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オフショア保守における温度差

オフショア大學の授業では、よく「温度差」という言葉を使います。「昨日の電話会議では日本側と中国側の温度差が大きかった」という風に。

一般に、オフショア開発では、後工程になればなるほど温度差が生じます。そして、納品間際の切羽詰った状況で日中の温度差は最大化します。特に土日を挟んで来週月曜日午後に「納品」という状況下はエキサイティングです。

というわけで、常に納期間際のインシデント/障害対応を抱えるオフショア保守では、常にこの「温度差」に目を光らせておかねばなりません。

一般に、オフショア保守では、日本と中国の窓口が一本化しにくいため、常にN対Nのコミュニケーションパスが仮想空間上に存在します。優れた技術力を持つ一部の中国人SEは、日本語能力3級程度であっても日本側との対応窓口役が期待されます。このようなオフショア保守の独自性は、日中の温度差を生む要因にもなります。

今日は温度差に関するよくあるエピソードを列挙します。
(あえて開発と保守を区別していません)

<ケース1>
:来週の月曜午後一番に日本側で結合試験するのでよろしく。
:分かりました。それまでに間にあわせます。

→月曜日の午前11:30頃、中国から納品物がメールされた。ところが、フタを開けると、プログラムには細かい問題が発生した(バグや仕様認識のズレ、GUIの微妙な修正)。そのため、予定していた月曜午後一の試験は延期された。


:あなたは日本側での確認工数を考えましたか? 月曜午前ギリギリに納品するつもりなら、最初から中国で完璧なプログラムを作って納品してください(激怒)。
:バグについては申し訳ありません。これは些細なミスなのですぐに修正可能です。でも、仕様確認のズレやGUI修正については、中国のミスではありません。一方的に中国を避難するのは不公平だと思います。


<ケース2>
:来週月曜までに障害修正してください。お客様が困っています。
:分かりました。間にあわせます。

→日曜日の夕方18時頃、中国から納品物がメールされた。翌朝日本側の受け入れ担当者が納品物一式を確認したところ、障害対応レポートの半分が訳の分からない中国語で書かれています。契約では、ドキュメントは全て「日本語」で書くことになっています。

:障害対応レポートの半分が中国語になっています。これではお客様に提供できません。すぐに直してください。
:日本側の要求に従い、中国では月曜の試験までにプログラムを完成させて、テストも完璧にしました。ドキュメントについては弊社の他部署の通訳を土日出勤してもらって緊急に翻訳してもらったものです。機能回復を優先して中国ではプログラム作成を急ぎましたので、日本側でドキュメントを修正することは、いいですか?

:中国は自分の責任を放棄して、日本に仕事を押し付けるつもりですか?
:中国は障害対応と同時に依頼された(別件の)仕様変更に対応するために、これまで残業して今日の納品に間に合わせました。中国でドキュメント修正するなら、後一週間は必要です。本日中のドキュメント修正は不可能です。


<問1>オフショア開発における「温度差」を定義しなさい。

<問2>オフショア開発における「温度差」の発生プロセスを図解しなさい。例えば、温度差を個別要素に分解してピラミッド構造で図示、その後に利害関係者の役割を考慮してプロセス化するとよいでしょう。

<問3>オフショア開発とオフショア保守の違いに着目して、オフショア保守における「温度差」の対策を検討しなさい。

※参考バックナンバー
分散拠点間の温度差解消フェーズ
オフショア拠点との温度差を縮めたい
分散拠点の一体感を高める方法

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