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英語 "a water" のあらゆる可能性

最近オフショア大學では、業務で使える英語、特にオフショア開発で英語を母語としない者同士が会話するための Global English の教育に取り組んでいます。

オフショア大學の英語講座では、国内外で専門教育を受けたビジネスパーソン向け英語教育で実績のある講師が担当します。私は講師役ではなく受講生の学習を促進する伴走者の立場で活動してます。

2014年2月、オフショア大學では、主に英語初心者を対象にトレーニングを実施しました。講座では、マラソン選手に寄り添って支援する者のように、私は受講生とつかず離れずの距離を保ちつつ、彼らの英語習熟度を高める裏方活動に専念しました。

学習の伴走者として私の持ち味が最も発揮される場面は「あり得ない状況を仮定した質問」を投げかけるときでしょう。

例えば、こんな感じです。


●カタカナ英語として頻出する"system"のコアを学習する場面

受講生「"system"は数えられないと思っていました」
講師 「・・・(簡単に基本説明)」


講師が説明を終えると、即座に私が横槍を入れます。

私  「"How many systems do you sell?" は理解できますよね」
受講生「OK」
私  「"There is a system designed by us." は?」
受講生「OK」
私  「では、"I would like to have a water." は?」
受講生「・・・」


受講生の多くが英語初心者とはいえ、中には直ぐに模範解答を導き出す人がいます。


受講生「"a water" とは、一杯の水、ですよね?」
講師「正解。例えば "a glass of water" の省略形」


こんな会話が流れると、私はつい意地悪な質問を投げたくなってしまいます。

私「では“一杯の”以外に、どの状況で"a water"が使えますか?」

私の質問の意図は、学校で不可算名詞だと教わった water をあえて数えてしまう「あり得ない状況」を想像させることです。

上手に状況設定すれば、授業で不正解(×)だった多くの英語表現が、実務では問題なく使えること(◯)を体感してもらいます。こうした無茶ぶりとも言える質問は、受験勉強で固まった四角いアタマを丸くする効果があります。

以上、本文はここまで。

以下、英語学習に興味のある方だけ読み進めてください。


他にも、こんな会話の流れがありました。

●夜遅くテレビ視聴する6歳の息子に向かって親が注意する場面

  親: Turn off the TV. (テレビを消してさっさと寝なさい)
  子: No! I want to watch TV.  (やだー、もっと観たい)

講師 「親の"the TV"と子の"TV"の違いは?」
受講生「・・・(初心者なのでうまく答えられない)」
講師 「・・・(簡単に解説)」

私  「では、親はこの場面で"Turn off TV" と言えるか?」
受講生「・・・(この質問には簡単に答えられる)」

私  「では、親はこの場面で"Turn off a TV" と言えるか?」
受講生「・・・(初心者なのでうまく答えられない)」
講師  ・・・(沈黙)

私  「失礼しました。この場面で "a TV" は言えないですね」
受講生&講師 ・・・苦笑

私  「では、親が子に "Turn off a TV." と言えるとしたら、一体どんな状況が考えられるか?」


ちなみに、この質問を投げかけた時点で、私は適切な答えを持ち合わせていませんでした。でも、私には "Turn off a TV." が成立する文脈が絶対にあるはずとの確信があったので、質問後すぐに懇願するように英語教師を見つめました。

心のなかで「ヘルプミー」と叫ぶ私に反応して、講師は数秒ほど考え込みました。そして、すぐさま "Turn off a TV." が成立する文脈を1つ挙げてくれました。

あっぱれ、お見事!


私は、受験英語で不正解とされる「不可算名詞を数える」や「複数形名詞を"is"で受ける」だって、適切に況設定すれば表現可能だと信じて疑いません。ただし、具体的な実現方法を知らないので、つも最後は講師に頼ってばかり(心の声 = 先生ヘルプミー!)


こうした一連の問答を通じて、英語初心者の受講生たちは確実に英語の冠詞/不定冠詞(a/an, the)のコア概念を習得します。更に、英語に対する恐怖心が徐々に取り払われていき、能動的に英語を使う態度が醸成されるようになります。

オフショア大學英語講師は、自ら状況設定して、丸暗記に頼らず、自力で文章をつくり上げる「自律的態度」こそが、Global English を使いこなす最重要コンピテンシーだと主張します。

× 受験英語:正解を求める/欧米人を真似る受身的態度

◎ Global English:自ら状況設定/状況によって正解は複数あり/正解よりも相手への共感や言葉の感性に重みを置く自律的態度


■ 問いかけ

<問1>英単語 system を分かりやすい日本語で定義しなさい。ただし、辞書の丸写しではなく system のコアに基づいてあなた自身の言葉で表現すること。


<問2>以下をあなた自身の言葉でわかりやすく定義しなさい。

(a) a system
(b) the system
(d) systems


<問3>以下の英文を読んで、設問に答えなさい。

  "I would like to have a water."

一杯の”以外に、どの状況で"a water"が使えますか? ただし、ここでは、一瓶の、一カップの、等は全て類似状況とみなします。それ以外の状況を考えよう。


<問4>親が子に "Turn off a TV." と言いました。どのような状況が考えられますか。文章が長くなってもいいので、具体的に状況設定すること。


<問5>受験英語では、複数形の名詞を"is"で受けると不正解です。ところが、業務で使う Global English では必ずしも間違いとは言い切れません。一体なぜ? 可能なら具体例をいくつか挙げなさい。


<問6>オフショア大學講師によると、Global English上達のコツは、日本語でも常にコアを意識することです。以下の例を参考にして、あなたの業務で役立つ単語群を挙げなさい。

例:先生と講師 の違いは? 


<問7>今号の本文には、Global English の精神に反する日本語表現がいくつかあります。可能な限り、たくさん挙げなさい。

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