「いつかはR&D」を夢見る
日本企業のR&D部門を目指す中国オフショア委託先が増えています。R&DとはResearch and Development、すなわち研究開発の略称です。
現在、中国には国内外の企業によって設立された研究開発機関が多数存在します。その規模は、インドを除く他のオフショア受託国(ベトナム、フィリピン、タイ等)を軽く凌駕します。
一般に、中国人技術者は学生時代に築いた同級生ネットワークによって、地元だけではなく全国主要都市の業界動向を驚くほどよく知っています。
競合会社の業務内容や発展可能性だけではなく、残業時間や給与額・社内持ち株制度から配当金までも1元単位で正確に情報共有しています。
こうした背景から、対日オフショア開発に従事する技術者は、たとえ平凡な才能しかなくても「いつかはR&D」との野望を持ちがちです。技術者にとって、オフショア開発がカローラなら、R&Dはクラウンなのでしょう(※)。実際、自分の同級生ネットワークには、少なからず研究開発機関で働いている者がいるのですから。
※ちなみに、自主製品開発=大型SUV
ところが、前出のような中国人のキャリア発展希望とオフショア発注企業の思惑は必ずしも一致しません。他業界ならまだしも、日本のソフトウェア業界にはそもそもR&D業務が少ないのが現実です。よって、貴重なR&D業務をわざわざ他国にオフショア委託するなんて、絵空事でしかありません。
さらに、日本からのオフショアR&D受託を望む中国側にも課題があります。
■ 問いかけ
<問1>日本から中国へのR&D委託で成功した事例を挙げなさい。業種業態は問いません。
<問2>日本から中国へのソフトウェアR&D委託の阻害要因を分析しなさい。
<問3>過去、実際にあった日本からアジア諸国への技術移転で、大失敗した事例を挙げなさい。
<問4>あなたが関与するオフショア現場から、将来R&Dをやりたいとの相談を受けました。前向きな態度で助言を与えなさい。
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