危ない進捗報告「しなかった」と「できなかった」
以下の会話を読んで、後の設問に答えなさい。
日本「先週の結合試験はどうでしたか?」
中国「データを更新しませんでした」
日本「ちょっと待って! どういうことですか?」
中国「問題がありましたので、データを更新しませんでした」
日本「なぜですか! データを更新しないと試験できないのでは?」
中国「当初、想定していない問題が見つかりました」
日本「あなた、いったいどうするつもりですか?」
中国「(言い訳が並ぶ)」
上記の会話を補足説明します。
上記の日本人担当者は、会話の途中から怒り出しました。なぜなら、ニ行目と四行目の「データを更新しませんでした」から、中国側に問題解決への努力が感じられないからです。
ところが、怒りの背景は相手の中国人担当者に伝わっていません。よって、会話で温度差が発生しています。
最終行の「(言い訳が並ぶ)」は、日本人の視点では単なる「言い訳」にしか聞こえません。ところが、中国人担当者の心情としては、この局面で責任回避をする意図はありません。むしろ、性善説の立場から、状況を時系列に順序立てて説明しようとしています。
ここでも、日本と中国との間に温度差が生じています。
■ 問いかけ
<問1>中国人担当による二行目と四行目の発言が誤解を招きました。問題発生時に中国側はほとんど努力せず、すぐに諦めてしまったかのような印象を与えてしまったのです。上記局面において、誤解を招きにくい日本語表現を提案しなさい。
<問2>「~しなかった」と「~できなかった」をそれぞれ英語で表現しなさい。例:「データ更新」「語学を習得」
<問3>「~しなかった」と「~できなかった」をそれぞれ中国語で表現しなさい。例:「データ更新」「語学を習得」
<問4>中国人担当は、問題発生時にきちんと解決に向けて努力したと仮定します。にも関わらず、残念ながら「データ更新」が実現されなかったのが真実だとします。なぜ、中国人担当者は、上記会話の中で「データを更新しませんでした」と誤解を招きかねない日本語表現を使ってしまったのでしょうか。
<問5>問1-4の答えを踏まえて、上記会話で中国側の報告意図を誤解してしまった日本人担当者に助言しなさい。短期と長期の視点から、それぞれ有効な対策を論じなさい。
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