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会議時刻を「知らない」と答えたら嫌われた

第5回目を迎える今年のオフショア大學交流会では、極秘に進められる出版企画の一部コンテンツを披露します。例えば、次のような小ネタです。

・日本語が堪能な中国人ブリッジSEに「午後の会議の開始時刻」を質問したら、一言「知らない」と。この場面では「知らない」ではなく「分からない」もしくは「分かりません」と反応するのが正解、と日本語のニュアンスについて指導した。「知らない」とは「知っているけどあなたには教えない」との意図が感じられるので危険、と補足説明。すると、お互いの信頼関係が・・・・・・となった。

・「今よりも生産性を高めると、品質が犠牲になる」と日本側の厳しい要求に対して中国人管理者が反発した。すると、日本側の担当者は顔を真赤にして怒りだした。なぜなら、中国人管理者の□□□によって日本人技術者の人生観の否定されたからである。

・日本人は、資料のホッチキス止めがズレているだけでも気持ちが悪い。文書体裁の穢れが見つかれば、その時点で「報告内容も悪い」、このような穢れに気づかない人の仕事は全て品質が悪い、と過度の一般化に陥る傾向がある。この話を聞いた中国人SEの反応とは・・・。

今週の土曜日(3/5)は、毎年恒例となったオフショア大學交流イベントが東京都目黒区で開催されます。「交流会」という名前から、顔見知りの仲間が集まってわいわい騒ぐだけの会食と誤解されがちですが、実際は違います。過去のオフショア大學交流会では、気楽な会食に入る前に、下記のようなお役立ち企画を実施してきました。

・オフショア大學修了生の発表会(2回)
・中国人大学院生の論文発表会(1回)

今年は前出のコネタを披露します。発表者はわたくし、幸地です。

■ 問いかけ

<問1>あなたの周囲にいる外国人に「分からない」と「知らない」の違いを説明しなさい。

<問2>あなたの周囲にいる外国人に「分かる」「分かっている」「知る」「知っている」の違いを説明しなさい。

<問3>一部の日本人は、部下が上司に対して「お疲れ様です」と声がけすることを不謹慎だと考えています。その理由をあなたの周囲にいる外国人に説明しなさい。

私の答えは、今週の土曜のオフショア大學交流会で発表します。

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国際電話会議で非公式会話を意図的に交わすタイミング

オフショア大學の調査によると、非公式×口頭コミュニケーションの量とオフショア開発の成功には強い相関があります(因果関係ではない)。そこから、非公式×口頭コミュニケーション量が少ない現場は危ない、という仮説が立てられます。

・公式コミュニケーションとは、定例進捗会議、正式なレビュー会議、正式な報告書、など。
・非公式コミュニケーションとは、「ほうれんそう」に代表される明文化されていないけど、日常的かつ非定期的に繰り返されるコミュニケーション、正式提出前の資料をOJT指導で赤ペンチェック、業務外の雑談や食事会など。
・文書コミュニケーションとは、文書によるコミュニケーション。
・口頭コミュニケーションとは、文書以外の口頭によるもの。

さて、ここでクイズです。

オフショア開発で毎週定期開催される国際電話会議において、業務外の非公式会話を意図的に交わす最良のタイミングはいつでしょうか。以下の選択肢から1つ選びなさい。「意図的に」を考慮すること。

(1)電話会議の開始時点
(2)電話会議の終了間際
(3)いつでもよい

結果を見る
締切:2011年02月05日18時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/


※以下、2011年2月9日追記

<答え> (1)

面談の冒頭、日本人はよく「お天気の話」をするといわれます。一方、中国人は人と会ったとき「ご飯を食べたか」「最近忙しい?」などと質問します。これらは、いずれも「人間関係の円滑化」が目的であり、額面通りの意味ではありません。

あらゆる会議は、信頼の確認(non-task relationship creation)から始まります。互いに相手を信頼する意思を確認した後に、当該業務に関する情報共有(task-related exchange of information)に移ります。

会議の終了間際は、意図せずとも自然に「業務外の非公式会話」が交わされる状態を目指します。

さらに、アイスブレイク(ice breaking)の観点からも、意図的に業務外の非公式会話を交わすタイミングは、会議の開始時点が相応しいと考えられます。

よって、(1)を正解とします。

オフショア大學では、文化的相違の観点から、信頼関係に関する以下の原則を繰り返し強調します。

・中国人は「親密」かつ「個人的」な信頼関係を好む
・日本人は会社に属する組織人として信頼関係を築く

・中国人にとって職場は「外部環境」である
・日本人にとって職場は「身内環境」である

・中国人は初対面の他人であっても気軽に話しかける
・日本人は「赤の他人」との接触を好まない
(飛行機の隣席に座った他人とは会話しない)

・中国人は「中間人(人脈の筋の良さ)」で信頼を図る
・米国人は紹介なしの飛び込み(cold call)でも商売できる
・日本人は□□□□□□□□□□□□

オフショア大學では、国民文化に依存しない汎用的な信頼関係の原則についても、いくつか講義で取り上げます。

・接触頻度が高いほど、相手との信頼関係は強化される
・非公式×口頭の交流量とプロジェクト成否は相関する

<問1>オフショア開発の国際間電話会議において、非公式×口頭による接触頻度を高める手段をできるだけたくさん挙げなさい。

回答例:
・電話で発言する前に自分の名前を名乗る
・中国語の発音で相手の名前を呼びかける

<問2>「遠くの親戚より近くの他人」という諺は、元々は中国で生まれた言葉です。一方で、中国人はどんなに遠く離れていても、血縁関係や親友/学友を頼りにする習慣があります。中国オフショア開発に限定したとき、有効な人脈はどれですか。

遠くの親戚/友人より近くの会社関係
近くの会社関係より遠くの親戚/友人

結果を見る
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締切:2011年02月16日18時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/

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本当にあったら怖い「調子はどう?」「関係ありません」

オフショア大學でもお世話になる中国語学者の相原茂先生によると、中国語の「借」は、モノを借りよとする動作そのものを表現するだけであり、実際に借りられたかどうかの結果は問いません。

参考:動作の意図の実現にまでは関心を示さない中国語の動詞

●中国オフショア委託先に実機テスト環境がないので、日本から借りないといけない時の進捗報告での「借了半天,没借到」。

日「実機テストはどうなりましたか?」 
中「実機テスト環境をずっと借りましたが、借りませんでした」 日「・・・?」

●実際に見聞きしたことはないけど、あったら怖い下手な日本語訳。

日「最近、調子はどうですか?」
中「関係ありません」
日「・・・なんと失礼な! プンプン」
中「没関係 を日本語で言ったら、怒られた」

●実際に発生した「言葉の壁」による伝達ミス。

日「異常系テストはやりましたか?」
中「いいえ、異常系テストはやりません」
日「なぜですか??(怒)」

日「異常系テストはやりましたか?」
中「今日終わります」
日「なぜですか?? 先週末で完了予定のはずですよ(怒)」
中「ですから、今日終わります」

既に終わっているのに日本語表現が間違っている、という笑い話。

●実際に似たような誤訳があった笑い話。

日「このテストの組み合わせは珍しいですね」
中「え、予算は大丈夫ですか?」(珍=高価)

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動作の意図の実現にまでは関心を示さない中国語の動詞

「借了半天,没借到」

この中国語を下手な日本語として直訳すると、以下の通りです。

「ずっと借りましたが、借りられませんでした」

中国語の動作動詞はその動作・行為そのものを表し、動作の結果までは示しません。つまり、動作の意図の実現にまでは関心を示さないという傾向が強いと言えます・・・

(相原茂著『はじめての中国語の文法書』より)

オフショア大學でもお世話になる中国語学者の相原茂先生によると、中国語の「借」は、モノを借りよとする動作そのものを表現するだけであり、実際に借りられたかどうかの結果は問いません。

なるほど。それで「了解しました」や「テストしました」の意味が、日本と中国とで異なるのだと理解しました。

中「了解しました」
日「では、いつ頃、作業は完了しますか?」
中「まだ、作業に着手するかどうかは分かりません」
日「・・・? たった今、了解したと、言いましたよね?」

中「テストしました」
日「早かったですね。早速モジュールを送付してください」
中「はい、1週間後でよろしいでしょうか?」
日「・・・?」

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従業員満足度アンケートでありがちな不適切な設問

ある中国オフショア開発現地法人では、従業員の離職を防止するために大規模な従業員満足度調査を実施しました。以下の選択肢の中から、最も不適切なアンケート項目を1つ選びなさい。もし可能なら、あなたが答えを選んだ理由をコメントボードに記入しなさい。

(1)仕様変更の発生状況を問う
(2)個人キャリアの発展方向性を問う
(3)給料への不満があるかどうかを問う
(4)周囲から温かい支援があるかどうかを問う
(5)会社で発注するお弁当に対する評価を問う

結果を見る
コメントボード

締切:2011年02月09日18時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/


※2011年2月9日、以下の<答え>を追記

<答え> (2)

2つの観点から解答を導きます。1つ目は従業員満足度調査の目的、2つ目は「大規模」な社内調査の効果性です。

●従業員満足度調査の目的

設問の従業員満足度調査の目的は「離職防止による競争力の向上」です。社内調査でこの目的を達成するためには、2つの観点からアンケート項目を設計します。

調査観点1:企業戦略が意図するあるべき姿と実態との乖離度合い
調査観点2:人材マネジメントの実施状況に対する個人的な評価

調査観点1に対応するアンケート項目は、「組織の~の状況はどうなっているか?」「組織の~は適切な状態であるか(Y/N)」などの質問形式となります。例えば、選択肢(1)(4)は、オフショア現地法人の実態把握に役立ちます。

調査観点1では、あるべき姿と実態との乖離度合いを従業員がどう認知しているかを測定しますが、実態に関する個人的な評価(善悪、好き嫌い、自分にあうあわない)は問いません。

選択肢(2)「個人キャリアの発展方向性を問う」は、調査観点1ではないことは明らかです。

調査観点2に対応するアンケート項目は、「組織の~の状況について、あなたはどう感じるか?」「組織の~の状態をあなたはどう評価するか?」などの質問形式となります。例えば、選択肢(3)(5)は、オフショア現地法人の実態に対する個人的な評価(善悪、好き/嫌い、あう/あわない)の把握に役立ちます。

選択肢(2) 「個人キャリアの発展方向性を問う」は、従業員の気持ちや態度・評価を可視化するための予備情報といった位置づけです。

●「大規模」な社内調査の効果性

選択肢(1)(3)(4)(5)の調査項目は、一律の質問によって測定可能です。ところが、選択肢(2) 「個人キャリアの発展方向性を問う」だけは、ヒアリングとデータ解析に時間を要します。そもそも、個人キャリアの発展方向性は、従業員満足度調査ではなく、人事査定や日頃の管理活動で扱うべき観点です。

よって、(2)を正解とします。

最後に理解度チェックのための確認問題です。

<問1>以下の選択肢は、中国オフショア開発現地法人で実施される大規模な従業員満足度調査の質問として相応しいですか? 2つの調査観点を考慮して答えなさい。(Y/N)

(6)この会社は従業員のキャリア発展を積極的に応援しているか
(7)この会社で長く働けば、あなたのキャリア発展に役立つと思うか
(8)3年間の日本勤務が必要となったら、あなたは受け入れますか

<答>
(6) Yes ... 調査観点1に相当
(7) Yes ... 調査観点2に相当
(8) 自分で考えよう!

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