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社員数の規模感を勘違い

中国生産委託先を視察する日本人出張者がよく侵す失敗。

・社員数の規模感を勘違いする

正社員と協力会社からの応援要員などが合算された誇張表現「我が社は技術者○○○名」を鵜呑みにする単純な誤解です。日本とは異なり、中国では就学中のインターン学生が技術者総数に加えられる恐れもあります。

さらに、近年は、人件費高騰への対策として、田舎に開発分室(子会社)を持つオフショア開発企業が増えています。本社と田舎を足して「技術者○○○名」と謳う企業も少なくありません。

ところが一般に、本社採用の技術者と田舎採用の技術者とでは技術水準がまるで異なります。決して偽装表示ではありませんが、意図的な情報操作だとの印象です。


かつて、中国沿岸部から一気に内陸部の主要都市(例:成都・西安・重慶)に進出した一部の会社は、先行者利益として地元の優秀な学生を採用できました。

一方、中国沿岸部主要都市から、車で数時間、距離にして数百キロメートル圏内という地元の田舎に開発分室を設立した場合、想定外の採用難に苦しめられています。


●Q&A例1
海外「我が社は技術者○○○名います!」
日本「正社員と協力会社の内訳は?」
海外「だいたい40%くらいは協力会社さんからの派遣です」
日本「・・・」


●Q&A例2
海外「我が社は社員○○○名います!」
日本「貴社は、開発の他にBPO事業もやっていましたよね」
海外「そうです。人数は増えませんが業務は順調です(自慢!)」
日本「BPO要員は全体の何割ですか?」
海外「全社員のうち、○○%くらいです」
日本「ということは・・・」


●Q&A例3
海外「我が社は社員○○○名います!」
日本「本社人数と田舎拠点人数の内訳は?」
海外「だいたい70:30くらいです」
日本「田舎拠点の平均年齢は何歳ですか?」
海外「三年前に設立したばっかりなので23-24歳くらいが多い」
日本「ということは・・・」


後日、以下の点を解説します。

・物理セキュリティ設備に満足し運用実態を見落とす
・無免許/無許可操業の確認漏れ
・予想以上に高い人材流動率(特に中堅以上)
・優れた製造実績=優れた保守運用サービス、の勘違い
・キーパーソンの業務掛け持ちにより、自社対応の優先度低下
・社内教育カリキュラムに満足し運用実態を見落とす


以下は、解説済みです。

認証資格の誇張表現に惑わされる
顧客実績の誇張表現に惑わされる


■ 問いかけ

<問1>中国オフショア企業で働くインターン学生の数、または、プロジェクトに占める比率を予想しなさい。
<問2>地元の田舎に開発分室を設立した会社では、なぜ想定外の採用難に苦しんでいるのでしょうか。
<問3>上記Q&A例2の会話の続きを創作しなさい。
<問4>上記Q&A例3の会話の続きを創作しなさい。

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海外視察の罠/顧客実績の誇張表現

中国生産委託先を視察する日本人出張者がよく侵す失敗。

・顧客実績の誇張表現に惑わされる

「大手○○社を担当しました」などの実績自慢を鵜呑みにし、本来の実力を見誤ることです。そもそも、大手○○社と直接取引したのか、それとも、中間業者を介した下請け作業なのかによって、顧客実績の意味は全く異なります。

たとえ中間業者を介した下請けであっても、上流工程からブリッジSEチームを派遣し日本側のプロジェクト運用に主体的に関わってきたのであれば、この実績自慢は傾聴に値します。

ところが、周囲から切りだされた閉ざされたソフトウェア部品を、仕様書に従い、上から与えられた品質基準を機械的に満たすよう人海戦術で製造しただけの実績なら、大手○○社担当にさほど意味はありません。

それでも、もし当時のキーパーソンが今でも健在なら状況はだいぶマシです。残念ながら、多くの中国企業では、人材流動が激しく、優れた技術者ほどすぐに出世の階段を駆け上がって我先にと現場を卒業する風潮のため、最も肝心な暗黙的知見は跡形もなく消え去っているでしょう。


●Q&A例1
海外「我が社は大手○○社の担当実績があります」
日本「そうですかぁ。で、一次請けですか、下請けですか?」
海外「SIerからの下請けです」
日本「多重階層の何次請け受注ですか?」
海外「たぶん、3次請けくらいだったと思います」
日本「・・・」


●Q&A例2
海外「我が社は大手○○社の担当実績があります」
日本「参画した工程は?」
海外「上流設計から参画しました(自慢!)」
日本「・・・」


●Q&A例3
海外「我が社は大手○○社の担当実績があります」
日本「○○社の実績あるなんてすごいですね~。もっと教えて」
海外「(喜んでしゃべる・・・・)」
日本「今の話を直接○○社に確認したいので、担当を教えてさい」
海外「それは、マズイです」
日本「・・・」


●Q&A例4
海外「我が社は大手○○社の担当実績があります」
日本「○○社の実績あるなんてすごいですね~。もっと教えて」
海外「(喜んでしゃべる・・・・)」
日本「品質基準はどうやって決めたのですか?」
海外「お客様から提供していただきました」
日本「この品質基準が正しいと判断した根拠は?」
海外「???(質問の意図がわからない)」
日本「開発プロセスはどうやって決めたのですか?」
海外「お客様から提供していただきました」
日本「このプロセスが正しいと判断した根拠は?」
海外「???(質問の意図がわからない)」


後日、以下の点を解説します。

・社員数の規模感を勘違いする
・物理セキュリティ設備に満足し運用実態を見落とす
・無免許/無許可操業の確認漏れ
・予想以上に高い人材流動率(特に中堅以上)
・優れた製造実績=優れた保守運用サービス、の勘違い
・キーパーソンの業務掛け持ちにより、自社対応の優先度低下
・社内教育カリキュラムに満足し運用実態を見落とす


以下は、既に解説済みです。

認証資格の誇張表現に惑わされる


■ 問いかけ

<問1>上記Q&A例1の海外発言「たぶん、3次請けくらい」から予想される実態を述べなさい。

<問2>上記Q&A例2の会話の続きを創作しなさい。

<問3>上記Q&A例3から推測される海外委託先の問題を述べなさい。

<問4>上記Q&A例4の日本人質問の意図を予想しなさい。

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海外視察の罠/認証資格の誇張表現

中国生産委託先を視察する日本人出張者がよく侵す失敗。


・認証資格の誇張表現に惑わされる

「我が社はCMMを取得しています」などの謳い文句に鵜呑みにし、本来の実力を見誤ることです。そもそも、CMM/CMMiは過去のある時点において、限定された組織で、一定基準の成熟レベルが達成されたことを示す目安に過ぎません。過去に素晴らしかったからといって、現在も優れた状態が維持されているとは限りません。

他業種と比べて、規模が小さく、ライン業務よりもプロジェクトが主流で、業務内容が頻繁に変わるソフトウェア開発の海外製造委託では、一人のキーパーソンが退社/異動するだけで、仕事の成果がガタ落ちします。

たとえ、中国委託先が立派な認証資格を自慢しても、常に「現状」を、自分の目で観察する習慣を心がけましょう。


●Q&A例1
海外「我が社はCMMを取得しています」
日本「そうですかぁ。で、対象範囲は?」
海外「開発部門です」
日本「じゃ、今回の検証案件ではあまり関係ないね」


●Q&A例2
海外「我が社はCMMを取得しています」
日本「そうですかぁ。で、対象範囲は?」
海外「全社が対象範囲です」
日本「いつ?」
海外「7年前」
日本「当時の社員数は?」
海外「120名」
日本「で、現在は600名ですよね」
海外「はい。急成長しました!(自慢)」
日本「ということは、・・・(突っ込み所)」


●Q&A例3
海外「我が社はCMMを取得しています」
日本「へーー。ここだけの話、費用はいくら位かかりましたか?」
海外「大体○○○円くらい」
日本「自社負担と政府補助の割合は?」
海外「実は政府が○○%補助してくれました」
日本「・・・(ここから知恵を絞って突っ込みましょう)」


後日、以下の点を解説します。

・顧客実績の誇張表現に惑わされる
・社員数の規模感を勘違いする
・物理セキュリティ設備に満足し運用実態を見落とす
・無免許/無許可操業の確認漏れ
・予想以上に高い人材流動率(特に中堅以上)
・優れた製造実績=優れた保守運用サービス、の勘違い
・キーパーソンの業務掛け持ちにより、自社対応の優先度低下
・社内教育カリキュラムに満足し運用実態を見落とす


■ 問いかけ

<問1>あなたが視察した海外ベンダーが、セキュリティ系認証資格を誇らしげに自慢しました。効果的な突っ込みとなるQ&Aを創作しなさい。

<問2>上記Q&A例2の最後の発言「・・・」に適当な文章を埋めなさい。

<問3>上記Q&A例3の最後の発言「・・・」に適当な文章を埋めなさい。

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中国プラスワン戦略再考の3つの留意点

「中国プラスワン戦略」という言葉が、オフショア開発界隈でも再び聞こえてくるようになりました。

「再び」と書いた通り、前にも一度、オフショア開発界隈で中国プラスワン戦略が盛り上がった時期があります。それは、靖国問題に端を発する反日運動が中国全土に広がった2005年頃です。

オフショア開発に限定したとき、中国プラスワン戦略の本命はベトナムです。2005年もベトナムが中国代替の最有候補地でした。

ところが実際には、中国オフショア開発への一極集中リスクは以前とさほど変わりません。その理由は規模感の違い、すなわち、単純に対日ソフトウェア技術者数の違いと断言してよいでしょう。

私は国際経済の専門家ではありませんが、オフショア大學には数多くのグローバルソーシング戦略に関する質問が寄せられるため、日頃から幅広い業界に目を向けて最新動向を注意深く観察しています。

オフショア開発における中国プラスワン戦略を理解するには、以下の3点に留意することが大切だと考えています。

・数値や生データで実態把握すること
・異業種の先行事例を参考にすること
・全体のマクロ視点と自社に特化したミクロ視点を区別すること


■ 問いかけ

<問1>中国と東アジア地域のオフショア委託候補地の規模感を具体的に比較しなさい。

a) 国家規模
b) ソフトウェア技術者数の規模
c) 対日ソフトウェア技術者数の規模

<問2>中国と東アジア地域のオフショア委託候補地、それぞれの人件費の推移を時系列データで示しなさい。

<問3>日本の人件費の推移を時系列データで示しなさい。

<問4>中国プラスワン戦略に沿って、ベトナムやアジア諸国に生産拠点を移して成功した事例を1つ挙げて、成功要因を分析しなさい。

<問5>あえて中国プラスワン戦略を否定し、今でも中国に主要な生産拠点を置きながら成功した事例を1つ挙げなさい。さらに、その成功事例を分析しなさい。

<問6>一般に中小ソフトウェア企業にとって、中国プラスワン戦略はあまり意味を持ちません。一体なぜでしょうか。

<問7>あなたの会社の中国オフショア開発には、コストメリット以外に優れた利点はありますか?(有/無) ※綺麗事ではなく本音で答えること。

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