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異文化環境で他人に影響を与える正当パワー

最近、私の中国研修コンサルティングでは、意識して孫子の兵法を引用します。中国人SEに向かって「日本ではこうなのでこうしましょう」と叫んでも、彼らは到底納得しませんから。

×「日本では・・・です」 いまいち説得力なし
○「欧米MBAでは・・・」
○「米国コンサルティング会社の調査によると・・・」
◎「孫子の兵法にもあるように・・・に注意しましょう」 

ちなみに、悪い例として挙げた「日本では・・・です」によって他人を指導する力を「強制パワー」と言います。

同様に、第二番目に挙げた欧米MBAでは」による指導力を「専門パワー」と言います。第三番目に挙げた「米国コンサルティング会社の調査によると」による指導力も「専門パワー」でしょう。

そして、孫子の兵法を引用することによって強化される指導力を「正当パワー」と言います。

心理学の研究では、人や組織の行動に影響を与える力として、その他にも「報酬パワー」や「準拠パワー」などが知られています。

日本屈指の人事コンサルタント川上真史は、これからの上司や教育担当者は「正当パワー」を使って人を動かすべだと主張します。

自分に従わなければ処罰も辞さないと脅す強制パワーは、多様性の受容に弱点があります。高い知識や技術に裏付けられる専門パワーも、その価値が陳腐化すると途端に影響力を失ってしまいます。

準拠パワーとは、カリスマ人材への憧れや尊敬に基づく強力な影響力ですが、当人への依存度が大きいのが難点です。

一方、正当な権限や論理に基づく正当パワーは環境変化に強く、文脈依存を減らしたい異文化ビジネスにおいて最も効果的な影響力だと言えます。

中国人なら孫子の兵法を誰でも知っているので、「孫子の兵法では・・・」による指導力は専門パワーではありません。さしずめ、「正当パワー」と「準拠パワー」の合わせ技といったところでしょうか。

■ 問いかけ ■

下記(1)~(3)に示す影響力の種類を判別しなさい。

選択肢:強制パワー、報酬パワー、専門パワー、準拠パワー、正当パワー

(1) 日本の職場では、今でも付き合い残業と呼ばれる習慣が根強く残っています。日本人従業員を残業させる影響力の種類は何ですか。

(2) 単体試験終了後も仕様変更を繰り返す日本のお客様。でも「とにかく対応するしかない」と連日残業して対応するオフショア企業。オフショア企業を動かす影響力の種類は何ですか。

(3) 中国オフショア拠点のリーダーAさんは、日本人担当者が中国出張する度に「日本製粉ミルク」を買ってきてもらいます。出張者はAさんのため喜んで重い荷物を運びます。中国人リーダーAさんが発揮した影響力の種類は何ですか。

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孫子の兵法を引用いて指導力強化

最近、私の中国研修コンサルティングでは、意識して孫子の兵法を引用します。すると「欧米MBAでは・・・」と前置きするのと同じくらい説得力が増します。「日本ではこうなのでこうしましょう」といっても、納得いかないですから。

×「日本では・・・です」 いまいち説得力なし
○「欧米MBAでは・・・」
○「米国コンサルティング会社の調査によると・・・」
◎「孫子の兵法にもあるように・・・に注意しましょう」 

<使用例>

×「日本では、業務外の飲みニケーションが大切です」

○「心理学の研究で有名なメラビアンの法則(※)によると、コミュニケーションの約90%は非言語で占められます。互いにhigh-context cultureである中国人と日本人が協力するには、作業前のinformalな交流が欠かせません」

※諸条件あるので一概には言えないものの、と前置きした上で説明。

◎「孫子の兵法では、己を知り相手を知れば百戦危うからずと言います。あなたは、発注元の日本人担当者について何を知っていますか。仕事相手の性格や背景を知らずに、どうやって顧客満足を高めますか?」

ちなみに、悪い例として挙げた「日本では・・・です」によって他人を指導する力を「強制パワー」と言います。そして、孫子の兵法を引用することによって強化される指導力を「□□パワー」と言います。

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社用車の私的利用を禁じた上司の奥さんからの困った依頼

中国の公務員試験で出題された珍問より。

あなたは、田舎の工場に勤務する役員秘書だとします。ある日、上司である役員の奥さんから「今日車で送って欲しい」と頼まれました。すなわち、社用車を手配して欲しいとの依頼です。ところが先週、役員(旦那さん)から全従業員に対して「社用車の私的利用禁止」との命令が下されたばかりです。

あなたは、役員秘書として、どう対応すべきでしょうか。以下の4通りについて、それぞれ答えなさい。

(a) 日本の日本企業での話。上司は日本人。
(b) 中国の日系企業での話。上司は中国人。
(c) 中国の中国企業での話。上司は中国人。
(d) 中国の国営系企業での話。上司は中国人。汚職撲滅運動中。

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駐在員の医療リスク対策実例「中国でヘルニア治療」

中国の大都市に駐在するある日本人は、持病のヘルニアが悪化したため市内でも指折りの総合病院(国営系)に駆け込みました。

ところが、診察した中国人医師は「やれMRIスキャンを撮れ、料金前払いせよ」と患者の苦悩には一切関心を持ちません。挙句の果てには、すぐに「手術だ!」と結論を急ぎます。

しかも、そのMRI画像を他患者に見せびらかして、「君たちも早めに治療しないと、この日本人のように背骨が出っ張って歩けなくなりますよ」と大声で院内営業します。

中国の有名総合病院ですら、個人情報保護など何処吹く風。

突然の宣告に驚いた日本人ヘルニア患者は、東京本社から紹介された日本勤務経験を持つ別の中国人医師にも相談。すると、彼もMRIを見るなり「あまり急ぐ必要はないものの・・・」と前置きした上で、やんわり手術を勧めました。

あまりのショックに呆然とする日本人ヘルニア患者さん。ようやく立ち直り、改めて本社経由で日本人医師にMRI画像を観てもらいます。すると、このような回答でした。

「手術は不要です。もし・・・などの症状が出た場合には緊急手術
 が必要ですが、現状では運動と減量で様子を見てください」

それ以来、この日本人駐在員は、中国の医者を信じなくなりました。

<問>なぜ、中国の医者は、すぐに「手術だ!」とわめくのでしょうか。マネジメントの観点から、あなたの仮説を述べなさい。

結局、この日本人駐在員は総合病院(国営系)での治療を諦めて、ある日本人向け医療支援サービスを利用して別の病院で治療を続けました。もちろん、手術はなし。リハビリテーションの専門医師(中国人)の牽引によって、痛みはすぐに和らぎました。

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仕事を進める上で最も大切なこと

オフショア大學の新刊より。

問題:仕事を進める上で最も大切なことは何か。
答え:[ ............................. ]

(『SEの「品質」力』(技術評論社)p97より)

「仕事を進める上で最も大切なことは何か」の答えは、業種業態だけではなく、会社固有の風土によっても変わります。

ある情報システム再構築案件の応札に参加した日本SI企業は、事前の相見積もりの結果、価格面で最も低評価だったと発注元からコメントされました。発注元は、あえて事前評価を各応札者にフィードバックすることで、本評価での再挑戦に期待していました。

ところが、見積額が最も高かった日本SI企業にその事実を伝えた後、同社との連絡がぷっつり途絶えてしまいました。

どうやら、受注案件の絶対額で評価される営業担当者と部署全体の利益率で評価される部長との間で衝突が発生した模様。結局、同社は正式見積もりすら出さず勝負から降りてしまいました。

顧客第一主義は万国共通だと思われがちですが、顧客利益と社内都合なんて、我が国においても年中対立しています。

中国の大都市に駐在するある日本人は、持病のヘルニアが悪化したため市内でも指折りの総合病院に駆け込みました。ところが、診察した中国人医師は「やれMRIスキャンを撮れ、料金前払いせよ」と患者の苦悩には一切関心を持ちません。挙句の果てには、すぐに「手術だ!」と結論を急ぎます。

 ・・・この話の続きは、また今度。

さて、あなたの組織では、以下の質問に対する答えはメンバー間で統一されていますか。また、答えが導かれた根拠もメンバー間で統一されていますか。

問題:仕事を進める上で最も大切なことは何か。
答え:[ ............................. ]

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丸投げ禁止

東京都建設局、味のある仕事をしていますね。
・コストの上昇
・品質低下
・責任の放棄
・優良企業の発達阻害

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素朴な疑問「日本人SEの活躍機会が徐々に減少?」

あなたは、今年4月入社予定の新米プログラマから次の質問を受けました。あなたは、先輩または上司として、新米プログラマの素朴な疑問に答えなさい。

<問3>クラウドコンピューティングの進展、オフショア開発だけではなく、保守運用までもが海外移管されるこの時代。わたしは、英語なんてしゃべれませんし、できればずっと日本で働きたいと思っています。この先、日本人SEの活躍機会は徐々に減少していくのではないでしょうか。

<回答結果>
Japanese_se_opportunity
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/

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よい子のための「なぜ地震になると略奪?」

<問>.あなたは小さな子供から「なぜ、外国では地震になると略奪が起こるの?」と質問されたとする。その子をGlobal人材に育てたいなら、どう答えるべきか?

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素朴な疑問「最近のオフショアってどう?」

あなたは、今年4月入社予定の新米プログラマから次の質問を受けました。あなたは、先輩または上司として、新米プログラマの素朴な疑問に答えなさい。

<問1>以前のオフショア開発は失敗だらけでしたが、最近はどうなんでしょうか?

<問2>以前のオフショア開発はよかったですが、最近は中国の人件費が高くなってきたのでメリットが小さくなったのでは?

・・・
・・・
・・・

2010年3月5日追記

<答1>どの会社も、一度くらいは失敗するもの。実は、オフショア開発の成功事例は多い。一般にプロジェクトの成功事例を聞いても、退屈なだけでつまらない。しかも、苦労を重ねてようやくオフショア開発で失敗しなくなった会社が、堂々と「うちはオフショア成功した」と自慢するワケがない。「オフショアは相変わらず失敗ばかり」と思っている人は、選択的認知と呼ばれる認知バイアスに陥っていると自覚せよ。

<答2>答えはYesかつNoだ。優秀な中国人SE・PMの賃金は、毎年のように上昇している。ただし、チーム全体でならした中国人SE単価は、過去10年間ほとんど変化していない。生産性の向上が、人件費の向上を上回っているのだ。しかも、ダンピングも横行しているし。一方、中国法人の運営コストは毎年のように上昇しているため、原価削減だけが目的だとオフショア子会社所有のメリットは小さくなってきた。

JETROの2009年度調査レポートによると:
中国日系企業(通信・ソフトウェア業)のスタッフ月収は3604元、マネージャの月給は9232元(たぶん手取り額)。会社側の年間負担額は、それぞれ65,057元と151,231元。これを高いとみるか、安いと見るかはあなた次第。

参考:JETRO(2010)、在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査 ―中国・香港・台湾・韓国編― (2009年度調査)

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