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「政府と個人は別」。その直後に・・・

反日感情について、中国と韓国でよく聞くセリフを紹介します。

「政府と個人は別だ」
「過去の日本政府を憎んでいるが、今の日本人は嫌いじゃない」

本日は特別にオフショア開発とは無関係な話題を。

2012年9月中旬、中国各地で反日デモが盛り上がっています。ところが、私が暮らす江蘇省某所では、たまたま大規模な暴動はなく、無事平穏に過ごしています。

尖閣問題については、短期的には、両国民は分かり合えないことを前提に対策するしかなさそうです。両国の政府が賢く「落とし所」を探ろうとしても、少なくとも中国では民衆の理解は得られそうにありません。 

ところで中国庶民の感覚はこんな感じです。

「政府と個人は別。日本政府は悪いですが、幸地さんとはこれからも仲良くしましょう」。

その言葉を真に受けた私は、こう反応しました。

「中国政府は嘘をつくから、釣魚島の話も信用できない」。(でも、個人として君とは仲良く付きあおう、という意図)

でも、中国庶民の友人は激怒しました。彼は、政府批判と個人批判と同一視したのです。

私の感想:

「おいおい、そんなに怒るなら、最初から<政府と個人は別>とか綺麗事を言うなよ~苦笑」

余談ですが、日本にも、客観的な批評をすぐに人格批判とみなす傾向があります。福沢諭吉は「日本にディベート(debate)を導入するには時期尚早」と明治時代に警鐘を鳴らしました。まさに慧眼。

■ 問いかけ

<問1>中国オフショア委託先とのTV会議の後、「尖閣問題」について日本人が素朴な疑問を投げかけると問題がありますか?(Y/N)

<問2>「日本にディベート(debate)を導入するには時期尚早」と明治時代に警鐘を鳴らした福沢諭吉の言葉を分析しなさい。あなたは同意しますか?(Y/N)

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オフショア委託先にも反日感情はありますか?

<よくある質問>
中国オフショア委託先の技術者にも「反日感情」はありますか?

<解答>
中国人の「反日感情」は、単純に0か1では測れません。

誤解を恐れずに書けば、中国オフショア委託先の技術者にも「反日感情」はあります。反日感情を全く持たない中国人は、恐らくほとんどいないでしょう。ただし、あなたが想像するような激しい暴力的な感情ではありません。

私見ですが、大卒エリートを自負する中国オフショア委託先の技術者集団が持つ「反日感情」が、対日オフショア業務遂行を邪魔する可能性はほぼゼロです。

※一方で、民工と呼ばれる低学歴・低所得者層が働く日系製造工場では、従業員の「反日感情」が業務遂行に支障をきたす事例が多数報告されています。「反日」を大義名分に労働者の待遇改善を図る狙いもあるらしいです。

↑の解説がピンとこない人は、以下のQ&Aを読んで、異文化理解を深めてください。国や地域が異なれば、住民感情の意味合いもそれなりに変わるという事実です。


<質問>
沖縄には「日本」を嫌う感情はありますか?

<解答>
ほとんどの沖縄人は、日本国民としてのアイデンティティを持っていて、他の国民と同様に日本への愛着を感じています。ですが、ある文脈においては「日本を嫌う」傾向があります。例えば、在日米軍基地問題、太平洋戦争時の集団自決問題、琉球処分の歴史、かつて実際にあった沖縄人差別に関する話題など。

だからといって、沖縄全体が反日感情に駆られて、一丸となって通常業務を妨害する可能性はほぼゼロです。一部の沖縄人が激しくデモ活動する恐れはありますが、「一部」と「全体」は全く違う話。

※念のため。沖縄と中国の「反日感情」は全く異なります。ときどき読解力のない人が誤解するので、要注意。

■ 問いかけ

中国で反日運動が盛り上がる2012年9月現在の状況を鑑みて、以下の設問に答えなさい。

<問1>中国オフショア委託先で働く劉さんは、日本語が堪能な親日家です。ところが、たまたま彼の祖父母が強い「反日感情」を持っているとします。この環境は、本人の日常業務に影響すると思いますか? 

<問2>中国オフショア委託先で働く梁さんは、日本語が苦手な中堅リーダー。日本が特別好きでもないし、嫌いでもありません。たまたま配偶者の両親が強い「反日感情」を持っているとします。この環境は、本人の日常業務に影響すると思いますか? 

<問3>間接業務の中国移管BPO(Business Process Outsourcing)の最前線で働く中国人の大半は、高卒以下の低賃金労働者です。彼らの給与水準は、工場の肉体労働者よりもマシですが、大卒のソフトウェア技術者には決して及びません。昨今の反日暴動は、中国BPOの業務遂行に影響すると思いますか?

<問4> 9月18日は何の日ですか? 中国オフショア開発の業務遂行にどれくらい影響しますか?

 →回答例:○○○の日。
  急遽、日本人の出張自粛が決まり現場は混乱、など。

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事例:次第に劣化する議事録を受け取ったら

中国オフショア委託先がまとめた議事録を読むと、ときどき拍子抜けしてしまいます。本気モードと手抜きモードにあまりの格差が生じるからです。主な理由は三つ。

・中国文化固有の事情
・技術職にありがちな「報連相」を嫌う傾向
・新米管理者にありがちな文書報告の未熟さ

<事例>
中国オフショア委託先で品質改善 Working Groupを指導する日本人の仲井真課長は、隔月1回のペースで中国出張します。先月の会議でも2時間みっちり品質改善の課題を洗い出しました。そして、先日、仲井真課長のもとに中国から以下の議事録が届きました。

今日の議題:

1. ○○○課題について検討

決定事項:
1. ○○までに課題を整理して資料をまとめる(Aさん)
2. 来週までに○○○に着手する(Bさん)

次回の会議日程:
1. 10月1日(一)9:30- (CST)

この議事録を一目見て、仲井真課長はがっかりしました。なぜなら、2時間みっちり議論した「○○○課題」の分析過程が全く記載されていないからです。

・○○○課題解決は計画通り進捗しているのか?
・もし問題やリスクがあれば影響度はどれくらいなのか?
・諸問題の原因分析は?
・対策は・・・・・・???

先月の2時間の会議では、仲井真課長と中国現地メンバーが膝を突き合わせて、上記事項を具体的に話しあったはずです。なのに、届いた議事録には、こうした分析過程が全く記載されていません。

実は、この Working Groupが始まった当初は、しっかりとした議事録が書かれていました。ところが、回が進むうちに議事録を残す作業がマンネリ化してしまったようです。次第に報告の質が劣化してしまい、とうとう上記のような有様です。

さらに、議事録が届く時期も遅れ気味です。Working Groupが始まった当初は、会議の翌日にはさっと議事録が届きました。日本語の細かい間違いはありましたが、報告粒度は細かく、参考のための補足資料が添付されることもしばしば。

ところが、今では・・・(涙目)。

■ 問いかけ

<問1>「最初は良かったのに、後から次第に悪くなってきた」「サンプル品は素晴らしかったのに、本番の納品物は全然ダメ」。これらは、中国ビジネスでよく耳にする失敗談です。

実は、中国国内で、中国語で会話される、中国人同士のビジネスでも同じ問題が頻発します。優秀な中国人発注者は、どのように対策していると思いますか。複数の対策を列挙しなさい。


<問2>あなたのプロジェクトでは、TV会議の議事録を中国オフショア委託先が作成する決まりになっているとします。残念ながら、先日の議事録は明らかに「手抜きモード」でした。問題発覚時に、あなたはどう反応しますか。長期の再発防止策ではなく、短期の暫定対策を複数挙げなさい。

→回答例:QCDへの影響が小さければ基本的には放置する。

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本気モードと手抜きモードの差が激しい議事録

中国オフショア委託先がまとめた議事録を読むと、ときどき拍子抜けしてしまいます。報告粒度が粗いとか、日本語が下手すぎるなどは大した理由ではありません。

最大の理由は、本気モードと手抜きモードにあまりの格差が生じることです。こちらの期待と現実とのあまりの乖離度合いに愕然とし、現場指導のヤル気さえ失ってしまうことすらあります。

この種の問題が頻発する原因は、主に三つの要素に分解されます。

1. 中国文化固有の事情
2. 技術職にありがちな「報連相」を嫌う傾向
3. 新米管理者にありがちな文書報告の未熟さ

そもそも、私は若い中国人SEに高水準の議事録を期待しません。よって、ここでの議事録作成者は、チームリーダー以上の管理者だと仮定します。

上記の要素2と3は、国民文化への依存は少なく、日本でも同様な事情が確認されます。

本気モードと手抜きモードの品質格差を生む要素は、やはり中国文化の影響、すなわち要素1が原因が大きいと考えられます。

■ 問いかけ

<問1>一般に中国人SEは議事録作成が苦手です。オフショア大學によると、その理由は主に三つあります。この三要素を重要順に並べ替えなさい。

1. 中国文化固有の事情
2. 技術職にありがちな「報連相」を嫌う傾向
3. 新米管理者にありがちな文書報告の未熟さ
→解答例: 3 >>> 1 > 2 

<問2>本気モードと手抜きモードの差が激しい議事録を作成する中国オフショア委託先への対策を講じなさい。
→Hints:「個人」ではなく「仕組み」に着目した対策を検討する。

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