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NEC、2010年3月までに中国オフショア加速で100億円削減を目指す

NECは、ソフトウェア開発の製造原価を連結ベースで300億円削減すると発表しました。中国オフショア開発にとって、この動きは追い風となるでしょうか。

一般に、大手によるシステム開発の原価削減は、内的な方法と外的な方法に大別されます。

(1) 内的:プロセス改善、技術革新などによる生産性向上
(2) 外的:外注先の集約と見直し、オフショア比率の向上

NECの2008年度有価証券報告書から、関連する項目をざっと洗い出します。

2008年度「IT/NWソリューション事業」
・従事者:81,701名
・売上高:2兆7,239億円(▲5.0%)
・営業利益:1,249億円(▲22.3%)
・研究開発費:1,625億円
・設備投資費: 218億円(▲8.9%)

NECは、今年度から「ITサービス/SI分野」というセグメントで決算数値を出すようになりました。当ブログにとって、大事な数値はこちらです。

<NEC、2008年度「ITサービス/SI分野」>
・売上高:8,245億円(▲1.0%)

NECグループ全体の売上高は、NTTへの依存度が高く11.2%を占めるとのこと。もっとも、SI分野はそこまでNTTへの依存度は高くないと思いますが。

NECの2009年度第1四半期報告書から、最新の営業状況を確認します。

<NEC、2009年度第1四半期「ITサービス分野」>
・売上高:1,697億円(▲7.6%)
・営業損益:▲1億円(前年比同期比 30億円改善)
・研究開発費:11億円

世界不況の影響によって、NECに限らず大手のSI分野は軒並み前年同期比から大幅な売上ダウンとなっています。例えば、日立製作所の2009年度第1四半期の売上高と営業利益は、それぞれ前年同期比21%ダウン、86%ダウンとなっています。

<日立製作所、情報通信分野2009年度第1四半期>
・売上高:4,716億円(▲21%)
・営業損益:32億円(▲86%)


ここで話題をNECに戻します。NECグループ「ITサービス/SI分野」2010年度の売上高は、第1四半期実績を単純に4倍するとおよそ6,800億円。昨年実績のマイナス7.6%だとすると、8,245億円 x 0.924 = 7,618億円。

今回、NECが目指す300億円の開発費削減とは、営業利益をおよそ4%改善させる効果に相当します。

NECのソフト開発外注比率を50%とすれば、外注高はおよそ3,500億円。ということは、「300億円の開発費削減」とは約9%の外注費削減となります。

NECのソフト開発外注比率を60%とすれば、外注高はおよそ4,200億円。ということは、「300億円の開発費削減」とは約7%の外注費削減となります。

逆に、今年度のNECのソフト開発外注比率が30%とすれば、外注高はおよそ2,100億円。ということは、「300億円の開発費削減」とは約14%の外注費削減となります。つまり、外注比率が低いほど開発削減という手段は厳しい選択だといえます。

2009年度第1四半期の営業損益が▲1億円という危機的な状況を打開するために、NECは従来の下請け業者(business partner)に「開発費○%一律削減」と通達する手もあります。ところが、今回はパートナー企業の集約と中国オフショア拡大で乗りろうと考えているようです。

・従来2000社の下請け → 130社に集約し、200億円のコスト削減
・中国オフショア加速 → 100億円のコスト削減


<クイズ>
NECの2009年度ソフト開発/SI年間売上を7,000億円、外注費を3,348億円(外注比率=半分弱)だと仮定します。さらに、話を単純化するために、NECは毎月30,000名の外注を使っており、年間では36万人月分を外注していると仮定します。

NECが外注する毎月30,000人のうち、10%の3,000人月が中国オフショア発注人月工数だとします。

現在の国内外注単価を100万円/人月
現在の中国外注単価を 30万円/人月

「国内下請け業者の整理整頓で200億円の外注費削減」「中国オフショア加速により100億円の外注費削減」という2つの目標を同時に達成するためには、国内外注比率と国内外注単価、そして中国オフショア比率と中国発注単価それぞれどの値に設定すればよいでしょうか?

SI開発コストを300億円削減 NEC http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20091017AT1D1101H16102009.html

NECは2010年3月期中に情報システム構築とソフトウエア開発のコストを前期比で300億円(連結ベース)削減する。下請け会社への発注の集約や、海外へのソフト開発委託を進める。同社は10年3月期中に連結ベースの資材調達費・外部発注費を前期比で約1割(2000億円)削減する収益改善策に取り組んでおり、その一環となる。
NECグループが取引するシステム構築・ソフト開発の下請け会社約2000社のうち、取引の多い約130社で組織する「NECソフトパートナー会」を発足させた。所属企業に業務を集中的に発注し、1社当たりの発注額を大幅に増やしながら発注単価を引き下げる。この分で200億円のコスト削減につなげる。さらに中国を中心に海外へのソフト開発委託を加速することで100億円の削減を目指す。(日経新聞 2009/10/17 07:00)

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