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プロセス改善の極意を知る方法

あなたは中国初心者だとします。

もし、あなたがプロセス改善の重要性を心底知りたければ、中国で庶民同様の生活を2週間続けてみなさい。いろいろ気づくと思います。

もし、あなたがプロセス改善しても(ISO/CMMI)全く現状が変わらないとお悩みなら、やはり中国で庶民同様の生活を2週間続けなさい。すると正しいルールやチェックリストを用いても、人々の行動の裏側にある動機が変わらない限り、変革は困難であることにすぐ気づくでしょう。

<例>食事場所を清潔に保つプロセス改善を阻害する要因

そもそも中国では、レストランであれ、一般家庭であれ、どうあがいても食事場所が散らかってしまう仕組みになっています。あなたが中国で庶民同様の生活を2週間続けたらすぐに気づくでしょう。あなたが周囲に同調する普通の日本人であれば、あなたも他の中国人と同様に、食卓でモノを食い散らかしてしまうでしょう。

いくつか例を挙げます。

・骨付き肉、丸ごと魚が食卓に並ぶ

中国では、肉や魚にしゃぶりつき、自分で骨をよけなければなりません。その際、口から骨を「ぺっ」と吐き出すのが中国式。お上品に肉と骨を分離してもよいですが、食卓はどうしても散らかってしまいます。

・食卓には汁も滴る美味しい料理が並ぶ

食卓に並ぶ料理の多くは、溢れんばかりの汁(油や野菜の水分)と共に出されます。例えば、辛そうな油に浮く魚を箸ですくって食べる料理は、どうしても食卓を散らかす要因になります。お弁当も同様なので、保存状態によっては悲惨な状態になります。

・食堂でコーラを頼んだら、客の目の前で栓を抜く(※)

インチキでないことを証明するために必要なプロセスです。白酒を頼むと、客の前で豪華な箱から取り出して、目の前で栓を抜きます。だから、どうしても、食卓にはゴミがたまりやすいのです。

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さて、厨房をのぞいてみましょう。

・中国の食材は、「丸ごと」購入が基本

私の親世代なら肌感覚で知っていますが、調理場で食材をまるごと使おうとすると、かなり無駄な部分が発生します。はらわたを捨てる魚はわかりやすい例です。野菜も意外に捨てる部分があります。中国では、チョットでも傷んでいると、すぐにポイっと捨てます。天然資源が豊かで値段が安いこと、それから、消費者が市場の品質を信じていないことから、庶民でも意外に過剰防衛します。

「これ、傷んでいるわ」といってポイっと捨てます。ゴミ箱へではなく、その辺に投げ捨てます。その結果、中国の厨房では、日本よりも遥かに破棄される食材(使えない部分)であふれています。

以上は、食卓の風景を題材に「どうしても散らかってしまう中国社会の仕組み」を紹介しました。この直接原因はプロセス設計に問題があるからです。

これが、冒頭の「プロセス改善の重要性を心底知りたければ、中国で庶民同様の生活を2週間続けよ」の意味です。

いや、失礼しました。

中国のプロセス設計に「問題」はありません。食の関連プロセスは中国文化そのものなので善悪の判断は不要です。単に「違う」だけです。

いずれにせよ、事ほど左様に、プロセスの違いは「結果の違い」を生み出します。プロセス設計が直接原因なので、プロセスを再設計すれば問題解決!のような気がしますが、そうは問屋が卸さないのが異文化間ビジネスの面白いところ。

ですよね。

もし、きれい好きな日本人が「骨付き肉、丸ごと魚が食卓に並ぶのが問題だ」と言ったらどうなるでしょう。さらに「中国でも、消費者に届く前にスーパーや市場で骨を綺麗に除去すべきだ、魚も綺麗におろしてパック詰めして販売すべきだ」なんて言ったら笑いものです。

つまり、上記のきれい好きな日本人が提案したプロセス改善案は、中国では脊髄反射で却下です。だから、直接原因に対応するプロセスを見直したくても、そうは簡単に事が運ばないのです。

これが、冒頭の「プロセス改善しても(ISO/CMMI)全く現状が変わらない」の意味です。

■ 問いかけ

以下の事例を読んで後の設問に答えなさい。

次の中国オフショア開発プロジェクトでは、頻繁な仕様変更が確実視されます。先日、中国側から「従来のウォーターフォールではなく、アジャイルをやりたい」と提案を受けました。

日本側の品質監査に相談したところ、レビュープロセスを省略せず、工程毎の品質基準を変えず、さらに、各種ドキュメントを従来通り納品してくれるなら「アジャイル開発」を採用しても構わない、と回答がありました。

そんなことは絶対に無理です。

<問1>
あなたが当該プロジェクトの当事者なら、中国側の提案に賛成しますか?(Y/N)

<問2>
あなたが当該プロジェクトの当事者なら、前出の「プロセス改善の極意」を参考にどのように対処するかを述べなさい。

追伸1: 文意を変えないまま、全体の文章を読みやすく書き直しました。
追伸2: 問いかけを追加しました。
追伸3: オフショア開発メールマガジン2010/05/06(第1,197号)より関連記事を一部抜粋します。

......(前略)
私が中国式「品質管理プロセス」として面白いと感じた事例を1つ紹介します。

中国の庶民的なレストランでコーラを頼むと、わざわざ客の前でプシュっとフタを開けます。そして、店員が親切にグラスに飲み物を注いでくれます。ミネラルウォーターを注文したときにも、同様にわざわざ客の目の前でペットボトルを開封して、親切にグラスに水を注ぎます。

当初、私は何でこんなに非効率的で、しかも、ありがたみの無い作法なのだろうと訝しがりました。でも今は、このような中国式品質管理プロセスの心が理解できます。
......(略)

私が中国初心者の頃、中国空港のカフェで紅茶を注文した時には、リプトン社製のティーパックがそのまま出されて目を丸くしました。原価1元にも満たないこの紅茶代に10数元も支払うのかよ! と苦笑いした自分が懐かしい。
......(略)

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コントロールのよい投手とマネジメントが得意な投手の違い

中国オフショア委託先の社内教育で出題されたマネジメントに関する一連の問題を紹介します。

(a) コントロールのよい野球の投手の特徴を挙げなさい。
(b) マネジメントが得意な投手の特徴を挙げなさい。
(c) この違いを踏まえて、品質コントロール(QC)と品質マネジメント(QM)の決定的な違いを明確化しなさい。

(出題:オフショア大學 異文化マネジメント講座/2012年3月)

■ 問いかけ

上記の問い(a)(b)(c)それぞれについて、対日業務で活躍する中国人SEリーダーの正解率を予想しなさい。あなたの答えの根拠もあわせて説明しなさい。

<回答例>
(a)(b) 5%以下。なぜなら、野球のルール自体を知らないから。
(c) 30%程度。なぜなら、・・・・・・(あなたの見解を書く)

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