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あえてメモを取らずに話を聴くエポケー(epokhe)実習

先日、東京・代々木にて、第36回オフショア開発勉強会が開催されました。テーマは、異文化接触において関係調整能力を高める実践トレーニングです。主に3つの観点から先入観を持たず異文化相手と接触するエポケーの実践を練習しました。

・言語(Verbal)
・声の調子や大きさ(Vocal)
・態度・見た目(Visual)

参考:コーチング的な「相手の話を要約」する努力は不要

声の調子や大きさ(Vocal)

・心を開いて相手の話を聞いている態度を示すために、ときどきは相手が発した言葉を使って「~ですね」と質問形で確認する。このとき「~ですね」の語尾「ね?」を柔らかく上げる。残念ながら、文章では「ね?」の微妙な調子を伝えられません。

態度・見た目(Visual)

・初対面の相手と関係構築することが目的なら、あえてメモを取らずに体全体を相手に向けて話を聴く。

・「関係調整」という目的を見失わない限り、コーチングやNPLでよくあるテクニックはそのまま使える。

・国民文化によって「手の動き」「頷き」「アイコンタクト」の方法は異なる。例えば、日本人は首を縦に振る頷きの回数が多い。 瞬きの回数も多い傾向にある。

・↑のテクニックや知識を知っていると得するが、かといって不自然な作り笑いや大げさな同意/頷きなどは不要。エポケー(判断 保留)の精神を発揮すれば、自ずと傾聴の姿勢となる。残念ながら、文章では「態度・見た目」の微妙な調子を伝えられません。


■ 問いかけ ■

異文化トレーナーの指導のもと、勉強会参加者は一斉にロールプレイを体験しました。エポケー実習終了後、参加者からは続々と質問の手が挙がりました。あなたなら、下記の質問にどう答えますか。

<問3>日本人相手のエポケーは確かに効果的だが、果たして中国人にも通用するか。すなわち、普通の日本人SEが言葉遣い・声の調子・見た目や態度を工夫すれば、オフショア開発ですぐに効果が上がるものなのか。

<問4>かつて「相手の話を聞くときにはメモを取った方が真剣味が伝わる」と教わったことがある。エポケー実習の教えとは矛盾するがなぜか。

<問5>オフショア開発の現場では、face to face の異文化接触よりも、TV電話やスカイプ通話などのコミュニケーションが多い。すると、今回のエポケー実習の内容は、オフショア開発現場ではあまり使えないのではないか?

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Comments

<答3>通用する。エポケーの効能は、言語や文化の違いを超えて相手のパーソナリティ(personality)に直接作用するから、オフショア開発でもすぐに効果があげられると期待される。

Posted by: 幸地司 | March 03, 2010 at 12:12 AM

<答4>矛盾しない。なぜなら「目的は同じだが手段が違う」もしくは「目的が違うので比較にならない」と考えるから。エポケー実習では、会話記録の正確さよりも、未知との遭遇に際して不必要に意味付けせず「ただ受け入れる」ことが要求される。


<答5>いいえ、「見た目・態度」に関するエポケー技法は使えないが、その他の「声の調子」や「言葉遣い」に関する技法は十分に使える。さらに、オフショア開発勉強会では紹介しなかった「プラスα」の技法は、TV会議やスカイプ通話でも効果がある。一方で、エポケー活用の目的と、オフショア開発におけるTV電話やスカイプ通話の目的は異なる。前者は「関係調整」のため、すなわち、相手と「仲良くなる」ことが目的。後者は仕様伝達などの業務遂行が目的。前者が「コンテクスト依存」を許容するのに対し、後者はできるだけ「コンテクスト非依存」を目指す。

Posted by: 幸地司 | March 03, 2010 at 12:13 AM

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