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悪意あるメンバーを見分ける方法

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.悪意の有るメンバーを見分ける方法を教えて下さい。


A.話を中国人SEに限定します。

この話は壮大なテーマなので、後日、きちんと整理したほうが良さそうです。今号では、とりあえず、オフショア大學の知見を思いつくままに列挙します。悪しからず。

真の極悪人がオフショア開発メンバーに交じる可能性は小さいので、ここでは日本との「違い」に着目します。正直に言うと、善人を装う極悪人を見分ける方法なんて、私にも分かりません。


(1) 日本的商習慣には適さないという意味で「悪意のある」メンバーは大勢います。例えば遅刻&言い訳の常習犯、開発ガイドラインを無視して我流を貫く、等。

(2) さらに、どんなに良好な関係を保ってきた中国人でも、突然悪意をむき出しにすることがあります。例えば、理不尽な日本人顧客要求に怒って、夜間休日の緊急対応を無視するサボタージュ等。

要するに、一般的な日本人SEにとって、中国人SEは全て「悪意」を持つ恐れがあります。和をもって尊しとなす日本人にとっては、正に悪夢ですね。

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まず、前者の意味(1) で「悪意のある」メンバーを見分ける方法ですが、手っ取り早いのは普段の勤怠を数値データ管理することです。ただし、日本人が感じる「悪意」と中国人が評価する「元気さ」は紙一重です。

日本から指示された開発方式には全く従わないのに、未成熟の若手チームをまとめあげてきっちり納期に間に合わせてくる、などは「生意気」とも評されるし「元気がよい」とも評されます。

時々遅刻するけど仕事はきっちりする中国人プログラマは、一般にはマイナス評価を受けません。役職が上がれば上がるほど「遅刻」に対する罪の意識は増すものの、オフショアメンバーの大半を占める20代の若手プログラマにとって、遅刻常習は決して大罪ではありません。


次に、後者の意味(2) で「悪意のある」メンバーを見分ける方法ですが、これは突然「敵意」をむき出しにする瞬間の見極めが肝心です。普段は良好な関係を保っているのに、ある瞬間、突然悪意をみせる。必ずしも中国人固有の行動特性ではありませんが、いくつか典型的なパターンを知っておいて損はないでしょう。


■ 問いかけ

<問1>オフショア開発プロジェクトメンバーによる悪意ある行為をできるだけ多く列挙しなさい。


<問2>オフショア委託先による以下の行為は悪意がありますか?(Y/N)

・忙しいので内部レビューを割愛して次の作業に移る(Y/N)
・日文作成は苦手なので自動翻訳結果を貼り付けて提出(Y/N)
・日本側窓口に相談しても埒が明かない、客先のリーダーに直接相談を持ちかけた(Y/N)
・日本都合による残業過多が続くので、朝は定時に1時間ほど遅れて出勤することが多い(Y/N)
・相談すれば簡単に共通化できそうな機能(例えばエラー処理)なのに、各人がそれぞれ自分で機能実装する(Y/N)
・自分で作成した不十分なテストデータを用いた試験で、与えられたバグ密度目標を達成したので、テスト終了と誤認(Y/N)


<問3>これまで良好な関係を保ってきた外国人SE/管理者が、ある時からあなたに悪意を向け始めた。考えられる理由を複数挙げなさい。

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外国人にも通じやすい背景説明

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.外国人は仕様書に記述したことしか実装しないと思っていたが、こちらから背景説明すれば、相手が自発的に気づき、より積極的に質問するようになるか?


A.その通り。講義中にも指摘したように、外国人技術者は自分を創造的な知的労働者だと認知していることをお忘れなく。ただし、日本人に対して日本語で接するように「背景説明」しても、外国人技術者の自発的行動を引き出せない恐れがあります。

例えば、中国人プログラマ(25歳・男・職歴2年)がつまらない保守改修作業をやらさせていると感じている場合、彼に対して日本人のあなたが日本語でどう説得しても、内発的動機づけは与えられないでしょう。


日本人には通じるけど、外国人には通じにくい説明の例をいくつか列挙します。

・会社のために頑張れ/会社に迷惑をかけるな
・お客様のために頑張れ/お客様に迷惑をかけるな
・「石の上にも三年」、今は辛いが頑張って修行に耐えよ
・この業務知識を身に付ければ将来コンサルタントになれる
・他の人も皆そうやっているから君も頑張れ


外国人にも通じやすい背景説明の例を2つ列挙します。

・最上流のビジネス目標と担当ソフトウェアの関連
(あなたがバグを出せば製品リコールとなり甚大な被害、等)

・現在の下請け作業が、将来の個人キャリア形成に与える影響
(中国に根本原因分析の達人は少ない。もし、あなたが転職活動した時いまの経験はきっと役立つ、等)


■ 問いかけ

<問1>なぜ「会社のために頑張れ/会社に迷惑をかけるな」は外国人技術者の心に響かないのでしょうか。日本人との際立った違いを述べなさい。


<問2>なぜ「お客様のために頑張れ」は外国人技術者の心に響かないのでしょうか。日本人との際立った違いを述べなさい。


<問3>なぜ「今は辛いが頑張って修行に耐えよ」は外国人技術者の心に響かないのでしょうか。日本人との際立った違いを述べなさい。


<問4>「この業務知識を身に付ければ将来コンサルタントになれる」は、本当に外国人技術者の心に響かないのでしょうか。日本人、中国人、ベトナム人、インド人の際立った特徴の違いを述べなさい。

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用語集や辞書を機能させる工夫

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.日本国内プロジェクトでも、共通認識を周知するために用語集や辞書を作ることがあります。オフショア開発でも有効でしょうか?


A.有効です。ただし、作りっぱなしでは効果はありません。用語集や辞書に限らず、開発標準指針やコーディングガイドラインなどあらゆる知見文書は、常に現場の手によって更新されなくては本来の効果を発揮しません。

一人の優秀なリーダーが全てを管理する小規模オフショアチームなら、この種の知見文書がなくても、日々の口頭コミュニケーションによりチーム内の共通認識が形成されます。

一方で、ある程度大きなチームとなると、用語集・辞書によるノウハウ共有化は思ったほど進みません。20代中心の外国人チームに、自発的な情報展開を求める方が間違っていると認識しましょう。

オフショア大學の経験によると、残念ながら、中国オフショア現場では、コストと時間をかけて一連の知見文書を周知する社内講座を実施しないと、本来の目的であるノウハウ共有化は達成されません。

この場合は、特定の専門家が現場から聞き取り調査して、自ら共有化すべき知見文書を更新します。理想は「常に現場の手によって更新」ですが、そもそも日本の現場ですら実現できていないことを、海外の若手中心の現場に求めるのはやめましょう。

■ 問いかけ

<問1>なぜ、海外のオフショア開発チームでは、文書による知見共有が進まないのでしょうか。有力な原因を挙げなさい。

<問2>海外のオフショア開発チームでも、メンバーによる自主的な情報共有がなされることがあります。成功要因を分析しなさい。

<問3>辞書や用語集など、頻繁に更新されることが予想される知見文書を海外オフショア委託先に展開する効果的な手段を挙げなさい。(例:文書をPDF化して ML で一斉配布、など)

<問4>あなたは、海外オフショア委託先での活用を願って、十分に詳細化された用語集や辞書を作成しました。ここで、予算の制約から、あなたは海外出張できないと仮定します。あなたが作成した立派な知見文書をオフショア委託先で活用してもらうためには、いったいどうすればよいでしょうか。

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転職する外国人よりも日本人の方がBSEに向いている?

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.ブリッジSEは、オフショア先の外国人が適切でしょうか、または日本人が適切でしょうか? 海外の離職率の高さを考慮すると、後者の方が現実的だと思うのですが。


A.短期の単発プロジェクトなら経験豊富な外国人バイリンガルSEを、長期継続が前提のオフショア開発なら国籍よりもコンピテンシー重視でブリッジSEを選定するとよいでしょう。語学力よりも将来性に着目した能力鑑定が成功の鍵です。

もし、あなたが以下のコメントに深く共感するなら、日本人ブリッジSEの長期育成を検討すべきです。

「ブリッジSEが、調整役としてプロジェクトに存在することで、
 日本国内におけるソフトウェア開発と全く変わらない状態に
 なることを実感しました」(オフショア開発成功者の声)

つまり、もしあなたが、オフショア開発でも、日本国内におけるソフトウェア開発と全く変わらない状態を理想とするなら、日本の商慣習に完全適応できる人材をブリッジSEとして採用すべきです。

余談ですが、以前から「ブリッジSE」の存在そのものを嫌う関係者は少なくありません。日本人だけではなオフショア委託先の一部の外国人幹部でさえも「うちはブリッジSE不要」と公言します。


■ 問いかけ

<問1>ブリッジSEを定義しなさい。


<問2>オフショア開発でも「日本と全く同じ」が理想とされる考え方に、あなたは同意しますか?(Y/N)


<問3>以前からある「ブリッジSE不要論」の根拠を分析しなさい。


<問4>ブリッジSE選定に関する本誌発行人の持論は以下の通り。あなたは同意しますか?

・単発プロジェクトなら、即戦力の外国人BSEを金で買うべし
・長期ラボ契約なら、日本人でもいいのでコンピテンシー重視

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今期のオフショア発注量を増やすには

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q. 新年度が始まりました。今年は更にオフショア発注量を伸ばしたいが、どうすればいいでしょうか?

A. 一般には「発注量=会社の意思決定」。残念ながら、現場のボトムアップ的な努力だけでは、直ぐに壁にぶつかるでしょう。


Q. 耳が痛い...。実は私の部署では、今期の発注目標として前期実績をはるかに上回る発注量が掲げられました。一方で、顧客の一部はオフショア開発に慎重です。必ずしもオフショア活用を嫌っているわけではありません。最後のひと押しが足りない印象です。


A. これまで確認させていただいた貴社の状況を鑑みるに、オフショア発注量拡大のために必要な施策は2つ。最重要は感情的アプローチで背中をポンと押してあげること。次いで、中期課題として正当な情報提供を続けること。

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■ 問いかけ

<問1>「顧客の背中をポンと押してあげる」とは、どういうことか。顧客は十分に賢いとの前提で、オフショア開発推進に役立つ施策を考えなさい。


<問2>「中期課題として正当な情報提供を続ける」とは、どういうことか。「正当ではない情報」との違いを意識して、オフショア開発推進に役立つ施策を考えなさい。

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