが全く表現されません。その場の主観的な印象では、片仮名の“コミュニケーション”を用いた説明は、明らかに迫力不足でした。

そこで、私は20代前半の女性受講生を指名して、別の質問を投げかけました。

あなたは、45歳の男性上司とまともに会話できますか? きっと無理ですよね!? あなたが、上司とまともな会話を成立させるためには、どうすればよいでしょうか?

すると、彼女はこう即答しました。

多分、会社の45歳男性上司とは、まともな会話は続きません。相手が何を考えているかを知ろうとする態度が必要です
この短い回答には、片仮名は一切含まれません。ですが、前出の「コミュニケーション不足」と比べて極めて具体的な回答であり、かつ、解決への明るい道筋すら感じられました。

琉球大学での講義をこう締めくくりました。

多くのカタカナ用語には、日本に存在しない概念が含まれます。例えば、コミュニケーション、コントロール、マネジメント、リーダーシップ、ゲーム、パワーなどは、日本語にうまく翻訳できません。 うま味成分(グルタミン酸)を知覚できない諸外国人には、“だし”という日本語を理解できないのと同じ理屈です。“いちゃりばちょーでー”という沖縄語を理解できない日本人も多いことでしょう。ですから、あなたが安易に使う片仮名には十分に気をつけてください。


■ 問いかけ

<問1>
自分で書いたメールや報告書に出てくるカタカナを全て拾い上げなさい。そして、頻出頻度や文書全体に占める割合を定量的に測定しなさい。

<問2>
あなたは、次のカタカナを文書から完全に削除できますか?
・コミュニケーション
・マネジメント
・プロジェクト
・サンプル
・フォーマット
・モデル
・シンプル
・サポート
・リスク
(↑思いつくまま書き出しました)

<問3>
上記のカタカナのうち、あなたの文書から完全削除できないものを挙げて、それぞれ削除できない理由を分析しなさい。

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Comments

賛成ですね。

Posted by: タケチャン | August 21, 2009 at 07:44 AM

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