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オフショア開発やりがい成熟度の三段階

「日本向けオフショア開発の仕事はつまらない」という中国人SEの不満をよく耳にします。中国人SEが日本向けオフショア開発がつまらないと感じる理由は、主に3つあると思います。

1)挑戦的な技術課題が少ない
2)ハイリスク、ローリターンである
3)仕事の裁量権が小さい

あくまでも私見ですが、オフショア開発がつまらない3つの理由のうち、最も重要なものは(3)です。

中国では「裁量権を与える=放任」が一般的ですが、実際には中国に仕事を丸投げしても、仕事の面白さが増すことはありません。オフショア開発のやりがいを高める有効な対策は、組織の成熟度によって変わります。次の三段階が参考になるでしょう。

<オフショア開発やりがい成熟度に応じた対策>
第一段階:未成熟組織ではつべこべ言わず「目標管理」
第二段階:目標設定を現場に「権限委譲」
第三段階:自主的「コミュニティ」を運営し知見共有化を促進

オフショア開発を面白くするキーワードは、高い交流頻度によるビジネス目標の共有化です。決して「最新技術の習得」や「快適な職場環境」「良好な人間関係」ではありません。確かにこれらの要素は大切ですが、十分条件ではありません。

オフショア開発におけるビジネス目標の共有化とは、現場メンバー全員が顧客視点に立って定性的目標や対象ソフトウェアの社会的意義を理解することです。

×バグ密度○件/ks を守る。なぜなら規則だから。
△バグ密度○件/ks は日本の「当たり前品質」に過ぎないと自覚
◎バグ密度○件/ks を必達。そうしないと製品リコールが発生する

■ 問いかけ

<問1>
あなたの組織では、バグ密度目標は存在しますか?(Y/N)
※あなたの答えがNなら、まずは目標管理から始めましょう。

<問2>
バグ密度目標は、顧客のビジネス目標と合致しますか?(Y/N)
※あなたの答えがNなら、目標設定の妥当性を現場に自主点検させましょう。そして、現場に目標設定プロセスの一部を委任しよう。

<問3>
バグ密度などの各プロジェクト評価指標は、対象ソフトウェアの社会的意義を根拠に設定された値ですか?(Y/N)

<問4>
あなたの組織では、上記質問に全員が正しく答えられますか?(Y/N)

<問5>
現在、あなたの組織の「オフショア開発やりがい成熟度」は何段階ですか?(1/2/3)


補足:
目標管理とは「Management by objectives」の日本語訳です。よって「目標による管理」がより正確な日本語表現となります。このような曖昧な日本語訳のせいで、現場では次のような運用ミスがしばしば発生します。

×目標管理=目標達成度合いを管理すること
×目標管理=目標をコントロールすること
×目標管理では、ノルマを達成すれば自動的に高評価が得られる

目標管理の定義から、この3つは全て間違っていることが分かります。目標管理という用語は誤解を招きやすいので、私ならわざわざ「目標を使って□□□□□□を管理すること」と具体的に書き下します。その方が分かりやすいでしょ。

なお、上記の□に入る答えは自分で考えてくださいね。しつこいですが、念のため以下を確認してくださいませ。

×目標管理=バグ密度目標を達成させるための仕組み/信賞必罰
△目標管理=バグ収束曲線を描いて、未来のバグ密度を予測する
◎目標管理=・・・・・・・・・

にしても「オフショア開発やりがい成熟度」って変な用語ですね、我ながら。一般に、従業員を目標管理でガチガチに縛っている間は、なかなかやる気は高まらないもの。米国人のDaniel Pink さんも、そうおっしゃっています。

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