« 授業の最後に「問題がある」と言われてドキッとする | Main | 電話会議では全員に発言機会を与えるべきか? »

「質問あるか?」が「有没有問題?」と訳される

前号「授業の最後に「問題がある」と言われてドキッとする」の続き。

オフショア大學の中国人向け講座では、授業の最後に「先生、問題があります」と手を挙げる学生がいます。

私は苦笑いしながら「何の問題ですか~?」と指摘します。

すると、手を挙げた学生は、すぐに間違いに気づいて「すいません、問題ではなく、質問です」と訂正します。

二つの日本語「問題」と「質問」を比べたとき、通常のビジネスでは問題の方がより重い意味を持ちます。それは以下の会話から一目瞭然です。

「課長、質問があります」「何だね?」(平然)
「課長、問題があります」「どうした!?」(少し動揺)

ところが、中国語では「質問」の方が「問題」よりも重い意味を持つことがあるそうです。したがって、日本人と中国人の間で、次のような不可思議な会話が成立してしまいます。

日「何かご質問はありませんか」 Question
中「有没有 問題?」      Question

中「没問題」          Question
日「問題はありません」     Trouble

※日本語堪能な中国人リーダーが現場から状況ヒアリングし、結果をまとめて日本人に報告する場面。

この会話の最終段階で、ときどき「質問はない」が「問題はない」に置き換わってしまいます。中国ビジネスで発生する典型的な意思疎通の齟齬です。前出のとおり、中文では「質問」の語感の方が重く感じてしまうことがあるため、中国人が普段から使いなれている「問題なし」をつい口走ってしまうのです。

で、後日「あの時、問題はないと言っただろうが!」と日本人が怒りだします。

<参考>
日本人からの質問に怯える理由
動作の意図の実現にまでは関心を示さない中国語の動詞
「今日終わります」は既に完了済み

<謝辞>
本号のネタは、中国夜間行動学を実践研究するオフショア大學の某講師から提供いただきました。いつも、ありがとうございます。

■ 問いかけ ■

<問1>周囲の中国人を捕まえて、中国語の「質問」と「問題」の意味の違いを確認しなさい。
<問2>中国人がときどき「質問がある」を「問題がある」と言い間違うリスクを分析しなさい。

|

« 授業の最後に「問題がある」と言われてドキッとする | Main | 電話会議では全員に発言機会を与えるべきか? »

Comments

The comments to this entry are closed.