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グローバル化への適応方法は1000年前に中国で発明済み

息抜きに最近読んだ本の紹介。

中国の歴史は、唐(中世)と宋(近世)の間で切れます。現在のグローバル社会の仕組みは、実は1000年前の中国(宋朝)で基本設計されました。

唐(中世):地域ごとに分断された貴族による世襲政治
宋(近世):皇帝による統一的独裁、科挙(身分制・世襲制撤廃)

日本社会は当時の世界最強国「唐」から多くを学びましたが、宋の基本設計は日本の風土にあわなかったのか大事なところを真似しそこねました。

キーワードは「科挙」、最大のポイントは「なぜ古代日本は、当時世界最先端だった宋朝の人材抜擢システム=科挙を導入しなかったのか?」との問いかけです。

唐(中世):身分固定、機会平等はなし。地方軍閥による分裂状態。

宋(近世):科挙により機会の平等が保証。政治は超トップダウン。政治以外の領域は自由競争。政府によるセーフティーネットはなし。


繰り返しになりますが、欧州の産業革命から始まり現在は米国が主導するグローバル社会の仕組みは、1000年も前に中国宋朝で発明された基本設計の焼き増しに過ぎません。


中国宋朝流の社会をあえて一文で要約すれば以下の通りです。

 可能な限り固定化された集団を作らず、
 資本や人員の流動性を最大限に高める一方で、
 普遍主義的な理念の則った政治の道徳化と、
 行政権力の一元化によって、
 システムの暴走をコントロールしようとする社会。


現在の日本の社会の仕組みを知りたければ、1600年代以降に完成した江戸時代の基本設計を分析するとよいでしょう。それは、中国宋朝流の社会とはまるで正反対の特徴を有します。

もしあなたが、現代の中国社会を知りたければ、日本の明治時代を研究すると良いでしょう。逆にいえば、日本の明治時代の社会構造を理解すれば、現代中国の社会状況が手に取るように分かります。

ただし、これは「中国は日本より100年遅れている」という意味ではありません。前述したように、むしろ「中国は1000年も前にグローバル化に適合した社会構造を作り上げた。日本よりずっと進んでいる」と考えるほうが自然です。

参考:中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

この本を参考に、伝統的な日本企業の組織運営の仕組みを考えます。

特徴1 職位(権威)と権力の分離

・役職者は現場で権力を行使しない日本企業の上位マネジメント
・日本の現場力を生み出す源泉にもなれば、
・日本のリーダーシップの弱さを象徴する特徴でもあります。
・例:あそこの部長は名前だけで、実際にはすべて現場の課長が仕切ってる


特徴2 トップマネジメントと道徳の弁別

・日本企業の道徳と言えば「現場一筋の古参社員」みたいなイメージがあるが、彼らは決して会社のトップエリートではない。会社トップが崇高に理念を掲げたところで、現場はむしろ白けちゃう。
・トップマネジメントの最大の仕事は派閥間調整であり、会社の外に訴えかけるような「道徳/理念」の出番はない。
・例:故スティーブ・ジョブズは日本企業のトップにはなれない。


特徴3 知識や能力があっても、権力や富が得られるとは限らない

・終身雇用や年功序列に代表される日本的人事の代表的特徴
・特徴3がなければ、中途採用者が活躍する余地が大きい


特徴4 OJTによる人材育成と現場主義

・「先輩の背中を見て育つ」に代表されるHigh Contextな秩序
・機会の平等より結果の平等を優先して組織末端までケアする「やさしさ」


特徴5 ムラ社会的な序列、空気を読め的な集団主義

・「遠くの親戚より近くの他人」を信条とする人間関係
・会社への高い忠誠心


■ 問いかけ

<問1>以下は、宋朝以降の中国社会の五大特徴です。中国オフショア組織運営の観点から補足説明しなさい。

特徴A 権威と権力の一致
特徴B 政治と道徳の一体化
特徴C 政治的に偉い人は頭もよく人間的にも立派、という建前論
特徴D 市場ベースの秩序と流動化
特徴E 宗族に代表される広く浅い個人的な人脈構築

参考:中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

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