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「自立」ではなく「自律」と指導することに意味があるか

日本語が流暢な中国人スタッフ(ブリッジSE)と打ち合わが盛り上がると、つい油断して相手の理解度を確認せず話を次に進めてしまいます。

当社オフショア開発実践セミナーでも解説する「問題ありません」や「了解しました」は、日中同形異義語といっていいほど誤解を招きやすい表現です。

ここで、事例を1つ紹介します。

先日のTV会議で、日本から中国オフショア委託先に対して「じりつてき」に改善活動するよう要望がありました。中国人リーダーは元気よく「了解しました」と即答しました。その場に居合わせた私は、すぐに危ない気配を察知しました。

TV会議終了後、私は中国人リーダーに「じりつてき」な改善の意味を再確認したところ、彼は「自立的な改善」とホワイトボードに書きました。

些細なことですが、この文脈では「自立」ではなく「自律」です。今回の認識のズレが直ちに致命的な問題を引き起こすとは思えません。しかしながら、日本語が流暢なリーダーだからこそ、言葉を雑に扱う傾向があるのは事実です。

その典型は、何でも「はいはい」と軽く返事する態度です。

a)「中国でも、じりつてきに改善してください」→「はい」
b)「品質管理を強化してください」→「はい」
c)「次回のために新技術を自主的に学習しておいて」→「はい」

このような軽い返事「はい」に出くわしたら、相手が悪いのではなく、自らの伝達方法が甘かったという前提で、手間を惜しまず再確認することをお勧めします。

a) 「じりつ」が怪しい
b) 「管理」が怪しい
d) 「自主的」が怪しい

参考:オフショア大學メルマガ 2012/01/23(1,300号)数年先を見据えて自主的に先輩が後輩を指導すべきだ!?

■ 問いかけ

<問1>中国オフショア委託先で改善活動を指示する際、「自立」と「自律」の違いは結果に大きな違いをもたらすと思いますか。
(Y/N)

<問2>中国人スタッフに「自律的」な改善活動の定義を再確認させたところ、今度は逆に「自発的」と「自主的」と「主体的」の違いについて質問されました。
一般的な中国人SEリーダー(※)に対して、「自発的」と「自主的」と「主体的」の違いを分かりやすく説明しなさい。

<問3>一般的な中国人SEリーダー(※)に「プロジェクト管理を強化せよ」と依頼したら、彼は何から着手するでしょうか。

※「一般的な中国人SEリーダー」とは、過去に日本で短期滞在した経験はあるものの、基本的には中国企業でソフトウェア開発経験を積んだ28歳~34歳、日本語能力N3~N2のチームリーダーとする。

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「お土産」力はコンピテンシーか?

春節休暇が明けて1週間。あなたの会社でも本格的に業務が再開されたことでしょう。今週は、中国から日本への出張、あるいは逆に、日本から中国への出張が増えていると思います。

海外出張に欠かせない話題といえば「お土産」。

人間は「お土産が上手な人」とそれ以外の人に大別されます。

一般にお土産が上手な人は、贈る相手に喜ばれるお土産を費用対効果的に用意できる知識と技能を必要条件として備えます。

さらに、お土産の上級者は、お土産を贈る行為そのものに喜びを感じます。専門用語を使って言い換えると、お土産に関する一連の行動は内的に動機づけられています。

ここで、オフショア開発のために中国出張した日本人が遭遇したある出来事を紹介します。

登場人物:日本人出張者A(鈴木)、日本人出張者B(金城)

日本人出張者Aの鈴木さんは、1ヶ月間の中期滞在者です。年に数回、中国を訪問します。日本人出張者Bの金城さんは、翌日から2泊3日の行程で中国に入ります。

中期滞在者の鈴木さんは、会社近くのホテルに宿泊しています。普段から真面目でおとなしい性格の鈴木さんは、ホテルで問題が発生しても、つい黙って引き下がってしまいます。

そして、我慢できなくなった時点でようやく、オフショア委託先の管理部女性スタッフ楊さんに相談します。楊さんは、いつも笑顔で即時対応してくれます。中国語でホテル側と交渉する楊さんは、別人のように吠えまくります。日本人出張者にとって、本当に心強いスタッフです。

この日、鈴木さんは管理部スタッフの会食にお呼ばれしました。そこで、鈴木さんは、酔っ払った楊さんから笑顔で絡まれました。

「私たちはいつも鈴木さんのために頑張っているのに、鈴木さんったらお土産の一つも持ってこないですよね」

「す、すいません、次回は必ず!」。鈴木さんは恐縮します。


翌日、日本人出張者の金城さんがオフショア委託先に到着すると、大きなスーツケースからお土産を取り出して、真っ先に管理部楊さんのもとに向かいました。

いかにも女性スタッフが喜びそうな○○○○を手渡して、「これを管理部のみんなで○○してください」と。

鈴木さんは、遠くからその様子を見守りながら、昨晩の出来事を思い出し、そして舌打ちします。

「金城さんはいつも気が利くな。これじゃ、ますます自分の立場が危うくなる・・・」


中国に中期滞在する鈴木さんにとって、オフショア委託先は日本本社と同じ雰囲気です。そのため、わざわざお土産を買ってきて関係者に配るなんて発想は、とうの昔に消え失せていました。

対照的に、金城さんは根っからの盛り上げ役で、頼まれもしないのに大量にお土産を買ってきてプロジェクト関係者に配り歩きます。夜の宴会でも明るく振る舞って、場を仕切ります。

そんな金城さんをみて、鈴木さんはさらに自信をなくします。

「お土産にすら気を配れない自分は、中国オフショア開発に向かない性格なのではないか??? このまま中国で真面目に努力しても、自分の苦労は報われないのではないか???」

■ 問いかけ

お土産は、言葉の壁や文化的差異を簡単に超えることができる優れたコミュニケーション手段の1つです。この事実を踏まえて、お土産に関する以下の設問に答えなさい。


<問1>お土産を贈る力は、中国オフショア開発を繰り返し成功させる汎用的能力「コンピテンシー(Competency)」ですか?(Y/N)

<問2>お土産をすっかり忘れてしまった中期出張者の鈴木さんは、今後、中国オフショア委託先での立場が危うくなると思いますか?(Y/N)

<問3>金城さんと比べて自信を失いかけた鈴木さんに、温かい助言を与えなさい。

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