直属上司のみに従う傾向
昨年、中国子会社に赴任した日本人駐在員の部長さん(50歳)は、今月から役員に就任しました。立派な肩書きとは裏腹に、この駐在員は子会社での人事権を持っていません。
今月から子会社役員として張り切る日本人駐在員は、社内を歩きまわって得意の現場改善に乗り出しました。
早速、社内で真っ先に目についた中国人SE(28歳)に対して、改善指導を与えました。この現地法人では、ソースコードレビューは日本本社と同様にチームメンバーを一同に集めて、PCプロジェクターを使って全員で一つのコードを精査する方式をとっています。
ところが、注意を受けた前出の中国人SEは、忙しさのあまり自席で独りソースコードレビューを済ませていました。何か問題を発見すれば、該当箇所を制作した担当プログラマを自席に呼びつけて、個別に指導する簡易レビュー方式です。
ここで予想外の事態が発生します。本社で部長にまで上り詰めた実績豊富な日本人駐在員の助言であっても、この中国人SEは一切聞く耳を持ちません。指導を受けた中国人SE曰く「規則通りにソースレビューしたら納期に間に合わない」。
一向に改善されない現場に業を煮やした日本人駐在員は、当該SEの直属上司に相談しました。直属上司は、中国人の課長(33歳)です。すると、今度は全く同じ指導にもかかわらず、驚くほど素直に指示に従いました。
■ 問いかけ ■
日本人駐在員は、こう結論づけました。
中国では「何」を言ったかではなく、
「誰」が言ったかがより重要である。
また、中国人SEは直属上司のみに従う傾向が強い。
あなたは、この意見に同意しますか?
また、あなたなら、この日本人駐在員に対して何を助言しますか。
The comments to this entry are closed.








Comments
こんにちは
ただこちらの考えをいいます。
簡易レビューと精査する方式を選ぶことですね。
プロジェクトの頭に(見積もりのとき)、見積もりをした人(たぶん該当SE)のイメージにかかわると思います。該当SEはレビューへの考えはレビューが「簡易レビュー」しかないであれば、「精査する方式」にかわるとコストアップになります。多少プロジェクトへ影響が出ってしまいます。その場合は責任者(直属上司)の承認を受けないとよくないと思います。
Posted by: ある中国SE | April 20, 2010 12:11 AM
今晩は。
その見解には同意です。
中国人である私からの理解です。
自分の権力に拘る人が多い分、いくら上司でも直属部下以外の部下に口出しするとその部下の直属上司が嫌がることがあるのと、駐在員は結局派遣社員の立場でしょうから権力が一時的だと言うことで従わない人が多いでしょう。
SEに限る話だとは思いませんけどね。地元の実権派(?笑)に嫌われないように工夫しながら行動をとるべきかと思います。肩書きだけの勝負ではないでしょうから。
Posted by: 朴勇進 | April 24, 2010 12:12 AM
>ある中国SEさん
ご意見ありがとうございます。計画時に見積もりした人と実際のレビュー実施者の違いを念頭においてマネジメントすることは大事ですね。特に個人間の考えの偏差が大きな中国では。
>朴勇進さん
地元の実権派に嫌われないことは中国駐在員の基本原則です。実際には、周囲に嫌われないことを優先して、現地に飛び込めない日本人駐在員or出張者が多いようです。これでは、立派な肩書きがあっても、中国子会社で成果をあげられるはずがありません。
Posted by: 幸地司 | May 01, 2010 09:06 PM
最近、私も日本人の担当者と、簡易レビューが適当なのか、もしくはちゃんとしたレビューが必要なのか、少しディスカッションしました。実際に、どれを取っても、最初にプロセスを定める必要があります。スケジュールが決まってから、やり方が変わるわけではないと思います。そして、確かに、中国人として、もっと偉い人から指示がある場合には、直属上司に承認を得る必要があると認識していますね。
Posted by: 李 | May 04, 2010 07:04 PM