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ベテランが市場開拓の計画を作ったらまるで駄目

今日は、オフショア受託企業による中国市場開拓に関する話題を紹介します。

情報処理推進機構「IT人材白書2012」によると、オフショア実施企業のうち46.4%は現地法人を設置、うち過半数は現地向け業務に着手しています。この数字は1年以上前に集計されたものです。よって、2013年3月現在はもっと増えていると思われます。

オフショア大學によると、中国市場を狙う日系ソフトウェア企業のほとんどは成果を出せないまま市場撤退に追い込まれます。その理由はオフショア大學を受講した者にのみお伝えしています。あいにく、大人の事情により、ブログでは明かせません。

              ※

実は、オフショア大學では、中国市場開拓のお手伝いもしています。より正確には、市場開拓する役割を担う中国人に対してマーケティングを教えています。オフショア大學では、常に汎用的な成果につながる知識やノウハウの枠組みと実践的な事例をセットで学べます。

ちょっと考えれば分かることですが、現地で生まれ育った現地人(上海人/北京人/大連人・・・)だからといって、必ずしもその者が現地で市場開拓できるとは限りません。

ところが、多くの日本人は、現地事情に詳しいと評判の中国人スタッフに過剰な信頼を寄せてしまいがちです。

たとえ、そのスタッフが過去のオフショア開発受託業務で成果を出し続けてきた逸材であったとしても、その者が中国市場開拓で活躍する保証はどこにもありません。

むしろ、受託開発での成功体験が邪魔をして、マーケティングでは全く成果が出せない恐れの方が強いのではないでしょうか。

<失敗事例>

対日オフショア開発の組織運営で成果を出してきたある中国人リーダーが、関係良好な顧客から中国市場開拓の相談を受けました。そこで、彼はかつての成功体験を活かして、市場開拓チーム編成を計画しました。
(計画レビューをオフショア大學に依頼。重大リスクが露呈)

この中国人リーダーによる計画は、エクセルによる財務分析が主体です。顧客から中国市場開拓の相談を受けた時点では、売上の目処など全く立っていません。まあ、日系ソフトウェア企業による中国市場開拓の相談なんて、どこも似たり寄ったりです。

彼は、そんなことは百も承知の上で、売上を予測し、財務シミュレーションを実施しました。そして、財務の観点から、市場開拓に必要な人員を導き出し、チーム編成案を提示してきたのです。

計画レビュー依頼を受けたオフショア大學が一目したところ、実に見事な手際だと感心しました。

ところが、すぐに重大なリスクに気づきました。もはや、リスクというより問題といったほうがよいかもしれません。

この計画には、市場開拓のプロセスや顧客固有の事情がほとんど考慮されていなかったのです。つまり、提示された計画は、どの業務にも汎用的に使い回しが利く、定型化された財務シミュレーションのコピペに過ぎないと診断されました。


彼の計画は、業務が固定化された政府機関や国営企業では有効かもしれません。しかしながら、このままでは、この計画は絵に描いた餅に終わってしまいます。どの仕事でも使い回しが利く計画ということは、逆に、どの業務でも実際には使えないということです。

そもそも、顧客固有の条件を反映した市場開拓のHow toが全く考慮されていないため、エクセルに数字を入力しただけの財務シミュレーションは全く意味をなしません。美しく並ぶ立派な数字を裏付ける根拠がまるでないのです。


そこで、オフショア大學は計画レビューを一旦止めて、計画を作成した中国人リーダーの過去実績を詳しく聞いてみました。すると、次の事実が判明しました。

彼が過去に成果を出してきた対日オフショア業務の管理手法とは、ほとんどが「人員稼働率のコントロール」でした。これは、受託工数の山谷の差が激しい対日オフショア業務を、すぐに流動する中国人SEを使って安定的に成果を出し続ける為に最適化されたコントロール手法に他なりません。

実際のオフショア開発受託プロジェクトは、彼の部下に丸投げしていました。なぜなら、所詮はV字モデルに従った一般的なソフトウェア開発プロセスを採用しているので、「できあがった業務」を効率よく繰り返すための管理業務に専念できていたからです。

前出の通り、この中国人リーダーは「人員稼働率のコントロール」によって既存顧客からのオフショア受託業務を滞りなく進めてきた高業績者です。

ところが、彼の昔取った杵柄が仇となり、新規性が極めて高い今回の市場開拓チーム立ち上げ計画では全く歯がたちませんでした。

かつて、顧客から将来のオフショア受注予測を聞けば、各種ツールを駆使して、たちどころに大所帯のSEチームを管理できたはずなのに、同じ手法が市場開拓業務では全く通じないのです。

ところが、オフショア大學がその点を指摘しても、当該中国人リーダーは当初、全く聞く耳を持ちませんでした。無知(未成熟)なのに面子が邪魔をして個人成長を阻害する、外国人スタッフにありがちな反応です。

まあ、日本企業でも無能な企画屋なんて、似たり寄ったりですが。

念のため、前出の中国人リーダーは極めて有能です。有能が故に、壁にぶつかりスランプに陥りそうになっているのです。新規事業が立ち上がる早い時期に、たまたまオフショア大學の指導を受ける機会があって、彼は本当に幸運でした。さもなければ、彼は頭の硬い頑固なスタッフとなって、現場を振り回す組織の癌になっていたでしょう。

とりあえず、オフショア大學では、市場開拓チームに対してマーケティングの基本からじっくり指導をはじめました。

■ 問いかけ

<問1>事例に登場する中国人リーダーは、当初オフショア大學の指摘をまるで聞き入れませんでした。「私のやり方は正しい」「このやり方でいくと上司とも合意がとれている」と一本槍です。どうすれば、彼の態度を軟化させることができるでしょうか。

<問2>オフショア受託企業が、顧客要望に応じて現地の市場開拓にも乗り出すようになりました(中国/ベトナム/その他)。ところが、実際の市場開拓者は、受託業務で成果を出したプロジェクト管理者がほとんどです。つまり、新規性の高い市場開拓業務はほぼ未経験。マーケティングに不慣れなオフショア受託企業で市場開拓チームを構築するためには、何から着手すればよいでしょうか。一般に、どの会社でも通用する汎用的な業務プロセスを定義しなさい。

<問3>欧米流のマーケティング知識は、中国やベトナムなどのオフショア受託国市場でも通用すると思いますか?(Y/N) ここでは、対象を対日オフショア企業に限定します。

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