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国名を連呼し他国を見下す日本人

有名4コマ漫画「中国嫁日記」の著者による日本語学習者の小ネタ集から、今日も気になる話題を1つ取り上げます。

●中国嫁の疑問:

日本人は自分の国を自慢する時、ニッポン言いますね。日本人がニッポンと発言する時は他国を見下している感じがします。

●教授の解説:

普通、外国人が自国を言う時は「我が国は(ウリナラ)」などと言います。なのに、日本人は「我が国」と言うと、なんか偏った人に思えて、つい「日本では」って言っちゃうんでしょう。本人は客観的に言っているつもりですが。
結果的に「日本では」「日本だけに」「日本人は」と国名を連呼することになって、「ナショナリスト」と誤解される場面が生じます。

参考文献:井上純一(2013)、月とにほんご、アスキー・メディアワークス


●オフショア大學の解説:

日本人が「国名を連呼する」印象を持たれているなんて初耳です。念のため、周囲の中国人スタッフにヒアリングしてみました。結果は以下の通りです。

 日本人が「国名を連呼する」印象
 ・そうそう!同意!  100%
 ・特にそう感じない 0%
 (N=1 ... サンプル数が少なく恐縮です)

かつて、若い研究者だった私が国際学会で発表する機会が得られた際に、日本人講演者がよく口にする“We Japanese ... (私たち日本人は)”はやめておいたほうがいいと先輩からやんわり指導された記憶があります。(その他にも、“you know ...”はやめとけと助言あり)

先日、本誌で、日本人は主語を省略し、あえて動作の主体を曖昧にする傾向があると紹介しました。上記文献によると、、日本人が「お茶が入りました」と言うと、一部には混乱する外国人もいるらしい。目から鱗が落ちました(鱗が自分の意志が動いたカンジ)。

もしかしたら、日本人は個人を主語にする表現を避けるために、あえて「ニホン・ニッポン」という国名を多用するようになったのかもしれません。日本語で「我が国」と言えば、いかにも「私」の国という印象なので。

余談ですが、日本人向け英語教育で有名なマーク・ピーターセンの著書に、以下の笑い話が紹介されていました。文献が手元にないため、記憶を頼りに再現します。

 ある日本人が英会話教室で「my car ...」と話したところ、すかさず米国人教師から「あなたは結婚しているので、たとえ奥さんが運転しなくても、my car ではなく our car と言うべきだ」とツッコミが入った。

片仮名「マイカー」を暗黙的に家族所有と理解する組織中心的な集団主義を持つ日本文化と、典型的な個人主義の米国文化との対比が分かりやすい好例です。

「マイカー」と「our car(私たちの車)」の違いのように、自国の呼び方も国や地域の特性が色濃く反映されるものなのでしょう。

日本:日本は・・と国名を連呼、逆に「我が国」とは尊大な感じ
韓国:我が国(ウリナラ)
中国:自国を世界の中心といってはばからない
スイス:地域コミュニティが主体ゆえスイス国民の意識は薄い?

米国:
越国:
印度:
Philippines:
(フィリピンを片仮名で書いた時と、英語で書いた時の印象はまるで違います。お試しあれ。)

■ 問いかけ

<問1>参考文献「月とにほんご」によると、日本人は「ニホン・ニッポン」と国名を連呼する印象を持たれているらしい。この意見に同意しますか?(Y/N)

<問2>最近、あなたが出席した多国籍会議で、日本人参加者は何度「日本」と国名を口にしましたか。実際に数えてみましょう。

<問3>あなたの業務環境において、日本人が「日本は」という回数と外国人が自国名を連呼する回数は違いますか?(Y/N)

回答例:
Y:中国人だって、よく「中国は」と言いますよ。
N:当社のオフショア委託先では国名よりも地域名をよく聞くから

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誤解を招く恐れのある日本語表現

前号の続き。

有名4コマ漫画「中国嫁日記」の著者による日本語学習者の小ネタ集から、今日も気になる話題を1つ取り上げます。

中国嫁:

・「謝」がごめんなさいはヘンです。感謝の意味でしょ!
・「娘」が若い女とはヘンです。

参考文献:井上純一(2013)、月とにほんご、アスキー・メディアワークス

本誌では、これまでに何度も日本語と中国語の同形異義語に関する話題を取り上げました。興味ある方は、以下の過去記事をご覧ください。

同形異義語
「自立」ではなく「自律」と指導...

日本語学習者を悩ますのは、同形異義語だけではありません。以下のような、日本人でも紛らわしい日本語の使い分けが目白押し。

「了解した」と「承知した」
「情況」と「状況」
「鈴木様」「鈴木部長」「鈴木部長殿」「鈴木部長様」
「娘」と「息子」の敬語表現→ 社長のお嬢様と○○○。

■ 問いかけ

<問1>以下は、中国人スタッフによる日本語の発言です。日本語として不自然な表現や、誤解を招くおそれがある表現を全て指摘しなさい。

(a) 競合製品知識の了解(今期の目標面談にて)

(b) 先週、既に一人を募集した(中途採用活動の進捗報告にて)

(c) プロフィール管理画面の社員名は16文字まで表示可能です。
 (中国人が設計した社員情報マスター管理画面の説明会にて)

<問2>以下は、中国オフショア側から日本側への連絡メールです。この日本語表現は正しいですか?(Y/N) もし不適切な表現があれば、具体的に指摘しなさい。

 「来週までに試験計画書をご提出させていただきます。ご了承ください。」 (作業遅延リカバリの状況にて)

<問3>一部の中国オフショア現場では、「見える化」という専門用語が中国語化しています。「見える化」の中国語表現を予想しなさい。

今号の答えは、オフショア大學無料説明会サイトにきっちり明記しました。ちなみに、前号の問いかけの答えも詳しい解説付きで載せました。ただし期間限定です。お見逃しなく!

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「明日以降にお願い」に明日は含まれるか?

有名4コマ漫画「中国嫁日記」の著者による日本語学習者の小ネタ集から、気になる話題を1つ取り上げます。

Q.「明日以降にお願い」に明日は含まれるか? →中国嫁「含まれない!」 ブブー、不正解。含まれます。

Q.「二年ぶり」と言えば、空白期間は何年? →中国嫁「1年!」 ブブー、不正解。2年間です。

参考文献:井上純一(2013)、月とにほんご、アスキー・メディアワークス

●先週、西日本某所で開催されたオフショア開発社内研修でも同様な議論で会場が盛り上がりました。

「すぐに対応してください」→ 何時までに対応すべき?

「今日中に送付せよ」→ 何時までに送付すべき?

「一両日中に」を英訳せよ→ ・・・(受講生ら苦笑)

教科書的には「すぐに」や「今日中に」と曖昧な表現で指示する方が間違っています。よって、締め切りは、聞き手の解釈によって常に変わります。ある者はすぐに着手するだろうし、ある者は定時後の残業によって対応するかもしれません。

ところが現実は、そう簡単ではありません。

なぜなら「すぐに」や「今日中に」を具体的な数字で表現するのは、日本文化では野暮だからです。つまり、「すぐに」や「今日中に」を理解できない聞き手は、江戸文化でいう「粋(イキ)」ではないとの感覚です。あゝ、まさに、あうんの呼吸。

さらに、日本語話者は、相手との良好な関係を演出するために、あえて数字による厳密な作業指示を避ける傾向があります。

実際、西日本某所のセミナー受講者も、協力会社に対して「今日の18時までに」ではなく「今日中に」と依頼するほうが柔らかい印象を与えると発言しました。私も同感です。

■ 問いかけ

<問1>以下は、中国人スタッフによる日本語の発言です。日本語として不自然な箇所や、誤解を招くおそれがある表現を全て指摘しなさい。

(a) 来年度の開発人員は一気に二倍となる計画です。

(b) 今夜の宴会、二年生以下のスタッフは参加費無料です。

(c) 日本は何でも安いです。2割-3割がいっぱいアルよ!

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春節明けの人材流出リスク

この時期、毎年恒例の中国事業リスクと言えば、春節明け人材流動ではないでしょうか。

低賃金労働者を多く抱える製造業では、春節休暇で田舎に帰省した労働者が「仕事に戻ってこない」との現象が毎年のように繰り返されます。

2013年冬、某人気商品の重要部品を製造するある日系下請け工場では、春節休みを最低限の三日間だけにして製造ラインの稼働率を高めようとしました。工場労働者を田舎に帰省させない・・・との目論見もあったそうです。

その結果はまだ分かりません。続報が入り次第、本誌でお伝えします。

中国のソフトウェア企業でも、春節明けの人材流動が懸念されます。ただし、日系企業で働くソフトウェア技術者が「春節明けに田舎から戻ってこない」とはさすがに聞いたことはありません。

■ 問いかけ

<問1>中国のソフトウェア企業では、春節明けの人材流動が大きなリスクです。主な理由を挙げなさい。

<問2>中国のソフトウェア企業では、春節明けの人材流動が大きなリスクです。あなたの会社・取引先の状況はいかが?

既に退職者あり
他部署の退職者を穴埋めする社内異動あり
リスク顕在化を懸念
特に問題なし
状況が分からない
その他

結果を見る
コメントボード

締切:2013年02月28日18時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/

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【教えて!】 ベトナム人との言葉の壁

ベトナム人との言葉の壁

表示されたスライド資料は「中国語固有」の原因による失敗事例です。赤字の部分です。この「ベトナム版」が欲しい。出来れば、ベトナム固有の事情が含まれると嬉しいです。つまり「米国でもありがちな言葉の壁だよね」よりも、「そうそう、ベトナムではこれに気をつけなきゃ!」と思わず膝を打つような事例。

今年はベトナムオフショア開発向けの講座資料を充実させたいと思います。

情報提供者には、私が作成するスライド資料の一部を公開します。ご協力をお願いします。

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大気汚染の次にやってくる中国リスク

2012年2月に実施した読者アンケート結果を報告します。

Photo
参考記事:大気汚染の状況を可視化(情報提供)
http://aicoach.tea-nifty.com/offshore/2013/01/post-e5c3.html

先週までのアンケート結果によると、約7割の関係者が「中国の大気汚染」は何らかの形で会社に影響あるだろうと答えています。投票数が少ないため、必ずしも実態を示すわけではありませんが、ご参考までに。

既にリスクが顕在化した大気汚染の次は「中国海軍艦艇による海上自衛隊へのレーダー照射事件」が大きな中国リスクです。中国当局は、日本側のレーダー照射発表に対して「でっち上げ」「事実に合致していない」「無責任な発言」として反論しています(※)。

※中華人民共和国駐日本国大使館(2013/02/08)
http://www.china-embassy.or.jp/jpn/sgxw/t1012822.htm


今週中国は春節休暇中ゆえに、この問題は一時棚上げされた状態になっています。(関係ないですが、中国の役所では、2月14日バレンタインデーの婚姻届を受理しないらしい)

しかしながら、このような日中間の政治的火種は、後に大きな災いをもたらす恐れがあります。特に、政府系イベント関係者、中国への出張者、日本出張者の受け入れ支援者らは、すぐに直接的な被害を被るでしょう。

■ 問いかけ

<問1>春節明け、中国出張者が現地スタッフ向けに、大気汚染対策として「高性能マスク」をお土産に持っていくと喜ばれる。同意しますか?(Y/N)

<問2>春節明け、中国出張者が現地幹部向けのお土産として日本製の空気清浄機を2台持ち込みたい。中国税関でチェックされて、面倒な事になる可能性が大きい。同意しますか?(Y/N)

<問3>「中国海軍艦艇による海上自衛隊へのレーダー照射事件」へのリスク対策は検討済みですか(Y/N)

Yes: 万全の対策
Yes: 検討を始めたところ
No: 未検討だがリスクを懸念
No: リスクは小さいと判断
その他

結果を見る
コメントボード

締切:2013年02月20日18時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/

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日本と中国の品質作り込みに関する考え方の違い

中国オフショア歴半年の日本人SEから届いた素朴な質問より。

中国人の品質作り込みに関する考え方について戸惑っています。日本では(あるいは当社では)、トップダウン的と言いますか、まず当該システム全体の視点から品質要件を洗い出してから、次により小さなモジュール単位のバグ密度などを定義します。

一方、現在お付き合いする中国オフショア委託先では、ボトムアップ的に小さなモジュール単位の品質を高めようとしますが、結合試験や総合試験で要求されるシステム品質へは無頓着であるように感じられます。

これは、日本と中国の国民文化の違いが原因でしょうか?


■ 問いかけ

<問1>上記質問にある品質作り込みに関する考え方の違いは、主に国民文化の違いが原因である。同意しますか?(Y/N)


<問2>上記の質問者は、中国に対して好意的な感情を持ちながら現場でバリバリ設計する真面目な日本人SEだとします。相談者のやる気を高めて、なおかつ、費用対効果に優れた助言を与えなさい。

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我review了(wo review le)

私の周りでは、中国語を勉強する日本人技術者が増えています。忙しい業務の合間を縫っての語学学習なので、TV会議での進捗確認などでは全く使えません。

それでも、中国語でちょっとした挨拶や合いの手を入れることで、中国人スタッフとの心理的距離を埋める効果は十分に期待されます。

中国語学習を始めたばかりのある日本人技術者が、中国との進捗会議で、覚えたての中国語を使ってこう発言しました。

 「我review了(wo review le)」

相手方の中国人スタッフは、彼の意図をきちんと理解して、笑顔で「謝謝」と返事してくれました。

念のため、この事例の流れを解説します。

・先日、中国からテスト計画書が納品
・進捗会議前に、日本側がテスト計画書をレビュー実施
・「私が、テスト計画書をレビューした」と日本から連絡
・「ありがとうございます」と中国人スタッフがお礼

■ 問いかけ

<問1>本事例のように、日本人技術者が業務連絡で中途半端な中国語を使うことのメリットは、デメリットよりも大きい。同意しますか?(Y/N)

<問2>「我review了(wo review le)」は文脈によって複数の異なる意味に解釈されます。純粋な中国語文法の観点から、全ての意味を書き出しなさい。

<問3>日本語が苦手な中国人スタッフが、日本語で「レビューします」との連絡がありました。問2の分析を踏まえて、考えられる意思疎通不備の状況を書き出しなさい。

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