オフショア保守担当者を悩ませる4つの課題
最近は、中国オフショア保守に関する問い合わせが増えています。一般に、中国でのオフショア保守で求められる役割は以下の通りです。これらの役割は、情報システム保守でも、組込系ソフトウェア製品保守でも同様だと考えられます。
・対日窓口
・インシデント分析/障害分析
・分析報告書作成
・プログラム修正工数の見積もり
・プログラム修正
・テスト
・テスト結果報告書作成
・翻訳/通訳
一般に、ソフトウェア保守で難しい業務は、障害分析(インシデント分析)とテストです。これは、中国オフショア保守でも同様です。
以下、中国オフショア保守でよくある課題を列挙します。
1)障害分析の深堀りが足りない
WHYを1~2回しか繰り返さないので、根本原因分析に至らない。
2)見積精度が狂うと、すぐに待機やリーダー負荷集中が発生する
小規模かつ短納期の障害対応を複数抱えることが日常茶飯事と化すソフトウェア保守では、ちょっとした見積もり誤りによって担当者の待機(私の仕事は終わりましたのでゲームします、他メンバーは残業対応なのに・・・)が発生する。偏った人員配置によって、一部のメンバー(通常はリーダー)への負荷が集中してしまい、全体の進捗が滞ってしまう「リーダー・ボトルネック」現象が生じてしまう。
3)不十分な回帰テスト
分散環境ゆえに、最終顧客での運用形態がイメージできないオフショア保守では、プログラム修正後にテスト漏れが発生することが多い。テストデータ不備、テスト項目漏れ、不十分なテストシナリオなどが主な原因である。
4)過剰な回帰テスト
分散環境ゆえに、最終顧客での運用形態がイメージできないオフショア保守では、プログラム修正後のテストで万全を期すために、全機能を人海戦術によってテストすることがある。日本側は「テスト観点を絞り込んで、無駄なテストを省くように」と何度も要望するが、「3)不十分な回帰テスト」を恐れる一部の中国側リーダーは知恵を絞るのではなく、汗をかく方を選んでしまう傾向がある。
このようなオフショア保守の課題については、6月開講のオフショア大學「品質講座」でも紹介します。乞うご期待。
■ 問いかけ
中国オフショア保守で作成される各種報告書に関する課題を書き出しなさい。日本語の課題や技術課題など、できるだけ細かい粒度で具体的に書きだすこと。
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